二月六日 トレーニング
三十七日目 後半です
そして現在、四人で地下のリニアチューブを使い学園に向かっている所。
ユリアはサリーさんのお手伝い?と思ったのだけれど、
「先に何のデータが必要かリスト作ってるよ。それが出来るまでは学園かな。多分今夜からデータ集めが始まると思う」
とのこと。
「で、ユリカ。私もそっち行って良いかな?ミュラもミュウもユリカん所だから一緒にいた方が連携しやすいし」
「え!? それって、私が一人お城に残されるって事?」
唐突なユリアの言葉に吃驚だが、それ以上にさつきがわたわたと。
「カミーラやメグがいるじゃん」
「そーだけどさー」
にまにま眺めるユリアが凶悪。さつき。頑張れ。
まあ、そうなるよねって事で、さつきとユリアの転居が決まり、早速ユリアが引っ越し業者に依頼を出す。
そうなると、
「サリーさんも一緒の方が便利じゃない?」
「そうだね。聞いてみよー」
ちょっと提案したら即ユリカが動いてサリーさんの同居も決定。
賑やかになりそうだな。
「秘密基地みたいだね!」
一瞬時が止まった。
さつきの肩にユリアがぽんと手を置いて、
「中等部の男子みたいで可愛いよ」
みるみる真っ赤になったさつきがわたわたと両手を振り回す。
「無し!今の無しっ!! 恥ずかしいよーっ!!」
両手で顔を覆って崩れ落ちる。
「あはははははははははははははははははははは」
指さし爆笑。ユリカの追い打ちがひどい。
と、ドタバタやっていたら学園の地下に到着。
顔と頭から湯気を吹き上げるさつきを引っ張ってクラブルームでカミーラに[ただ今]を。
そこから其の儘ホームルームへ駆け足で。
「「「「お早う」」」」
と声を掛けて室内に入ればみんなから声が帰ってくる。
誰だ?遅ようって挨拶返したの。せめてこんにちはにして欲しい。
まだ顔がほてっているさつきはみんなから弄られてる。
「一昨日のユリカと鹿乃子。格好良かったよ」
と言うジーナの声にユリカが
「見ててくれたんだー。褒めて褒めてー」
とすり寄って頭を差し出し、周りの女子にもみくちゃにされて。
私はミュウに頭を撫でられてご満悦。
平和です。
授業が終わってクラブ活動。さつき、ユリユリは先に帰ってお引っ越し作業。
クラブルームに行くといつもの通りカミーラ様が待っている。
「様を付けるのはヤメロ!」
敬っているんですよ。敬われて下さい。カミーラ様。
「あたっ」
てしっと、頭を叩かれた。痛いです。
「訓練室貸して下さい。テレポートの練習したい」
「あ。私も練習します。せっかく能力成長したんだし、早く慣れたいです」
「私も、同じく」
三人で訓練室に移動。カミーラも付いて来た。
「お前達、ほっとくと何をしでかすか判らん」
信用ゼロの模様。
運動着に着替えて早速練習を始める。
とにかく速さを優先して近距離を目標に。
かおりは異空間の入り口を自分とは離れた所に作り出して、そこにあるものを別の場所に移動する練習を始めた。
ルミは分身の数が増えている。八人、九人、十人…現在十三人。
私も自分のトレーニングに集中しなくては。
「鹿乃子。これ使って時間計りながらやれば判りやすいぞ」
カミーラが大きな時計みたいな物を持って来てくれた。四角い置き時計と、丸いマットが二枚。
「このマット、叩く度にストップウオッチが動いたり止まったりするから離れた場所に置いて目標にすると良いよ」
「有り難うございます」
便利そうだ。やってみよう。時計を中心に五メートル位離してマットを置く。
片方のマットをポン。と、蹴って、すぐ反対のマットに移動するイメージ。ほんの少し上空へ。
移動完了。 掛かった時間は…三秒六。
「いきなり早いな」
カミーラが呟く。これでも速いんだ?
「普通、最初は十秒ぐらいかかるぞ?イメージ固めるのに時間が掛かるんだよ」
「なるほど」
昨夜色々やって若干慣れたからだね。よし。次。
三秒三。
次。 三秒二。
うん。連続してやっても効果薄い。イメージの仕方を考えてみるか。
先に移動を終えた自分をイメージしてみたらどうだろう。それを目的地に置く感じで…
スタート。イメージを固めてマットの上に置く。完了。
お!一秒七。
とはいえ、自分で遅いと言ってるユリアに比べてまだ十倍以上時間が掛かってるんだよなあ。
その後、カミーラからそろそろ閉門時間と声を掛けられるまで色々試したけど、一番速いタイムで零点五秒。
そのあとはどんどんタイムが延びちゃったし。メッチャ疲れた。
かおりとルミとともに帰宅。 途中、二人の練習成果を訊ねた所、
「分身二十体出来た」
「異空間のゲートを複数出せるようになりました。これまで一つ作って使用したら消して作り直してだったからとても使いやすくなりますね。鹿乃子様々です。」
いや、私じゃない。龍さんだから。
まあ、なんだか焦臭い昨今。能力が向上するのは喜ばしいのではないだろうか?
家に着いてリビングに入ったらユリカが一人、ソファーに突っ伏している。
「どした?」
頭をツンツンして訊いたら、ガバッと抱き付いてきて、
「暇だったー」
と、一言。だったら学園に戻れば良かったんじゃないかな。
「それはそれでめんどくさいしー」
ダメダメな発言でした。
サリーさんは既に地下に部屋を確保して色々準備完了。ユリア、ミュウ、ミュラ姫と共に現在情報収集に励んでいるとのこと。
さつきはそのお手伝い。
因みにさつきとユリアは二階の部屋を使うそうで確保済み。
多分、今夜は徹夜するんじゃないかな?とはユリカの言。
まあ、明日は学園休みだし。頑張れ。四人とも。
「あはははははははははははははははははははは。ひどいー。鹿乃子、まるっと他人事だー」
笑い飛ばしてるユリカに言われたくないかな。
地下に潜ってる五人を呼んで夕飯を摂る。その後、さつきを置いてすぐ地下に戻る四人を余所に、のんびりくつろぐわたし達四人と、置いてかれた さつき。
いや、お手伝いしようかって訊いたら、今わたし達で手伝えることは無いんだと。
実働部隊なんだから体を休めておけとのこと。
因みに、夕飯時にサリーさん、いやサリーから[さん]付け不要、呼び捨てにして。と仰せつかった。
メンバーズ同士、呼び捨てかせいぜい[ちゃん]又は[君]付けが慣例とのこと。敬語も要らんそうです。
「作戦行動時に癖が出ちゃうと拙い場面があってね。指揮系統の認識を混乱させる意味もあるんだよ」
「私みたいに誰彼かまわず、テキトーな敬語で話すのでも良いんですけど、鹿乃子ちゃんには合わないみたいですから。特定の相手に敬語で話してると上下関係判っちゃうでしょ?」
ユリカとかおりに説明を受けて納得。敬語って使い慣れないから助かる。
正しい話し方出来てるのか凄く不安になるんだよね。
「姫野の役員も含めてだよ?」
ああ、レイナさんとか、弥生さんとかもそうなのか。
「薫君や香歩ちゃん、サヤカちゃんもですよ?学園長は其の儘で良いかもですけど」
「錫木氏と川前氏他、一般隊員はメンバーズじゃ無い。対象外」
ルミ、了解です。今後、メンバーズの人とは遠慮無く、ふつーに話します。
「なんだか爆弾の威力倍増の予感!」
「そ、それは困りますー。私の腹筋的に! 威力は抑えて下さいね?お願いですから」
さつきとかおりが妙なことを口走ってますけれど。爆弾投下をしている自覚は無いので責任持てません。
「そんなー」
「あはははははははははははははははははははは」
絶望的な声を上げるかおりと爆笑するユリカ。さつきとルミも口元を押さえてぷるぷるしてた。
やがて、未明の事件発覚時から対応していたさつきが眠気に勝てず自室に引っ込む。
ユリアも一緒だったろうによく平気だな。
「ユリアちゃんは情報収集で気が張ってますから大丈夫ですよ。さつきちゃんはのんびりして気が抜けちゃったんじゃ無いですか?」
なるほど。 かおりの言葉にもっともだと同意。
「ユリカちゃんも鹿乃子ちゃんもお昼まで大変でしたし、お休みになってはいかがです?」
続く言葉にユリカと顔を見合わせて頷き合う。
「そーするよー。じゃ、お先にー」
二人でお風呂に向かう。 ゆっくり暖まったら眠気が凄い。これはテレポートの練習しすぎかも。
「お休み」
と、ユリカと別れ、部屋に戻って布団を敷く。
はー。今日も何かと慌ただしい一日だった。
明日は是非ともゆっくり出来ますように。
だからそれはフラグだよ。と龍さんに揶揄われつつ眠りに落ちる。
それでは、おやすみなさい。
三十八日目に続きます




