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鹿乃子の日常奇譚  作者: みゆki
星暦二千百十一年二月
43/252

二月五日 加護

三十六日目後半です

 その、あんまりな出来事に茫然自失(ぼうぜんじしつ)のユリア。


 初めて見る(ほう)け顔。そりゃそうか。神様から加護(かご)送ってもらったのに(はじ)いちゃったとか。無いわー。


「「ちょっと、こっちは?」」


「いや、神格(しんかく)持ちに送ったって役に立たんだろが。って(りゅう)さん言ってるけど 何か?」


 カミーラとユリカが怒るんでそう伝える。


「そりゃそうだ」


「えー?カミーラじゃ無いんだから神格なんて無いよー?ひどくないー?」


 あっさりなカミーラとあたふたなユリカ。見事なコントラスト。


「後、NINJAな二人は[レベルアップしといたよ]だそうですよ?」


 無言で両手を上に突き上げるルミ。


「えー?有り難うございます?」


 かおり。何か複雑そうだな。


 こいつらも対比が凄いな。 てか、レベルアップ?それで意味通じてるんだ。


 え? はい? カミーラにユリアをチェックさせろ?


「だって。カミーラ。お願い」


「省略しすぎだ!」


 ブツブツ言いながら何か調べてる。


 やがて、ユリアの肩にぽんと手を。


 そこで初めて我に返るユリア。


「おめでとう。神様生えた」


「え?え?え?」


 相変わらず言葉足らずな。ユリア、右見たり左見たり大忙しじゃん。


時空神(じくうしん)が近くにいる気配があるって(りゅう)さんが言ってましてね?」


「ユリアに生えた。良かったな」


 カミーラ、また肩をポンポン。


「「えぇぇーーー!?」」


 ユリユリが吃驚(びっくり)してる。


 いつもと違うけどカオス空間突入?


「お前な…」


 疲れた顔のカミーラ。ご苦労様です。


 痛い!痛い!頭ぐりぐりしないでー!


 ぐりぐりされた頭を抑えてうずくまっていたら、アルファがなでなでしてくれる。


 ちょっと心配そうな顔で質問してきた。


鹿乃子(かのこ)龍神(りゅうじん)様聞こえます?先に戻った六人は?」


 だいじょうぶ。


「一緒に加護を送ってくれたって」


「よかった」


 天使の微笑(ほほえ)みを有り難う。


 そのまま ぎゅうっとしちゃったよ。


「良いなー。みんなばかりうらやましいー」


 ユリカがぼやき始めたぞ。


「お前、とっくに神格生えてるって前から言ってんじゃん。しかもとびっきり厄介(やっかい)なの」


 心底いやそうなカミーラ。


「あたし、何の神様に成り掛かってるか知らないしー。教えて教えてー」


 こっちはホント、嬉しそうに。


破壊神(はかいしん)


 そっち?


「えぇー?やだやだやだ!かわいくないー!」


 むくれるユリカ。


 可愛い可愛くないの問題と違う。落ち着け?


 何?何でみんなそんなでっかい溜息(ためいき)なの?


 反応、おかしくない?


「想定通り」×十三人


「ひーどーいー。やり直しをよーきゅーするー!」


「止めとけ、もっと厄介なのが来るぞ」


「えぇー」


 大騒ぎしてカミーラに止められる。確かにやり直したらそんな未来しか無いような。


「ねえ、さつきちゃん。わたしメインシステムのアップデートしに来たはずなんだけど。この混乱状態は何?」


 眉間(みけん)の辺りをもみもみしながらさつきを問い詰めるサリーさん。


 機械生命体でも目が疲れるって有るんだね。


「あはははははははははははははははははははは」


 何がおかしいんだ。ユリカ。


「鹿乃子…」


 何でそんな可愛そうなものを見る目でわたしを見るのかな。さつき。


「いつも通り。平常運転です」


 そして、サリーさんに向かって答えがひどい?


「なかなか、取り扱いが難しい物件ね」


 サリーさん?わたし瑕疵物件(かしぶっけん)扱いですか?


 ひどくない?


 後ろで半分ほどのメンバーが吹き出した?


「なんでわたしの扱いがどんどんひどくなるんだろう?」


 思わず口にしたら隣のアルファがひしっと抱き付いてきた?


 アルファ?体が小刻みにぷるぷるしてるのは何故?


 必死に何かこらえてるように見えるのって気のせい?


 そろそろ呼吸再開しないと苦しくない?てゆうか背中バンバンするのは止めよう?


「あはははははははははははははははははははは」


 わたしにしがみついたままアルファが決壊した。


 やれやれ。


 周りも決壊した。





「相変わらず仲良しだねー。みんな」


香歩(かほ)ちゃん…。 ねぇ、ユウジ。この子達って、いつもこんななのかい?」


「騒がしいのも、いつの間にか話がどっか行っちゃうのも、所構わず爆弾投下するのも、大混乱になっちゃうのも、まるっと平常運転だね」


「やっぱり副会長、ユウジに任せて正解だったな」


「あはは… 香歩ちゃん。変わってくれない?」


「えーと。ゆっくり、じっくり考えさせて下さい」


「はぁ。そうなるよね…」


 やっと落ち着いたら隅っこで先輩方がこしょこしょと。


 (おおむね)ね正しいんで訂正する余地は無し。


「鹿乃子。爆弾投下してる自覚があったんだね」


「何を仰るユリアさん。そんなことしてないよ?考えたことも無い」


「ほほぅ。どの口でその様な戯れ言をほざきやがりますかね。この爆撃娘は」


「わたしは疑問に思ったことを其の儘(そのまま)口にしているだけですよ」


「少し言い方を考えようとかは思わんかんね?」


「残念ながら、その余裕も無く言葉になってるね」


「あはははははははははははははははははははは」


「「ユリカ。五月蠅(うるさ)い」」


 おお。見事なユニゾン。


 そして、ユリカは毛玉になった。


「だから…」


 ユリアはしかめっ(つら)になった。


 痛い痛い痛い。ぐりぐりは止めて。ぐりぐりは。


「「「あはははははははははははははははははははは」」」


 ああ。先輩方がまた撃沈した?


 ユリアさん。痛いです。


 ほら。役職の皆さんが(あき)れてるから、ぐりぐりは止めようよ。


「いや、鹿乃子ちゃんに呆れてるんだけどね?よく()れだけ場を混乱させられるよね」


 ひどくない?サリーさん。そんなつもりは(これ)っぽちも無いんですが?


「そっかー。狙ってないから受けちゃうのかー。素直さが罪なんだねーこの娘は」


 何かひどい納得のされ方をしてるよ?素直だねって()められてないよね?あんまりじゃないかな?


 そして、ユリアのぐりぐり攻撃が止みそうにない。悲しい。


 深ーい溜息をつくサリーさんとぐりぐり攻撃中のユリア以外決壊しちゃってるんですが。何故なんでしょう?


 痛いよー。


 笑い続けていたさつきがピタッと停止。


 ポケットから携帯端末を取り出す。着信かな?


「キャルちゃん?うん、うん。それね。鹿乃子が原因。うん。問題ないから早く慣れてね?えー?わたしじゃわかんないし!あとでカミーラちゃんに聞いてね?はーいそれじゃね!」


 聞かなくても判った。加護持ちになって暴走しちゃったのね。キャルさん。ごめんなさい。


「そのたうり(・・・)だよ。鹿乃子」


 さつき。何故に旧仮名遣(きゅうかなづか)い?しかも間違ってるし。


「え?違うの?何処(どこ)が何処が?」


「[とほり]だよ。[たうり]じゃ現代仮名では[とうり]になっちゃうから。 それの元ネタ。どっかの学生服着たアンドロイドだろ?」


「ほら、自然に話がどっか行っちゃう」


 ユウジ君?どっか行ってませんよ?


「無自覚かー」×十五人


「えー?」


「どっか行ってる、どっか行ってる。加護が暴走した話だからね?メグ、リディ、サヤカちゃん、セラと紗耶香(さやか)からも連絡来たよ。何処まで加護送ったんだよ。鹿乃子」


「今ユリアが言った人までみたいだよ?キャルちゃんの部下の人はふつーの人みたいだから止めといたって言ってる」


「…それで正解だよ。紗耶香なんて学長室のドア吹き飛んだとか騒いでるし」


「何をした?」×十四人


 怪我とか、心配されないんだ。みんな、原因の方が気になっちゃうんだ。


 いつも何をやらかしてるんだろう。あの学園長。


「ついつい、答えたくなるわね。自然に疑問が口に出てるのね。話がどっか行っちゃうの分かったわ」


 おお。サリーさんが納得してくれたようです。わたしが悪いわけじゃないんですよ。


「いやいや。鹿乃子ちゃんが原因でしょ?今わたしそう言ったでしょ?なんでそう受け取れるのかしら?」


「そうやって答えちゃうからどっか行っちゃうんだよ。判ってても答えちゃうんだよ。不思議なんだよなぁ」


「あれぇー?」


 サリーさんとユウジ君の言葉に不満の声を上げたら、またまた大爆笑。


 なんでだー?


 その後、アルファに口を(ふさ)がれた状態で待機となりまして。


 サリーさん始め主立(おもだ)った皆さんは部屋の端っこで打ち合わせ。


 サリーさん、ミュウ、ユリア、ミュラ姫を残し、解散となるまで十分かかりませんでした。





「鹿乃子、今日も大活躍だったね」


 帰り道、リニアチューブに乗ってからユリカにそう言われたけど。何にもしてないぞ?


「みなさんを混乱の坩堝(るつぼ)にぽいぽい放り込んでたじゃないですか。これを大活躍と言わずしたなんと言えば良いと?」


 かおり?わたし、そんなことしてないからね?ひどい言いがかりだよ?


「「「「「いやいやいやいや」」」」」


 悲しい。味方がいない模様(もよう)


 どんよりしている間にユリカ宅の地下に到着。


 一階のリビングに移動。


「んで、今日って結局何しに行ってきたわけ?」


 どうにも理解出来ないんで聞いてみる。


「まあ、最後隔離(かくり)されちゃったしねー」


 そりゃ判んないよねえとユリカ。


「これまでの事件のあらましと今後に対する注意喚起(ちゅういかんき)とメインシステムアップデートの見学だねー」


 いや、それは判ってる。


「以上でーす」


 言い切られた。


 何故あんなに時間が掛かったのだろう?


「「「「「だから!鹿乃子が大活躍したでしょ!!」」」」」


「えー?」


 また大爆笑だ。おかしい。


「あたし、早めに夕飯にしますね。若干お仕事残ってますから」


 ようやく復帰したミュラ姫がキッチンに向かいながらそう告げる。


「ミュウも一緒する。調べたいこと有るから」


 ミュウが後を追う。


「鹿乃子。今朝のあれ、もう一回やってみてー?」


 ユリカ?あれって何だ?


 あ。


 瞬間移動か。了解。


 部屋の反対を見る。ズームアップしたように迫ってくる。そしてそこに自分がいるイメージが浮かび定着する。


 移動出来た。


「今度、目を瞑ったままやってみてー?」


 んー?目を瞑る。さっきまで座ってた椅子を思い出す。ぐーんと近づいてきてそこに座るわたしがイメージされる。


 定着して移動完了。


 実際見なくても移動出来るんだね。


「自分の部屋に行けそうー?」


 えー?自分の部屋かー。えーと、畳の部屋、畳の部屋。


 移動出来た。


 真っ暗だ?


 畳がないぞ?


 照明照明…。


 始めに入居したアパートだ此所。こっちに来ちゃったかー。


 戻れるかな?


 付けた明かりを消して、ユリカの家のリビングを思い出そうとしたら、携帯端末の呼出しが。


『鹿乃子?インターホンに答えてくれないけど、どこにいるのさ』


「元のアパートに来ちゃった」


『あはははははははははははははははははははは』


 ユリカからだった。予想通りの質問に素直に答えたら大爆笑が聞こえてきた。


 プチッと通話を切ってもう一度リビングを思い出す。


「「「あはははははははははははははははははははは」」」


 戻ってきた。まだ笑うか。


 ミュウもダイニングからこっちを(のぞ)いてるし。


 それも、お茶碗(ちゃわん)持ってお(はし)(くわ)えたまま。


 お行儀(ぎょうぎ)悪いですよ。


 ぶっ! ミュラ姫がおんなじ格好で!


 はてな顔を見合わせたあとで二人とも引っ込む。


 なんとか耐えた。


 それにしても、イメージだけで移動出来るんだね。まあ、曖昧(あいまい)なイメージだと変な所飛んで行っちゃうみたいだけど。


 え?見通し距離だけのはずだった? って、龍さん。出来ちゃってます。


 色々おかしい? まあ出来ちゃったならそれでいい? そうですか。


 ()れれば便利だね。練習しよう練習。


「あー笑った笑ったー。お約束を有り難う」


「狙ってやったわけじゃないからね?」


 ユリカのあんまりな言葉に文句。


「イメージの練習次第ですよね。慣れれば間違えたりしませんよ。きっと」


「実感した」


 かおりが(なぐさ)めてくれた? ので素直に答える。


 それにしても、割と疲れるぞ?これ。肉体じゃなく、精神でもなし。何の疲労感だろう?


「疲れた?多分、距離を圧縮したときに酔ったんだねー。船酔いみたいなモノだよー」


 距離を圧縮?


「鹿乃子、今、目的地がワーッて近づいてきて、そこに移動すると転移出来てた感じ?」


「そーそー」


 おおよそ、ユリカの言う通りなんで(うなづ)く。


「距離を圧縮してゼロにする、一番多いタイプの瞬間移動だよー。距離を押し縮める時に(ゆが)みが出来るから、そこを通り抜けると、()さぶられちゃうんだよね。それで酔っちゃう」


 うーん。イメージし(にく)いけどまあ判るな。


「試しにねー。ユリアに連れて行ってもらった日本列島(仮)の森、覚えてたら移動目標にしてみて」


 えー?あの森かー。えーっと…


 森のイメージが浮かんだ。


 地面が見えて、近づいてくる。


 んー?なんか安定しないけど…自分が居るイメージ…


 OK、目を開けたら森の中。


 あれ?この距離って普通テレポート出来ないんじゃなかったかな?


 問題なく出来ちゃったから良いんだろうけど…


 およょ、着信が…


『鹿乃子!?  はぁー無事だったー』


「何?ユリカが言った通りやっただけだよ?何でそんな心底ほっとした声?」


『とりあえず、戻れそう?』


「うーん。ちょっとしんどい。少し此所(ここ)でのんびりしてから戻るよ」


 さすがにかなり疲れた。


 確か一万キロ以上離れてるんだっけ?


『今、ユリアに(むか)えに行ってもらうから』


「いや。少し休めば平気だよ?」


 とか話してたら何やら気配が。


「あー。ホントに居たね。吃驚(びっくり)だ」


 ユリアだった。


 何か、凄く安心したって言う表情なんだけど。何があった?


「鹿乃子、今からテレポートするけど、おもっきりゆっくりやってみるから観察しててね?」


「はいはい?」


 ユリアがテレポートを発動したかな?


 視界の半分が霧に(つつ)まれたように真っ白になり、そこにユリカの家のリビングが遠く見える。


 ()ぐに ぐんぐん近づいてきてすぐ側に。そしてユリアと二人そこに立っているイメージが浮かんで移動が完了した。


 わたしを見るなりユリカが土下座した。


「ごめんなさい。あたしの説明が悪かった。鹿乃子死んじゃうとこだった」


「いあや。全然無事だし?何故そこまで…?」


「私のテレポート、鹿乃子の移動と比べてみてどんな感じ?」


 ユリアに問われて思い返す。


「ほぼ一緒?行きたい所が現れて、ぐーっと近づいてきてそこに居るイメージが完成すると移動してる。かな?」


 そう答えると、大きく頷いて、


「うん。わたしがやってるテレポートと同種だね」


 にっこり笑ったあと、ユリカを立たせ、ソファに座らせる。


 反対側に引っ張られ、ユリアと並んで座る。


「良かったな。本当に距離を縮めるタイプだったらどうなっていたやら」


 はぁ、と溜息をついて(こぼ)すユリア。


 ユリカの方は、それはもうひどいことになっていて、涙やその他でぐちゃぐちゃ。


 ユリカの隣に移動して、ポケットからハンカチ出して拭き取る。


 かおりがタオルを保ってきてくれた。


 ハンカチじゃ全然足らないや。


 その後、大粒の涙を(あふ)れさせてごめんなさいを繰り返し、泣き続けるユリカを抱きしめながらユリアから説明を聞いた所、どうやら、本当に命の危機だったらしい。


 テレポーテーション自体が使える人それぞれの個性があって、ある場所から遠く離れた別の場所にほぼ一瞬で移動するという結果が同じであるだけで、同じ方法で行っている訳では無いんだそうな。


 まあ、かといって、やり方、方法が無限にある訳でも無く、()かよった方法で区分が可能なので、いくつかのタイプに大別されているとのこと。


 そのうちの、(もっと)も多くの使用者が存在するのが、ユリカの説明していた[距離を圧縮する]方法。


 文字通り、今居る場所と行きたい場所の間に存在する距離を観念(かんねん)的に圧縮してしまうんだそうで。


 わたしが使った方法が、逆にユリア以外に現在使用者が見つかっていなかった、高位次元から目標地点を認識して、その間に存在する空間を無視して移動する[空間を跳躍する]方法。


 使用者から見た現象はあまり(ちが)わないので、ユリカが言った現象にわたしがハイと答えたことから問題が生じてしまった。


 [距離を圧縮する]方法で今回のように遠く離れた場所を目標にした場合には、目標地点と現在位置の自転・公転などが(から)んだ移動速度、移動方向の違いによって大きな負担が発生し、距離の圧縮を始めた瞬間に強制解除されてしまうとのこと。


 能力が強力であれば無理矢理継続した上、移動も出来るが、結果は以前聞いたようにろくでも(・・・・)ないことに。


 ユリカは、わたしが瞬間移動を使えるようになったばかりな事もあって、一度その強制解除を経験させたかったようであの場所を指定したみたいなんだけど、わたしが移動を発動してしまったためにパニックになり、それでもなんとか端末で連絡を入れ、無事が確認出来て現在の状態になった。


「鹿乃子が消えた瞬間ユリカが蒼白(そうはく)になって。そのあとの絶叫(ぜっきょう)には正直ビビった」


 ルミが言うけど、未だにわたしにしがみついて泣きじゃくるユリカを見れば何となく想像が付く。


 かおりがとにかく端末で通信するようなだめ、ミュラ姫がユリアに連絡を入れ、何とかパニックからは抜けたらしいが。


 ユリカのこんな状態、全員が初めて見たと言うから相当?


「ごめんね。心配掛けて。わたしは此所にいるから安心してね」


 泣きながら、それでも頷いているユリカの背中を優しく()でる。


「鹿乃子が絡むと、ホントにポンコツになるな。ユリカ」


 ユリアの呆れ声。


「保護されたって情報が来たときからですよね?凄く浮かれてましたもの。何故顔合わせる前からそんなに気に入ってたのか謎なんですよね」


 そんな前からですか?かおりさん。


 まあ、何となく理由は分かるけどな。


 うわ?


 吃驚した。龍さんがいきなり強い思念(言葉)を。


 判るのか?って、完全に閉じこもっていた訳じゃ無いですよ?


 あれだけ周りで色々()らかしてくれればいやでも神経ぶっとくなるよ。


 もちろん、龍さんが守ってくれたからだけど。


 最後のだけは、ちょっと衝撃強すぎだったよ?龍さん。


 さすがに自分の殻に閉じこもりたくなったよ。あれは。


 やり過ぎです。此所では絶対しないで下さい。


 まだ具体的な言葉には出来ないな。さすがに。


 惑星(わくせい)一個が崩壊って、ちょっとやそっとの衝撃じゃ無いですよ。


「知ってた…の?」


 ありゃ?口に出てたか。ユリカがこっち見てた。ガン見してた。


「事の流れ程度はね」


 ありがとう は、口の形だけで伝える。


 ボフン。と又わたしの胸に顔を()めるユリカ。


 もうちょっと、わたしが落ち着いて。そしたら二人でゆっくり話そうね。


 龍さんの思念(しねん)みたいなの。テレパシーだっけ?伝わるかなってユリカに送ってみる。


 小さく頷いてくれた。


 そしてぎゅっと抱き付いてくるのでわたしも抱きしめる。


「鹿乃子が保護された経緯って、私たちも知らないんだよ。そのうちで良いんで教えてくれる?」


 ユリアの言葉に頷いておく。


「まだかなり先になると思うよ?」


 と付け加える。


 先ずは、ユリカと話し合ってからだよ。まだ時間が欲しい。


「鹿乃子ちゃんのその強さ、どっから来るんですか?」


 かおりが不思議そうに訊ねてくる。


「龍神様の巫女修行(みこしゅぎょう)の成果?」


 (うそ)では無いよ? 内容じゃ無くて状態が異常だっただけ。


「どんな過酷(かこく)さの修行ですか?それ」


 そんな可愛そうなものを見る目をしないで欲しいです。かおりさん。


 言ったわたしが悲しくなるよ?


 泣いて良い?


「あわわ…ごめんなさい」


「冗談だよ」


 慌てるかおりにペロッと舌をして見せる。


「鹿乃子ちゃんー!」


 かおりが声を荒げてわたしを(にら)む。


「かおりが怒った。珍し…くも無いな。最近」


 ルミが驚きそうになって引っ込む。結構叫んでるよね?かおり。


「去年までは全然怒らない子だった。これも鹿乃子が原因?」


「えー?其れもわたしが悪いの?ひどくね?」


 まあ、心当たりが無い訳でも?


「自覚してるじゃないですかー! 反省して下さい!!」


 ぷんすかしてわたしを指差すかおり。


 人を指差すのは良くないよ?


「あわわ…ごめんなさい」


 途端に あわあわするかおり。


「ぷふっ!」


 ユリカがもう、全身ぷるぷる。


「ほら。かおりが面白いからユリカ、笑って良いのか泣いてて良いのかわかんなくなっちゃったよ」


「くっくっ…」


「はわわ。ユリカちゃんごめんなさい。まだ泣いてて大丈夫…?あー!鹿乃子ちゃん。また揶揄(からか)ってるでしょー!」


「あはははははははははははははははははははは、泣いてて大丈夫って何だよ。かおり。大混乱じゃん」


「鹿乃子ちゃんひどいー」


「「「「「あはははははははははははははははははははは」」」」」


 やっと笑ったー。ユリカの背中をポンポンする。


 ひとしきり、みんなで笑って、落ち着いたユリカがごめんなさいと有り難うを全員に伝える。


 先に食事したミュウとミュラ姫以外で夕食にして、ユリアが帰って行ったあと、さすがに疲れたわたしは休むことに。


 慣れないうちにあんな距離を飛んじゃだめとユリアにはこってりと(しか)られました。


 ユリカとお風呂。お互いの背中を流しっこしてのんびり(あたた)まる。


 ミュウと姫はお仕事で自分の部屋なんで、かおりとルミにお休みをして部屋へ移動。


 ユリカの手を(にぎ)って自分の部屋に引っ張っていく。


「今夜は一緒に寝よ?」


 真っ赤になって頷くユリカと布団に入る。


 手を(つな)いで、特に話をするでも無く、暗くした部屋の天井を二人並んで(なが)める。


 気が付いたらユリカの寝息。


 握った手の感触を確かめながら、ここに来る事が出来て、本当に良かったなと改めて思う。


 ホッコリしていたら眠気が…


 それでは、おやすみなさい。

三十七日目に続きます

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