二月五日 大盤振る舞い
三十六日目、前半です。
星暦二千百十一年二月五日 木曜日
お早うございます。
今日は、中央区画の姫野グループ本部ビルに呼び出されてお出かけ予定。
の割りに、ユリカがのんびりしてるんだけど?
「地下にリニアチューブ有るからそんなに時間掛からないよ?」
「そういったことは早く言え!」
ペシッと一つひっぱたく。
「あはははははははははははははははははははは」
効果が無い。
あんまりのんびりしてるんで、早く起きたわたしは暇を持て余して、さっきまでかおりにビデオホン兼インターホンの使い方を教わっていた。
わざわざ部屋まで行かなくてもお話しが出来るし便利です。
んー?何か夕べ寝る前にあったんだけどなあ。
思い出せなくて。モヤモヤする。
すっきりしないでいたら内側から龍さんの声。
ああ。そうだそうだ。瞬間移動が使えるって言ってたんだ。
目視範囲で移動出来るって言ってたんだよね?
肯定する意識が返ってくるので、ものは試しだやってみよう。
邪魔にならない所。部屋の反対側を目標にする。
そこを見つめると、頭の中でその場所がクローズアップされていくような感覚が広がり、そこに自分が立っているイメージが浮かんだ。
次の瞬間、そこに立っている自分に気が付く。
みんながわたしをガン見していた。
「今。何したの?鹿乃子」
「瞬間移動?」
「なんで疑問形?てか何が切っ掛けで?いつから出来るようになってたの?」
「何が切っ掛けかは知らん。龍さんが出来るようになったと言うんで、今初めて試しがてら、やってみた」
「「「はー…」」」
ユリカの矢継ぎ早の質問に素直に答えたら盛大な溜息が三つ。
「ルミ、かおり。何か自分の能力に変化無い?」
「?分身が増えてる?」
「あ。異空の扉を開く場所が離れた場所を指定出来るようになっているみたいですね」
おや?二人も能力が成長しましたか。昨日の騒ぎが切っ掛けですかね?やっぱり。
「いやいや。鹿乃子の加護が強くなったんだよ。龍神との融合が進んだんじゃないー?」
そうなの?龍さん。教えて?
ああ、昨日色々暴れたから少し進んだんだ。
ゲームのレベルアップみたいで楽しいだろって?龍さん?それ、どうゆう意味なの?
「あはははははは、鹿乃子ゲームやらないかー。色々経験して能力を上げていくゲームってのがあるんだよー。ルミが詳しいから今夜聞いてみればー?」
「いやいやいや。ユリカちゃん?鹿乃子ちゃんが知らないゲームの情報を、なんで鹿乃子ちゃんの中にいる龍神様が知ってるの?そっちの方が私疑問なんですけど?」
わたしの前の巫女さんがゲーム大好きっ娘だったそうですよ?かおりさん。
「あー。そうなんだ。巫女さんもゲームするんですね」
そりゃするだろ?わたしみたいに異常に親和性が高くなきゃ、ごく普通の生活に巫女さんの仕事があるだけみたいだったし。
「ムー。その巫女さんと話してみたかった」
「そのときのゲームは、八ビットのなんとかでルミちゃんとは合わないんじゃ無いかな?と言ってます」
「大丈夫。大好物」
「守備範囲が広くて頼もしいねと言ってますよ?」
「有り難うございます」
「だから拝まないで」
二礼二拍手一礼をされてしまったよ。
「あらあら。ルミちゃん偉いわね。神様には毎朝お供えと参拝しなくちゃいけないわよね」
ちょうど、地下の部屋から上がってきたミュラ姫とミュウが目撃しちゃって、おんなじように拝礼し始める。
「ヤーメーテー。まだ本格的な神様じゃ無いからー。そー言うのはカミーラにしてー」
「「「「「それだ」」」」」
一斉に納得した?ごめんカミーラ。弄るのが確定した。
と言った騒動をこなして出発の時間を迎える。
そして、五、六分ほどで中央区の本部ビルに到着。
聞いたことのあるチャイムが鳴って、到着を知らせるアナウンスが流れる。
この間のチャイムとアナウンス。これだったのかと今さらに理解する。
リニアチューブを降りるとユリアが迎えに来ていたので案内されて移動。
案内された先は壁一面がモニターで埋められた部屋。
中に居るのはほぼお馴染みのメンバー。既に大きな円形のテーブルに着いている。
さつき、カミーラ、レイナさん、キャルさん、リディアさん、メグちゃん、アルファ、ユウジ君、香歩さん、薫君、サヤカ先生、キャルさんの部下で、最近よく顔を合わせる 川前さん、錫木さん。
後は初見の女性二人と男性一人。
「情報は回ってると思うけどこの子が[槇 鹿乃子]ちゃん。龍神に成り掛かってる娘です」
さつきが初見の三人に紹介してくれる。
「槇 鹿乃子です。」
「警備部長を拝命した[山中 弥生]です」
「諜報課長の[安積 良]です」
「姫野精機研究所の[サリー]です」
少し癖のある黒髪を肩口でそろえた、百七十センチ無い位の女性。何となくユリカに似た雰囲気があるんだが、性格は真反対に落ち着いた感じの山中さん。
百八十センチほどの外見は痩せ型の男性。髪は茶色で大型の眼鏡を掛けた優男って感じなんだけど、結構鍛えてるらしい安積さん。
ピンクの長髪、百五十センチちょっとの女性。人間ではなさそうなサリーさん。
「ご明察。わたし、機械生命体ですよ」
「うわ、初見で見破った人、初めて見た」
サリーさんの暴露に続いて、レイナさんが吃驚した声を上げる。
「みんな席についてね。会議終わったら時間取ってもらっても良いから」
ミュラ姫が声を掛け、全員が席に着く。
そして始まった説明によると、今年起きた色々な事件は、姫野グループの経営権に口を挟みたい連邦宇宙軍の一派が、何かと画策して起きたもので、まだこの後も続きそうであるという、非常に聞きたくない内容だったりする。
警備部門にダメージを与え、宙賊に襲わせることでグループにも大きなダメージを与えることで資本参加する隙を作ろうとしていたらしい。
連邦軍に遭遇した以外は計画的だったんだね。昨日の騒ぎ。
戦艦取り逃がしたのも計画的なのかな?
まだ遣らかしそうな兆しや動き出しそうな兆候を示す集団が見受けられるそうで。
「と言うわけで、サリーちゃんがメインサーバとマスターシステムのアップデートを行ってくれるので、ネットワーク系のセキュリティーは当面心配なくなります。後は、連邦軍からの横槍を先日の宙賊を取り逃がした件を利用して押さえ込む予定ですので、装備面で拡充出来る予定です。それと連邦軍に在籍中のメンバーズから大変有用な情報をいただきましたので、ちょっと引っかき回しちゃおうかと思ってます。メンバーズは鹿乃子ちゃん始め高等部一年組が現在能力面で成長著しいので、期待大です。騒動ごとは、出来れば事前に叩き潰したい所ですが、過剰防衛にならない範囲でお願いします」
「一年組って、鹿乃子さん以外に能力向上出来てるの?」
警備部長さんが不思議そうに質問を発する。
「かおりちゃんとルミちゃんが既に数値上は倍以上に伸びてますね」
「あたしは伸びてないー」
ミュラ姫の答えに続いてユリカがぼやくが、
「ユリカが伸びたらそれはそれで大問題ね」
と苦笑いで返す部長さん。
やっぱりこいつはメーター振り切ってるのか。
「と言うわけで、メンバーズで在校生組はこれまで通り。依頼をこなす形で動いてもらいます。まあ、変な動きを見かけたら都度対処して下さいね」
そう、ミュラ姫が締め括り、一時間ほどで会議終了。
「で、やっと来てくれたサリーちゃんをマスターシステムの部屋に案内するんだけど、みんな行く?」
と、わたし達、高等部生徒組に向かって。
「鹿乃子、見学しよ。見学ー」
はいはい。勉強出来る機会があれば否は無いですよ。どんどん参りましょう。
と言うわけで出発。何処へ行くのかなー?
「あたしも同行しても良い?」
参加を希望してきたのは部長さん。
「やよちゃんは鹿乃子に興味あるだけでしょー?」
「当然」
ユリカって、ホント誰と話すときでもため口なのな。
「「従姉妹」です」
お互いを指差してそんなことを暴露する二人。
ああ!それで何となく似た雰囲気が。
「因みに、こいつ、結構短気だよ?鹿乃子」
「こいつは無いでしょ!口悪すぎよ?ユリちゃん」
「あはははははははははははははははははははは」
短気の部分に否定はありませんか。そうですか。
馬鹿でっかい扉の前に到着。
幅も高さも十メートル以上ありそう。
その扉に更に普通サイズの扉があって、そこから入るらしい。
ミュラ姫が何か扉のタッチパネルを叩く。パスワード入力かな?
で、掌を押しつけて今度はさつきがおんなじ事を。
更にレイナさんがって、居たの?気が付かなかったよ。
周りを見たらほぼ全員居るじゃん。
キャルさん以下三名と、リディアさん、メグちゃんサヤカ先生がいない。
そして、ミュウが同じ事を繰り返した後、やっと扉が開く。
「随分厳重な…緊急時はどうすんの?」
「私がテレポートで移動する」
全員揃わない緊急時にどうすんだ?と口にしたらあんまりなお答えが。が。が。
ユリアー。厳重な扉の意味は何処へやった?
「飾りだよ。飾り」
ひどい。全力で扉さんに謝って!
「「あはははははははははははははははははははは」」
ユリカが決壊した。って。部長さんまで決壊してる?
肩が痛い。肩が痛い。加減して?部長さん。
笑いながらバンバン肩を叩かれてですね。手加減プリーズ!
「面白い娘!最高!気に入っちゃった」
思いっきり抱きしめられた。
わたしのほっぺに部長さんの柔らかいほっぺぎゅーっと押しつけられて。
ヒール履いてるから大体同じ位の背丈になってるんですよ。部長さん。
「弥生って呼んで。鹿乃子ちゃん。ユリカみたいにため口で良いからね」
「「「「うわー。鹿乃子の誑しー」」」」
誰?今の誰が言った?わたしが悪いんじゃ無いやい!
そろそろ放して下さいませんか?弥生さん。
痛いから脇腹抓るのは止めようよ。ミュウ。アルファ。
四人を残して決壊しました。
えー?サリーさんや安積さんまで大笑いしてるよー?なんで?
「なかなかの威力でしたね。耐えられなかったわ」
やっと収まって開口一番、サリーさんの台詞がこれ。
「全く。無自覚無表情で狙ってないから質が悪いんだよ」
カミーラがなかなかひどい。
「素直で裏が無いしね。ストレートに来るから」
レイナさん。恥ずかしくなるので勘弁して下さい。
なんだか集中砲火を受けております。
わたしは現在、左右の手をミュウとアルファに引っ張られてソファのようなシートの方へ移動中。
三人掛けの中央に座らされて左右にミュウとアルファ。
手を握られたまま、二人に頭をなでなでと…
これ、なんてプレイ?
まあ気持ちいいから赦す。
「「「なんでこんなに懐いてるの?」」」
「「「「わたし達も訳分かりません」」」」
なんか言ってる。いいや。放置放置。って、違う。
「ミュウ。サリーさんの作業、見学に来たんでしょ?」
「あ!そうだった。まったりして忘れてた」
名残惜しそうに立ち上がると、サリーさんの方へ歩いて行く。
「それじゃ、始めますかね」
そう言って、一番大きなモニター前のコンソールに座り、キーボード横のパネルを開く。
更に、出てきた何種類かの規格のコネクタソケットを、パネルごと外す。ん?
中に、直径五センチ位の大きいコネクタソケットが見えてきた。
見えたソケットを引っ張ると、ケーブルを引きずりながら取り出した。
で、サリーさん。自分の左腕から手首を外してソケットを接続した。
見たまんま言いました。えー?
「え?何故?鹿乃子ちゃん、何故吃驚してるの?」
わたしが吃驚してたら逆にサリーさんが吃驚した様子。
「サリーちゃん。ごめんなさい。鹿乃子に何にも説明してないや」
ユリアがサリーさんに手を合わせて謝ってる?
「あはははははははははははははははははははは」
ユリカ。五月蠅い!
「サリーちゃんは初めに自分でも言ってた通り[機械生命体]なの。心が宿った本体に視覚や聴覚のセンサーが入った頭部や、人間の社会に合わせた手足、胴体を組み合わせて今の姿になってる。だから、各部分が付け外し自由でオプションも豊富なの」
ミュウが説明をしてくれたけど。ごめんね。ミュウ。頭に入ってきません。
「あのね?AIの凄いのがあると思って?」
はい。
ユリアが説明し直してくれるようです。
「で。ソフトボールぐらいの球体があって、その中に収まってるの」
コンピューターみたいな物?
「謂わば、生きてるコンピューターだね。エネルギーも自力で集めるし、人格も魂も有ると」
それで機械生命体と。
「この街や地球人と一緒に生活しようとするととっても不便なのは判る?」
生き物とは認識されないし、行動も制限されますね。
「で、義手やら義足やらの技術を使って地球人の外見を持った入れ物を用意致しました」
ああ。その入れ物がサリーさんの外見で、中に乗り込んで運転してらっしゃるのが御本体?
「当たり。理解出来た?」
判りました。脳みそ以外全部機械のサイボーグみたいな物ですね?了解です。
「ユリアの説明が素晴らしい。わたしもうまく説明出来るように勉強する」
「肝心な部分がまるっと無いけど概要は伝わりますね。お見事です」
ミュウもサリーさんも納得のようです。ユリア。有り難う。またお願いします。
周りのみんなも頷いてる人が多い。首をひねってる人は技術屋さんだな。カミーラとか、カミーラとか。カミーラとか。
一人か。
「「あはははははははははははははははははははは」」
えー?
ユリカと弥生さんがまた決壊?今の何処に決壊する要素があった?
あれ?
おかしい。
また過半数が爆笑してしまった。
残りもみんな苦笑い。
わたし、何かしましたかね?
「鹿乃子。実況放送が爆笑物」
クスクスしながらルミがひどい。
「鹿乃子さん。表情。無表情を止めて下さい。ギャップがひどくて笑いが止まらない」
お腹を押さえてレイナさんもひどい。
「わたしも現物を見て理解出来ました。表情が無いのに感情豊かだとこんなにも面白いんですね」
サリーさん。わたし人間。物扱いは悲しいです。
後、わたしよりずっと表情豊かですね。とってもうらやましい。
「鹿乃子。顔以外は表情豊かだよ。大丈夫大丈夫」
わたしの頭を撫でながらアルファが隣で慰めてくれた。
有り難う。アルファ。
でもそれ、結構突き刺さる。
「ごめんなさい」
アワアワし出したアルファを抱いてまったりしよう。
みんな笑い続けてるんだもん。
「それじゃ、ミュウちゃん。処理する内容をスクリーンに映しながら始めるね?」
「お願いします」
やっとみんな静まって作業再開。
ミュウにわかりやすいように、敢えて内容を表示しながら進めてくれるそうです。
そして、暗い青の画面に映し出された物は、ちっちゃな白い数字と文字のべた書き画面。
ほぼ、画面が真っ白にしか見えないです。変化が早くって。
確か、左上から右に向かって、文字が並び始めたと思うんだけど、十分の一秒もかからず画面が埋め尽くされた後は何かうごめいているのが判るだけです。
「早過ぎて追いつけない」
ユリアが溢す。
「一画面に何文字書かれてるの?」
「四百八十文字二百七十行。十二万九千六百文字」
ミュラ姫に聞いたらその様なお答えが。いつもの余裕が全くないみたい。
ミュウはサリーさんの隣で、時折頷きながら画面を見つめている。
いや、なんかちょこちょこ指差しては質問してるぞ?
それ以降、ミュウの質問とサリーさんが答える声以外、誰も一言も喋らない。
約一時間。白い画面が暗い青の画面に戻った。
画面左上隅で、白い横線が点滅している。
「終わりましたよ。星系ネットワークの監視強度を変更しましたから、これを突破出来るクラッカー、二桁は居ないと思います」
「出来なくなるんじゃ無いんだ」
「そうしちゃうと、正規の手順ですら誰も接続出来ませんから」
わたしの疑問に即座にお答えが。
「まあ、一度成功しても、同じ手で二度目、は無いですけどね」
更に頼もしい補足が。
「サリー。突破出来る一桁の人材って、全部身内じゃね?」
「当たり前ですよ。そんな技術者が他にいたら困っちゃいます」
カミーラの吃驚な指摘に、何当たり前の事をと返ってきた。
色々と突き抜けてるなぁ。
「ミュウ?今の判ったの?」
「半分位は理解出来た。後は要勉強。がんばる」
瞳がキラキラ輝いてます。ぎゅっと握った拳が可愛い。
読めた。とかじゃ無いんだね。理解出来ちゃうんだ。凄いなあ。
そっちは?と、ユリアを見る。
「だめ。始めの二頁で置いてかれた」
「あたしも五分で集中切れました。むーりー。あの速度じゃ覚えきれないー」
ユリアに続いてミュラ姫が。
「そんなこと言ってるくせにセキュリティ突破してきますよね。お二人とも。どうやってるんですかね?いつも不思議なんだけど」
え?この二人?さっきの一桁に含まれるの?
サリーさん、じろっとユリアと姫を睨んでるんだけど。
「「それはもう、色々と」」
にっこり返すお二人さん。
「後で一回ずつクラッキングして下さいね」
「「了ー解ー」」
何故に?
「どのくらい侵入しにくいか、とか、後何処を強化出来るか、とかの研究のためだよ」
あ。なるほど。実地試験だ。
ユリア。有り難う。
「だめだわ。あたしにはあの単純な説明文が思いつけない」
何か、ミュラ姫が頭を抱えておりますが。
「ところで、鹿乃子ちゃん。さっきからえらくあっさり色々な案件に理解を示してますけど、詳しい説明しなくてよろしいんですか?」
「大丈夫。ニュアンスで理解してるからあんな感じなの。誤解してはいないから充分だよ」
サリーさんがもっともな心配をしてくれたけど、ユリカの言ってる通り。らしいから心配してません。
何となく雰囲気が判れば一応困らない。
等と考えを巡らせていたら、サリーさんの表情がストンと抜けた。
同時に盛大にアラームが鳴り出して、赤い警戒フラッシュが発光を繰り返す。
あー。えーと、
「サリーさんサリーさん。このアラームの件ですけどね?」
「ちょっとまって下さいね。まさかこんな簡単に突破されるとは…」
「ですからそれやったの、わたしらしいですよ?」
…
「なんてー?」×十五人の絶叫
耳がキーンてなった。
わたし以外が大絶叫。そりゃそうか。今の今まで侵入が出来ないって話してたんだから。
ぽんと手を打ったユリカが、何か操作してアラームとフラッシュを止める。
「鹿乃子の龍さんが何かやった?」
と、ニヤニヤしながら聞いてくる。
その通りだよ。わたしもそう伝えられてなんと言って良いのか非常に困った。
「わたしの中に封じられてる龍さんなんですけどね。興味本位でネットワークに分け御霊を送り込んだそうなんですよ。 サリーさんが色々やってたのを参考にして」
「とりあえず、続きをどうぞ」
いったん切ってサリーさんに伺ったら次を促された。
「で、門番みたいなのがいたから、こそっと隠れて進んでいったらとても情報が沢山有る空間に入り込んでいて、のんびり見学していたら今度は警備員みたいなのが来て、ぼぉっと見学してたために見つかったらしいです。どうしようって相談受けたとこでアラームが鳴りました」
サリーさん、両手両膝を床に付いて俯いた姿勢で落ち込んでしまった。
「あはははははははははははははははははははは」
ユリカ。追い打ちはひどいと思う。
完全に体を丸めて毛玉になった。
「ごめんなさい。龍さんって天竜で、配下に雷龍がいるのも有ってか、電気系統に妙に興味があるみたいで。電気を使ってこんな疑似空間を作り上げるのは凄いことだって喜んじゃってます」
深々と頭を下げて謝罪。これは一方的に龍さんが悪い。
「神様もネットワークに入れるの?知らない知らない。聞いてないわよ。神様相手にどう警戒しろって言うんですかー?」
サリーさん。顔を覆って座り込んじゃった。
「サリー。巡回ワクチンは反応出来たんだからなんとか為る。研究しよ?」
肩に手を置いてミュウが慰める。ほんとーにごめんなさい。
「サリーさん。雷龍を守護に附けるんで自由に使って研究して下さいって言ってますよ?判ります?」
一瞬ピクンとした後、やっと顔を上げたサリーさん。
「有り難う。判ります。お話も出来ますね。ありがたくお預かりしますとお伝え下さい」
「雷神様?守護?何それ。凄い」
ミュウの視線がわたしとサリーさんを行ったり来たり。凄いことに。
龍さん…
「え?え?何か来た!ふわぁぁぁ」
え?。
ちょ、龍さん?
あぁ。そうですか。
「ミュウ。おんなじの送るから勉強しろって」
「有り難うございます!」
ミュウ。わたしに向かって土下座は止めて。
柏手も止めてー。
龍さん。大盤振る舞いが過ぎやしませんか?
えー? 加護や守護の付与なんてこんなもん、ですか。そうですか。
じゃあ良いか。バンバンやっちゃって下さい。
「「「「「ちょっと。鹿乃子」」」ちゃん」」
突如、わたわたっ、とし始めた人がひい、ふう…八人。
「どうかしたのー?」
ユリカがきょとんと。
「大盤振る舞いだな」
カミーラわたしとおんなじ事言ってる。
「あれ?何も感じ無いのわたし達三人だけ?」
ユリアが周りを見回しながら不思議そうに。
「ユリアにも加護を送ったけど跳ね返されたって龍さんが…」
「えぇーー?」
後半に続きます。




