一月二十八日 龍神の加護
二十八日目です
星暦二千百十一年一月二十八日 水曜日
お早うございます。
今日は三人揃って登校中。
相変わらず、周りの皆さんをビクビクさせておりますが。
以前のスッタスッタ歩いていた状況に比べ、現在はテテテッと走っておりますので多少マシな模様。
汗もかかず息も切らさずお喋りしながら運動部員の駆け足をぶっちぎってますけどね。
「そういえば私、鹿乃子ちゃんと登下校 ご一緒するようになってから、若干運動能力向上したみたいですよ」
「わたしもだ」
そう かおりとルミに告げられまして、
「走るようになったせい?」
と、三人で首を傾げます。
わたし自身は、龍神様と融合始めちゃった関係で、体力も気力もぶっちぎりで上昇始めちゃったんでよく分からないんですがね。
「カミーラなら何か判るんじゃないかな」
そう提案してみる。
満場一致で決定いたしました。
ホームルームに到着。
さつきとユリアは案の定お休みでした。頑張れ。と心の中で応援しておきます。
ユリカは変わらず元気いっぱいですね。
今日の授業、体育がありましてここで二つ、問題発生。
男子と別れてE組女子と合わせて三十人で行う授業(男子もEFで三十人)ですが、今日の授業、バレーの試合形式でした。
一つ目の問題が、二名見学者がいて、重役ペアがお休みなんで全部で二十六人。
わたしとユリカ、かおり、ルミの四人が人外認定されて二人ずつの二チームに。
残りの二十二人で三チーム作って試しにゲームしてみました。
結局ぶっちぎっちゃいました。
結果、二つ目の問題発生。
次は何か対策するから見学していてくださいと、開始から五分でぽいされまして。
四人で黄昏れるという一幕が。
かなり抑えてたんですよ?ボールが破裂しちゃうんで。無駄でしたけど。
まあおかげで見学者のお二人と仲良くなれました。
「鹿乃子って、転んだら必ず何かを拾ってくるよね」
ユリカの言い方がひどい。
川島 静香ちゃんという、黒髪ロングでポニーテールに纏めた百五十ちょっとの娘と、ルジーナ・イースログちゃんというブロンドセミロングをツインテールにした百七十ない位の娘。
以前から話してみたいと思いつつ何となく近寄れなかったと仰います。
「ユリカがいつも暴れてるもんねぇ。大丈夫。怖くないよ」
と言ってみたらばかうけしてました。
ユリカまで笑い転げてどうすんだよ。
はいはい。わたしの無表情が原因ですよ。離れてみると怖いのは知ってます。
まあ、そんな感じで授業も終わり。毎度おなじみ、クラブルームです。
「そんなわけでカミーラ先生教えてください」
「意味分かんねーよ」
「えー?」
「えー、じゃねーだろ。人の顔見るなり『そんなわけで…云々』て何がそんなわけで何を知りたいのかさっぱりだろーがよ」
「カミーラならわたしの知りたいこと教えてくれると思ったのに」
「だからな?何を知りたいのかまでは判らないから。先ず訊きたいことを説明しろよ」
「言わなくてもいつも判ってくれるじゃん?」
「わかんねーよ。いくら鹿乃子が判りやすいって言ったって、根本的な話が分からなきゃ理解出来ないよ」
「えー?」
そんな遣り取りを続けておりますと、
「カミーラちゃん。ホント律儀に反応しますよね。鹿乃子ちゃんが遊びたくなるの、すっごく理解出来ますよ」
かおりがバラしちゃいまして。
「遊んでたのかよ!」
拗ねちゃった。盛大に。
「あー。早い。早いよ。かおりさん」
「ちょっと可哀想になっちゃいました。ごめんね?」
例によって袖から指先だけ覗いた両手を合わせて舌をペロッと。
可愛いから赦します。
「カミーラ様。本日の気分は?」
「タルトの気分!」
ユリカですか?毛玉ってますよ当然。[意味分かんねーよ]からずーっと転がってます。
それでは購買まで行ってきまーす。
ただ今カミーラ様が直径十六センチの、イチゴのフルーツタルト、ご賞味中です。
二つ買ってきたので、もう一個はみんなで切り分けましたよ?
五人で分けたけど、結構食べ応えありました。
カミーラ様、全然手も口も止まりません。凄いなあ。
「鹿乃子。[様]は禁止」
「あはははははははははははははははははははは」
食べる合間に叱られました。
ユリカ。楽しそう。
「ホント、楽しそうね。ユリカちゃん。ところで鹿乃子ちゃん」
「はい?」
ミュラ姫、何のご用でしょう?
「昨日のお給料振り込んでありますから確認しておいてね」
え?
昨日の…
「ミュラ姫」
「なんでしょう?」
「確認するのが怖いんですけど。とっても…」
「慣れてください」
「えー?」
昨日のお仕事、明らかにその前のより大変だったよね?
前回のでさえ、大卒者就職一年目の年収を遙かに超えちゃってたんですけど?
そんなのに、どう慣れろと?
「危険手当ですから高額なのは当たり前なんですよ。一般の方ではどんなに訓練しても出来ないことをやってもらってますからね?当然の権利ですからお気になさらないように」
理解は、まあ出来ますけどね。納得は当分無理かなぁ。
「ですから。慣れてください」
にっこりと、釘を刺されました。笑顔がとっても怖いですよミュラ姫。
そして、ユリカ。いい加減笑うの や め ろ。
「美味しかった。ごちそうさま」
カミーラのおやつタイム終了の模様。
「おやつ ゆーな。それで何が知りたいって?」
えーとですね。
「私とルミちゃんの運動能力が、鹿乃子ちゃんと登下校ご一緒するようになってから なんだか上昇したみたいなんですけれど、原因について何か心当たりがありませんか?」
ルミちゃんにインターセプトされました。これ以上揶揄っちゃだめみたいです。
「これ以上も以下もなく揶揄うな。龍神の加護が附いたんじゃね?良かったな、ルミ。早速御利益有ったみたいだぞ?」
「ふおぉぉ!?龍神様の御加護!?かっこいい!しびれる!有り難うございます!鹿乃子大明神様!」
「あはは…」
なんかルミちゃんのテンションが凄いことになりましたよ?
比べて、かおりは駄々下がり?加護いらなかった?
「ルミちゃんのテンションにちょっと引いちゃいました…」
判る。
「カミーラ!測定!測定して!能力値」
「……はいはい」
測定会の開催決定です。
みんな揃ってぞろぞろ移動。
先日、たくさんコード引きずって色々運動した部屋にやって参りましたよ。
かおりとルミが運動着に着替えます。そしてあちこちコードをペタペタと。
そして始まる、飛んだり走ったり跳んだり奔ったり。
お待ちかね(ルミちゃんが)の結果発表です。
「概ね前回(一年前らしい)測定時の二倍ですね。お二人とも」
「成長分差し引いて、八十パーセント位余計に伸びてると思うぞ」
ミュラ姫の結果発表に続きカミーラの分析補足です。
「神様の加護。凄い。ありがたや」
わたしに向かって柏手を打つのは止めてください。ルミちゃん。
「其れだけ能力向上すれば気付くわけですね。有り難うございます鹿乃子ちゃん」
「いや、わたしがあげた加護と違うから。龍さんがあげた加護だから。拝むの止めようよ」
「じゃ、鹿乃子ちゃんがご神体で、中の龍神様を拝みます」
結局やってることに違いがないですよ。かおりさん。
反対側にユリカがやってきて、一緒になって拝みだしたんで、くるりとカミーラの方に向けてみる。
更にわたしもカミーラを拝んでみる。
「ヤメロ鹿乃子!それじゃみんなしてわたしを拝んでる構図になるじゃないか。って、ミュラまで乗っかるんじゃねえ!!」
「あはははははははははははははははははははは」
やはり最初にユリカが決壊いたしました。
つられたかおりもツボった模様。声を殺して震えております。
「これでわたしも加護持ち。念願叶った」
ルミは一人自分の世界にトリップしちゃった模様です。
カミーラはそっぽ向いちゃったし。
「かおす?」
と呟いてみたら、
「鹿乃子ちゃんが原因でしょうに」
ミュラ姫も笑い出しちゃいました。
「大物だなー。鹿乃子」
カミーラがぼそりと溢す。
それほどでもーと照れながら返す場面ですかね?やらないけど。
その後、三十分のカオス空間、二人で眺めておりましたよ。
そして、つやつやした約一名を除き、肉体的、又は精神的に疲れ切ったご一行様のご帰還です。
「あー。能力値測定で何故こんなに疲れ果てる結果に…」
ミュラ姫、机に突っ伏してゴロゴロと。
「お腹痛いです。鹿乃子ちゃん耐性が獲得出来ませんよ。早くしないとお腹割れちゃう」
天井を見上げてぼやいているのはかおりさん。
雰囲気が少々やばやばな感じ。
「鹿乃子大明神間。あたしにも加護下さい」
「ユリカの方が格上じゃん。わたしがユリカの加護を欲しい立場だよ?逆だよ。逆」
ユリカはずーっとこんな調子だしな。加護の付け方なんてわたしは知らん。
「これでステータスが開ければ完ぺきなのに」
「スキルは?スキル構成を知りたい」
ルミは一人でさっきからなんかブツブツ言ってます。
そろそろ帰っておいでよー。
「カミーラ。なんとかして」
「ほっといて帰ると良いよ。あと一時間もほっときゃ正気に戻るんじゃね?」
「放置?いいのそれで?」
「わたしはミュラに任せて帰る。んじゃ」
と言うなり、ホントに帰っちゃったよ。
「あー。ひどい。カミーラちゃん逃げちゃった」
相変わらずの姿勢のままミュラ姫がぼやく。
よし。見習おう。
「姫。お先にです」
「えー。鹿乃子ちゃんまで帰っちゃうのー?」
「あー。待って待って」
ミュラ姫は、全然動く気配ないですね。
かおりが慌てて追いかけてきました。
「ルミは?」
「一時間位無理かもしれませんね」
先に帰りましょう。と二人で歩き出す。
ややゆっくりペースで帰宅中。公園の出口が見えた当たりでルミが追いついた。
NINJA走りで追いかけてきたので吃驚。
「放置厳禁!謝罪要求」
大分お怒りのご様子。
「じゃ、夢中にならないように加護取っちゃおうか?」
と言った途端、土下座に移行。
「済みませんでした」
と平伏しちゃったのでかおりと大笑い。
二人で引っ張り起こして三人並んで歩き出す。
やっかいな病状ですねと聞いてみれば、
「不治の病。悪化一辺倒。回復の見込みがない」
若干落ち込みのご様子。
「妄想じゃなくて実現してるんだから気にしなくていいんじゃない?」
病気じゃなくて趣味でOKだよと付け足して伝えてみた。
しばらく呆けたような表情の後、
「感謝」
と小さな声で。ちょっと赤く染まった頬で俯きながら。
「もー。ホントに鹿乃子ちゃんは人誑しさんですね。わたしの親友取らないでください」
今度はかおりに怒られたよ?
「かおりのヤキモチ妬き」
「違いますよ?ヤキモチじゃありませんからね!ルミちゃんひどいですよ」
ルミに揶揄われてぷいっと横を向き…二人で同時に笑い出す。
「仲いいよね。二人とも」
「「もちろん」」
良い笑顔でお答えを頂きます。はいはい。ごちそうさま。
家に到着。二人にまた明日とお別れして部屋に入る。
今日もなかなか騒がしい一日でした。
明日はもう少し平和が良いなと祈りつつ。
それでは、おやすみなさい。
二十九日目に続きます




