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鹿乃子の日常奇譚  作者: みゆki
星暦二千百十一年一月
26/252

一月二十二日 毛玉!?

二十二日目です

 星暦二千百十一年一月二十二日 木曜日


 お早うございます。


 本日は一人で登校中。


 かおりとルミが帰ってきたのが明け方近く。お昼まで寝てから登校する。とドアにメモが()ってありました。


 ホームルームに到着すると、さつきとユリアが机に伏せておりまして、


「お早う」

 と声を掛けても片手を上げてパタパタするばかり。


「おはよー。昨日はごくろーさま」


 声を掛けてきたのはユリカのみ。


「昨日の報告書が今朝二人のとこにも届いたらしいよ」


 どうしたんだろうと二人を(なが)めていればユリカから状況報告が。


「まさかここまで馬鹿げた事件が起きていたとは…」


 ゆっくりと起き上がりつつユリアが(つぶや)く。声。声が怖いです。人の声じゃ無いみたいだよ?


「警備部諜報(ちょうほう)課。解体しましょうか。問題ばっか起こしてくれてからに」


 此方(こちら)もひどい声ですよ?さつきさん?怖い怖い。


鹿乃子(かのこ)。ありがとう。真っ先に君が気づいてくれたおかげで手っ取り早く片付いた。レイナちゃん達、頭は良いんだけど柔軟な発想に欠けるとこがあるから気づけなかったらしい」


 現場対応に追われて人命優先で動いてれば無理も無いかと思いますよ?ユリアさん?


「いやね、接近して攻撃に耐えられなくて、撤退(てったい)始めると途端に攻撃が止んでたんだって。何故そこで疑問に思わなかったかなーってキャルちゃんがね」


「レイナなんか『自分に管理職は向かないから現場に戻して』って降格願い持ってくるし大混乱だわ」


 お二人とも?台詞(せりふ)が経営者しちゃってますけど大丈夫?天狗(てんぐ)さんのマント(隠れ蓑)。脱げてません?


 ガタンと音がして二人が姿勢を正し。


「「えへへ?」」


 と苦笑い。


「ぷふーっ」

 と吹き出す音。


「あはははははははははははははははははははは」


 いつもの笑い声だー。


 つられて二人も笑い出す。元気が戻って何よりです。


 予鈴が鳴って先生がやってくる。


 昨日は結局授業受けらんなかったし。お勉強タイムですよ。




「報告書。見た。笑った」


 お昼にルミとかおりが登校してきていきなりこの台詞。笑っちゃだめだよ?みんな一生懸命だったんだから。


「馬鹿にして笑ったんじゃ無いですよ?余りにも情けないやら呆れるやらでしたから」


「笑うしか無かった」


 あー。ごめん。そっちの笑いでしたか。


「ま、あそこでメグちゃんが絡んでたのが早く気付けた一因だし」


 受付嬢に花を持たせてみる。


「じゃ、特別ボーナスでも奮発(ふんぱつ)しちゃう?総会長賞とか理由付けて!」


「あの高給取り、ボーナスごときで喜ぶかなー」


 さつきの提案だけど即座にユリアからダメ出しが。


「それより諜報課の(たぬき)。なんとかする」


「あれはだめですよね。今回の件で懲戒(ちょうかい)処分が妥当だと思います。けっこー(ほこり)溜まってますよ?(たた)いてもいないのに出てくる出てくる。」


「ルミ。かおり。残念なんだけど。ほんっとーに残念なんだけど…総会長に人事権は無いんだ」


「「あー」」


 心底残念そうなさつきの声。そんなひどいの?その狸さん。


「公園の狸さんの方が良い仕事する。絶対」


 そんなにかー。なんでそんな人が在席出来るんだろう?


「権力を持たせると変わっちゃう人って、結構いらっしゃるんですよね。残念なことに」


 んー。何となく納得。あ!私の両親がそれだった。


 しまった。


 ピシッと空気が固まった。


「ごめんね。大丈夫だよ?先週は心配掛けました。」


「考え無しな発言でした。ごめんなさい」


 失言?考?だったの(あやま)ったけど かおり、固まったまま。


「もう大丈夫。あんなことにはならないってわたしの中の龍さんが言ってるから気にしないで?」


 倒れたからなあ。気にするなって方が無理ですね。どうしよう。


「龍神の加護(かご)!すごい。きっと大丈夫」


 キラッキラした目で詰め寄るルミちゃん。


 かっこいいね。龍神の加護。これから使おうかな。


「著作権料は友達価格。リーズナブル」


「いやいや、ファンタジーノベルの定番じゃないですか。それ。だめですよ。ルミちゃんに著作権無いじゃん」


 良かった。戻ったよ。ありがとうルミちゃん。


 小さくVサイン頂きました。


 ちょうど午後の始業チャイムです。


 続きはクラブで。今からは、お勉強の時間ですよ。




 と、午後の授業も乗り切ってクラブルームにやってきました。


 なんだかカミーラが張り切ってたからなあ。逃げようかしら。


 そう思いついて出口に振り向いたらカミーラが立ってました。


「ここに来るだけ来ておいて逃亡しそうな気がしたんで隠れて待ってた」


 あらら。すっかりと行動が筒抜けしておりますよ。困ったね。


「ユリカ。相手してくれるか?」


「いーよー」


 と言うわけで、一昨日の訓練施設です。


 おー。壁がすっかり元通り。お仕事早いですね。


「昨日のお二人のお給料で直しました。三分の一余ったので。半分ずつ振り込んでおきましたよ」


 ミュラ姫の声です。


「ありがとうございます」


 お給料大変ありがたいです。


 振り返ってお礼のお辞儀(じぎ)。他のメンツも来てますね。この野次馬(やじうま)どもめ。


 ユリカとカミーラと三人で部屋の中央まで移動します。


「鹿乃子、今日は自分でお願いしてみて?」


「了解」


 ユリカの指示に答えて、龍さんにお願いを。


 昨日の暖かいの。お願いします。


 了承が帰ってくると同時にあの暖かい(まく)みたいなのが体を覆う。


(はや)。一瞬で展開か」


 何かカミーラが驚いている模様。わたしには基準になるものがないので全然判りませんが。


「じゃ、軽く打ち合ってみて?」


「鹿乃子、右と左のストレート、お願い」


 カミーラの指示にユリカが両手を前に出して突きを要求。


 速度の確認かな?


 軽いうなずきが帰ってきたので、右、左の順にユリカが前に出した手のひらを叩く。


 パパン と軽い音。


「OK。じゃ鹿乃子から打ってきて」


 一呼吸置いて、


 踏み込みながら正面に突き。更に踏み込んで(ひじ)打ち、から裏拳(うらけん)。逆から突き。(ひざ)、蹴り上げて振り下ろしそのまま両掌底(しょうてい)


 回転を入れながら踏み込みつつ肘、膝、回し蹴り。もう一度掌底。反動で後退し構えて止める。


 フーと息を吐きつつ構えを解く。裏拳以外全部止められました。


「ユリカちゃんが避けたね。三つ目?肘打ちから続けて出た(こぶし)


 さつきさん?それはどのような意味ですか?


 クリンとさつきの方を見やると、


「ユリカちゃん基本的に(かわ)さないから。全部受け止めちゃうんで、避ける動作がとってもレア!」


 よく意味が飲み込めないので首をかしげつつユリカを見る。


「肘から反対の突き。だと思ってたから 裏拳が止めらんなかったの」


 あ、両方同時に発動したから動きの大きい突きに意識が行ったと?


「そのとーりです。逃げるしか無くなっちゃって。読み切れなかったー」


「それは凄いこと?」


「凄いよー。連邦軍の正規特殊部隊の人達に勝てます」


「たとえが判りません」


 結局よく分かりません。結構良い戦力には為れそうですが。


「このくらいの動きでユリカについて行けますかね?」


「「「「「「充分です」」」」」」


 全員から合格点もらえたみたいです。良かった良かった。


「カミーラは確認したいことは終了?」


「大体判ったからOK。障害が無くなってからの鹿乃子、成長が早すぎるんで心配したんだけど。本来あるべき状態に戻ろうとしてるのが現状だから無理が掛かっているわけじゃ無い。それなら自然に治まるのが良いだろ」


 うーん、なるようになるって事ですね。判りました。


「違うと言えないのがつらいとこだな」


 意訳してみたら不本意ながらも訂正出来ない模様。


「カミーラ、難しく言ってかっこつけてるだけー」


「違うだろ?そんなこと無いよ?違うよな?な?」


 ユリカに混ぜっ返されてうろたえるカミーラの様子がとても面白可愛いです。


「それじゃ、又ユリカちゃんがどこか壊さない前にお部屋に戻りましょうか?」


 とミュラ姫がみんなを促す。


「壊さないよー?」


 ユリカが叫んでます。みんな放置の模様。


「はいはい。行きますよー」


 ユリカの背中をぐいぐいと押す。動かない…


「みんなひどいんだー」


 駄々(だだ)()ねるのでひょいと小脇に抱える。急がないと道がまだよく分からないんですよ。待ってーみんなー。


 ユリカは脱力してぶら下がることにした模様。




 部屋に着いたので、(すみ)っこにユリカを座らせてお片付け。


 他の方達は、大体いつものスペースにたむろってらっしゃる模様。


 そういえば、初めてこの部屋に来たとき不思議だった謎が先日一つ解明されたのでした。


 何故、各種様々な椅子(いす)やクッションがあちこちに置いてあるのか。


 メンバーが、自分の好きなものを持ち込んでただけなんですけどね。


 だから、それらが各メンバーの定位置です。


 わたしはまだ何も持ち込んでません。


 だから中央の応接セットが定位置です。


 今度何か持ち込もう。


「ミュラちゃん。昨日の報告書です」


 向こうでかおりがミュラ姫にメモリカードを渡してる。夕べのお仕事らしいけど。


「なんでメモリカードなのに報告書?」


「あはははははははははははははははははははは」


 何となく思ったことを口にした途端、爆笑毛玉誕生。


「鹿乃子ちゃん、なんか絶妙なタイミングでぽいぽい爆弾投下してきますね。油断出来ません」


 かおりがクスクスしながら言う。


「思ったら口にしてただけだよ?ユリカを毛玉にしようとしたわけじゃないよ?」


「「「「「「毛玉!?」」」」」」


 一斉に転がるユリカに視線が集中。


 あー、つい、口にしてしまった。ずっと心の中で呼んでたのに。


「毛玉になってます」

 すかさず写メ。手慣れている。


「毛玉だな」


「毛玉だ」


「毛玉」


「毛玉…ですね」


「まんまだねっ!」


 ぷるぷるしながら かおり、カミーラ、ユリア、ルミ、ミュラ姫の順に呟き、ラスト、さつきの叫びでとどめ。


 一同大決壊。周りの大爆笑に、理由が分からず逆にきょとんとして床に座り込むユリカがおかしい。


 それを見て決壊の度合いが上昇しました。




 三十分経過。


 現在ユリカが再び毛玉です。かおりが撮影した毛玉ユリカをみて。


 自分なのに笑えるんだ。凄いな。おまえ。


「それにしてもこの髪の量、凄いよね」


(くせ)が強いせいだって本人言ってますね。()れると普通ですよ?姫野(ひめの)ビルのシャワーでみませんでした?」


「かおり、鹿乃子一人だけ汚れてない」


「ああ、そういや夜は順番にお風呂入ってたし、帰りのシャワーは原因が鹿乃子だったね」


 わたしの疑問にかおりが、かおりの疑問には何故かルミとユリアがお答えを。


 しかし。わたしが原因説には異を唱えたいです。


 わたしは吃驚(びっくり)して声を上げただけだと、断固抗議します。


「確かに笑わせようとしてないのは認める。でもねー。絶妙すぎると思うんだ。鹿乃子の爆弾投下って」


 ユリアがひどい。


「ピンポイント爆撃。被害甚大(じんだい)


「狙っても出来ませんよね」


 ルミとかおりが追撃してくる。


 残念。判決が(くつがえ)りませんでした。


 さつきと姫もずっと(うなづ)いてますね。カミーラはこっそり笑ってるしな。


「かおりー。うまく集められたのー?」


 ようやく復活したユリカが質問を。先刻の報告書の件か?


「あの課長さん?お昼にも言いましたけど、叩く手間もいらない位埃まみれでしたよ?。諜報課長になってまだ一年でしたよね?あの人」


「溜めも溜めたりだった」


 かおりとルミのお答えがひどい。


 真っ黒だったご様子。


「了解でーす。じゃこれは総帥(そうすい)にご報告っと。」


 ユリカが毛玉ってた間に報告内容を確認していたミュラ姫が、提出用の書式にまとめ直し終えたらしい。


 総帥って誰?と姫に目線を向けると、


「姫野グループのホントの総責任者のことですよ。鹿乃子ちゃん。ほぼ表には出てこないので影の総帥を略してそう呼んでます」


 と、微妙な微笑みで。


 あー。了解しました。詳しいご説明ありがとうございます ミュラ姫。


「重役ペアのお二人はお荷物が一個減りますね」


「あっ!そうだね!ありがとう!凄くうれしい!」


 そう言うと、さつきがぱぁっと輝いてます。よっぽど溜まってたんだな。


 ユリアがよしよしとなでなでしてますね。


「後は、レイナさんを総隊長とか役職作れば事件解決?」


 総帥がいるんなら総隊長も有りだよね?


 二人が朝気にしていた件を思い出しふと思いつきを口にしてみる。


「「「それだ!」」」


 重役ペアとミュラ姫が揃って声を上げまして。


「部長職に設定しちゃえば降格しなくても現場に戻れるよね!」


「もう一人の部長候補だった娘、事務(かた)だったわよね」


「そう。確かレイナちゃんと仲が良かったはず」


「それなら、事務方と実働部隊からトップが出るからこれまでみたいなどっちかに偏った状態は解消出来るかも」


 三人で真剣に話し始めてしまった。


 なんとかして?と周りを見ると、みんなビミョーな苦笑い。


「ミュラ。さつき。ユリア。おーい」


 代表してカミーラが声を掛ける。


 三人揃って此方を振り向く。


 何やら後方からみんなしてわたしを指差す気配がするがここは我慢(がまん)して。


 しばし怪訝(けげん)な表情だったミュラ姫、はっとして、


「あっ。ほ、報告書。追加しなきゃいけないですね。今の意見具申含めて書き足さないと」


 慌てふためきつつ、端末に猛スピードで何事か打ち込み始める。


「そ、そうね。ここで私たちが話し合って決まることじゃないですよね。つい知り合いの人事なんで盛り上がっちゃって」


 あは、あはは、とユリア。


「わたしはネットニュースで記者会見ですね!」


 とってもやる気のさつきです。


「そうゆー事でしたら、私たちは帰宅いたしますので、報告書を(よろ)しくお願いですミュラ姫」


 そう言ってぺこりとしてみる。


 入力の(かたわ)ら、肩越しに手を振って答えてくれた。


「んじゃ、さつきとユリア、姫様のお手伝いよろしくー」


 バイバイと元気に()を振り退出するユリカ。


「帰りはご一緒(いっしょ)出来ますよ。鹿乃子ちゃん。参りましょう」


「安全速度。厳守お願い」


 かおりとルミが隣に来て誘ってくる。。わたしは暴走運転しませんよ?最高速度は守ってます。


 ぷふっと隣で吹き出す気配。こっちみて下さいな。かおりさん。


「わたしも鹿乃子のデータまとめるから自室に帰るよ」


 カミーラもそう言って退出です。


 三人揃って下校です。


 今日は、周りに合わせてジョギングしてみようと話がまとまり、取り合えず周囲に合わせて帰宅中。


 これなら目立たなくていいんじゃない?とか話しながら帰ったわけですが、結局目立ちました。


 全然ハアハアしないんですもの。三人とも。おしゃべり止まらないし。


 まあ、あの変な早足よりましかな?と話がまとまり、明朝からは一応ジョギングの(てい)で登下校と決まります。


 朝の時間を約束して各自宅へ。




 今日も一日楽しく過ごせて何より。


 明日も良い日になりますよう。


 では、おやすみなさい。

二十三日目に続きます

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