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鹿乃子の日常奇譚  作者: みゆki
星暦二千百十一年一月
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一月一四日 おじいちゃん (鬱展開)

十四日 少し鬱な説明回です。

 西()暦二千百十一年一月一四日 水曜日

 朝が来た。

 頭が痛い。体が思うように動かない。

 昨日、おじいちゃんが亡くなった。


 毎朝の護身術の修行は厳しかったけど、修行以外はとっても優しいおじいちゃん。

 日課の修行を終えて、朝食を摂り少し休んでお勉強を教えてもらう時間になったけど、いつも時間に正確なおじいちゃんが来ない。

 わたしは、中学校に通っていない。お勉強はおじいちゃんが教えてくれる。

 小学校までは、近所の子供たちと近くの学校に通っていた。

 十歳になった日、お父さんからおつとめが始まると言われて学校に行かなくなった。

 その日から、勉強は必要だからといって、おじいちゃんが教えてくれるようになった。

 お父さんとお母さんには内緒みたいだった。

 わたしが生まれる前は、中学校の校長先生をしていたんだと、後で知った。

 学校の先生より、丁寧に教えてくれるおじいちゃんがとっても好きだ。

 教えてもらえるのがうれしくて、どんどん勉強した。

 今高校二年生の教科書を習っている。

 今日は私の一三回目の誕生日だ。

 おじいちゃん、どうしたのかなと思って待っていたら、お母さんが青い顔でやってきた。

 おじいちゃんが倒れたと言った。

 起こしてあげないと、といったらそうじゃないと怒られた。

 腕を引っ張られ、連れて行かれた部屋に、おじいちゃんが寝ていた。

 おじいちゃん。

 触ったけど、硬くて、冷たくて、息をしていなくて…


 いつの間に眠ったのか分からない。

 そして、朝が来た。

 判ってる。

 おじいちゃん。亡くなったんだ…

 もう、会えない。

 あそこで寝ていたのはおじいちゃんの抜け殻。おじいちゃんは、そこに居なかった。

 優しいおじいちゃんの感じが、無くなっていた。

 今日もおつとめはなくならない。

 お父さんがお父さんでは無くなっている。

 お母さんも、昨日までとは違っている。

 修行も勉強もしなくて良いと言われた。

 おつとめだけしていれば良いと言われた。

 こっそり、おじいちゃんの部屋を覗いたけれど、おじいちゃんの抜け殻は無くなっていた。

 お葬式って言うのをやらなくて良いのとお母さんに訊いたらとっても怒られた。

 誰にも話しちゃいけないと言われた。

 今日のおつとめはいつもの何倍も長かった。

 ずっと、龍の神様にお祈りをしていた。

 夜になって、お母さんだった人にもう寝なさいと言われた。

 お母さんじゃ無い。お母さんだった人。

 神様からの声が聞こえたら教えなさいとも言われた。

 判りましたと答えたけれど教えない。

 神様の声はずっと聞こえている。

 もうずうっと前から聞こえている。

 学校に行くよりも前から。

 おじいちゃんと朝の修行が始まった頃から聞こえている。

 おじいちゃんにしか教えていない。

 おじいちゃんから、お父さんとお母さんが違う人みたいになるかもしれないと教えてもらっていた。

 もしそうなったら、神様の声はぜったいに教えてはいけないと言われていた。

 教えると、とっても怖いことが起きるからと。小さいときから、こっそり教えられていた。

 今日、神様の声も、教えてはいけないといった。

 これから、つらいことが沢山あるけど、ぜっていに教えてはいけないと言った。

 だから、教えない。

 あれは、もう、お父さんでも、お母さんでも無い人だから。

 絶対に、教えない。

十五日目に続きます。

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