二月二十九日 家捜し
六十日目、三分の三です
で、床が開いてテーブルが出てきた。
今までのテーブルとくっついて広々と。
なんというか、無駄なギミックが、こう次々と…
まあ、なばちゃんズには大ウケでしたけどね。
例によってウイーが配膳してくれる。
ちょっと豪華にプチコース。
「良いなー。タイプⅠのハウスキーパーって、一般家庭じゃ中々手が出ないよねー」
うらやましそうに見る麗華。
ごめんね。タイプⅢなんだ。その子。
「どゆこと!?」
当然食いつかれまして。
わたしが好感度上げまくったらこうなったの。
「意味分かんないんですけど?」
そんなわけで、元凶からご説明を。
サリーがこれまでのいきさつを色々と暈かしつつ。
正直には言えないよな。悪戯しましたなんてさ。
「溢れてる溢れてる。だだ漏れちゃってるよ。鹿乃子」
ユリカに脇をつつかれた。
あれ?ばれちゃった?
「悪戯って何?」×なばちゃんズ
そして、更に説明を。
「という事で、何卒内密にお願いします」
テーブルに額がくっつくほどに平身低頭なサリー。
「鹿乃子ちゃんなら有り得る」
そっち?
納得の方向、おかしくない?
「あはははははははははははははははははははは」×いっぱい
「誰も信じてくれないよー。そんな話。ダイジョブダイジョブ。言わないから」
代表して麗華が。そして一斉に頷くなばちゃんズ。
良かったねぇ。サリー。
「鹿乃子ちゃんが言っちゃうからでしょ!?」
ごめん。つい気になって。 バラしたらどうなるかなって。
「鹿乃子ちゃん。酷!」
大爆笑。
実に騒々しいお昼だった。
食事が済んで一休みしたら、当然のように始まるお宅訪問という名の家捜し…もとい室内見学。
キッチンからダイニング、リビング、ゲーム部屋と進んで、わたしの部屋がターゲットになって探索中。
「凄く広い造りだねー」
「学生寮のと部屋の造りは似てるみたいだけど」
「広いよねー」
「各部屋ごとにLDKにバス・トイレ揃ってるのに共同のもあるんだね」
「向こうも使えばまだ四部屋位増やせるよね?これ」
「此のお部屋、学園寮じゃないよね? お家賃いくらなの?」
おや、ふつーに賃貸しの寮とかもあるんだね。
聡美、ジーナ、麗華、ステフに静香、最後はなばちゃんの感想にユリカはそっぽを向いたまま。
「鹿乃子ちゃん、家賃無しなの?」
払った事はないですな。此所、まだぎりぎり一月にならないけど。
「ユリカは?」
話を振られてもそっぽを向いた儘なユリカ。
「おーい。家主殿ー。質問されてるぞー」
「鹿乃子ー」
ユリカが悲鳴のように叫ぶ。
思いっきりバラしてみたり。
「家主!?」×なばちゃんズ
一斉にユリカを取り囲むなばちゃんズ。
「色々と詳しく!」×なばちゃんズ
と言う訳で、わたしの部屋のリビングが尋問スペースに早変わり。
気を利かせたNINJAコンビとミュウがあちこちからクッションやらローチェアやらかき集めてきてくれて長期戦の準備完了。
ユリカはと言えば、口を真一文字に結んでわたしの背中にしがみ付いたまま顔を見せない。
色々やらかしてる自覚があったらしくて何よりだ。
そんな状態なんで、わたしが変わって説明を。
始めは、かおりやルミと同じアパートに下宿してた事から始まって、ユリカが押しかけてきたりユリアが乱入してきたり、かおりとルミが実は同じアパートだった事を直隠ししていたり、最後はいつの間にか引っ越しさせられてここに来て現在に至るまで住人がどんどん増えた事などを。
その間、ユリカのしがみ付く力がどんどん強くなってきているのは気のせい?
そろそろ結構痛いんだけど?
「まあ、先月から既に色々あるから、メンバーズを纏めたかったんじゃないかとは思うんだけどね」
若干フォローを。事前に色々情報はあっての事だと思うんだ。
「ああ 今年は特に年の初めから問題多発中ですものねー やっぱりメンバーズに所属していると色々とありますから 一緒に居た方が良いですかー」
おお! なばちゃんが大人っぽい意見を喋った!
「鹿乃子ちゃんはー わたしの扱いが なにげに酷いですよねー」
溜息と共に萎れるなばちゃん。
いやー。人となりを知る途中経過にちょっと問題があったしねー。
「ちょっとしたお茶目ですよーぅ」
絶対素だったと思うんだ。
あ。そっぽ向いた。
なばちゃん。口笛、音が出てません。
声! それ声が出てるんだよ。
「あはははははははははははははははははははは」×いっぱい
背中のユリカもプルプルしてる。
「そおっかー。そういった事情じゃ、わたしもーって訳にはいかないよねー」
まあ、実際には二年生トリオがバラバラなんだけどな!
残念そうな様子のステフ。
あれ? 実家から通ってるんじゃないのか?
「ステフとわたしは学生寮だよ。鹿乃子ちゃん」
麗華が補足してくれた。
「わたしもですよー 職員寮ですけどー 元メンバーズとしてお仲間に入れて下さいませんかー? ミュラちゃんもいらっしゃいますしー」
いやー。なばちゃんは学園長の所が良いんじゃないかな。
「あ! それも良いですねー 今度押しかけて行ってみようかしらー 先輩一人住まいだし 良いお家なんですよー」
「なばちゃんせんせーって、元メンバーズ!?」×五人
「あー 言ってませんでした? 能力不足でして 解雇されましたー お恥ずかしいですねー」
おや?聞いてた話とずれてる気がする。
「私、以前学園長に、教師になって生徒と一緒に居たいって言ってメンバーズを抜けた。って訊いたんですけど?」
「そんなむかーしのお話はー もう忘れましたよ かおりちゃーん」
頬を赤らめて弁解中のなばちゃん。
そっか。水曜日みたいに、メンバーズだと惑星全体とかを守る事になって特定のどこかをとか選べないからな。
生徒と一緒にいて安心させたいとか守りたいって事なんだね。
「立派な先生なんだね。なばちゃん。時々残念だけど」
「だからー 鹿乃子ちゃんはわたしの扱いがですねー もー」
ユリカに捕まって座ったまま動けないわたしの股をバシバシと叩いてくるなばちゃん。
地味ーに痛い。
みんなはそれを見て笑ってるんだけどね。
「全くー ユリカちゃんを弄るつもりが わたしが標的にされちゃいましたよー」
これだもん。
「確かに残念な人だね!」
でしょ!? 聡美。
みんなで爆笑だった。
散々笑った後は、ゲーム部屋に移動してゲームする事に。
いつの間にやら、ユリカが予備のゲームチェアを用意して人数分の席が。
で、なばちゃんズのみんな。なばちゃん以外は、今朝配ったVRゴーグルがゲーム機とリンク出来るのは初耳だったらしい。
「こんな高価なもの、あたしのお小遣いじゃ買えないもん! そんな情報まで知らないよ?]
と言うジーナの雄叫びに納得。
拙い。金銭感覚があれしてきてるっぽいや。
高校生のお小遣い貯めて買えるのって、ゲーム機やゲームチェアがせいぜいだな。
ミュウ指導の下、自分のゲーム機(ちゃんと持って来ている辺り、さすがというか…)と接続完了。
「便利だ」×五人
第一声がこれでした。
わたしもそうだった。
真っ暗くなる前には帰宅させなきゃって事で、十七時まで。時間を決めて冒険の旅。
一番家の遠い聡美でもコミュータで十五分。
後三時間位残ってる。
頑張って自重した。
超頑張って自制もした。
余暇とか趣味の類いな筈のゲームで我慢してストレスが溜まるのって、これ如何に?
誰かお答え、プリーズ。
有りませんか。そうですか。
夜の部では自重取っ払って暴れますのでよろしく。
「勘弁して下さい」×十一人
じゃあ取っ払うのは自制までにしとく。
「有り難う?」×十一人。
疑問形なのはなんで?
笑いの絶えない冒険者パーティーです。
予定の時刻に一旦冒険を中断。
コミューターを呼んで帰宅する六人をお見送り。
お隣の[ひまわり]ブロックと、此所[なでしこ]ブロック内、後、反対隣の[つばき]ブロックに帰るので二台に分乗。
手を振って別れる。
「又来ても良い?」
って訊かれて、ユリカがOK出してたから、今後頻繁にやってきそうな気配もある。
「但し、急に出掛けちゃう事もあるから、必ず事前に確認してね?」
と念を押してたから、誰も居ない時に来ちゃう事はないと思いたい。
わたしのとこには早朝、しかも予告も無しに突然押しかけてくる奴らがいたけどな。
いつぞやのそいつらみたいに、大荷物でやって来そうな予感もビンビンしてる。
まだ空き部屋も有るし、問題ないって言えば無いか。
「鹿乃子の方が家主な気がしてきたよー」
…まあ、らしく頑張れ?
「酷いー」
NINJAペアが吹き出した。
サリーとミュウもプルプルしてる。
さてさて、晩ご飯だー。
なんか後ろが爆笑してるけど、放置して玄関に向かう。
バタバタと追いかけてきた。
夕飯を戴いて、冒険の旅、夜の部へ突入。
まあ、明日は授業だ。二十一時で終了してお風呂と登校の準備。
そんなわけで、ちょっと早いけど、おやすみなさい。
六一日目に続きます




