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有能なメイドは安らかに死にたい  作者: 鳥柄ささみ
2章【告白編】

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29 嗜められる国王

「お疲れでしょう、一息ついたら?」


涼やかな声が聞こえて顔を上げると、王妃メリンダがそこにいた。相変わらずの美貌で、同性だというのに女の私もクラクラしてしまうほどの美人だ。


(はぁ、眼福眼福……。同じ人間だというのに、こうも違いが生まれるなんて不思議なものね。あぁ、香りまでいい匂い)


「メリンダ、来ていたのか」

「えぇ、誰かさんがずっとこちらにいるから呼び出しついでに。もう昼食の時間ですよ。リーシェさんも、一緒にいかが?」

「お気遣い、どうもありがとうございます」

「もう、日差しも強いのだし、うら若い妙齢の女性をこんなところに長居させてはダメよ」

「うら若い、妙齢の女性……?」

「陛下。不敬ながら、さすがのそれは失礼ですよ」

「そうだな、クエリーシェルにどやされる」


(なぜ、ここでクエリーシェルの名が出るんだ)


まぁ、この人は普段からかう相手がクエリーシェル以外にできてご満悦なのだろうが、からかわれるのは不本意だ。幼少期より、からかってくる相手、……特にカジェ国のアーシャだが、私は苦手としていた。


「本当もうお口を慎みになって。ごめんなさいね、リーシェさん」

「いえ、もう慣れました」

「ほら、リーシェもこう言っておる」

「もう、まだ年も半分の子に気遣われるなんて。大人げないですよ」


珍しく、公衆の前で説教される国王に遭遇してある意味レアだが、確かに秋の暮れとはいえ、この日差しではそろそろお暇したいところである。


今日は視察ということで、簡易のドレスでもなく、ローブのような汚れにくく怪我の配慮から厚手のものを着用しているため、結構暑いのだ。


「リーシェさんは城に着いてから、まずはお着替えをなさってちょうだい。メイドには湯浴みもするように伝えてあるから」

「何から何まで、お気遣いどうもありがとうございます」

「いいえ、こちらこそ。国のためにありがとう」


王妃にも私の出自について知られている。そのせいか、ありがたいことに以前よりもさらに配慮してくださってくれた。まだ27と若いのに、私はなんとなく娘を見ている気分になるそうだ。


「あぁ、あと食事のあとは子供達にカジェ国語を教えてあげてちょうだい」

「承知しました」

「ありがとう、よろしくね」


以前、カジェ国語を子供達に教えてあげて欲しい、という希望は建前かと思いきや、本音だったらしい。ということで、先日より皇女と皇子にカジェ国語を教えている。


なんでも、カジェ国とは個人的にお付き合いしたいそうだ。というのも、王妃がアーシャのファンになったらしい。


(まぁ、確かに見た目はいいものね、見た目は)


性格は自信過剰でとてつもなく意地悪いのだが、アーシャのことだ、メリンダ妃の前では猫を被っていたに違いない。なんとなく、その時の情景が思い浮かぶ。


(まぁ、その辺の事情は私は知ったところでどうしようもないけど。とりあえず、必要とされているならやるしかないわよね)


実際、カジェ国の通訳でまともな人がいない以上、それなりに喋れる人は必要だ。国交面はもちろんだが、今回の船旅でカジェ国に「男性」を提供するという目的もある。


カジェ国では今男性の絶対数が少なく、一夫多妻状態だ。それでも産まれる男性が少ないというので、今回の提案としてコルジールの未婚者を何人か連れて行くことになっている。


コルジールはカジェ国ほど男女差はないものの、どちらかというと未婚男性が多いので実験的な感じだが、とりあえず合わせてみよう、という話になったのだ。


ということで、さらに別枠でカジェ国語講座の仕事が増えた。正直忙しくて手一杯といえば手一杯だが、それはそれでまぁ今後に関わる大切なことだと把握している。今後共存していくなら話せるに越したことはない。


だから、出発前の準備期間から連れ立った者達は船旅中まで、とことん教えるつもりだ。


「馬車の準備ができたそうだ。行くぞ」

「はい」


思考を中断し、国王の後ろに控えるように着いていく。「今日の昼食は何だろう?」と空腹を訴える腹の虫に、ふんっと力を入れて鳴らせないように努めながら、リーシェは促されるまま馬車へと乗り込んだ。

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