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有能なメイドは安らかに死にたい  作者: 鳥柄ささみ
6章【外交編・ブライエ国】

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37 情報交換

「[ステラ、終わったか?]」

「[えぇ、ちょうど今終わったとこ。……大丈夫?顔に血がついているけど]」

「[ん?あぁ、おれのじゃないから安心しろ。で、どうだった?]」


(自分のじゃないってことは……つまりそういうことよねぇ。相当バイオレンスな拷問をしたのかしら)


ニコニコとさわやかに言われて逆に怖くなるも、下手に追及しても精神的によくないのであえてスルーしておく。こちらもあらかたギルデルに聞き終えたところだったのでちょうどいいタイミングではあった。


「[えぇ、ギルデルが言うには首都はいくつか包囲網が敷かれているみたい。前衛に帝国兵、後衛にモットー国兵だそうよ]」

「[なるほど。こちらが聞いた内容と一致しているな。それとこちらが聞いた情報によると首都にもいくつか地下施設があるらしい。王族達はそこに潜伏する予定だとか]」

「[いくつか、ってことは当たりとはずれしらみつぶしに当たっていくしかないということね]」

「[あぁ、そういうことになる]」


またここのように迷宮探索となると色々と面倒だな、と思う。きっと首都ではここ以上の仕上がりになっているはずだ。迷うのはもちろん、罠も格段にレベルが上がっていることだろう。


どことどこが繋がっているのか、中で合流することができるのか、最悪一網打尽にすることもできるかもしれないなどと考えると慎重に行かざるを得ない。


「[大体の位置は確認したが、それ以上は聞き出せなかった。定期的に配置人員の場所の変更をしているらしく、やつらも具体的に把握できていないらしい]」

「[でしょうね。こういうのは下手に覚えられたら厄介だろうし。内部構造については誰が把握してるか聞いた?]」

「[上層部だけしか把握していないらしい。この辺りの兵は全く知らないようだ]」

「[なるほど]」


(となると、またギルデルに聞くしかないか)


できればクエリーシェルの精神衛生上置いていきたかったが、首都まで連れていくしかないかもしれない。一体どこから得ているのかは不明だが、やけに情報に長けているのはさすが執政官だったというだけはあるようだ。


本人には本来届くはずの情報をわんさか抱えているところを見ると、相当なキレものであるように思う。本人はあんな感じで飄々としているが。


「[ちなみに他に情報はあったか?こちらは首都の装備や人員については聞き出したが]」

「[ならこれは?ここにいる帝国兵はさして強くもない、という話]」

「[ん?それはどういうことだ。聞いてないぞ]」

「[ということは上層部……しかも限られた人達のオフレコの話ということね]」

「[詳しく話せ]」


ギルデル曰く、ここに集められた人物は自分含めて帝国としては不要だと判断された人物だという。


そもそも今回モットー国と手を結んだ、というのもブライエ国を攻め込むための布石なのだそうだ。


「[まさか……]」

「[お互い消耗したところを漁夫の利で攻め込む、というのが今回の戦争に加担した帝国の真の狙いだそうよ]」


モットー国は酒と交易の国ではあるが、帝国にとってあまり旨味の少ない国ではあると思っていた。だが、先の理由によって今回首を突っ込んできた理由に説明がつく。


ブライエ国は非常に強固であり、盤石な国だ。つまりここさえ落とせば、正直どこの国も攻略可能とも言える。


だからこそわざと国同士を衝突させ、お互いに疲弊したところを掠め取る。実に計画的な作戦であり、狡猾な帝国が仕組みそうなことであった。


「[まぁ実際のところ、現状としてはだいぶ計画としては崩れているようだけどね。予定外のアガ国の介入と私達が入ったことはあっちにとっても想定外だったようで、事態が急転しすぎて攻め込むのに準備する時間がかかってるみたい。だからこの前一気にモットー国を抑えて、帝国を迎え打つ必要があるかもしれない]」

「[なるほど?確かにそうだな。となると、早々にここを引き上げて親父と兄さんに合流しなければ]」

「[えぇ。物資を補給したら行きましょう。下手に時間を与えて時間稼ぎなどされても困るし]」


今後の目的が定まったところで利用できる物資や情報を掻き集めて外に出る。もちろん、ギルデルも一緒だ。


さすがに移動するのにぐるぐる巻きの蓑虫状態では面倒なので、手首を縛っての移動である。やっと解放されたからか、ギルデルはニコニコと微笑みながら私の隣を歩こうとする。


「リーシェさんとご一緒できて嬉しいです」

「あくまで情報のためだから」

「わかってますよ」

「それ以上近づくでないぞ」

「しつこいですねぇ。わかってますよ」


すかさず後ろにいるクエリーシェルからギルデルを制する声。前途多難だ、と思いながら地下から脱出するのだった。

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