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有能なメイドは安らかに死にたい  作者: 鳥柄ささみ
1章【出会い編】

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36 メイドのドレス

結局、新たなドレスを仕立てることになったはいいが、なぜか領主とお揃いのデザインで仕立てることになってしまった。


(なぜだ)


まぁ、お金は出していただいてるわけだし、使用人が雇い主に文句をつけるわけにもいかないので、承諾するが。しかも案外そのデザインが嫌いではなく、むしろ好ましいと思ってしまっている自分が恨めしい。


「うんうん、見立て通りね。素がいいからドレスも映えるわね」

「あの、さすがに胸元が開きすぎている気が」

「いいのよ、これくらい!若いんですから。でも、もうちょっといいもの食べなさい!リシェルが食べさせてないの?もっと肉付きよくしないと」


食べてはいるんだが、元来肉付きが悪いのだとは言えず、そのままマルグリッダの連れてきたメイド達にされるがままになっている。


採寸したドレスは後日できるとして、今日はマルグリッダの持ち合わせのドレスを着て、クォーツ家の屋敷での舞踏会だ。


マルグリッダから予め聞いた情報によると、クォーツ家は娘が2人、長女のサラサは嫁ぎ、次女のロゼットは未婚で先日のシュタッズ家のパーティで領主と踊り、意気投合したらしい。


意気投合、というわりには領主は決まった日からずっと行きたくなさそうにしていたが、それはまぁいい、その件に関しては置いておいて、とりあえず先方のお嬢さんは領主のことが気に入ったらしい。


「釣り合い的には、申し分ない家なのよね。本人はまぁ、せっついたらどうにかなるとは思うから、上手くアシストしてあげて」

「承知致しました」


(アシスト、って言われても一体何をすればいいんだか)


とりあえず行ってから考えようと思い直し、マルグリッダの前を辞すると、あの仕立屋の一件以来、新たにいくつか仕立てておいた衣装を身につけているであろうクエリーシェルのところに向かった。


「ケリー様、失礼します」

「あぁ、リーシェか。準備はできたか?」

「はい、マルグリッダ様のメイドの方々に仕上げていただきました」


黙り込む領主に、訝しげな顔で彼を見つめていると、ハッと我に返ったのか、なぜか急に顔を赤くしている。


「どうかされました?ご気分が優れないとか」

「いや、そういうことではない、が。いや、綺麗だな、と思っただけだ」

「?ありがとうございます。ケリー様もとてもよくお似合いですよ」

「あ、あぁ、ありがとう」


動揺したような様子に、本当にそう思っての行動だろうか、ちょっと怪しいな、などとは思うが、追及してもしょうがないので、あえて掘り下げることはしなかった。


「先日あげたバレッタでもつけて行ったらどうだ?」

「ドレスに合いますか?」

「バレッタは白だし、合わないことはないだろう」

「確かに。では、つけて参ります」


自室に戻り、これまた以前領主からいただいた装飾品用のケースから、バレッタを取り出す。ふと気づけば、ケースの中には彼からもらったたくさんの装飾品でいっぱいだった。


(出掛けるたびに買ってくるのよね)


お土産にしては頻度が高すぎると思うが、給金を使わないのが悪い、と言われてしまうとあまり言い返せない。そもそも動かせるお金を貯め込んでいるのは、非常事態のときにあればあるだけ困らないから、ただそれだけの理由だ。


(逃げ回る人生だから、なんとなく手持ちのお金がないと心許ないのよね)


彼の買い物は無駄遣いだとは思うものの、正直もらうことは嬉しい。そして、彼が出掛けるたびに少しだけ期待してしまってる自分がなんだか浅ましいようで恥ずかしい。


(って、あんまりぼんやりしていてはダメだわ)


このあと、ニールとマルグリッダの息子が来るという。


「せっかくだからお婿さん探ししたら?」とマルグリッダには言われたが、さすがに後ろ盾がないメイドを伴侶にしようという奇特な人はいないだろうし、騙すのも気が引けたので、今回は彼らと踊るか壁の花に徹しようと思っている。


(ニールは顔だけはいいしね、性格悪いけど)


領主は髭があったころはどこかむさ苦しい、怖い顔つきのイメージがあったが、髭がなくなると整った顔立ちが目立ち、年齢よりずっと若く見える。まぁ、俗にいうイケメンである。


ニールもイケメンではあるが、どちらかというと精悍な顔つきで、男らしさ感じる方といえばニールであり、彼は年齢相応の顔つきをしてる。恐らく、なんだかんだでニールもモテるだろう。


(見た目でいうならニールが攻めで領主が受け?いや、でも体格差がなぁ)


「リーシェ!行くぞ!!」

「は、はい!!」


(よこしま)な考えに没頭していたせいかビクッと身体が飛び跳ねる。いけないいけない、使用人が主人を待たせるとは何事だ、と慌ててバレッタを髪に刺すと、急いで外に向かうのだった。

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