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有能なメイドは安らかに死にたい  作者: 鳥柄ささみ
5章【外交編・モットー国】

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24 堅苦しい男

「ヒューベルトさん、お待たせ致しました〜」

「いえ、準備ができたのなら何よりです。おや、メリッサちゃんの格好……」


メインの部屋に戻ると、ヒューベルトが目敏くメリッサのことに気づく。


初めて通したドレスに、きちんと結い上げた髪。普段とは違った姿にどこか落ち着かない様子だったメリッサは、ヒューベルトの視線に気づき、すぐさま顔を赤らめて俯いた。


そして、言葉はわからなくとも自分のことを言われていることを察したメリッサは、すぐさま私の背後に回り込む。


「そうなんです。せっかくなので、ちょっとパーティーらしくしてみました。あ、ヒューベルトさんにもタイを用意してありますから、よければ」

「ありがとうございます。何から何まですみません」


申し訳なさそうにしているヒューベルトさんの背後に回って、タイをつける。


片手では恐らくつけるのが大変だろうというのと、配慮しているのを悟られて恐縮されるのを防ぐためだが、やはりヒューベルトは気遣い屋なため「お手数をおかけして申し訳ありません」と謝られる。


「一々気になさらないでください。明日には出発ですし、今後の旅路でその都度謝ってたらもちませんから。それに、お互いさまですし、ね?ヒューベルトさんには期待してますからよろしくお願いします」

「お力になれるかはわかりませんが、精一杯務めさせていただきます」


相変わらず堅苦しいなぁ、と思いつつも、ここにいるのがもしもニールだったらこんなことにはならなかっただろう。


そもそも、あの人が私を庇うことなどするはずもないだろうが、万が一ニールと一緒にはぐれたとなると色々面倒だったな、と思う。


そういう意味では、やはり賢王と言われているだけあってクイード国王の先見の明は凄いと感心する。普段は適当だが、采配然り、人選然り、あらゆる可能性を予知して行動していると言わざるをえない。


「〈おやおや、いい感じに用意ができておるのう〉」

「〈師匠!おかえりなさい!!〉」

「〈じーちゃん、おかえり〉」

「〈えーっと、先日はどうもありがとうございました。本日はお呼びいただきありがとうございます〉」


ヒューベルトは事前に練習したのだろう、拙いながらもモットーの言葉で挨拶をする。


師匠は目元を細めると、「〈ワシは何もしておらん。お主の運がいいだけじゃ。今後もその運を生かしてステラとメリッサを守ってくれ〉」と笑った。


さすがに挨拶はできたものの、内容全ては理解できなかったようなので、不安げな表情でこちらを見るヒューベルトに通訳すると、ホッとしたように表情を緩めた。


「救ってくださった命のぶん以上の働きができるよう、頑張ります」


今度は師匠にその旨を通訳すれば、「〈若いのに、随分と固い男よのう〉」と苦笑するのだった。


「〈さて、メンバーも揃ったし、パーティーを始めましょうか〉」


音楽など何もないが、その日は食事を楽しみ、口ずさむ歌や手拍子などに合わせながらダンスをする。


メリッサは恥じらいつつも、私がヒューベルトを(けしか)けてダンスを促すと、お互いぎこちなくはあったものの、ヒューベルトがリードするステップに合わせてメリッサも一生懸命踊る。


「〈メリッサ、楽しめてる?〉」

「〈うん!すごくたのしい!!〉」

「ヒューベルトさんも今日はしゃぎすぎて、明日動けないなんてことにならないでくださいね!!」

「ぜ、善処します……っ!」


食事は美味しく、ダンスも楽しめ、メリッサが今まで見たこともないようなはしゃぎようだった。


師匠も初めてこんな明るいメリッサを見れたと喜んでくれて、我ながら最後にパーティーを企画して良かった、とそう思えた。

ニールが万が一この旅に同行していたら、恐らくしっちゃかめっちゃかに……

ということで、今回同行しておりませんでした。

そういう部分も含めてちゃんと見てたんだな、クイード国王。


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