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有能なメイドは安らかに死にたい  作者: 鳥柄ささみ
5章【外交編・モットー国】

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22 乙女の嗜み

「地図に書き込みもしたし、食糧の確保も済ませてる。移動手段も手に入れた。うーん、あと他は武器、よねぇ……」


出立の日程もいよいよ明後日と決まり、ここにいるのも残すは今日と明日のパーティーのみである。


明日にはヒューベルトとも合流できるそうで、とりあえず明日に旅路の説明等々するとして、あとはパーティーの準備と足りない物資の補給だ。


武器は一応師匠の家にあった短剣や弓や剣などをいくつかもらえると聞いているが、やはり私としては棍や槍を振るいたい。ないとは思うが、いざというときはやはり使い慣れたもので戦うのがベストである。


「それと、乙女の嗜みに代わるものはないかしら……」


さすがに短時間で薬品を作ることは難しいので、仕方なしにアルコール度数の高い蒸留酒をいくつか師匠に用意してもらった。もちろん飲むわけではなく、火炎瓶の作成や消毒液などに使用するためだ。


あまり量を持ち運べないのがネックだが、そこは仕方ない。一応、各都市によって様々な種類の酒類が販売されているというから最悪、使用後は調達、というのを繰り返せばよい。


スリングは適当な紐をもらい、火打金も用意してもらった。少人数で行動するため、できれば他に煙幕や撒菱(まきびし)的な撹乱(かくらん)させる何かが欲しいが何かあるだろうか。


(持ち運べて、なるべくかさばらない方がいいわよね)


うーん、うーん、と悩んでいると、外からパリーンと何かが割れた音が聞こえて慌てて自室から飛び出す。


「〈どうしたの!?大丈夫!??〉」


見ると、キッチンでメリッサが落とした皿を見ながらおろおろとしていた。


「〈ごめんなさい、あたし……パーティーするためのお皿を用意しておこうと思って〉」


確かに、よく見てみると机に皿がいくつも並んでいた。サイズはまちまちであるから、きっと寄せ集めてきたのだろう。


「〈そうだったの、怪我はない?破片は危ないから気をつけて。手が切れても危ないし、踏んだら大変。私が後片付けするから、メリッサはもう夜も遅いし明日用意しましょう?〉」

「〈……ん、わかった。ありがとう、ステラ〉」

「〈どういたしまして。おやすみなさい〉」

「〈うん。おやすみ〉」


そう言うと、気がかりではあるような素振りを見せつつも、メリッサは彼女の自室に入っていく。


手伝いたいが、足手まといにでもなると思ったのだろうか。彼女は聡い子だから色々と考えつつも素直に指示に従ってくれたようだった。


カチャン、カチャン、と割れた皿を拾って袋に詰めていく。そして、もう破片はないかと机の周りを覗き込んでいるときだった。


「あ……っ!!」


夜も遅いというのに、思いきり大きな声を出してしまって慌てて口を閉じる。


「〈どうしたの?ステラ怪我したの?大丈夫?〉」

「〈ごめんなさい、ちょっと思いついたから声が出てしまって。何でもないの、大きな声出しちゃってごめんなさいね、今度こそおやすみ、メリッサ〉」


不思議な顔をしながらも、再び部屋に戻るメリッサ。


(いけない、いけない。つい声が出ちゃったわ)


そして、破片を全て片付けたあと、自らも自室へと戻る。


「そうよ、この手があったじゃない」


壊れた破片で思いついたが、使ったあとの瓶などを放り投げたら撒菱代わりになるのではないか、と。


そうすれば、荷物も必要以上にかさばらないし、ちょうどいいだろう。我ながらいいアイデアである。


火炎瓶だけでなく、先にある程度中身を撒いてから燃やしたら延焼効果があっていいかも、と危ないことを考えながら己の策に口元を緩める。


「あとは武器だけ。いざとなったらその辺にある棒や物干し竿でもいいかしらね」


とりあえず、粗方揃ったことはいいことだ。あとは明日のパーティーが終わればいよいよ出立である。


「ケリー様、待っててくださいね」


彼の無事と早く再会できるように祈りながら、明日に備えて布団に潜り込み、目を閉じるのだった。

現実世界で実際に野焼きしたらダメです笑

ちなみにリーシェは常に色々なことを考えているため、基本的に頭の中はカオスですが、引き出し管理が上手なので情報をすぐ出せるというのが強みです。


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