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軍事大整理

会話一切なしの解説回になってしまいました

 ヨル聖皇国との戦争は大日本帝国にとって非常にいい経験であった。初の近代戦争で露呈した陸海空の欠点。それらを改善しようと大規模な近代化改修が行われることになった。

 しかし大蔵省から「いくら資源が大幅に増えたとは言え無駄遣いするな」と厳命されたことで各軍は困り果てた。


 だがその苦悩の果てに辿り着き完成された新生帝国軍誕生までの一連の流れを後の教科書で『軍事大整理』と呼ばれた。


 陸軍は仮想敵をヨル聖皇国に定め、志願制兵募に徴用制を加え、最終的には常備100個師団、予備200個師団、合計2500万人を揃えるつもりだった。

 そのため補給を容易にする為、転移前から直後まであった多種多様な大砲や銃火器を全て破棄。ある程度ユニット化する。


 歩兵装備を・・・。

・8mm 拳銃、短機関銃

・7.7mm 歩兵銃、軽機関銃

・12.7mm 重機関銃

 とし、これに81mm迫撃砲も加え折りたたみ式銃庄を備えた落下傘部隊用も作られ、更に新型発動機を搭載した装甲車やトラックも輜重隊と共に配備され機械化した。

 また海軍と協力し『水陸両用装甲車』を中核とした『海兵隊』の新設も始まった。


 砲兵装備は・・・。

・155mm重榴弾砲

・75mm軽榴弾砲

 が主力となり、155mm砲は対戦車砲としての役割も果たし、75mm砲は軽量であるため山砲とても使える。更に戦車隊から供与された『一式中戦車』の車体を流用した自走砲の開発も行った。使用する砲弾は榴弾と成形炸薬弾の2種類に限り、多目性をもたせる。


 更に軍団の縁の下の力持ち工兵隊や国力の地盤たる民間の土建企業に『地面掘削車ショベルカー』『地表整地車ブルドーザー』『土砂運搬車ダンプカー』を実用化した。


 だが、戦車の開発は頓挫した。

 そもそも帝国陸軍は戦車を歩兵の随伴戦力と言う、第一次世界大戦の発想のままであった。そのため機甲戦力の運用に長けるヨル陸軍に大敗を喫したため、対戦車戦闘を念頭に置いた新型戦車の開発を進めることになった。

 そのため参考書として日本国観光から帰国した臣民から買い取った『戦車歴史図鑑』が役立つかに思われたが、ヨルの重戦車に酷似した『Ⅵ号戦車ティーガー』のページには「この戦車を撃破したのは5万両のM4シャーマンと6万両のT-34中戦車と航空機であった」っとあり、これが開発者達が頭を抱える原因となった。

 今の工業力をもってすれば戦車の大量生産も可能であろうが、それだけ製造したところで輸送は難しい上敵戦車を正面から撃破することは出来ない。

 単に資源と資金と時間を浪費するだけだということだ。

 更に技術力の観点から主砲やエンジンの開発は難航を極め海軍に協力しようとする動きも出てきだす。


 海軍は日本国の海上自衛隊を仮想敵にした。

 だが海軍と海自では使用する戦術が根本的に違った。ヨル聖皇国との戦いで艦隊防空網の貧弱さが問題に上がった。直援機を突破されたら後の迎撃手段は目視照準、手動操作の12.7cm高角砲と25mm対空砲が最後の砦であるが、こんなのでは到底艦を防衛できない。

 対する海自艦艇は高性能の対空レーダーによる誘導弾、主砲、機関砲による多重防御は撃沈するには全方位から200機以上で同時に攻撃を仕掛ける必要があると結論付けたが、それは1隻に対して、である。

 単艦で行動するなどまず有り得ない。8隻の艦隊に対しては最低でも1600機以上。こんなの自滅行為に他ならない。


 誘導弾の研究と平行し、新鋭艦や新鋭艦載機の開発も勿論、対空兵器や電子機器の開発が優先的に行われた。とは言えど電子機器の開発は完全に民間に委託となった。

 その要求も無茶苦茶で、零戦並みの航空目標を150㎞から発見でき、水上目標も90㎞から発見できると言う物であった。


 艦艇別で役割を与え、共通して言えるのは、新型機関を搭載し海中騒音の軽減すると共に最大速度は30ノット。生存率を向上させるためタービンとボイラーをセットで配置し防水区画を細かく分け、大型艦には最新注排水システムを搭載したことだ。


 駆逐艦は共通船体に対空を重視したモデルを『秋月型』、対潜と重視したモデルを『神風型』と名付けられた。

 初期の秋月型甲は65口径10㎝連装高角砲を4基に、日本国からもたらされた本に記載されていたエリコン社の20㎜機関砲を参考に新規製造された『20㎜機銃』を単装8丁とボフォース社の40㎜機関砲をコピーした『40㎜機関砲』を4連装で6基を搭載する。乙・丙以降からは対空電探、射撃管制電探を順次搭載していく。

 神風型でも同様に、甲は聴音器つまりパッシブ・ソナーは従来の物であったが、乙や丙から新型のパッシブ・ソナーだけでなくアクティブ・ソナーも順次搭載していく。更に爆雷に加え対戦迫撃砲『ヘッジホッグ』を参考にした『対潜迫撃弾発射機』を2~4基搭載する。


 巡洋艦は重・軽の区分けを廃止し秋月型、神風型の両駆逐艦の性能を合わせ船体を大型化。主砲に砲身長を55口径に伸ばした『15.5㎝連装砲』を3基搭載し単独遊撃も可能になった『阿賀野型』が主力となる。


 戦艦は大和型以前、詰まる所長門型までの全戦艦を解体。大和型三番艦『信濃』と四番艦『尾張』はそのまま就役させる。

 新造戦艦は阿賀野型の対潜能力を除外し更に大型化。主砲は46㎝砲を載せる意見もあったが、火力は落ちるが射程を伸ばした41㎝砲の方が合理的であるとなったことから『50口径41㎝3連装主砲』を3基装備する『紀伊型』が建造されることになる。


 航空母艦は改造中の『赤城』『加賀』諸共翔鶴型を残し全艦解体。新たに機動艦隊の中核を担う大型空母『大鳳型』と輸送船団護衛用の小型空母の『阿蘇型』を建造する。いずれの空母にも水上機発艦用の投射機を改造した空気圧式カタパルトを搭載し小型空母でも新型艦載機を運用できるようにする。


 新型艦載機は零戦の後継機を選別するにあたって褌毘嗣みつびしの甲型、名嘉縞なかじまの乙型、佳輪咲かわさきの丙型が候補に挙がった。

 3機とも固定武装である機銃は主翼内に装備してある。

 甲型は20㎜機銃と12.7㎜機銃を2丁ずつ装備し零戦から培った高機動をそのままに機体を頑丈なものにし急降下耐性を向上させた。

 乙型は20㎜機銃4丁と言う重武装が売りであるが、甲型より僅かに重い為機動力は若干落ちている。

 丙型は12.7㎜機銃6丁による厚い弾幕が最大の特徴で、両翼の爆装ラックには250㎏爆弾を1発ずつ、また6発ロケット弾ポットも両翼に装着しており、他の2つに比べれ対地戦闘を重視した設計しなっている。


 瀬戸内海の練習空母『鳳翔』で新型カタパルトで試験を行った結果、全型は発艦に成功したが、丙型は爆弾とロケット弾を満載した状態で飛び立たせるとカタパルトが損傷してしまったため、選考から落選。

 残った甲型と乙型で決めることになったが、整備性、補給の観点から乙型を採用しようとする意見が多数挙がったが、実際に使用するパイロットに決めてもらうことが良いと言う事で、4機ずつの編隊を組んで模擬戦を行うことになった。

 結果、零戦の様に扱える甲型が多くの支持を集め『烈風』として採用されることになる。

 惜しくも戦闘機の正式採用を逃した名嘉縞であったが艦上偵察機として設計した『彩雲』が、また九七式艦攻と九九式艦爆の後継艦上攻撃機として阿鋳智あいち航空機が設計した、爆撃から雷撃までこなせるを謳い文句とする『流星』が採用された。


 潜水艦も海大級、巡潜級の能力を統合し、新たに伊四百の開発名称を与える『特潜型』を開発。

 水上艦と同様に新型機関を搭載したことで大問題とされた水中騒音の軽減に成功すると共に燃費の良さも相まって航続距離はなんと7万kmを実現。水上攻撃機『晴嵐』3機を搭載でき、前部魚雷発射管8門、後部魚雷発射管4門で通商破壊から海上封鎖までこなす高性能潜水艦に仕上がった。


 また、戦闘艦艇を支援する艦艇も多数計画され、15.5cm単装砲と36連装墳進弾発射機を装備し新設される海兵隊用の強襲揚陸艦『神威』型や、双胴の潜水・水上機母艦『瑞穂』型、高速輸送船『速吸』型、哨戒海防艦『松』型が多数就役した。


 空軍は海軍が奇跡的に鹵獲できたジェット戦闘機アラドーラの分析に手間取っていた。

 魔法が発展していない大日本帝国の技術力では魔力濃縮噴射機の内部構造を理解することが出来なかった。

 魔力濃縮噴射機を解析し、ジェット戦闘機を開発配備するまでの間、通常のレシプロ戦闘機が主力になる。

 新規で設計しても良かったが、海軍航空隊のコンペで負けた乙型と丙型が目に留まった。

 空軍はこの乙型の着艦機構を除け短距離高高度迎撃機『疾風』として採用。丙型にはドイツから輸入した『Bf-109 E-7』の『ダイムラー・ベンツ DB 601』発動機をコピー生産した液令エンジンを搭載する野心的設計を施し爆撃機の長距離護衛機『屠龍とりゅう』として採用。

 爆撃機は星型のレシプロエンジン4発を搭載し、航続距離8,000km、爆弾搭載量2tの重爆撃機『深山』を配備した。

 また陸軍と共同で落下傘部隊の設立に会わせ大型輸送機『飛竜』も配備。


 新兵器の全てに言えることは量産し易いように簡素な設計であったが、乗員の生存性を高めたり、銃火器はメンテナンスに時間を割かない頑丈な作りである。

 全ては全軍に砂漠地帯から湿地帯、草原や雪原で万全の状態で戦える為に作られた。今でこそ日本国には敵わないが、いずれはヨル聖皇国諸共東方世界を支配し、名実共に世界の支配者として君臨する。

 大日本帝国の秘められた野望は少しずつであるが、覚醒に近付きつつあった。

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