余話 第七話 義光大陸を横断する
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新大陸(仮称)に着いてからの滝川一益を中心とした一団はまず良港になりそうな場所を探し、そこに拠点を作る事に務めた。その間慶次等の自由人な者たちは周囲を散歩という偵察に出ておりそこで出会った原住民と交流していた。
「★◇§Θ〇!」
「ほうほう、肌の白い者たちにはまだ会った事は無いと、それは重畳」
「慶次殿は彼らの言葉が判るのですか?」
「まあ、身振り手振りを交えたら大概は判りますよ、同じ人ですからな」
車座になり現地の民と酒を酌み交わす慶次によってこの地にまだ西洋人が到達していないのが分かった。
「今の内というわけか、拠点は後に続く者たちによって大きくし、今は進めるだけ進むが吉か」
一益はそう判断し大陸を分け入る判断を行う。先発隊に志願したのは以外にも義光であった。
「最上殿は拠点の仕置きをお願いしたかったのだが」
「未知の地を踏破するのは武士として本懐、是非ともやらせてくだされ!(早く未知の鮭に会いたい!)」
「なんと!素晴らしき志、この一益感服いたした。是非ともその志完遂して頂きたいものよ」
一益は義光の言葉に感動していたが、すでにその内心を知っていた慶次は生暖かい目で見ていたのであった。
(やっぱ最上のおっさん面白いわ、古織(古田織部)に匹敵する業の深さだけの事はある。こりゃ先が楽しみだ)
慶次はこの先義光について行けるとこまで行ってやろうと思ったのであった。
◇
義光を長とする調査隊は東への道を進んでいく。途中には見渡す限りの平原や湖も見られたかと思えば山並みが続き見る者を圧倒した。
「このような平野は坂東など比べ物にならぬものよな、ここに田畑を開けば百万石どころではあるまい」
義光がそう感嘆すると各地に点在する部族たちとすぐに仲良くなる慶次が答える。
「先住している部族は狩りや南蛮黍( トウモロコシ)を植えているようですな、牛よりも大きく毛深い獣がいますが大きすぎて中々狩るのは難しいようですな」
「なるほど、して川にはどのような魚が居るのですかな?さ、鮭などは居らぬのかな?」
「▽$! Θ〇」
「言われるような魚は居るそうだがまだ季節が早いようだな、秋になってからだそうだ」
「やはりその辺は我が国と同じか、待ち遠しいのう」
(やっぱこのおっさん面白いわ)
流石の慶次も口に出さない慎みはあるのであった。
★
彼らは幾つもの山を超え、川を渡り、見渡す限りの大草原を進んで行き、ついに巨大な湖に到達するのであった。
「これは…淡海の海も真っ青な光景だな」
「現地の者に尋ねるとこの先にこれと同じ位の湖が幾つも続いているとか」
「なんとも壮大な土地よな、早く見てみたいものよ」
「これは船があると便利そうですな、幸い船大工もつれてきて居りますゆえここで船を作り湖を進むのもありですな」
こうして船が出来上がるまでこの地を探索することとなり、街作りが始まった。この地は現地人が湿地帯に生えていた玉ねぎの原種の臭い匂いからシェカゴウと呼ばれており。義光らは四籠と名前を付けた。
船を作り湊を整備して居る内に一益から送られた第二隊が追いついた。彼らは布哇より到着した第二陣でありやはり戦の無くなった日本での生活が窮屈になった者が多かった。
「おや、その髭面は山上道及ではないか?」
「おお、慶次かやっと追いついたわ、其方らが早すぎてなかなか追いつかなかったぞ」
「ふっ、結局お前さんもこの地にやって来たか」
山上道及は上野の国人領主であったが度重なる北条氏との戦いで故郷を追われ京へ上っていた。その時慶次と知り合い意気投合した仲である。その後下野の佐野氏に仕えていたが佐野氏も足利義昭を推戴した蘆名に味方したため出奔して各地を転々として傭兵のような暮らしをしていたのであった。
「もう日本では戦など起こりようもないのでなこちらに来ることとしたのじゃ」
「はは、第一陣に来なかったのでてっきり隠居でもしたのかと思ったわい」
「抜かせ、儂から戦を取ったら何も残らん、死ぬまで隠居はせん」
「そうかそうか、ここは見たこともない物の連続で楽しいぞ、まあそのうち歯ごたえのある敵が現れようしな」
「そうだな、ここに来るまでにだいぶ楽しませてもらったわ、早う船が出来上がらんか待ち遠しいな」
などと二人が旧交を温めているうちも義光は湖で捕れた魚の見分に余念がなかった。
「ほほう、この鮭は日本で見たことのあるやつじゃの、こんな千里以上も離れた地にも同じ鮭が居るとはおもしろいものだのう」
「なあ、慶次よあの御仁はどうしたのじゃ?捕れた魚を見てしきりに頷いておる、何が面白いんじゃろうなあ?」
「ああ、道及よそれには触れぬ方がよい、あの御仁の業は深いぞ、引き込まれぬようにな」
「なんと!そこまでか、お主が言うようなら大概じゃのう」
(まあ。お前も含めてこの地に居る時点で大概ななんじゃがの、まあ言わんでおこう)
お前が言うかと慶次は思ったがこの場は口にするのは自制することが出来たのであった。
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