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四十七話 新大陸への道

大分良くなりました。


お待たせしました。

 合同で行った結婚式は盛況のうちに終わった。


 え? 仏式でやったのかって? この時代は神仏習合してた時代なのでちゃんと神主さんがやったよ。キリスト教式も選べるのが信長プロデュースたる所以なのだがそれは丁重にお断りした。


 この時代の宣教師たちが~病める時も~なんて言ってたらずっこけてしまうよ。


 本能寺の大広間は出席者で溢れ返った。まあ織田信長が差配して島津と毛利の縁者の結婚式だから当然か。


 因みにこの本能寺宿泊施設も付いているから本当にホテルだよなあ。世界初の近代的ホテルの創設者が織田信長なんて誰が想像したろう。しかも調度品なんかは千宗易や古田織部、花は池坊なんてすごい取り合わせである。後世の歴史学者が感涙するなあ、これ。


 本能寺がホテルなんて前世で見た映画にそんなタイトルがあったな。



「今日は初夜は無しなんですか?」


「あ・当たり前よね! まだ拾弐歳なのよ」


「あら、誰かさんよりは高くて豊かなんですけど」


「うぐっ!」


 えんと咲がじゃれあっている。式の前に彼女たちが合流した。子供たちは今後は風魔と鉢屋の教育部門が世話をするそうだ。忍びの掟らしいが風魔小太郎と鉢屋源四郎が加わっているとかで爺馬鹿にならないか密かに心配している。


 彼女たちの言うとおり亀寿はまだ拾弐歳だし、毛利の松姫は壱拾歳なんだよ、いくらなんでも早すぎる。亀寿は初めて会ってから背も伸びたしえんの指摘どおり咲よりも豊かになっているがそれでもである。これは咲が合法……いや年齢詐欺と呼んだほうがいいと思う。


「残念です、早くいい子供が生まれるように鹿介様に習った健康体操を毎日してましたのに」


「まあ亀姉さまもですか! 毛利でも安産に繋がるからと皆でやっていました」


 そして今回の式の主役二人は無邪気にしていた。まあ後何年かしたら咲は松姫にも抜かれるだろうな。だが咲よ知っておいて欲しい。背の高さとか豊かかそうでないかに貴賎は無いと言う事を。そう、三日月に祈りを捧げた俺でも満月が嫌いなわけではないのだ。意味的には反対な気がするが。



 式の後、堺にある鴻池の別邸で疲れを癒していると当地の責任者が慌ててやってきた。なにか事件でもあったか?


「大変でございます!」


「なんだ? 謀反でも起きたか?」


 つい本能寺のワードで想像してしまった。


「いえ、航路探査に出ていた警固衆からの知らせです。東に向かっていた船団が大洋の真ん中に大きな諸島を発見し現地の民と接触、{はわぃい}と呼んでいる島だそうです。更に其処から東に向かった船団は大陸を発見、其処の住人たちは我々と同じ色の肌を持つそうであります」


「そうか! でかしたぞ、南蛮人たちはいたか?」


「住人たちに身振り手振りで聞いた所見たことは無いそうです。彼らは国ではなく一族でくらしており、多数の部族が居るという事です」


 どうやら前者はハワイ島、後者は北アメリカだな。この時代南米にはスペインとかが攻め入っているが西海岸にはまだ来ていないようだ。


「よし! 信長殿の所へ行く! 北海道方式で開拓と交易拠点を作らねば」


 新婚旅行の予定をもう少し先にしておいてよかったよ。



 鹿介の報告を受けた信長は直ちに家臣と各地の大名を集めて新大陸への移民を決断する。


 先の戦で破れた者達は北海道と南方へ行っていたので今回は広く移民希望者を募ったのであった。すると思った以上に希望者が殺到し信長を驚かせる。


「もう国内では戦は起きないでしょう、私のように戦のない世の中では血が滾りすぎていけない者にとって渡りに船とはこの事なのですよ」


 そう言ったのは自分の重臣である前田利家の甥である前田利益であった。


「で、あるか」


 後、戦が無くなって人口が増えた為農村では人減らしをする必要があり農家からの応募も多かった。


 信長は指揮を執るものを誰にするか考えていたが意外な人物が名乗りを上げる。


「一益、そなたが志願するとな」


「はっ! この国は統一されていくさ場はもうありません。自分はいくさが無ければ生きてゆけませぬ、それに甥の目付けもせねばなりませぬ」 


 こう言って甥の前田慶次郎利益を見ながら言う。


「叔父御ーその話はもう勘弁してもらいたいですよ」


「利家殿から聞いて居るわ! 利家殿に水風呂を勧めたり家老の奥村助右衛門を悪さに誘おうとしたりとかな」


「ばれたか」


「全く! このような男手綱を付けねば何をしでかすか判りませぬ。この者は某のところで引き受けます」


「で・あるか」


 流石の信長も一益にはこれだけしか言えなかったと言う。



 ハワイへ向かう船団の責任者は滝川一益が勤める事となった。ハワイを根拠地にしてそれから新大陸を目指す。


 鴻池うちの警固衆も大分大規模になってきたな。最近は三島村上や旧大友水軍、珍しいのでは法華津の名前も見られる。オリンピックで聞いたことあるぞ。


 前世、前田慶次の名前で有名だった前田利益なんかの俗に言う傾き者たちも沢山参加している。日本ではブイブイ言わせる所が無くなったからだろう。その押さえの意味もあるみたいだな一益の任命は。


 それは良いんだがなんでこの人が名を連ねてるんだ?


「はっはっは! ようやく息子の義信に家督を譲る事が出来ましたぞ。これで新大陸に居る未知なる鮭と出会えるという物! 」


 隠居した最上義光が鴻池の相談役として同行することになった。新大陸に鮭が居るらしいと聞いてから直ぐに動いていたらしい。ほんとに鮭が好きすぎて困った人だ。又妹に殴られるぞ。


「北海道は鮭延に任せておきましたから磐石ですぞ」


 その鮭延が行けないと聞いて血の涙を流して悔しがったと報告を受けてるんですがね~。それより家族を残していくのか?


「次男の義親は連れて行きます。駒姫なのですが山中殿に……」


 おまっ! まだ弐歳だろうが! それにこれ以上は此方がもたん!


 結局、大きくなってから義光の後を追って新大陸に行く事になるらしい。十年後位に又蒸し返されないようにしないとね。



読んでいただきありがとうございます


感想、評価などをいただけると嬉しいです


解説 最上義光の長男は史実では義康ですがこの世界では信長から名前を貰って義信になりました。

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