第三十四幕 東北は血縁でややこしい事になっていた
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この作品は 私ソルトが書いたもので小説家になろうにのみ投稿しアルファポリス・ツギクルにリンクが張ってある以外は無断転載になります。
さて、上杉家の用事が済んだ所で前回は行かなかったみちのくへ行くとしよう。陸奥と書いてみちのくなのだがそれだと陸奥国のみか所謂白河以北ということになるのかが判りにくい、更に陸奥と出羽国に分かれて更に両国が分かれたので混乱する人も多いのではなかろうか? この時代は陸奥国と出羽国に分かれているからこの二国はかなり領域が広い。
その中の酒田は西回り航路の重要な中継点である。この時代は大宝寺氏の領地であったが、最上氏が攻め込んで大宝寺氏を駆逐している。
まあ最上義光は優れた武将だったのでこちらの商売には好意的だったので助かったよ。交易で自領に利益があることをよく判っていたからね。鮭好きと言われているから蝦夷地の鮭を塩に漬けた荒巻を献上したら喜びようが半端なかったので吃驚したよ。義光の鮭好きは半端ねエな。
それにしてもこのみちのく、未来には東北と呼ばれる地域は血縁関係で非常にややこしい所になっていた。主に伊達家が原因なんだけどね。養子戦略で色々な家を傘下に置いたけど、今度は伊達家内部で抗争が勃発。天文の乱と呼ばれる大乱になった。
其の過程で伊達家の力が落ちた為、群雄割拠状態になり更に越後の上杉と常陸の佐竹も介入してきてもうぐちゃぐちゃになってきている。
其の中で最上家は当主が義守から義光に代わり勢力を伸ばしてきている。史実よりも大きくなってるのは多分うちと取引して経済的にも軍事的にも豊かになったせいだと思う。
でももう直ぐこの地方に嵐がやってくるんだよね。
そう、あの男が元服するんだ。
伊達政宗、尤も元服してもまだ若いから初陣もまだ先なんだろうけどね、でも油断はならないな。
最上家は親戚だからな。振り回されないように祈っておこう。
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「おお! 鹿介殿! 久方ぶりじゃの。こないだ教えてもらった鮭の料理れしぴ全部制覇したぞ!」
会うなり義光はテンションが高いよね。しかし鮭の料理レシピはこないだこの時代で再現できる奴30種詰め合わせを送ったのにもう制覇したのか。そして又新メニューが無いかワクテカしてたんだな。
「そう思いまして新作をお持ちしましたぞ」
「!!♪♪!!」
嬉しすぎてもはや言葉にならないらしい。本当に鮭が好きだな。家来にもいたし鮭の名を持つ人が。
「我が領内の鮭が至高だと思っておったが蝦夷地の鮭もすばらしいのう」
「全くです、鮭川の鮭こそが全てだと思っていた過去の自分をぶん殴りたいです」
其の家臣である鮭延越前守秀綱が新作の鮭料理を義光と一緒に堪能している。
やっぱりあんたも鮭好きだったんだな鮭延秀綱……
「ほふーっ、満足したぞ、矢張り鹿介よ、最上に仕えてくれぬか?このような鮭が毎日食べられるのなら家老に、足らぬなら儂の娘を……」
「いいから! 俺は幼女好きではありませんから!」
断ってほうほうの体で引き上げるのであった。
□
酒田から北前船に乗って京へ向かう船上でやっと一息つくことが出来た。
「あんなに鮭が好きだとは思わなかったよ……」
そう言うとえんがうっすらと笑って答える。
「其のお陰で最上領では鮭が飛ぶように売れてますけどね」
「蝦夷地の鮭をあんなに喜ぶとはね」
会話していると咲が傍で唸っている。
「どうした?鮭でも中ったのか?」
「違うよ! あの親父娘が駄目だってんで妹を嫁がせようと企んでたんだよ! 」
「妹? まさか伊達に嫁いでる義姫? 」
「そう! 二人の子持ちなのを伊達家を離縁して鹿介様に嫁げって手紙まで出してた」
「はぁ?」
あの義光そんなことしたら伊達と最上で戦になってみちのくは大乱になるじゃないか!
俺は鮭狂いの義光に頭を抱えた。これで幻の鮭児なんて教えたら……大変なことになるな。
因みに義姫の返事は「何寝ぼけてんだ! くそ兄貴! 」だったそうだ。
なんやかんやあったがようやく帰れそうである。帰ったところで何か起こるかも知れんが……
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