第二十九幕 今度は熊のお誘いだ
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これ以上薩摩に居ると何をつけられるか判らないので帰ろう。
咲も早く帰ろうと主張していたりする、理由は亀寿を攻撃するともれなく自分にブーメランとして帰ってきかねないからだ。俺が彼女を連れていたので亀寿でも問題無いだろうと考えたと島津兄弟が暴露したからだ。
これ以上 幼女趣味疑惑をかけられては堪らない、こんな成りでも咲は合法だ。
「ブー! 鹿介様がなんか酷い事考えてる!」
咲の機嫌も最悪である。えんの方は笑いを堪えていてそれがさらに咲を怒らせているのだ。
「しかのすけさま、まっててください、かめができるようになったらいきますから」
亀寿さん、あからさま過ぎます。そんな大声で言わないで下さい。
「山中殿! 今度は日向か肥後で会いましょう!」
義弘殿の声に手を振って船は港を出る。
早く帰るとしよう、そうして俺たちは鹿児島を立った。
☆
「は? 招待? 誰が?」
肥後まで戻った所で港に待っていた鴻池の番頭が書状を持っていた。
「肥前の龍造寺隆家殿です」
「肥前の熊か!」 「熊ですか?」 「ベアー?」
俺がこの時代通用するかどうか判らない仇名で呼ぶとえんと咲が聞き返す。
ベアーなんて可愛い物じゃないんだけどな。しかしこの時代は狸だの虎だの龍だの動物の仇名が多いな、そういえば俺も鹿だったよ、俺の名前に対抗する為に狼に改名した人もいたっけ。
そんなことを考えながら書状を開くと本拠地まで来いと言う内容だった。流石熊だけあって尊大だな。
行くまいと思ったが其処に声を掛ける人物が現れた。
「書状だけでは来ていただけないと思いまして」
「貴殿は?」
「鍋島信生と申します。主隆信の招き、応じていただけないでしょうか?」
なんと、後に鍋島直茂と名乗りを変える龍造寺の重臣じゃないか!
「これは驚きました。重臣の鍋島殿自らお越しになるとは」
「いえ、山中殿の高名は我等も耳にしております、我が主隆信は是非山中殿にお会いしたいとの意でして、お迎えに上がりました」
おいおい、随分と過剰な評価のような気がするのだが。迎えに来たのならば行かねばならないか。
■
「龍造寺隆信である。佐嘉までよく来てくれた」
上座に座っているのが龍造寺隆信だが確かに熊である。但し二十一世紀に肥後で生まれた緩キャラではなく北海道でお土産に売られていた出没注意のキャラみたいである。まあ戦国大名だから緩いキャラは無いだろうな。
「信生も良くぞ連れて来てくれた。流石だな」
隆信は鍋島信生を褒めてはいるのだが、其の目は険しいままだ。もしかして俺が断ったら主命に叛いたとして処分する積りだったか? 毛利元就の謀は確実に主従の間に楔を打ち込んでいるな。
「我々の敵は大友だ。毛利とは良い付き合いが出来ると思うぞ。どうだ、手を結ばないか?」
隆信が吠えるが如く語ると居並ぶ家臣たちが首を縦に振っている。いや鍋島だけ動かしていないな。彼は賛成していないようだ。
「成る程、某を通じて毛利殿に働きかけ盟約を結びたいと仰るので?」
「其の通りよ」
「では輝元様に取り次ぐように計らいます」
「左様か、よろしく頼むぞ」
断っても碌なことがなさそうなので請け負っておいた。まあ取り次ぐだけだしな、輝元が断れば済むことだ。
商売の話は鍋島とするようにという事で俺は熊の前から下がった。
■
「主の無作法はお許しくだされ、悪気があっての事では無いのです」
商売の話の為に別室で鍋島と話をすると彼がそう言って頭を下げる。
「鍋島殿が謝られる事ではございません、隆信様も肥前を纏められた事で自信を持たれたのでしょう」
「そう言っていただけると有難いです」
「ですが毛利と協力するのであれば裏切るような事はなさいません様に、どこもそうでしょうが裏切りには厳しい制裁がありますぞ」
「そ・それは勿論、主隆信も分かっており申す」
「鍋島殿は龍造寺の一の家臣、あてにしておりますぞ」
そう言うと僅かに顔を引きつらせていた。離間策のせいだな。
「もしも、何かありましたらこちらにご相談ください。佐嘉に我が店の支店を置きます故に」
「御配慮忝く」
もしかしたら鍋島の粛清や離反もあるかもしれないな。
こうして九州を巡る商談は終わることになる。
周防に帰った俺たちだが席を温める間もなく出かける事になるのであった。
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