回収屋
「やあ、こんにちは。○○君。え?なんで名前を知っているのかって?そんなことどうだっていいじゃないか。立ち話もなんだからそこの椅子に座りなよ。紅茶でいいかい?じゃあ待っててすぐ作ってくるよ」
「ほら、飲みなあったまるから。美味しいでしょ?僕のお気に入りなんだ。」
「落ち着いたところで今の状況でも教えてあげようか。君もなんでこんなところにいるのか不思議に思ってたでしょ?」
「うん、だよね?えーっとね、君は落ちちゃったんだ。ん?何に落ちたのかって?[穴]、穴だよ。とっても深く暗い穴さ。」
「落ちた先がここなのかって?違うよ、あんなところと一緒にしないでおくれ。僕はあそこが嫌いなんだ。落ちてしまったモノもね。しかし落ちたものはここに来てしまう。本当に嫌になるよ。」
「で、君のこれからなんだけどどうしたい?まあ君は進むも地獄戻るも地獄だけど。」
「元の場所に戻りたいって?それは無理だよ。落ちてしまったモノはもう戻れないんだ。自業自得だよ。君は望んで落ちたんだ。なのに戻りたいは都合が良すぎるんじゃない?」
「自分が何をしたのか覚えてないのかい?ついでに名前以外のことも?はあ、なんてことだ。仕方がないから僕が教えてあげるよ。手間をかけてくれるね。」
「G県p市生まれ。両親は生まれてすぐに事故で亡くなり、祖父母の家で幼少期を過ごす。中学生の時に想い人に告白して付き合ったけど相手が君の親友に乗り換えて、親友との関係は悪化。それが原因で人間不信に。高校は今までの関係をリセットするためにわざわざ県外の高校へ進学。今まで育ててくれた祖父母に恩返しするために勉強を頑張っていたみたいだ。大学の費用まで出させるわけにはいかないとか言ってね。しかし、成績は中の下、教師からの評判はまじめな生徒、良くもなく悪くもないどこにでもいる普通の学生のままw大学に進学した。もちろん祖父母に援助してもらってね」
「ここまでは思い出せたかい?そうだよね、思い出してもらわないと僕としても困っちゃうよ。」
「じゃあつづきを話すよ。ここから先が君が落ちた理由につながってくるからちゃんと聞いて思い出すんだよ?」
「w大学に入学してから君は、あまりよくない連中とつるみだしたみたいだ。家にもあまり帰らず女の子の家を渡り歩いていた。非合法な薬にも手を出し、もう体はぼろぼろだった。けど君はそれでもやめなかった。君を心配していた子もいたのに、ね?薬を買うにはお金が必要で、その時君は財布代わりにしていた女の子にもっと稼いで来いと水商売までさせていた。立派なひもとして生きていたんだよ。もうこのころにはいままで育ててくれた祖父母への感謝の念はとうに消えうせていた。かわいそうにね。君の祖父母はとても心を痛め二人とも早くに亡くなってしまった。君はお葬式にも顔を出さず遊び歩いて亡くなったことを知ったのは数か月後だった。知ってからも君は御墓にも行かなかった。ああ、話していてとても気分が悪いよ」
「ちゃんと思い出しているのかい?君はこんなやつだったんだ。ねえ、聞いてる?どんな気分?ひどいよね最低なモノだったんだ。どこか感情が抜け落ちてしまっていたのかな?」
「ん?なんで薬なんか始めたのか?ああ、若気の至りってやつだね。その場のノリで軽い気持ちで始めたんだ。君は。そのとき付き合っていた女の子が必至に止めようとしていたのに。止めようとした女の子は最後まで君を止めていた。」
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『ねえ、やめなよ。そんなこと。体がおかしくなっちゃうよ?ねえ、やめてってば、、、』
『うるせえ!お前はだまっていればいいんだよ!』
ドゴッ
『痛い!やめて!』
『うるせえ!』
男は怒りに身を任せ、女の首を絞める。
『、、、や、、めて』
女は激しく抵抗するが男の力に勝てるはずもなく、体は役目を終え動かなくなった。そのことに気付いた男は途端に青ざめる。
『どうしよう、、、やっちまった、、、』
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「君はこのあと死体となった女の子をあろうことかバラバラに刻み、パーツごとに海や山に棄ててしまった。遺族は悲しんだろうね。愛するわが子が知らないうちに殺され顔も見れず棄てられたっていうんだから
。君に気持ちがわかるかい?わからないよね。人を人として見ない君じゃ」
「その顔は思い出したようだね。で、すべてを思い出した君はどうする?償うって?どうやって?もう償う相手はいないんだよ?君には帰る場所も、償う人もいないんだ。なにもできない」
「ふふふ。やっと効いてきたみたいだね。体が動かないでしょ?僕特製の痺れ薬だよ。作るのに苦労したんだ。効いてくれなきゃ困るってもんだよね。」
「ああそういえば僕が誰か教えてなかったね。自己紹介させてもらうよ。僕は回収をお手伝いする仕事をしているんだ。名前は、んーと仁とでも言っておこう。これから死ぬ君には偽名で十分だよね。彼女の遺族から依頼をもらってね。」
「さて、もう体が全く動かないでしょ?じゃあ準備させてもらうね。遺族の方の希望で自分の手でけじめをつけたいんだってさ。」
「さあ、どうぞ遺族の方々。お好きな道具を使ってけじめをお付けください。私はこのへんで」
「ありがとうございました。これで娘の仇を討てます」
「いえいえ、それでは」
仁は次の依頼の為夜の街へ消えていった。
初めての作品でうまく書けてない思います!最後が決まらなかったのがなー心残りです、、、
次回の作品に活かしたいのでもしよろしければ感想おねがいします!