不感症-2
熱い、首から下が熱い、だんだん感覚が薄れていく、僕の脳裏を凄まじいスピードで記憶が駆け巡る、
あぁ何度目の走馬灯だろうか、、、、。
思えば、ここでの生活の最古の記憶もこんな事だった。
5年前
その日は珍しく霧が薄かった、僕は歩いていた、なんか衝撃が走ったような気がして、ふと少し下を見た、
そこには大きな風穴が空いていた。丸い、文字通りの風穴だった。
僕は叫んだ、叫んだ、叫んだ。それでも痛みは引かなかった、ドクドクと血が流れてる、痛い。
血が流れてる、流れてる、それでも死ななかった。時間が経とうが死ななかった。
もう僕は諦め、体をそっと動かしてみた、何も無かったように体は動いた、僕は笑った。
だんだん全てが、馬鹿らしくなり、僕は歩き始めた。
それから僕は何度、
刺されようが、斬られようが、落ちようが、溺れようが、焼かれようが、死なないことに気付いた。
今では痛みすら感じない。
ほら、今もそう、僕は目を開けた、僕の体に傷は無かった、もちろん首にも無かった。
目の前には、今にも動き出しそうな嗚咽を吐くほどの仰々しい見た目をした怪物がいた、しかし、怪物は動かなかった。
死んでいたのだ、僕はあの少女を探した、霧の濃い方に向かって走った。
靴が軋み、裾が綻び、それでも走った、走らなければいけないと思った。
ある丘のような場所に出た、少し先からは、全く違う世界のようだった。
風が吹いていた、こんな事初めてだ、恐る恐る1歩踏み出してみた、それは待ちわびた地面の感触だった。
上を見上げた、そこには初めて見る空があった。空は曇りだった、雨が降っていた。
水滴が地面を打つ、奥の方にはあの少女もいた、
少女は僕の方を見て驚いていた、そりゃそうだろう、首を目の前で飛ばされた人間が生きているのだから。
多分、2人とも怖かった、初めて見る空、初めて見る雨、初めて見る世界、そして、
お互い見た事の無い表情。
僕は少女の手を握った、少女は少し戸惑い、そして手を握り返した。
2人で笑って歩き出した。
2話目です!!つくづく自分の書いた物を読むたび、展開早いなこいつ、と思いながら読んでいます。
1話目も少しずつ修正しております、そのうち章管理とかしてみたいですね、
では!3話目のあとがきで会いましょう。