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亜人王国デミガリア  作者: 海インク
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第1話 プロローグ前編『脱兎の如く』

こちら処女作に御座います。

ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ…

走る音。舞い上がる落ち葉。

夕焼けの中、三つの影が林の中を駆けて行く。


「こんのクソガキがッ!待ちやがれッ!」

「人族の奴隷如きが俺らに()で勝てると思ってんのかッ!?あぁ!?」


そう吠え立てながら二つの影は前を行く影との距離をグングンと縮めて行く。


「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ…」


前を行く影、否、前を行く奴隷と呼ばれた少年は、息を切らしながら、()をもつれさせながらも必死の形相でただひたすらに逃げ続けて行く。


燃えるような赤色の夕陽が、木の葉の合間合間を縫いながら、まるで母親が撫でるような暖かさで射しているにもかかわらず、少年のげっそりと痩せこけた頬はただただ青かった。

焦りからか二度、三度と躓き、その度に速度が落ちる。


そして追っ手は、


「やぁっと見えたぜ!クソガキ如きが無駄な手間掛けさせやがって!」

「ゲッヒャッ!ヒャッ!ヒャッ!もうバッテバテじゃねぇか!」


パカラッ、パカラッ、パカラッ…

ダダダッ、ダダダッ、ダダダッ…


野蛮な言葉遣いとは裏腹な軽快なリズムを刻む度、50、40、30メーターと距離を縮める。

少年の頭は何故自分がこんな目に遭わなければいけないのかという疑問で一杯だった。


20メーター。


否、理由は分かっている、それは自分が人族であるからに他ならなかった。


10メーター。


ただ少年は、『何故、人族というだけでここまで虐げられなければいけないのか』という、問題の本質と直面する事を避けたかったのだ…



そして遂に追い付いた、追い付かれたーーー



と思ったその瞬間、追っ手の前脚(・・)がまるでバターのように勢い良く切り飛んだのだった…

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