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アルヴェスク年代記  作者: 新月 乙夜
結の章 交誼の酒
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交誼の酒22

「やれやれ……。上手くいかぬものだなぁ……」


 グレンダン丘陵地帯を発って西へと帰還する遠征軍の第一陣。その中でエルストロキアは馬に跨りながらそう言って嘆息した。


「御屋形様にも、上手くこなせぬ事柄がありましたか?」


 淡々とした様子でそう尋ねたのは、アルクリーフ領軍を任されているエルストの腹心イシュリア将軍だ。その口調とは裏腹に彼が面白がっていることを、付き合いの長いエルストは敏感に察知していた。


「ああ。この世は上手くいかぬことばかりさ。……それと、今は王配殿下と呼べ」


 エルストは苦笑しながらそう応じた。「御屋形様」とはアルクリーフ公爵としての彼をあらわす言葉であり、今の彼はギルヴェルス王国の王配としてここにいる。面倒ではあるがその区別をつけることで、今の彼は「奇妙にして偉大な地位」とそれに伴う大きな権力を手中に収めていた。


「これは失礼いたしました。それにしても、殿下はまた一つこの世の真理を悟られましたな」


 喜ばしい限りです、とイシュリアはやはり淡々と口にした。そのくせ、彼の目は面白げに輝いている。彼はこういう男だった。


「喜ばしいものか。この調子でこの世の真理とやらを悟り続ければ、最後は世捨て人にでもなるしかない」


 心底嫌そうにしてエルストはそう応じた。彼がなりたいのは世捨て人ではない。むしろその逆で、世俗にまみれた覇者になりたいというのが彼の野心だった。そのためには“この世の真理”を悟ることなく愚者でいた方がよい。彼はそう思っていた。


 そのため、彼は“この世の真理”とやらよりも、もっと即物的な成果のほうに興味がある。そしてその点からしてこの度のサザーネギア遠征は、彼にとっては大変不本意な結果に終わった。大軍を動かしておきながら、得られたのはたったの3州。賠償金(講和条約では和解金となっている)は全てアルヴェスクの取り分となったので、遠征全体にかかった費用を考えれば、収支は間違いなく赤字だろう。


 ただ、新たな国土と言うのは金を払えば得られるものではない。「得難いものを得た」という意味で、一応勝ったと言える結果ではある。


「……勝つには勝ち、負けることなかった。今はそれでよしとするか」


「左様。急いてはことを仕損じましょうぞ」


 そう言ってイシュリアはしたり顔で頷く。相変わらず淡々とした口調だが、その様子は楽しげだ。こうして慇懃(いんぎん)な態度で主をからかうのが彼の趣味だった。そしてエルストはこういう部下が決して嫌いではない。加えてイシュリアは有能であるから、さらに嫌う理由はなかった。


(それにしても……)


 イシュリアに苦笑を返してから、エルストは胸の中でそう呟く。そして続けてこう自問する。彼は「急いては~」といったが、果たして自分は「急いて」いるのだろうか、と。


(そうだな。急いているかも知れん)


 あっさりと、エルストはそう答えを出した。時間のかかる、迂遠な策は好きではない。それはただ単に自分の好みの問題と思っていたが、あるいは「急いて」いたからなのかもしれない。


 では、なぜ「急く」のか。その答えもすぐに出た。


(あいつら、か……)


 二人の友人のことを意識しているのだ。特にライシュはメルーフィス遠征を最高の形で成功させた。エルストはそれをすぐ傍で見ていたから、なおのことそれが意識に強くあるのだろう。


(負けたわけではないぞ、ライ……)


 苦し紛れの負け惜しみと自覚しつつ、エルストは胸中でそう呟いた。そう思えることが、今の彼には楽しかった。しかし同時にそれは、自分の中にあるまた別の感情から目を逸らしているということでもある。それもやはり自覚はしていたものの、エルストはそこから強いて目を逸らすのだった。


(まあ、それはそれとして、だ……)


 エルストは胸中でそう呟くと、意識して頭を切り替えた。今後のことを考えておかなければならない。その中でも重要になってくるのは、言うまでもなく今回の遠征における勲功褒賞だ。


(切り取った3州は、ラジェルグ将軍に任せるか……)


 今回最も勲功が大きいのは、間違いなく先遣隊を率いて戦ったラジェルグである。彼はもともとギルヴェルスの貴族であるが、譜代の領地は持っていない。その彼に今回の遠征の戦果である3州を与え、さらにそれに合わせて伯爵位を与える。エルストはまずそう決めた。


 この人事にはもちろん、様々な狙いと思惑が絡んでいる。表向きには、遠征で活躍したラジェルグに最大限報いることが目的だ。しかし、それと同時にこれは東の脅威に対する備えと、そしてさらなる東進のための布石をかねていた。


 今回、遠征軍がそうであったように、サザーネギア軍も戦力に大きな損耗はない。そのため、サザーネギアは(その中でも特にエドモンドは)奪われた国土を奪還するため、近い将来必ずや兵を挙げて攻めてくるだろう。それに対する備えとして、ギルヴェルスでも屈指の武勇を誇るラジェルグを東に置くのだ。


 加えて、エルストはサザーネギアの併合をまだ諦めてはいない。それはラジェルグも同じだろう。そして今回のことで悔しい思いをしているのも。その彼を東に置けば、嬉々として次の遠征の準備を進めてくれるに違いない。エルストにはエルストでやるべき事が多いので、彼のその働きはきっと得難いものとなるだろう。


(まあ、それだけではないがな……)


 そしてもう一つ。裏の目的とでも言うべきものがある。それはラジェルグをギルヴェルスの政治中枢から遠ざけることだ。有体に言えば、これは恩賞の形をした左遷でもあるのだ。


 エルストはラジェルグが自分を警戒していることを知っている。それ自体は別にいいのだが、この先身内に足を引っ張られていては、ライシュとの差が大きくなってしまう。それで彼に領地を与えて東の国防を担わせ、さらに目先を次の遠征に向けておくことで、中央で自分の邪魔をされないように取り計らう。それも彼の思惑のうちだった。


(ラジェルグ将軍はそれでいいとして、他はどうするか……)


 馬に跨りながら、エルストはさらに考えをめぐらせる。そこへ焦った様子の騎兵が数名、慌しく馬を寄せてくる。どうやら何かあったらしい。エルストは考えを中断すると、彼らの方に鋭い視線を向けた。


「何があった?」


「それが……!」


 彼らはやはり焦った様子で答える。その報告を聞いて、思わずエルストは目を見開き、「馬鹿な……」と呟いた。


 凶報であった。


 曰く「ラジェルグ将軍が第二陣を反転させて東へ進軍。現在オスカー将軍率いるアルヴェスク近衛軍と戦闘状態にある」


 エルストは数秒の間、自失呆然とした。彼にしては珍しいことだ。衝撃の大きさが伺える。


「反転するぞ! 第二陣と合流する!」


 この馬鹿げた戦闘を一刻も早く止めなければならない。エルストは直ちに第一陣を反転させた。しかし、それをするのは数万の軍勢だ。その動きはどうしても重鈍になる。


(ちぃ……っ!)


 エルストは内心で鋭く舌打ちした。こうしている間にも第二陣と近衛軍の間では戦闘が続いている。第三陣はすでに南に転進していて戦場からは距離があるはずだ。だからこそラジェルグはこのような暴挙に出たのだろうが、しかしそれでも自分らと同じく異変を察知した彼らが部隊を反転させている可能性は十分にある。


 今は時こそが要である。エルストはそう思い定めると、ギルヴェルス軍の中から2000騎ほどを連れて先行することにした。ちなみに子飼いの戦力であるアルクリーフ領軍の中から護衛を連れて行かなかったのは、万が一近衛軍と戦闘になった場合の事を考えてのことである。おなじアルヴェスク軍同士を戦わせるのは、追求の原因を作ることになるだろう。


 エルストは内心に焦燥を抱えながら馬を駆る。この戦闘、いずれが負けても面倒なことになる。勝敗が決する前に割って入り、これを仲裁しなければならない。ただ、ラジェルグ隷下のギルヴェルス軍もカルノー隷下の近衛軍も、双方共に精鋭揃いである。この短時間でいずれかが派手に崩れている、ということはないであろうとエルストは思っていた。


 しかしその楽観的な予測は、あっけなく覆されることになる。エルストが戦場に到着したとき、趨勢はすでに決しており、ギルヴェルス軍は壊滅状態にあった。


「馬鹿な……」


 エルストは馬上でそう呻いく。その一方で湧き上がってくるのは恐怖ではなく感嘆だ。流石はカルノー。いとも容易く予想を超えていく。


 そうして彼が僅かに足を止めていると、ギルヴェルス軍の隊列を切り裂くようにして突破してくる、騎兵の一団があった。近衛軍の騎兵隊であり、その先頭にいるのはカルノーだった。


「ははは……。もはや、どうにもならぬか……!」


 エルストの繊弱とも評される端麗な顔に、猛々しい笑みが浮かんだ。話を聞いてくれと求めれば、カルノーは応じてくれるだろう。彼はその点について疑いを持っていない。


 だがこの状態で話し合いとなれば、間違いなくエルストの側が譲歩しなければならなくなる。その上、先に条約を無視したという負い目さえあった。


 全ての責任をラジェルグに押し付けることは可能だろう。内心はどうあれ、カルノーはそれで納得する。しかしライシュはどうか。これを機にギルヴェルスの中枢へ切り込んでくるくらいのことはするだろう。そして現在の両国の国力差を考えれば、ギルヴェルスはアルヴェスクの事実上の属国となる。


 なにより、「負けた」という評価がこれより先付きまとうことになる。これにより、人々はこう思うことになるのだ。すなわち「アルクリーフ公爵では摂政殿下に勝てぬ」と。その時、エルストの野望は潰えることになる。


(ならば、勝つしかあるまい……!)


 ここから勝つための方策は唯一つ。カルノーを討ち取ることだ。それをすればライシュとの対立は決定的なものになるだろう。友情さえ破綻するに違いない。しかしそれでも、彼は己の野心を諦められなかった。


(捕らえることができれば……)


 一瞬頭をよぎったその考えを、エルストはすぐに振り払った。そのような甘いことを考えていて勝てる相手ではない。殺す気でやる。例えこの手を友の血で染めることになっても、後悔はしない。


(殺す……!)


 エルストは覚悟を決める。そして右手に持った槍の感触を確かめると、「続け!」と命じて馬を駆けさせた。



□■□■□■



 待機させていた最後の戦力である1000騎と合流したカルノーは、そのまま一気に戦場へと躍り出た。ギルヴェルス軍はすでに軍勢の体を成しておらず、もはや全軍が無秩序な壊走状態にあった。近衛軍の歩兵部隊はこれに東からさらなる圧力をかけ、騎兵部隊は縦横無尽に駆け回って被害を拡大させている。


 趨勢は決した。この状態からギルヴェルス軍を再編し、さらに戦況をひっくり返すのは不可能だ。唯一逆転の目があるとすれば、それはカルノー本人を討つこと。


 だから、このまま確実に勝ちたいのであれば、カルノーは後方に引っ込んでいるべきだった。それを承知した上で、しかし彼はこうして前に出てきた。


 それはここでラジェルグ相手に勝っても、この馬鹿げた戦闘を終わらせるためにはさして意味がないと考えているからだ。この戦闘を終わらせるためには、何よりもまずエルストと話を付けなければならない。そのために彼は、こうして前に出てきたのだ。


(ロキ……!)


 馬を駆けさせながら、カルノーは唸るようにして胸中で友人の名前を呟く。彼の胸の中では、激しい怒りが渦巻いている。


 そんな彼の前に飛び出してきたこの人物は、果たして幸運であったのだろうか。少なくとも本人は、これを幸運であると信じた。その人物とはラジェルグである。


 趨勢が決したことは、彼も理解している。その上ギルヴェルス軍は酷い壊走状態で、再編どころか組織的な撤退さえおぼつかない。


 完敗である。しかしそれでも彼は最後の大逆転を目指し、敵の大将首、つまりカルノーの首を狙っていた。彼が前線に出てくるのか、それさえも賭けである。しかしラジェルグはその賭けに勝った。少なくとも、このとき彼自身はそう思った。カルノーの姿を見つけたのである。


「オスカー将軍、覚悟!」


 わずかに残った手勢を率い、ラジェルグはカルノーの首を狙う。しかしカルノーの眼中には、もはや彼の姿は映っていなかった。


「邪魔だどけぇぇぇえええ!!」


 カルノーが吼える。そのときラジェルグは、自分が彼の眼中にないことを知った。


 屈辱である。瞬間的に頭に血が上った。彼は雄叫びを上げながらカルノーに向かって馬を走らせ、そして槍を突き出す。


 ラジェルグの突き出した槍は、カルノーの槍によって振り払われた。舌打ちを漏らす間もあればこそ。次の瞬間、カルノーの目が鋭くラジェルグを捉えたかと思うと、彼の持つ槍が閃いて鋭角的にその軌道を変えた。


 槍の穂先が描く銀色の軌道に、赤い血飛沫が混じる。カルノーの振るった槍は、ラジェルグの右腕を根元から切り飛ばしていた。


「がぁ……!」


 ラジェルグの口から呻き声が漏れた。利き腕を切り飛ばされた彼は、同時に武器も失っている。それでも彼は落馬することなく、何とかその場を離れようと馬を操った。


 結論から言えば、ラジェルグは生き残った。それはカルノーが彼を追わなかったからだ。カルノーの眼中になかったがために、彼は生き残ることができたのである。そもそもカルノーは、退けたのがラジェルグであったことすら、認識していたのか怪しい。


 いずれにしても、ラジェルグにとって屈辱的な生き残り方であったことは確かだ。しかも、怒りを覚えることすらおこがましい。結局彼にできたのは、この時のことを生涯恥じることだけであった。


 さて、ラジェルグを退けてすぐ、カルノーは敵陣を突破してその外に躍り出た。彼は視線を巡らせて丘の上から見つけた騎兵の一団を探す。果たしてそれはすぐに見つかった。


「続け!」


 短く、そして鋭くそう命じ、カルノーはその一団に向かって進路をやや北よりに修正する。


 カルノーは目を凝らしエルストの姿を探した。その矢先、騎兵の一団が動き始める。それは接触を図るような動き方ではなかった。戦意を滾らせ、彼らは向かってくる。その先頭にいたのは、エルストだった。


 その瞬間、カルノーは全身の血液が沸騰したかのように感じた。エルストは自分を殺そうとしている。それを悟ったとき、彼は嘆くでも困惑するでもなく、ただ怒った。


 軍馬の蹄がならす地響きが高鳴っていく。やがて二つの騎兵隊は真正面からぶつかった。


「ロォォォォォキィィィィィィ!!」


「カルノォォォォォオオ!!」


 二つの絶叫が戦場に響く。二人はすれ違いざま、同じように槍を突き出した。そして二人とも同じように、紙一重で相手の槍の穂先を避ける。位置を入れ替えると、二人は直ちに馬首を巡らせて再び向かい合った。そして今度は細かく馬を操りながら何度も槍をぶつけ合う。その度に火花が散った。


「話を、聞け! ロキ!」


「いまさらさ! カルノー!」


 突き出された穂先を、カルノーは手に持った槍で逸らしてかわす。槍と槍が激しく擦れて火花が散った。カルノーは槍を外側に振るってエルストの槍を討ち払い、そのまま内側に振るって彼の首筋を狙う。エルストは身体を仰け反らせるようにして、紙一重でそれを避けた。


 互いに騎乗しての戦いであるせいか、二人の動きはどこか大雑把で力任せだ。そのためか、エルストはカルノーの怒りがより強く感じられるように思える。繰り出される一撃一撃は強烈で、彼の怒りが滲んでいるようだった。


「ふふ……」


 こんな時にも関わらず、エルストは笑いたくなるのを堪えることができなかった。きっと浮かべた笑みは凄惨で引き攣っていることだろう。いつも浮かべる優美なものとは出来の点で比べ物になるまい。


 しかしその笑みは、いつものような作り物ではなかった。この笑みは仮面のように顔面に貼り付けているのではない。魂を震わせる、押さえつけておくことのできない衝動の発露なのだ。


 恐ろしかった。死神の大鎌が、自分の首筋を撫でていくのを感じる。かつてないほど死が間近に迫っていた。


 しかし、退けない。否、退きたくない。むしろ、さらに踏み込んでやりたい。


 楽しい、というのとは少し違う。まったく衝動としか言いようがない。そしてエルストはその衝動に進んで身を任せる。彼の浮かべる歪な笑みが、いっそう深くなった。


 それを見て、カルノーが眉をひそめた。彼にしてみれば辛いばかりの戦いだ。友と殺しあうことの、やりきれなさを感じている。彼はそういう男だ。そしてそれは、エルストにも十分伝わっていた。


「諦めてもらうしかないな! これが俺という男だ、カルノー!!」


「この、分からず屋が!!」


 エルストが叫ぶと、カルノーがそう叫び返した。そして二人は互いに距離を取る。彼らはほとんど同時に馬首を巡らして反転すると、槍を構え、互いに対して猛然と馬を駆った。


 先手を取ったのはエルストだった。彼はカルノーの首筋を狙って槍を突き出す。反撃はない。


()った!)


 エルストはそう確信した。しかしカルノーは突き出される槍の穂先を冷徹に見据え、頭を僅かに逸らして紙一重にその攻撃を回避する。エルストの槍は彼の頬を浅く裂いて兜を飛ばしたが、その手応えは空虚だ。


 そして次の瞬間、エルストは脇腹に強い衝撃を受けた。カルノーの槍の柄が、そこに叩き込まれたのだ。彼はエルストの攻撃を回避してから、狙い済まして槍を振るったのである。


「がっ……!?」


 エルストの口から空気がもれる。脇腹への強い衝撃で、彼は横向きに吹き飛ばされた。


 左腕を下にして、エルストは地面に落ちた。呼吸がままならない。何とか強引に咳き込み、そして息を吸う。彼は荒い呼吸を繰り返した。


 呼吸が何とかなると、今度は全身が痛み出した。最も痛いのは脇腹だが、左腕や肩にも痛みがあり自由に動かせない。


(早く……、起きなければ……!)


 自分にそう言い聞かせ、エルストは何とか上半身だけ起こした。しかしその次の瞬間、間髪入れず彼の喉もとに槍の穂先が突きつけられる。視線を上げると、そこにあったのは馬上から槍を向けるカルノーの姿だった。


「……降服しろ、ロキ」


 怒りを孕んだ声で、カルノーはそう言った。それがまるで懇願しているように聞こえたのは、エルストの聞き間違いではあるまい。


(ああ、お前はそういう男だよ……)


 エルストはそう思った。


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