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アルヴェスク年代記  作者: 新月 乙夜
転の章 薄氷の同盟
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薄氷の同盟12

 デレスタ子爵率いる第二迎撃軍を破った解放軍は、戦後の処理を終えると王都パルデースへ向けて進軍を再開した。とはいえ、その歩みはすぐに止められることになる。ブロガ伯爵率いる第一迎撃軍がパルデースに帰還したのである。解放軍が王都まであと一日のところにまで迫った時のことであった。


「ここまでは想定通り、ですな」


 バフレン将軍が伸びてきた顎の無精髭を撫でながらそう言った。彼の言うとおり、解放軍が王都へ攻めかかる前に第一迎撃軍が帰還するのは、最初から織り込み済みのことだった。


 というより、解放軍は端から王都へ攻撃を仕掛けるつもりなどなかった。少なくともユーリアスの妻子を解放するまでは。そうでないと、それこそ彼らを杭にでも括り付けて文字通りの盾にされかねない。そうでなくとも、追い詰められたサンディアスが暴発して人質を殺してしまうかもしれない。


 それを避けるため、圧力はかけるがしかしかけすぎないように気をつけ、後は交渉によって人質を解放する、というのが当面の方針となっていた。そのため第一迎撃軍が王都へ帰還してしまうのはやむなし、というのが解放軍の考え方である。要するに、消極的妥協の産物だったわけだ。


 さて、進軍の足を止めた解放軍はサンディアスらの出方を伺った。彼らの方から仕掛けてくるかは五分五分と見ていたが、結局は篭城戦を選択したようだった。


「それならそれで構わない。今のうちに外堀を埋めさせてもらおう」


 エルストの言う外堀とは無論比喩であって、実際のそれではない。つまるところ雰囲気である。交渉に応じてユーリアスの妻子を解放した方がサンディアスにとっても良い。そういう空気を作ることにしたのだ。


 そのために必要なのは根回しである。エルストは地元の有力者や大きな商会の頭領らに積極的に根回しを行った。サンディアスは兵を増員しようとしていて、そこに紛れてしまえば使者を王都の中に入れるのは難しくない。根回しは順調に進んだ。


「義父上の妻子を解放することと引き換えに、解放軍をアルヴェスクとの国境際まで撤退させる。この辺りが今回の落し所だな」


 エルストはそのように考えていた。ユーリアスの妻子さえ取り戻してしまえば、解放軍は心置きなくサンディアスらを攻めることができる。これまでの侵攻は全て無駄になってしまうが、しかしデレスタ子爵は討ち取っている。サンディアスに痛撃は与えてあり、さらに兵もほとんど損耗していない。


 アルヴェスク皇国の後ろ盾があれば戦力のさらなる増強も可能だ。二度目の侵攻は一度目に比べればさほど難しいものとはならないだろう、とエルストは予測していた。


 サンディアスの側にしてみても、喉元まで迫った解放軍を戦うことなく撤退させられるのだ。主力の第一迎撃軍はまだ無傷で残っているし、さらに戦力を積み増しできれば勝負は分からない。


 さらにもう少し粘れば秋が、そして冬が来る。


 秋は収穫の季節である。そんなときに戦争をしていては、収穫に支障が出るのは目に見えている。収穫が減れば税収が減る。それで一番困るのはサンディアスのはずで、だからこそ秋を前に解放軍を撤退させられるとなれば、それに食いついてくるであろうとエルストは予測していた。


 そして秋の次には冬が来る。北国であるギルヴェルスの冬は当然厳しい。その冬に軍を動かすのは無謀であり、エルストも避けたい。つまりここで解放軍を撤退させれば、サンディアスは冬の期間丸ごと時間を稼ぐことが出来るのだ。その間にどれだけ王権を確固たるものとできるかは、彼の手腕次第であろう。


 解放軍との交渉に応じた方が得である。そういう雰囲気を作るべく、エルストは根回しを続けた。しかし結局、その全ては徒労に終わった。蝋蜜漬けにされたユーリアスの妻子の首が、解放軍の陣に届けられたのである。


「あ、ああ、あ、ああ、ああああ………」


 並べられた三つの首を見た瞬間、ユーリアスの顔から血の気が引いた。そして弱々しく右手を伸ばし、少し身体が前のめりになったところで膝から崩れ落ちた。


 四つん這いになりながらも、彼はまだ手を伸ばす。その目から涙が零れ落ちた。その雫が顎を伝って大地に落ちるよりも早く、ユーリアスは額を地面に擦りつける。彼の手はもう伸ばされることなく、ただ地面の上で硬く握り締められていた。


「フレイヤ……、トレイズ……、メルディア……! すまぬ……、私のせいで……」


 悲痛で後悔のありありと滲む声が、喉の奥から搾り出すかのようにしてユーリアスの口から漏れる。周りは彼の悲しみに飲まれたかのように静まり還っている。その静寂の中、慟哭(どうこく)の叫びがあがった。


「私が! 私が死ねばよかったのだ!! 私が小賢しいことを考えたばかりに!」


 ユーリアスの拳が、何度も大地を打つ。悲しみ、そして後悔。それらが彼の心を張り裂き千切って殺していく。そして彼は膝を地面につけたまま上体を起こすと、大きな声を上げて泣き始めた。その頬を、血の涙が伝う。


 やがて、ユーリアスの声も枯れる。彼はしばしの間そのまま空を、いや虚無を眺めた。


(死のう)


 彼はそう思った。妻が死に、子供たちも死んだ。それなのに、自分だけが生きていても仕方がない。まして彼らは自分のせいで死んだようなものなのだ。その償いをしなければならない。


(死ねば、きっと……)


 きっとまた、家族で穏やかに暮らせるだろう。その光景を思い浮かべ、ユーリアスはふと笑みを浮かべた。


 そして彼はおもむろに腰間の剣を抜く。そしてその剣を逆手に持ち直し、その鋭い切っ先を自らの胸元に向ける。誰もが彼の深い悲しみに飲まれ、それを見ながらしかし止めることも声を上げることもできない。


「義父上、なりませぬ!!」


 その中でただ一人だけが動いた。エルストである。彼は叱責するように鋭い声を上げながら、剣を掴んで取り上げようとする。ユーリアスはそれに必死に抵抗した。


「死なせてくれっ! 妻と子供たちが、家族が待っているんだ!」


「義父上が死ねば、アンネローゼとアンジェリカが悲しみまする!」


 二人の名前を聞いて、ユーリアスが動きを止めた。アンネローゼとアンジェリカ。娘と孫は、まだ生きている。彼はそのことを思い出した。


「あ、ああ……!」


 ユーリアスの脳裏に、アンジェリカを抱いたアンネローゼの姿が浮かぶ。その声さえも聞こえてくるかのようだった。


 彼の身体から力が抜ける。それを見計らい、エルストがユーリアスの手からそっと剣を取り上げる。彼はもう、それに手を伸ばしたりはしなかった。


 その代わり、ユーリアスはゆっくりと立ち上がる。そして前かがみの不恰好な姿勢のまま、よろよろと並べられた三つの首に近づく。そしてまた崩れ落ちるようにしてその前で膝を突くと、三人の首を胸に抱いた。


「あああああああああああああああああああああ!!!」


 滂沱の涙は、止めどなく流れ落ちる。彼の悲しみが枯れることはない。



□■□■□■



 頃合を見計らい、エルストはユーリアスを彼の天幕に連れて行って休ませた。ユーリアスは妻子の首を離そうとせず、胸に抱いたまま天幕の中に入っていった。護衛の兵士に彼のことを頼むと、エルストはまた別の天幕へと向かう。これまで彼やユーリアスと共に戦ってきた、バフレン将軍の天幕である。


「バフレン将軍、何をしておられるか!?」


 エルストがバフレンの天幕に入ると、彼は今まさに短剣で喉を突こうとしているところであった。それを見てエルストは咄嗟に、身体ごと彼にぶつけて体勢を崩し、そして絨毯の上に転がった短剣を素早く拾う。バフレンが取り戻そうとするかと思いエルストは身構えたが、しかし彼は絨毯に額を押し付けて涙を流すばかりであった。


「死なせて、死なせて下され……、公爵殿……!」


 バフレンは涙声でそう嘆願する。彼はユーリアスに最も近いギルヴェルス軍の将として、彼の妻子が殺されたことに責任を感じていた。


「私が、戦うことを勧めてしまったばかりに……!」


 サンディアスが人質を殺したことに、第二迎撃軍の敗北が大きく関わっているのは間違いない。その戦いをユーリアスに戦わせてしまったことに、バフレンは大きな責任を感じていた。もっと他の道を選べば、人質が殺されることはなかったのではないだろうか。彼はそう考えずにはいられなかった。


「義父上に戦うことを勧めたというのであれば、私も同罪です。将軍だけの責任ではありません。それに、なぜ将軍が責任を取る必要があるのです。悪いのは、人質を殺したサンディアスではありませんか」


「しかし……」


「それに、将軍が自決すれば、義父上はそのことに責任をお感じになります。ともすれば、また『後を追う』などと言い出しかねません。主君を苦しめ死に追いやることが、将軍のお望みか?」


 エルストは強い口調でそう言った。彼に叱責され、しかしバフレンはふっと笑みを浮かべる。確かに、ユーリアスはそのような主であった。だからこそ、バフレンは彼に忠誠を誓ったのだ。


「今は皆で義父上をお支えすることこそが肝要。バフレン将軍にもどうかお力をお貸しいただきたい」


 そう言ってエルストはバフレンの手を取った。そしてその手を強く握る。その力の強さにバフレンは一瞬驚いたように息を呑んだ。だが数秒後、意を決したようにこう言った。


「……分かり申した。どれほど力になれるかは分かりませぬが、微力を尽くしましょう」


 そう言って、バフレンもまた手に力を込めた。その力強さに安堵を感じ、エルストは笑みを浮かべた。


「ありがたい。百人力を得た気持ちです。……もう『死にたい』などとは言わないで下されよ?」


「それは、無論」


 二人は笑みをかわし、そしておもむろに握っていた手を放した。するとエルストは顔を引き締め、それを見たバフレンもまた身構える。先に口を開いたのはエルストのほうだった。


「とはいえ、義父上のあのご様子では、これ以上の進軍は無理でしょう」


 そう言ってエルストは、解放軍を一度アルヴェスクとの国境まで後退させることを提案した。それを聞くと、バフレンは腕を組んでしばしの間考え込んだ。


「…………公爵殿のお考えはご尤もでしょう」


 確かに、ユーリアスが今の状態では解放軍は戦えない。解放軍の実質的な総司令官はエルストだが、精神的支柱にして大義名分となっているのはユーリアスその人なのだ。彼が意気消沈としていては、解放軍は戦えない。それゆえ撤退もやむなし、というエルストの判断は確かに正しいといえる。とはいえ、バフレンには気がかりなことがあった。


「今すぐに我々が撤退すれば、サンディアスらは好機と見て軍勢を差し向けてくるでしょう。背中を襲われて、果たして抗しえるか……」


 人質が殺されたことの影響は、ユーリアス個人の留まるものではない。特にギルヴェルスの兵士たちもその影響を受け、今彼らの士気は大いに低下していた。ユーリアスの悲しみに飲まれてしまったが為なのだが、ともかく今の彼らに精強さは期待できそうにない。その上、背中を襲われれば脆くも崩れ去ってしまうだろう。バフレンはそれを懸念していた。


「それでしたら、殿(しんがり)はアルヴェスク軍が勤めましょう。将軍は義父上を連れ、国境を目指されよ」


 幸いにして、と言うべきか。ユーリアスとの関係が薄いアルヴェスク軍はあまり動揺していない。それでエルストは自分たちが殿をすると申し出た。そしてそれならば、とバフレンも頷く。


 二人でさらに事務的な事柄を話し合い、それからエルストはバフレンの天幕を辞した。外に出ると、空はすでに赤くなり始めていた。


 ユーリアスの妻子のことがあり、解放軍の陣内の雰囲気は重い。快進撃を続けてきたこれまでの熱気や活気と比べると、まるで冷たい泥のようである。しかしそのような空気を歯牙にもかけず、エルストは常と同じ様子で陣内を歩く。


(まったく、随分と踊ってくれる……)


 わずかに苦いものを感じながら、エルストは内心でそうごちた。人質が殺されてしまうのは、彼にとっても予想外であった。まさか、敵がそこまで愚かであるとは思っていなかったのだ。


(大方、スピノザが言い出したのであろうが……)


 過激で突飛な策を献上し、注目を集める。いかにもあの道化がやりそうなことである。そしてその策を良しとするサンディアスも愚かである。他と違う策が良い策に思えてくるのは、適否を見分けられぬ愚か者によくあることなのだ。


(そして、それを諌める者もいない、か……)


 誰か諌める者がいれば、このような暴挙がまかり通ることはまずない。だからサンディアスの周りには、もうこれと言った人材がいないことが推測できる。仮にいたとしても、役に立っていない。


(恐るるに足らず)


 エルストは冷静にそう評価を下した。今は引かねばならないが、ユーリアスさえ立ち直れば後はどうとでもなる。遅くとも来年の冬までには、サンディアスをギルヴェルスの玉座から引き摺り下ろすことができるだろう。エルストはそう考えていた。


(さて、この俺はどうする?)


 サンディアスを玉座から引き摺り下ろす。それはいい。では、その後に玉座に座るのは一体誰か。


 普通に考えればユーリアスである。そしてエルストは彼を玉座につけた恩人、またその娘婿として、ギルヴェルスから強力な後ろ盾を得る。それをもってアルヴェスク国内における影響力を増し、そしていずれは……。


 そこまで考えると、エルストは「悪くない」と内心で一つ頷いた。それは当初考えていた通りの流れである。さらに人質が殺されてしまった今、ユーリアスが新たに妃を迎えるのかも不透明で、そうなれば彼の次にギルヴェルスの王位を継ぐのは彼の孫、つまりエルストの子供になる可能性が高い。そのとき、彼の影響力はさらに増すだろう。しかしそこまで考えてもなお、彼の心は躍らない。


(ふむ……)


 考え込むエルストの脳裏に、幾人かの人物が浮かんでは消えていく。そしてそうこうしている内に、彼の心はあつい熱を持つようになっていた。


「あと、二人、か……」


 思わず、彼はそう呟いた。失言である。しかし、それだけ聞いても彼の真意は分からない。それで彼も気をつけようとは思ったが、失敗したとはまったく思わなかった。


 エルストは悠然とした足取りで自分の天幕に向かった。そして手紙を二通したため、部下に託して西へ向かわせる。手紙は二通であるから、届けるように指示した相手も二人である。


(さて、まずは一手、といったところか……)


 エルストは内心でそう呟いた。彼の頭は忙しく回転し、さらにこの後の展開を予想していく。彼はサンディアスらを格下と評価しまったく恐れてはいないが、しかし同時に見くびったり侮ったりもしていない。敵が格下であるなら、本気でやればより確実に勝てる。エルストはそう考える男だった。


 ユーリアスの妻子の首が陣に届けられた次の日、日の出と共に解放軍は陣を引き払って西へ向けて撤退を開始した。まず西へ向かうのは、ギルヴェルス軍の3万である。


 この中で最も落ち込んでいるのは、言うまでもなくユーリアスである。彼の顔色は青白く、生気を失って幽暗としている。そんな彼の深い悲しみの影響を受けて、ギルヴェルスの兵士らはみな意気(いき)阻喪(そそう)とし、まるで敗残兵のような有様であった。


 そんな彼らの後ろを守るのは、エルストが率いるアルヴェスク軍12万だ。彼らはギルヴェルス軍のすぐ後に続くのではなく、少し時間差をつけて西への撤退を開始した。すぐに知られることとはいえ、敵に撤退することをぎりぎりまで知られないようにするためであり、ギルヴェルス軍がなるべく戦闘に巻き込まれないようにするためでもあった。


 とはいえ、両軍の間が空きすぎると不測の事態に対処できなくなる。それでエルストは両軍の距離に気を使いながらアルヴェスク軍を西へと向かわせた。無論、東から来るであろう敵の追撃を警戒しながらである。


 解放軍が陣を引き払い西へ向かって撤退を始めたという知らせは、すぐさまサンディアスのもとに届けられた。それを聞くと、彼は杯を放り投げて歓んだ。


「モリード、そなたの言った通りになったな! 見事な智謀であるぞ!」


 そう言ってサンディアスは献策したスピノザを褒め称えた。スピノザは澄ました様子で一礼したが、その顔には得意げな笑みが浮かんでいる。そこへ一人の人物が割り込んでくる。ブロガ伯爵だった。


「恐れながら陛下に申し上げます。これはまたとない好機にございます。是非とも私に出撃の許可を。今ならば敵軍の背後を突き、たやすくこれを壊滅させることができます。ユーリアスか、エルストロキアの首を取ることもできるでしょう。さすれば、奴らがこの国に攻め入ってくることは、金輪際ないでしょう」


 いつも通りにこやかな笑みを貼り付けての進言である。割り込まれたスピノザは露骨に顔をしかめたが、しかしブロガ伯爵はそれを無視する。彼のその態度が、スピノザには気に入らなかった。


「よかろう。ブロガ伯爵の出撃を許可する。見事敵軍を撃滅して見せよ」


 サンディアスは鷹揚に頷きながらそう答えた。そしてふと思い出したかのように彼は視線をスピノザのほうに向けた。


「モリード、そなたはどうする? 伯爵と共に出撃するか?」


「……私まで出撃しては、陛下をお守りする者がいなくなってしまいます。ここはブロガ伯爵にお任せいたします」


「ふむ、モリードは心配性だな。敵がこのパルデースに攻めてくることなどないであろうに」


 サンディアスのその言葉に、スピノザは「大切な御身なれば」と言って一礼した。とはいえ実際のところ、彼はサンディアスのことを案じて出撃しなかったわけではない。結局解放軍にカルノーはいないようで、そのためスピノザは戦場に拘らなくなっていた。


 加えて、今ここで出撃すれば、それはブロガ伯爵を助けることになる。先程割り込まれたこともあって、スピノザは彼のことが気に入らない。それで、ブロガ伯爵を助けるなどご免被る、というのが彼の正直なところだった。


 スピノザが出撃しないことになったので、ブロガ伯爵は彼が指揮していた1万の兵を除く、第一迎撃軍14万を率いて王都パルデースより出撃した。向かうのは西。獲物は士気を最低まで低下させた解放軍。


 古来より、撤退戦は大きな被害が出ることで知られている。ということは、逆に襲う側にしてみれば、これほど手柄を立てやすい戦はない。ブロガ伯爵もまた、そう考えていた。

 彼は舌なめずりする。この時の彼は、戦に赴く武将と言うよりは、まるで狩りに行く猟師のようであった。


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