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アルヴェスク年代記  作者: 新月 乙夜
承の章 勝利を飾りに
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勝利を飾りに13

「そうか。負けた、か……」


 メルーフィス王国国王アルバート4世は小さくそう呟いた。内心の失望と衝撃がどれだけ大きかろうとも、彼が口にしたのはただそれだけであった。


 貿易港ウルの北にあるグレイマス平原。そこで行われたメルーフィス軍とアルヴェスク皇国遠征軍の決戦に、メルーフィス王国の王宮は当然一方ならぬ関心を寄せていた。そのため独自に斥候を派遣してその決戦を監視させ、決着が付き次第直ちに報告が為されるように態勢が整えられていた。


 そして決戦の勝敗が決したその日の夜。アルバートはメルーフィス軍の敗北を知った。ことここに至って情勢は最悪に近いものとなり、どのような形であれメルーフィス王国という国家を存続させることさえも危うい状況となったのである。


 そしてさらにここへ、この最悪に近い情勢をおよそ考えうる限り最悪のものへと突き落とす報告がもたらされる。


 曰く「ナルグレーク帝国に出兵の兆しあり」。


 国境近くにある帝国の砦に、ナルグレーク軍が集結しつつあるという。その規模、およそ10万。恐らくはアルヴェスク皇国のメルーフィス遠征を知ってから集めたのであろう、これまでの事例を考えれば、その数は決して多いわけではない。ただし、遠征軍との決戦に敗れたメルーフィスに、これを迎え撃つ戦力はなかった。


 この報告を聞くと、アルバートはすぐに決断を下した。すなわち、アルヴェスク皇国への降伏と言う決断を。彼はすぐさまその旨と、さらに帝国軍が国境際に参集しつつあることを書面にしたため、そこに玉璽を押して正式な公文書とした。そしてゾルタークを使者として選び、その公文書を彼に持たせてライシュハルトのもとへ向かわせた。夜半前のことである。



□■□■□■



「不肖ラグナス。摂政殿下がお呼びと聞き、参上仕りました」


 ジュリアとカルノーが戦場での挙式を終えたその次の日のお昼過ぎ、敗戦の将であるラグナスは遠征軍の本陣を訪れていた。総司令官であるライシュに呼ばれてのことである。剣どころか、鎧さえも身につけぬ姿であった。


 こうして生きていることが、我がことながらラグナスには不思議だった。彼が自刎しなかったのは、メルーフィス軍を預かる主将の責任として速やかに降伏を行わせ、それによって可能な限り無意味な戦死者を減らすためである。また責任者たる自らの首一つでことを納め、さらに部下達を助命してもらうことをライシュに直訴するためでもあった。


 しかし、そんなラグナスにライシュは思いもかけぬ言葉をかけた。すなわち、「死ぬに及ばず」と。思わず視線を上げた彼に、ライシュはさらにこう続けた。


『戦に勝敗はつきもの。負けることは、罪ではあるまい』


 そしてさらにこう続けた。


『将軍の奮戦まことに見事。どうだ、私に仕える気はないか?』


『わ、私はメルーフィスの将なれば……』


『そうか。ではメルーフィスが皇国の一部となったその時、改めて誘うとしよう』


 そう言ってライシュは楽しげに笑い、いっそうラグナスを困惑させた。


「ラグナス将軍か。よく来てくれた」


 大きな天幕に入ってきたラグナスを見て、ライシュは気さくな笑みを浮かべた。そこに勝者の驕りと敗者への侮蔑は見受けられない。ラグナスは自分よりも若いこの青年の器が、しかしすでに自分よりも大きいことを悟っていた。


 天幕のなかには、すでに遠征軍の主だった面々が集められていた。その中にはもちろんエルストとカルノーの姿もある。ラグナスのために椅子が用意され、そこに彼が座るとライシュはおもむろに話を始めた。


「さて、将軍。実は先程、貴国の宰相であるゾルターク殿が使者として参られ、アルバート4世陛下からの書状を受け取った。メルーフィス王国はアルヴェスク皇国に対し降伏するそうだ」


「左様で、ございますか……」


 予想はしていた。しかしそれでも、自分の国が敵国に降伏すると聞かされれば動揺する。その動揺を腹に収めるため、ラグナスは片方しかない目を瞑った。


「……それで、ゾルターク殿は……?」


「休む暇も惜しんで馬を駆けさせて来られたようでな。今は護衛ともども休んでおられる」


 宰相であるゾルタークは、馬術に秀でてはいない。そんな彼が必死に馬を駆けさせてここまで来た。クシュベガの騎兵隊を集めてきてくれたことも含め、なんだか彼にばかり負担をかけているような気がしてラグナスは申し訳なかった。


「……それで、ここからが本題なのだがな。合わせてナルグレーク帝国に侵攻の兆しありと伝えてきた」


 アルバート陛下は食えないお方だな、とライシュは苦笑してみせる。侵攻してくるナルグレークへの対処を皇国にアルヴェスクにやらせてしまおうというアルバートの心積もりを、彼はほぼ正確に察していた。それでも嫌な気分がしないのは、その選択がアルバートにとって文字通り命をかけたものであるからだ。


「陛下は、帝国にこの国が蹂躙されるのをよしとはされなかったのでしょう」


「メルーフィスとナルグレークが長年の敵国同士であるというのは、本当だったのだな」


 ライシュの言葉には少し誤りがある。両国の関係は長年の敵国というよりは、むしろ“因縁”の敵国と言うべきだった。


 ナルグレーク帝国は内陸国である。つまり、海を持たない。そのため海へと出ることは、帝国長年の悲願だった。


 ナルグレーク帝国は、ハルン・ジ・ミール半島と大陸を隔てる、カラン・モン山脈のすぐ北に位置している。そのため、地図上で見れば帝国と半島の距離は近い。しかし実際のところ険しいカラン・モン山脈を歩いて越えることは非常に困難であり、そのため帝国から半島に向かうためには大変な大回りをする必要があった。


 以前にも述べたが、この時代ハルン・ジ・ミール半島は大陸の東西を結ぶ交易路の要衝だった。その要衝から距離があるということは、つまり交易から取り残されることを意味している。帝国が海を求める最大の理由はこのためだった。そして海へ出るための地理的に最短のルートがメルーフィス方面のルートだったのである。


 そのため、両国は頻繁に戦端を開いた。ある歴史書はその様子を「傍から見れば趣味でやっているようにしか思えない」と記している。しかし傍から見てどれほど無益で無意味に思えたとしても、当事者たちは文字通り死物狂いだった。


 そしてそのように何度も流血の交渉を重ねた結果、両国は互いを因縁の敵国として認識するようになった。今回、アルバートが素早く降伏を決断したのも、つもり積もった“因縁”が関係しているのは間違いないだろう。


 まあそれはそれとして。今回ナルグレーク帝国が侵攻の兆しを見せているのは、アルヴェスク皇国とメルーフィス王国が争っているその隙を突くためであろう。メルーフィスがアルヴェスクに掛かりきりになっているその間に、海へと至る領土を切り取ってしまう腹積もりであるに違いない。そうやって長年の悲願を果たすつもりなのだ。


 メルーフィスは決して軍事強国ではない。だがそれでも、これまでずっとナルグレーク帝国を最終的には撃退してきた。それが可能だったのは今回のように、常にクシュベガの騎兵隊を雇っていたからだ。そのためメルーフィスの王宮はクシュベガの族長たちとの間に太いパイプを持っているのだが、まあそれはそれとして。


 しかしながら今回はこれまでとは状況が違う。アルヴェスクに敗れたメルーフィスには、ナルグレークを撃退する余力はもう残っていない。だからこそアルバート4世はアルヴェスクに降伏することを決断した。


 それが自分の死とほぼ同義であることは彼自身も分かっていたはず。それでも、いかなる形であれナルグレークに膝を屈することをよしとしなかったのは、彼の王者としての最後の誇りだったのかもしれない。


「アルバート4世陛下が降伏を決断された以上、このメルーフィスを脅かす者は全て皇国の敵である」


 居並ぶ遠征軍の主だった面々を前にして、ライシュはそのように宣言した。それはつまり、ナルグレーク帝国軍と一戦構えることも厭わないということだ。新たな戦いの気配を感じ、天幕の中には戦意と熱気が溢れた。


「それでナルグレーク軍の侵攻ルートだが、ラグナス将軍、どう考える?」


 メルーフィス軍が降伏したさいに接収した地図を広げ、ライシュはこの中で最もこの国の地理と戦歴に詳しいラグナスにそう尋ねた。


 メルーフィスとナルグレークは、〈フラン・テス川〉という川の一部をそれぞれの国境としている。メルーフィスから見ると国の北東部だ。そこからさらに北へいくと、そこはもうクシュベガの勢力圏である。


 フラン・テス川は、一種独特な川だった。その最大の特徴は、海に達していないことである。


 フラン・テス川の水源は巨大なカラン・モン山脈である。そこに降る大量の雨がやがて湧き出し、この川の源となっている。


 カラン・モン山脈から流れ出たフラン・テス川は、地面の傾斜に沿うようにして一旦は南西へと向かい、そこから西に向かって大きく弧を描きながら北へと進む。その終着点は巨大な〈ガルシアナ海〉である。「海」と銘打たれて入るものの、歴とした淡水の湖だ。ようするに海のように大きい、と言う意味だ。


 それで、このフラン・テス川がメルーフィスとナルグレークの国境になっているわけであるが、言うまでもなくこの川は大きな川で、気軽に渡河できるわけではない。渡河に適した、それも大軍を渡河させるのに適した地点と言うものが存在する。


 ラグナスがナルグレーク軍の侵攻ルートとして挙げた、渡河のための地点は二つ。過去ナルグレーク軍がメルーフィスに侵攻してきた時には、必ずこの二つのどちらか、あるいは両方を使って軍勢に川を渡らせてきたのだという。


「ふむ……。では、今回はどちらから侵攻してくると考える?」


「経験則から申し上げれば、確率が高いのはこちらです」


 そう言ってラグナスが示したのは、二つある内の下流の地点だった。クシュベガの勢力圏に近く、そのため開けた地形となっている。上流の地点と比べても、より大軍を渡らせやすい場所だとラグナスは説明する。そのため過去の侵攻においては、およそ七割の確率でこちらのルートが用いられてきたという。


「七割か……」


 ライシュは小さくそう呟いた。これを無視することは当然できない。しかし、だからと言ってもう片方の三割という確率も、切り捨ててしまうには少々大きな数字だった。加えてどちらか片方だけではなく、両方を用いて侵攻してくる可能性もある。


「……軍勢を三つに分ける」


 しばらく考え込んだ後、ライシュはおもむろにそう言った。第一軍は捕虜としたメルーフィスの兵士たちを連れて王都プレシーザへと向かい王宮を掌握する。これは総司令官であるライシュが率いることになる。


 第二軍はより確率の高い下流の渡河地点へと向かう。これがナルグレーク帝国軍を撃退する上での主力であり、ラクタカス将軍率いる本陣およそ10万がその命を受けた。


 そして第三軍は確率の低い上流の渡河地点へと向かう。ライシュは東方貴族たちの軍勢より4~5万ほどを見繕ってこの任務に当らせるつもりであったが、ここへエルストが口を挟んだ。


「恐れながら、いずれの方にこの軍勢の指揮権を与えるおつもりでしょうか?」


 単独で4万以上の兵を連れてきた東方貴族はいない。である以上連合を組むことになるがその場合当然、第三軍の指揮権を誰に与えるのかを明確にしておかなければならない。


 最有力候補は東方貴族の中で最も爵位の高いカディエルティ侯爵だ。しかしカディエルティ領軍は先の決戦での損害が大きい。しかもここが突出したせいで東方貴族全体が敗走したようなもので、つまり指揮下に置く者たちからの心象が悪い。


 次に名前が挙がるとすればマクレイム伯爵か。しかし先の戦いにおける汚名返上と名誉挽回を望むスピノザを差し置き、オルブレヒトを指揮官にすれば両者の間に確執が残る。特に、選ばれなかったスピノザはライシュにも不満を持つだろう。それはライシュにとって好ましくない。


 だがこの二人以外となると、東方貴族の中ではこれといった人材がいない。誰を指揮官とするつもりなのかと言うエルストの指摘は尤もだった。


「もし御下命いただければ、私が務めますが」


 エルスト自身がそう名乗りを上げる。しかしライシュは首を横に振った。


「いや、エルストには王宮の掌握を手伝ってもらいたい」


 ライシュの言葉は彼の本音だった。しかしそれが全てではない。エルストにこれ以上戦場で手柄を立てさせないこと。それもまた、言葉にしない彼の本音だった。


「よし、第三軍の指揮官はカルノーにやらせる」


 ライシュはそう決断した。複数の貴族の軍勢が集まった場合、近衛軍から指揮官が派遣されるというのは、実はよくある。だから第三軍の指揮官にカルノーが指名されたのは、特に不思議なことではなかった。


 もっともカルノーはライシュの義弟であり、そのための依怙贔屓だと感じるものは少なからずいた。ただ、彼が先の決戦で武功をあげたのは事実。そのため表立って反対できる者はいなかった。


 こうして第三軍の指揮官はカルノーに決まったわけだが、彼の部隊はたったの1万弱。4~5万とされた第三軍の規模には遠く及ばない。そのため東方貴族の中から志願者が募られた。


「スピノザ卿、いかがか?」


 ライシュがまず最初に声をかけたのはスピノザだった。カルノーはもともと侯爵家の家臣。そのためカディエルティ領軍には知り合いも多く、そのため指揮や連携がしやすいだろうと思ったのだ。


「はっ、残念ながら我が軍は損害が大きく……」


 だがスピノザはそれを断った。カディエルティ領軍の損害が大きいのは事実だが、しかしそれ以上にスピノザ本人の心情が問題だった。


(カルノーの下で戦うなど、冗談ではない……!)


 カルノーが侯爵家に使えていたころ、スピノザはその家の世子だった。当然、立場はスピノザの方が上である。それなのにカルノーはあれよあれよと言う間に出世してしまい、今ではほぼ同格。逆にスピノザは侯爵家を継いで初めての戦で躓いた。この上カルノーの指揮下で戦うことになれば、立場が逆転してしまったかのようで面白くない。


 いや、実際のところそんなことは大した問題ではない。スピノザがカルノーのことを気に入らない最大の理由は、彼がジュリアの婚約者、いや夫であることだ。自分が懸想している女を奪った男の指揮下で戦うなど、スピノザは死んでもご免だった。


「ふむ……。他に我こそはという者はいないか?」


「では、志願させていただきましょうか」


 そう言って手を上げたのはオルブレヒトだった。さらに数名の東方貴族が手を挙げ、第三軍の総勢はおよそ4万3000となった。


「兄上、わたしもカルノーと一緒に」


 そう言ってジュリアはカルノーと一緒に往くことを願った。しかしライシュの答えはつれない。


「駄目だ。本陣を全て動かすからな。リドルベル領軍には私の護衛をしてもらわねばならん」


「ならば、わたし一人だけでも」


 ジュリアはそう言って食い下がるが、しかしライシュは許しを出そうとはしなかった。


「駄目なものは駄目だ。アトーフェル将軍、今度こそそのじゃじゃ馬を逃がすなよ」


「ははっ」


 アトーフェルがライシュの側についたことで、ジュリアに勝ち目はなくなった。彼女はいかにもしぶしぶといった様子で引き下がる。これは後で宥めておく必要があるかな、とカルノーは心の中で苦笑した。


 こうして三つに分ける軍勢の編成が決まった。第三軍はマクレイム領軍他東方貴族の軍勢が主力となり、これをカルノーが指揮する。その戦力はおよそ4万3000。第二軍はカルノーの部隊を除く本陣およそ9万で、残り全てが第一軍となる。


「我々はメルーフィスの地理に明るくない。そこでラグナス将軍、地理に詳しい者を見繕い、その者に第二軍と第三軍の案内をさせてもらいたい」


「承知いたしました」


 ラグナスの返事にライシュは満足げに頷いた。これで第二軍と第三軍は不慣れなメルーフィス国内であっても、迷わずに目的地まで行けるだろう。


「言うまでもないことだが、ナルグレーク帝国軍がどこから侵攻してくるかは、結局のところその時になってみないことには分からん。第二軍と第三軍は互いの連絡を密にし、一方に敵が現れた場合はすぐにもう一方がそちらへ援護に向かうように」


 よいな、というライシュの念押しにラクタカスとカルノーはそれぞれ「ははっ」と言って応じた。


「マクレイム伯爵、それに方々。この度はよろしくお願いします」


 軍議が終わると、カルノーはオルブレヒトにそう声をかけた。彼の近くには、同じく第三軍に志願した東方貴族たちが集まっている。数の上で言えば、第三軍はマクレイム領軍が一番多く、またそのほとんどが東方貴族の軍勢である。円滑な指揮を行うためにも、彼らに挨拶をしておくことは重要だった。


「オスカー子爵か。なに、こちらこそよろしく頼む」


「先の決戦では大勝したとはいえ、我らに限って言えば不本意な戦いであった。此度でその雪辱を果たして見せようぞ」


「要するに皆、子爵殿の武運にあやかるつもりなのさ」


 ある貴族がそう言うと、どっと笑い声が起こった。皆志願しただけあって、カルノーを指揮官と仰ぐことにさほどの抵抗は感じていないようだった。


「もし敵が現れれば、東方貴族の武威、とくとご覧に入れるゆえご期待されよ」


「はい。方々の精強さは私もよく知っておりますゆえ、共に戦っていただけることは非常に心強く思います」


 カルノーがそう言うと、オルブレヒトは大きく頷いた。そして彼はふと思い出したかのように、顎を撫でながらカルノーに懐かしげな視線を向けた。


「そういえば、子爵殿は我が領地の出身であったな。あの日のことは覚えておられるか?」


「もちろんです」


 カルノーは即答した。オルブレヒトの言う「あの日」とは、カルノーがアーモルジュの弟子となったあの日のことであろう。あの日のことは、死ぬそのときまで決して忘れることはないと、カルノーは確信していた。


「確か、子爵殿はアーモルジュ殿の秘蔵っ子と呼ばれていたな」


 それは、カルノーがまだ士官学校に入る前のころの話である。ただ、カルノーがカディエルティ侯爵家に正式に仕官してからも、アーモルジュに可愛がられている彼のことを人々がそう呼ぶことは少なからずあった。


「その手腕、期待させてもらう」


「師父の名にかけて」


 カルノーが力を込めてそういうと、オルブレヒトはもう一度頷いた。そして彼は第三軍に志願した東方貴族たちを引き連れて自分達の陣に戻って行った。カルノーもまた自分の部隊へと戻った。その背中を、スピノザが射殺さんばかりに睨みつけていたことに、彼は気付かなかった。


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