5話 尚輝の実力と理性
今回は主人公がいろんな意味で活躍です。
「悪いな。この子は俺が先約済なんだ。ナンパなら他をあたってくれ」
尚輝はそう口にした。
暗闇でよく見えないが助けた少女がかなり驚いているのがわかる。
「悪魔か」
尚輝はそう呟いて剣先を悪魔の喉元に向け構えをとった。
悪魔の活動時間は主に深夜だ。基本的には1学生が会うことのない存在に緊張しているのが尚輝からはうかがえる。
「人間ガ。調子ニ乗ルナ」
「!?。早く逃げなさい」
悪魔がもう片方の腕を刃物のような形状に変え尚輝にそれを振り下ろす。それを見て少女は尚輝に逃げるように促すが間に合わない。
そして悪魔の腕は振り下ろされた。
「ナっ」
その攻撃は確かに尚輝にあたったはずだった。しかし尚輝は無傷で振り下ろされた腕の横にいた。
「もう終わりか?」
「ナメルナァァァァァァァァァ」
尚輝は悪魔を挑発する。
挑発された悪魔は憤り何度も攻撃する。しかし
(ナゼダ。ナゼ攻撃ハアタッテイルハズナノニカワサレテイル)
その攻撃があたっているように見える筈なのにあたっていないのだ。実は尚輝がギリギリまで攻撃を引き付けあたる直前で必要最小限の動きで躱しているのだ。だが悪魔はそのことに気付かない。
「アタレェェェェェェェェェ」
十度目ともなる攻撃も容易に躱す。
悪魔はすっかり冷静さを失っていたが同時に水を相手にしている感覚を覚えてきた。
そして十一度目の攻撃。
(アタッタ)
悪魔の腕は尚輝の胸を貫いており悪魔はニヤリと笑った。
「攻撃があたった、とか思った?」
「ナッ」
尚輝は胸を貫かれておらず悪魔の懐に入っており悪魔は動揺を隠せずにいた。
「水無鏡」
尚輝はそう言うと同時に剣を一気に振り抜いた。
「はい、終了」
尚輝は自分の剣にかけた魔法を解き木刀に戻す。
瞬間、悪魔の体は胴体から真っ二つに切れており悪魔の血液が流れていた。悪魔は死んだのかその体と流れていた血液は粒子となり辺りに散った。
「最下級の悪魔『シャドウ』とはいってもそれをたったニ撃で倒すなんてあなた何者?」
「俺の名前は篠原尚輝。ただの遊び盛りの学生で一応約束は守る奴だと自負している」
今まで雲に隠されていたのか月が顔を出し月の光で辺りが照らされる。すると少女の姿がはっきり見えるようになり
(綺麗だ)
尚輝は見惚れていた。
今朝見たときとは違い月の光が彼女をより幻想的にさせていた。
闇に紛れるような黒い瞳、月の光をも吸い込むような長く黒い髪、髪と瞳と同じ色のドレス、凛々しくありそれでいてほんの少しだけ幼さを感じさせる顔。
彼女のすべてに尚輝は見惚れていた。
「あなた、今朝会った人ね。よかった、約束覚えていてくれて」
彼女は笑顔を尚輝に向ける。
尚輝は自分の顔が赤くなっていくのを感じる。
(あの笑顔は反則だろ)
尚輝にとってみれば彼女の笑顔は天使の微笑みと同様だったという。
「私が選んだ人が強くて本当によかっ・・・・・・た」
「おいっ大丈夫か」
少女が急に倒れ尚輝が急いで支える。
「すぅすぅ」
「寝てるのか」
少女は緊張が解けきったような寝顔を見せていた。
「とりあえず家に帰るか」
尚輝は少女をおぶり、そのまま家へ帰宅しようとしたが
(せ、背中に柔らかくて弾力のあるものが)
少女の胸が尚輝の背中にあたっていたのだ。
少女の歳は尚輝とそうかわらない程であろうが体の発育は良いらしい。
(落ち着けぇぇぇ俺の本能。俺の理性、全力を尽くせぇぇぇぇぇぇ)
尚輝は理性を総動員させて自分を落ち着かせる。そして頑張って帰ろうとするが
(ゆ、揺れる度に背中にあたる柔らかい果実が押しあたるぅぅぅぅ)
尚輝が歩けば当然多少なりとも少女の体が揺れる。揺れる度に少女の胸が尚輝の背中に押しあてているような形になり理性をさらに狂わせる。
(地球のみんなぁぁぁぁぁぁぁ。俺に理性を分けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ)
もはや某ドラゴンのボールにでてくる玉の技のセリフを心で叫び本当に理性を分けてもらおうかと考えていた。
そんな調子で尚輝は帰宅していったという。
今回から少し書き方を変えてみました。
前のほうがよければ直します。
当分はこの書き方でいきますのでよろしくお願いします