第2夜 神の子03
今回、話が進むに連れて流血・グロ表現が出てきます。
苦手な方は回避をお願いします。
読んだ後の批判等は受け付けませんので、ご了承ください。
―その夜、夢を見た。
辺りは薄暗くはっきりとは見えないが、場所はどうやらあの旧校舎のようだ。
「…事件を深く考えすぎてるからこんな夢見るのかな」
夢だと言う自覚はある。
寝ているような覚めているような、不思議な感覚があるから。
それにしても…夢に見るほど、今回の依頼にのめり込んでいるか。
眠る時くらいはゆっくり寝たいんだけど、と愛羅は小さく溜息を零す。
―…て
「…?」
何か聞こえたような気がして辺りを見渡すが、誰もいない。
空耳か、と先程のことを頭から消そうとすると
―…す…て
「まだする…」
一体どういうことだ、と眉を寄せる。
これは、夢だ。
夢のはず、だ。
深く考える必要はないと思うが…。
―助けて!!!
「!!」
はっきりと聞こえた「助けて」に、愛羅は声の聞こえた方向へ走り出す。
暗闇の中、はっきりと見えない校舎を、止まらない「助けて」の声を辿るように走る。
ピチャッ
ヌルッ
「?!」
足元に大きな水溜りがあるらしい。
暗くてよく見えないが、かなりの規模だ。
「(何だ…?鉄の匂い…?)」
まさか…と嫌な予感がするも、首を振って頭から追い出す。
その時、パチッと電灯がつく。
眩しさに眼を細め、目が明るさになれた頃、視線を下に移す。
「!!!!!」
水溜りだと思っていたものは、廊下一面に広がった紅く怪しく光る血溜まりだった。
嫌な予感が当たった、と愛羅は唇を噛む。
「さっきの声は、この奥から…」
―パチャッパチャッ
水音を立てながら、血の海の上を歩く。
血の匂いと色に悪酔いしそうになりながらも、何とか突き当たりの部屋に辿り着いた。
「ここに…声の持ち主が…。無事だと良いけど」
まさかこの血の持ち主じゃないよね、と思いながらドアに手を掛ける。
キィ....
部屋の中は真っ暗だった。
愛羅は手探りで、電気のスイッチを探す。
パチンッと電気がつくと共に目に入ったのは…血の海の中、その血で体を濡らした少年だった。
「!!!!」
ぐうっと吐きそうになるのを押さえ込む。
これは酷い。
青年は大体15、6で和服を着ていた。
「一体、これは…」
夢であるはずなのに、リアルな感覚。
夢のようで夢じゃないこの感覚は見覚えがある。
「まさか…過去視?」
「正解」
突然聞こえてきた声にバッと振り向くと、そこには先程見た青年の姿が。
「まさか…あれはあなたの…」
「そうだよ。流石だね、緋守家次期当主。まさか、俺の過去を視れる奴がいるとは思わなかった」
「あなたが、これを僕に見せてるんじゃないの?」
「まさか。確かに、君の夢を介して君に会いには来たけど、自分の過去を見せるなんてしない。
君が俺の過去を視た、それは君自身の力だ」
「あなたは一体…それに、何故僕に会いに?」
「俺のことは知ってるはずだ、愛羅。何度となく、俺の話を聞いた事があるろう?」
「あなたの話を…?」
青年の言葉に、記憶を辿る。
そして、辿りついた一つの記憶。
「あなたはまさか……冥府の神子?!」