第1夜 依頼09
一度屋敷に戻ってきた愛羅は、すぐに自室に向かった。
途中誰かに呼び止められた気がしたが、カガミのことでいっぱいで足を止めはしなかった。
バタンッ
扉を勢いよく閉めるとカガミを布団の上に寝かせた。
「カガミ……」
「マスター、大丈夫よ。さっきも言ったけど、魔力を大量に放出して気を失ってるだけ。力が戻れば、元気になるわ」
「……だが、カガミは高位の妖魔だ。魔力もかなりあるはずだぞ?」
焔の言う通り、カガミは妖魔の仲でも高位に属し、それに伴って魔力の量も半端ではない。
普通なら、こんな風に倒れるなんて事態は起こらないはずだ。
「……あの糸だ」
ボソリと呟かれた言葉に焔と月花は真剣な顔つきになった。
「封魔の術式が施してあったな」
「それも…かなり強力なものね」
「……封魔の術式は術者の力によって5段階位に分けられる。…あれは、多分かなり高等な術式だ」
「…術士が関わってる、厄介なことだな」
焔は溜息を深く吐きながら寝そべった。
「焔?どうしたの?」
寝そべった焔を心配そうに見つめる愛羅に、焔は尻尾を軽く振り
「少し彼ただけだ」
ちょっと寝る、と寝てしまった焔に呆れた様に笑う。
「マスター…今回の件、あの方達を呼んだほうが良いわ。悔しいけど、私やカガミじゃとても太刀打ち出来ない。私たちは、役立たずよ」
「そんなことない、月花もカガミも十分力になってくれたよ」
悔しそうに、そして悲しそうに告げる月花の頭をヨシヨシと撫でながら微笑む。
彼女たちは十分力になってくれた。
だからこそ、今回“術士”が関わってるのが分かったのだから。
「今日はありがとう。月花、カガミを連れてゆっくり休んで」
「マスター…ありがとう」
嬉しそうな笑顔を浮かべ、カガミを連れて還った月花を見送った後、ゴソッと綺麗な赤、緑、蒼、黄、紫の5種の球が填められたペンダントを取り出した。
「……我希う、血の契約の元に我の前に姿を現し、我に力を与えよ!!」
呪を唱えペンダントを前に翳すと、パァァッとペンダントが光り、2人の少年と3人の少女が姿を現した。
「はぁい、愛羅。久々ねぇ」
赤髪で紅眼の少女はニカッと笑って。
「僕達を呼ぶ、と言うことは、今回何か厄介なことでも?」
緑髪で若葉色の瞳の少年は、コテンと首を傾げ。
「俺達全員呼ぶほどのことなのか?」
蒼髪で氷蒼の瞳の青年は腕を組み。
「私達、頑張りますよ」
金髪で金眼の少女はやる気満々で。
「……愛羅、やっと呼んでくれた」
紫銀髪で紫眼の少女は嬉しそうに。
それぞれがそれぞれの表情で愛羅の前に立っていた。
「皆、来てくれてありがとう。今回、かなり高位の“術士”が関わってて厄介なことになってるんだ」
力を貸してくれる?と愛羅が問えば、5人とも「勿論」と快く言った。