第4話
炎は狐の仮面どころか、顔すらも見覚えがあった。何故ならば、炎もまた、人鬼であるからだ。
時を遡る…
炎は村で産まれた。後に若と平木によって全焼させられた村だ。
炎という名前は、物心つく前に亡くなった母親から貰った大切な名前だ。
この村では、定期的に人鬼が産まれるそうで、炎もその一人であった。
そして、人鬼は言葉が話せるくらいの歳になると、とある組織によって連れ去られてしまう。
村の住民が、組織に人鬼を捧げるのだ。
そうすれば、多くの食料と金を貰えるのだそう。
今年もまた、人鬼が連れて行かれる。
炎は何回もその現場を目撃している。
「今年の人鬼の特徴は[頭に羽]ですか、能力は?」
「荷物を浮かして運ぶ能力らしい。」
「へ〜」
人鬼の抵抗なんて気にしていないかのように、呑気に連れ去って行く。
子供の抵抗は虚しいものである。
次は自分。
炎は村から脱走しようとした。が、まだ子供、すぐに取り押さえられてしまった。
組織の一員(後の赤い狐の仮面の人)が炎のもとへ駆け寄る。
「こいつ来年のだろ?確か、ホムラって言ったか。気性が荒いのか、そうか、じゃあ俺の施設で匿ってやるよ。」
匿う。違う。閉じ込める。
炎は能力を使った。
[数秒間周りから見えなくなる能力]
物すらも感知できない。
手錠が地面に落ちる。
「あ、あいつ、どこいった。」
炎は村から逃げた。
従兄弟を置いて。
(従兄弟の方は後に人鬼と繋がりがあるとして、村から追い出された。)
そうして今現在、猫人と共に、あの時の組織の一員の、赤い狐の仮面の人と、再会する。
少しばかりの動揺を落ち着かせようと、炎は目を閉じる。
覚悟が決まったようだ。
炎は今日ここでこいつを仕留めると、決めた。
目を開く。と、そこには。
猫人の長い爪で胸のあたりが貫かれた赤い狐の仮面の人の姿があった。




