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猫人  作者: Wosss
第三章 高
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第壱話

足音がした。鎮火はまだできていない。

炎をバックライトにして人影が目に映る。

誰だろうか、期待はしない。きっと悪い人。

猫人はその誰かに担がれ、このマンションの地下へと連れていかれた。

そしていつの間にか、猫人は気絶していた。

目を覚ます。

「お、やっと起きたか。」

中年くらいのおじさんだ。

柵の外から話しかけられる。

「私の名前は高森(たかもり) 漆地(うるじ)だ。」

「ここ、どこ。」

猫人は怯えることもなく、ただ柵の中の硬いコンクリートの壁に寄りかかる。

何度も敵と対面している。今更怖がることも無いのだろう。

「ここは地下室だ。君たちが爆発させたマンションのな。」

そう言って、高森は横にあったパソコンに身体を向けて、キーボードを打つ。

猫人と高森のいる場所は地下室の中でも個室で、他の部屋の音は少し聞こえる程度である。

猫人は何故か非常に落ち着いていた。打鍵音を心地良いと思うくらいには余裕があった。

エンターを押す音。

高森は再び猫人の方を向く。

「データはそれなりに取らせてもらった。協力感謝するよ。っと言っても、一方的にこちら側が君を閉じ込めただけなんだけどね。悪いね…まぁ、あともう少しだ。」

あともう少し、また、何かが起きるのだろうか、覚悟ではなかった、猫人は、慣れてしまっていた。

高森は別の場所へと向かい、部屋には猫人一人になった。

でも、猫人は何もしなかった。ただ、俯いて、何も考えずにいた。

高森は思ったよりも早く戻ってきた。

そして言った。

「開放しよう。」

猫人はここで初めて戸惑いを見せた。

敵が、こうもあっさりと逃がしてくれるのかと。しかし、高森に企んでいる様子は見えない。

「君はマオレンと言ったか、君を開放する。もう誰からも追われる心配はしなくて良い。私が保障しよう。」

そう言って、柵の扉を開けた。

鍵を差し込むことなく、開けた。

元々鍵などかかっていなかったのだ。

高森は丁寧に出口までの道を教え、作業に戻った。

瞬間…

高森の(はらわた)から爪が伸びた。

「ゔ、マオレン、気づいていたか、」

高森は血を吹き出した。

猫人は、高森を後ろから刺したのだ。

真っ平な嘘。

高森 漆地は、猫人の情報をどこかに送信しようとしていたのだ。

もしも送信されてしまえば、今までよりも追われやすくなる。

炎の始末を命じたのも、高森である。

持ち前の視力。

パソコンに映し出された内容から、高森は[朱鷺(とき)]という組織のメンバーであった。そして、あろうことか、高森は、猫人を今まで酷い目に合わせた元凶だったのだ。

猫人は冷ややかな目で、死にゆく高森を見下し、死んだのを確認した後、その場を後にした。

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