第7話
「まおれん、だっけ?君。」
猫人は頷く。
「炎に頼まれたことがあるんだ。」
そう言うと、縁火はポケットから四つ折りにされた紙を取り出し、広げた。炎の書き置きのようだ。
「君に真っ当な人生を送ってほしい。ってね。」
続けて、
「だから僕は、君に人生の生き方を教えることになった。うん。色々と教えてあげるよ。」
そして言う。
「ただし、その代わりに僕のモデルになってくれ。」
猫人はきょとんとした。モデルがどういうものかを知らないのだ。
「あーえーと、君を絵にさせて?」
猫人は微妙に頷いた。
絵に描いたような美少女、猫人。
ダイニングチェアに座った少女を、一枚の画用紙に描き写す。
「動かないでね〜」
猫人は前後に揺れていた身体をピタッと止める。
数時間後…
「よし、完成。」
縁火が出来上がった絵を猫人に見せる。
猫人は微妙に驚いた。反射で映る自分の姿とそっくりな絵が目の前にあることに。
そんなこんなで、日が進むにつれ、猫人は色々なことを学んでいく。
そして、炎と別れてから5日後…
勉強に慣れてきた猫人は、縁火と一緒にテレビでニュースを見ていた。
速報。マンションで火災発生。
動体視力。
猫人はテレビに映し出されたマンションに炎が入っていくのを目で捉えた。
「ほむら?今、ほむらが映った。」
猫人はテレビを指差してそう言った。
縁火はそんなまさかと答える。
マンションは、秘密基地から縁火の家に行く途中に見たもの。
炎は何をしようとしているのか、そのマンションには何があるのか、そして何より、猫人には、もう仲間を失いたくないという想いでいっぱいだった。
家を飛び出る。
「あ、まおれん!ちょ、どこ行くんだ。まって!」
猫人は縁火の声など耳に届かず、あのマンションに向かってしまった。




