第6話
炎は何も喋らずに、ただ淡々と歩いている。
猫人はそんな炎を不思議に思いながらも、歩幅を合わせる。
住宅街へ出て、子供の声が所々から聞こえてくる。丁度登校の時間帯のようだ。
炎が足を止めて、並んだ家の、丁度真横にある家を指差した。
「あれが俺の従兄弟の家だ。」
そう言って、インターホンを押す。
「おーい俺だ。久しぶり。」
インターホン越しから、わかった。と聞こえ、玄関扉が開く。
「本当に久しぶりだな。炎。そこにいるのが君と同じ、人鬼かい?」
猫人は炎の後ろへ隠れる。人見知り、なのだろうか、炎の脚を掴んでいる。
「え、怖がられてる、のかな、」
「知らね。」
続けて、
「こいつが俺の従兄弟、中野 縁火だ。」
「あ、よろしく、お嬢さん。」
縁火は少女に目線を合わせた。
炎はそのまま立っている。そして言う。
「んじゃ、これでお前とはお別れだな。」
猫人は上を向いて、炎に何かを訴えるような表情を浮かべる。
炎も少女に目線を合わせて、
「大丈夫だ。お前は縁火の元でもうまくやれるさ。」
すると縁火。
「その子、名前なんて言うの?」
「そう言えば、名前、聞いていなかった。」
少女は答える。
「まおれん」
そうか。と炎が言う。
「いい名前だな。それじゃ、マオレン、じゃあな。」
言って、炎は姿を消した。
猫人は涙を拭っている。
そんな猫人を慰めようと、縁火はあたふたしている。
炎はどこまでいっても鈍感だ。こんな美少女をこうも簡単に置いてくなんて。と、
縁火は思った。
「と、とりあえず、中入ろう、朝ごはん食べよう、そうしよう。」
「うん…」
猫人もかなり返事をするようになってきた。
家の中に入ると、至る所に絵画が飾ってあった。
そう。縁火は画家なのだ。
猫人は物珍しさに辺りを見渡す。
「できたぞー。」
美味しそうな匂い。
「それじゃあ、手を合わせて、」
猫人は縁火の行動を真似る。
「いただきます!」
「い、いたたき、ます」
ぎこちない。また、フォークの使い方も。




