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53.2014年 第二次ウイルス感染

 世界が二度目のウイルスの広がりによってダメージを負った。ミグラント国の生化学技術に追い付こうとあらゆる分野で無理をしていた中、改造していたウイルスの漏えいである。

 世界中に瞬く間に広がり、それは手遅れなほどウイルスの封鎖に失敗した。感染者が世界中に巡り続け、観光地と有名な場所の8割が封鎖され著名人なども感染し生死の境をさまよっている。


 対処療法しかないとはいえ、英国王立医学研究所が地道に研究を続けていた汎用的にウイルスの増殖を僅かながら抑える薬が存在していた。危機的状況から英国連邦で最大限量産し、間に合わないとして世界的非常時故に米仏露にも製造方法を公開してでも量産したことで地球で発生した大規模感染よりは先進国での死亡者は少ない。

 ただし途上国では対症療法を行う医療器具さえ不足しており、同様に多くの死亡者が出てしまい葬儀場や火葬場は間に合わず地獄の様相を呈していた。棺があれば良い方であり、間に合わず死体袋そのまま火葬へと送られ、誰しもが亡くなった家族の遺骸の近くで嗚咽している。



 発生元は究明中ではあるが、これが人為的に製造された ウィルス兵器 であることは各地の研究機関がその判断に達しつつあり、発表と同時に開発国家に対して世界中の被害者が報復を叫ぶのはもはや止めらるものではない。

 WHOの国際研究機関や各国の先進病理研究機関、米の生物兵器研究機関さえも、解析の進行状況から“生化学的改造処置を受けた生物兵器”であると結論が出されている。

 民意に押される報復戦争はもう止められない。




2016年 2月 宗国戦争

 国連

 大量破壊兵器に含まれる生物兵器の開発と大規模運用に向けた施設の建設が判明した。国際法への違法行為、大量破壊兵器の保有、生物兵器の開発と漏えい、挙げればきりがない。

 世界中からの上がる報復と怨嗟の声、それは元々友好国からも上がり、大国同士による大義名分を利用した国土切り分け作戦の立案、ことこれには米露の策略もあり秘密会議が行われている。

 彼らが求める戦争景気、新たな領土や資源地帯の確保、強大な国家は利害や権利で敵対するがもし協力する理由と利益があるのなら構わず行動を取るからこそ列強という立場に居られる。

 一致して簒奪を隠すべく表向き大規模生物兵器の破壊を目的とした任務、東西が協力することになっており大規模破壊爆弾の用意など加減する様子もなかった。

 しかし米国はイラク戦争で戦力を派遣している状況であることから余力はさほど多くなく、前もってイラクとの再交渉と表向き終戦に向けた取り決めとして、大規模破壊兵器の自主的破壊と放棄を行ったと世界に報告し終結宣言を行った。実に都合よい発言と行動であるのだが、実際には存在しないのだから政府は仮の承認と事後承服だけで済んでしまう。


「大量破壊兵器に関して一切の放棄及び国連の監査を受け入れる事を国際社会に対し、明文化し署名いたします」


「米国はイラクへの制裁処置一切の終了を宣言する」


 世界へと報道されている議場で行われた双方の署名と握手。むろん恨み辛みは変わらずであるが、何をするにしても国家を整え直す必要があるイラクとしても終戦は双方にとって利があった。

 得られる資源や物資は紛れもなく宗国の方が利が多く、油田に大地にレアアースと得られるということは大きい。そして現在は大義名分がある上に今なら広大な土地を持つ為に占領に苦労するところを、世界中の怨嗟を理由に出兵を求めることができる。現状では有志連合ではなくほぼ全世界となる多国籍軍に指揮系統のオーバーが予想されるが。現在は大量の資金及びヘッドハンティングによって急激に軍事技術が向上しているが現在なら技術的にも統合的に優位に立てる。今が最良な状況であった。



 米露秘密会議

 ロシアは日本海側に新たな不凍港と南下による北清鮮との国境線周辺までを得ることを最低限度の条件とし、最大として赤峰市までの制圧と占領を許諾されている。

 米国は油田とレアアース産出地域を希望しており、広大であるがその地域を制圧するための戦力や消費物資も膨大であるために協力を行う西側諸国は多い。

 もちろんお互いに信用はしていないのだが、優先順位は確定でありそれを違える事はない。


「では確かに」

「えぇ、裏切らぬよう」


 お互いに裏があるにせよ、東西二大巨頭が決定し密約が結ばれた以上、宗国への攻撃は確定している。西側という派閥の中に置いて英国はフランスやドイツと共に重要な立場にあり、直後に行われた会議において協力関係に関する概要についてはの確認が行われた。

 国際連合の中でも西側諸国は朝清半島および日本に兵力や物資を集積する手はずとなっている。日本でも限られた港ばかりであるのだが、英国は横須賀港にいかなる状況でも利用できる専用埠頭がある。

 ミグラント国が周辺の復興協力や資金援助を主にしていたことから今だ民意も比較的良好、埠頭の拡張工事についても資金提供していた事から、日本有数の大規模港である神戸港などと比べると小さいとはいえ個別利用にしては比較的規模も大きい。大抵の場合において英国籍を持つ英国連邦の民間船が停泊しているのだが、他の港をさほど利用する必要はなく物資を集められるのは利点であった。

 あくまで陸戦と航空戦が主となる戦場、広大な大地の中で各国が求める資源など共通性はあまりない。



 国連

 国際会議の場で平和に向けた発言がされる。しかしすでに決定している為にこれはただの茶番でしかない。


「各国には平和のために協力を求めます」


 生物兵器に関するあらゆる技術の放棄、軍事力の削減など資本主義及び共産主義双方陣営からの圧力は避けられない。もちろん宗国に味方する国家もある。主に第三世界なのだが、重要なことは力ある世界の主要各国がウイルス製造国であると認めている上に国連によって議決されていることだ。その味方する第三世界の国家とて、要人や民間人に多数の感染者による死者が出ている為、本当に宗国がウイルスを開発し漏えいさせたのか、正確に判明させるべきだという形の擁護に過ぎない。

 各国に賄賂などでメディア操作や著名人や政治家への誘導を試みれば。


「これは内政干渉だ!」

「賄賂による誘導など、やはり宗国がウイルスの製造元なのでは」


 その情報が流出し逆に世論操作や賄賂行為によって民意が反発するという詰めへと進んでいる。その情報流出には英国諜報機関が全力で協力しており、今まで民意操作をしていたという事実に敵愾心は民意の総意として制圧作戦を正当化させた。

 そしてならば仕方ないと各国の在留宋国人による、テロ及び在留外国人による反乱という形で日本を盾にする作戦を立て実行した。

 それは国会議事堂や皇居を狙う作戦であり、なんども公安の権限と諜報精度を上げろと英国から圧力がかけられていたが、残念ながら日本政府はそれをしなかったことから事前に止める事は出来なかった。




2016年 3月

 英国


「レヴィア、私から2度目の命令です。 決して皇家を傷付けさせてはなりません。 傷付けば内乱の火種となり英国の損失となるでしょう。 あなたが動きなさい」


 英国王室からの命令、例え襲撃が行われようと急遽取りやめであったとしても、英国王室からの謝罪を入れるとして直接命令が下された。


「即座に対応いたしましょう」


 エリザベス女王陛下から天皇陛下への親書と共に、ミグラント国は日本へ空母AMAGIを含めた艦隊を横須賀港へ送った。



 日本

 英国諜報部は日本に潜入している宗国組織の動きを知っていたからこそ、少数ながら横須賀港に割り当てられているエリアに兵器を運び込んでいた。むろん表向きは富士演習場で行う共同訓練が名目であり、日本政府からも正統に許可を得ており、何事もなければ訓練を行って引き上げる予定であった。

 同様にミグラント国の部隊も少数ながら空母AMAGIと共に完全装備の空挺部隊が待機している。ロークを5台配備しいつでも関東圏内ならば部隊を送れるようにとの対策である。

 しかし日本政府はほとんど動いていない。武装工作員による事件予測と共に対応するように英国政府側から連絡入っているのだが、自衛隊も警視庁も一切動いておらず警戒も市民に不安を与えるからと何もしていなかった。

 皇居特別警備隊は非常時に備え短機関銃程度はある程度持っているが、あくまである程度であって全数ではなく自衛隊レベルの訓練を受けてはいない。あくまで少数の武装犯罪者を相手にする訓練であり、系統で判別すれば警察機動隊程度である。



 皇居

 武装工作部隊の標的の一つは皇居、天皇家を人質に取り日本政府と国民を強請るつもりであった。

 諜報機から得た情報は横須賀港に停泊している英国艦隊へと伝わり、飛行命令や警告を無視してミグラント国の部隊が皇居へと向かった。自衛隊による対応をしようにも、国会議事堂は非常事態であり連絡が取れず、幕僚本部として独自に動く事ができずにいる。

 構わず皇居へと繋がる門の全て前にCV9040C(Mk.Ⅲ)が3台が降ろされ、輸送ヘリによってFV107シミター装甲偵察車も投下された。防備のために手段は択ばず、2機のロークから500名ものミグラント国の歩兵が降りる。一般部隊ではなく特殊部隊であり、必要であれば少数でも基地一つ潰せる兵士達でもある。

 ロークと輸送ヘリによって降ろされ、速度を上げ門へと突入してくる大型トラックを撃ち抜き破壊、それでもバスから降りてくる武装工作員は銃器を持ち出す。また少数が門以外からも侵入しようとするも、表向き偵察ヘリによる警戒とした諜報機の索敵であるが、野良猫や野鳥に擬態した偵察機により皇居全域を制御下にしていた。

 失礼な事ではあるが、皇居内全ての人間が何処で何をしているか、どこにいるか、なんの会話をしているか、すべて把握出来る段階までだ。

 前代未聞の事態、銃声や爆発音だけではなく装甲車が皇居周辺を走り回るのだ。周辺はとてつもない騒ぎになり警察への連絡回線はパンク状態になるも、それでさえも終わりのない銃撃音や爆発音に周辺からある程度の人は逃げていく。


「武装工作員の排除を最優先とする。 皇居特別警備隊は陛下の防備と非常時退避経路からの逆侵入を防ぐための閉鎖を急げ」


 混乱する皇居特別警備隊は保管庫から短機関銃などを持ちだすがあくまで警察組織基準の装備。

 さらに英国連邦 ミグラント国 先代元首 3代目レヴィア伯が直接部隊指揮官として直接訪れるなど、何をどう対処すればよいのか一時混乱するのも仕方ない事、急ぎ伝えられる情報とその量に責任者が首相や警視庁に連絡を取ろうにも、警視庁は現在国会議事堂が襲撃された事で混乱の極みであり連絡さえまともに届く事はない。


「女王陛下より事情を説明する書を預かっております。 安全な場所までどうかお早くご確認を」


 3代目レヴィア伯として親書を渡し移動を願う。国民を考え行動する天皇だからこそ、女王陛下の親書が必要なのだ。失礼であっても非常時であるからこそ立場ある存在からの伝えがあるから動ける、歴史ある天皇家に対して非常時だから今は安全な場所にまで移動を願えるのは英国王室か教皇くらいなのだ。


 了承を頂き、皇居警察隊の責任者と共に大型輸送ヘリによって武山駐屯地まで移動が行われた。状況を英国大使館から直接伝えられており、非常時ということで受け入れこそ行われた。そして武山駐屯地の駐屯地司令が全責任を負うことで自衛隊員の完全装備による防衛体制が取られている。

 防衛庁はいまだ混乱の最中であり、最終決断として各駐屯地では防衛体制といつでも出動が可能な体勢が取られているが、勝手な行動ができないために首相官邸からの出動命令を待つ段階にある。

 皇族を奪取するために武山駐屯地を襲撃してくる可能性もある。最悪の事態としても、英国及び米国の完全な防空及び陸上部隊の即展開及び支援が可能な武山駐屯地、そして協定に基き英国からNATO共通弾薬や兵装が次々運び込まれ、防衛体制が強化されている状況である。



 国会議事堂

 皇居警備隊が困惑し、自衛隊へと首相官邸や国会議事堂から命令を出せない事情もあった。

 皇居が襲撃を受けた同時刻、偽装した複数のバスとトラックに工作員は乗り込み、国会議事堂の正門に体当たりによる突入を行っていた。念のために増員した警察官や機動隊員こそいるものの防弾チョッキを着用しあくまで携帯しているのは拳銃程度、自動小銃や手りゅう弾を持つ集団に対処できるはずもない。議事堂内部へと突入すべくバスから降りた武装工作員と機動隊との銃撃戦に陥っていた。

 もちろんそんな状態なのだ。無線などはともかくとして判明している限りの有線通信システムは遮断は済んでおり、時にはまとめて周辺の通信中継基地を爆破するなど手段は選んでいなかった。衛星通信機などは潜入工作員に破壊され、完全に閉じ込められている状況にある。

 皇居及び国会議事堂の非常時退避地下経路などすでに宗国に流出しており、そちらからも侵入をはかってはいたのだが、接続される地下鉄や民間ビルの地下室など入口はさまざま、逃げられれば追うのは難しく逆侵攻を防ぐための防備も難しい、そして非常の入り口は爆薬程度で簡単に破壊できてしまうために守りも脆い。

 だからこそ皇居には礼装したロークを送り自衛隊駐屯地まで退避を願い行動を起こした。


 国会議事堂は英国空挺部隊が担当している。議員の大多数は非常時シェルターに避難していたが、一部は静止を聞かずに非常用地下避難経路を抜ける為に動いてしまい、運よく脱出できた数名を除いて武装工作員と脱出通路で遭遇し射殺されていた。

 数発撃ち込まれた対戦車無反動砲によって国会議事堂の外壁の一部は破壊され、もはや持たぬと警官の死傷者が多数になったとき、複数のヘリが国会議事堂上空へと到達した。


「自衛隊のヘリじゃないぞ!」

「今度は何だ!?」


 機動隊員や警官は上空から降りてくるヘリに戸惑い、そして大型ヘリだけではなくワイヤー降下してくる自動小銃を持つ兵士、そしてヘリのハッチから身を乗り出し 12.7mm機関銃 による掃射は武装工作員を貫いていく。

 皇居の安全確保から遅れて到達した英国 空挺部隊である。ワイヤー降下と共にシミターにも乗り込み、襲撃者への攻撃は苛烈を増していく。

 

「英国特殊空挺部隊が支援する。 日本の警察機構の負傷者は衛生兵の手当てを受けろ」

「こちらの軍外交官もじきに到着する。 政府とのやり取り対応準備を」


 大型輸送ヘリ群による大規模輸送によってFV107シミター装甲偵察車と歩兵を送り込み完全に抑え込んだ。いくら自動小銃や少数の対戦車無反動を持つとはいえ完全武装の即応部隊には手も足も出せず、皇居や国会議事堂には到達で出来ずに散り散りに逃げていく。

 過酷な訓練をクリアした選別された部隊は、そこそこの精鋭部隊でも相手にならぬ英国空挺部隊、もちろん一流の武装工作員として高い練度を持つとはいえだ。現在の人体の限界ギリギリまで鍛え上げられ、苛酷過ぎる精神トレーニングを乗り越えた個でありながら能動的な群れである部隊、個で優れている武装工作員では相手にはならなかった。

 翌日には非常時退避経路から侵入していた工作員部隊も遅れて到着した日本警視庁のSATによって排除され、残存部隊はビルや工場などに立てこもり、人質を利用して食べ物や金品を要求している。それも警察に包囲されている為それ以上の被害だけは抑えられていた。


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