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2.大英帝国へ 1874-1876年

 1874年

 自らの船体を休める船渠建造も進み、巨大なメガフロート建設もひと段落しつつあった。

 海面上10m、海面下120m、直径5km、海底までアンカーで繋げられた人工島。これだけの大きさでようやく中央に船体を収め、海水から船体を上げる事が可能となる。

 メンテナンスロボットによって船体に付着した海洋生物を落とす作業を進めつつ、多目的製造設備などの建設も並行している。


《現在、この星は歴史データと大よそ共通している。 ならば正当に現在地の所有権を、現時代の列強から買い取るのが安全となる》


 遥か昔故に僅かにデータに残っているものが間違っていなければ、当時の金純度91.67%ソブリン金貨1枚で1ポンドかつ約7.989g、この金貨の価値は製造当初の金の公定価格。ならば500万枚、500万ポンドならば大よそ権利の買取が可能なはずである。

 金のインゴット換算で約39.945トン、誤差を考え45トンの金のインゴットを用意すれば交渉次第で購入は可能なはずであった。

 それ以外にも交渉する為に必要なものを製造する事ができる多目的製造設備、動物性・植物性プランクトンを培養し合成肉や合成作物を用意する必要がある。

 交渉相手である大英帝国は当時、世界帝国と名乗り支配地域も当時の技術レベルから考えればかなり広い。未発見の島などの領有を保証できるのは1870から1880年時では。


1.イギリス帝国

2.オーストリア=ハンガリー帝国

3.フランス共和国

4.ドイツ国

5.イタリア王国

6.ロシア帝国


 外洋航行能力とその支配力から大英帝国であれば、太平洋の中心とはいえ保証する事が出来る。後の確約の為に当時はまだ列強とは言えなかったものの、アメリカ合衆国と大日本帝国にも連名として保障を得る事が出来れば十分となるがそれは難しい。

 何よりも大英帝国は1875年にスエズ運河の44%の株式入手で急遽用意した約400万ポンドの借金がある以上、国策などの観点から考えても穴埋めできるだけの収入があるにこしたことはない。

 なればこそ、不確定要素が大きいHITAKAMIと言う異常な存在も受け入れられる可能性がもっとも高い国とも言えた。

 会話が可能であり正式な取引であるならば時間こそ掛かっても条約や協定を結ぶ価値はある。不可能であるならば他の列強国でも良いと判断できるが、当時の国家体制からして反故にされる可能性が高い。

 外交の為一隻の船舶の建造を開始、当時はようやく石炭機関を主力とし100m級砲塔装甲艦、ドレッドノート砲塔装甲艦が起工したばかりの大英帝国に4000m級の宇宙戦闘航行艦で直接向かうわけにはいかない。





 1876年

 スエズ運河の株式の過半を取得したことで、大英帝国はエジプトへの強権を持つにいたるが一方で莫大な負債は大英帝国を蝕んでいる。もっとも負債よりもその政治体制によって植民地の独立運動を加速させてしまい、のちのち手遅れになってしまうのだが。

 準備が整いロンドン島に向かい船を出向させた、あくまで180m級クレーン付きコンテナ船 33000トン級とほぼ同一、前時代的なものではあるが無人操船する上では最低限度ともいえる。人間が乗り込める場所などは存在しないが。



 大英帝国では最新鋭の軍艦よりも巨大な船が近付いている、その報は王立海軍を驚かせ何よりも所属不明であることから急遽集められる軍艦をロンドン港に集めていた。


「港に居る民間人を避難急げ!」

「艦を港を塞ぐように配置せよ! 砲には全て砲弾を込めておけ!」

「臨検出来る者達には重装備を!」


 騒ぎとなりながらも栄誉ある王立海軍、責務を果たすべく最善の手を模索、非常時に備え港に入らせぬよう装甲艦隊で封鎖し、必要であれば直接乗り込み制圧する準備を進めていた。


(さすが王立海軍、似た歴史とはいえ変わらぬものもあるということは好ましい)


 感心しながらもスピーカーに繋げ訪れた用件を伝える。少なくとも戦う意思はないと理解してもらわなければ、戦闘状況に移行しかねない。


「こちらは外交条約締結に訪れている。 担当者との対話を求める」


 突然の声に拡声器でも使っていると英国側は判断し、王立海軍側も拡声器を取り出し船に並ぶよう足の速い小型艇で接近。同じように拡声器を手に声を張り上げる。


「所属国家を述べよ!」


「所属国家はない。 汝らの価値観で言えば化け物、この船そのものがレヴィアタンの一体と言ったところか」


「何をふざけたことを! 停船せよ! 臨検を行う!」


 船に上がる事はタラップを据えているので可能ではあるが、人間が操船するように出来ていない事から船内への入り口はない。

 それでもなお停船しタラップを下ろし臨検を形式上受け入れる。


「全員注意せよ! 非常時であれば発砲を命令する!」

「「「はっ!」」」


 銃を手に緊張をもって海兵はタラップを駆けあがり船上にでるも、見た事のない四角い鉄製と思われる箱が並び人の姿は見えない。


「船員全員甲板にて臨検を受けよ!」


 臨検隊の指揮官が声を上げて出てくるよう命じる。

 乗組員の確認も臨検の一つ、しかし船員など一人とて存在しない。そもそも船内に入る為のドアや船外を見る為の窓もない完全無人制御船、人型の外交機も今回は用意してはいない。


「この船そのもの、人など居ない。 繰り返すがこの船舶に人間はいない。 交渉用の貨物以外は調べる事を許可する」


 全て中を検閲できる状態にするため、遠隔操作でコンテナの扉のロックを外す。中に入っているのは主に真空パック状態で保存してある食料のみ。

 臨検員がコンテナに注意深く入ると一か所につき一つずつ中の荷物を持ちだし、袋をナイフで開くと中身を確認している。それと同時に船を隅々まで見て回り、どこにも扉どころか窓一つないことに異常さを感じている臨検員もいた。


「どこで停泊をして待てばよい。 港湾前の現在地では他の船の邪魔になるが」


 いまだ混乱の最中にある臨検隊の隊長は即座に意識を整え直し、声がしたほうこうであるスピーカーに向け声を張り上げる。


「こちらで誘導する! 合図を送れ!」


 命令を受けた一人の海兵は旗をもって船首へを移動し、手旗信号を送ると王立海軍の装甲艦隊は閉じていた港を開き、監視できるようにと水深の深い軍港へと誘導され前後を装甲艦に挟まれる形で停泊。

 それでも外交に関して問い合わせを行うという判断を下せるのは、そこはさすが大英帝国の軍人ともいえる。異常な事態であろうとも、その職務を全うする姿勢は変わらぬと。




 一方で英国政府側は人のいない最新鋭装甲艦より巨大な船、それが自ら外交に訪れたと言うことで緊急で開かれた議会は混乱の渦であった。


「あのような船で突然現れる相手など、我々を軽んじている! 撃沈すべきであろう!」

「だが、一隻だけではなかった場合どうするというのだね」

「王立海軍ならば負ける事はないだろう。 しかし近隣諸国への牽制の為に今おいそれと主力艦隊を動かす事は出来ん」


 やや好戦的な意見もあれば冷静に判断している議員もいる、本来であれば女王陛下が最終判断をすべきではあるのだが、現在は長期の喪に服している最中で最終承認以外は公に動くことはない。


「みなさん。 それぞれの意見はあると思いますが、外交条約締結に来たというのならばここは大英帝国としてまずは外交の場を設けるべきではないでしょうか」


 首相のベンジャミン・ディズレーリは、冷静に装甲艦で包囲しつつも外交に来たと言うのならば、まずは話し合いの席を設けることを提案していた。

 何よりも現在、近隣諸国は戦争に虐殺や禁止されている人身売買など酷いありさまであり、周辺国の治安悪化に頭を悩ませ、さらにそう言った行為を止めるかどうかについて議員同士の調整が上手くいかず支持率低迷など苦労していた。

 上手くやりこめればその巨大船を持つ国家を支配下に、事によっては近隣諸国への牽制として“外交”に使える可能性もあると判断していた。

 しかし外交官を呼びつけようとするも。


「我が身はこの船、この船で陸に上がるのは不可能となる」


 船である為港から動けないと断りを入れられ、通常とは異なる対応が必要として、すでに引退済みではあるがその経歴と経験から、フィリップ・ヨーク・ゴア  第4代アラン伯爵が外交官として直接船へと赴いた。

 タラップを上り書記官や担当官にイスを持ってこさせ会談予定場所はテーブルが置かれた場所へと座る。


「さて、それでは外交条約と言う話でしたが、大英帝国にとっていかなる利がある内容ですかね」


 英国に利があるかどうか、当時に近い歴史であるのならば自国優先である事は当然の事。何よりも世界帝国といえるだけの国力を維持していた頃、一方で国力を維持するための政策そして金銭に苦労していたのは明確であった。


「ジャパン島から東に4300kmの地点の領有権および領海権を購入したい」


「領有権とは、その場所に島があると言う事、大英帝国としてそのような事を認めるとお考えで?」


 領有権、そしてジャパン島から東という海原のあるはずの地点、それは島があると言う事であるならば容易い問題ではない。

 島一つの領有、それはとてつもなく重く、そしてそれが太平洋上となれば価値は膨大なものとなる。航海時の水や食料の補給が可能となれば新たな航路など利は計り知れない。


「領有及び領海権の購入費として500万ポンド相当に当たる金のインゴットを支払う。 それは即座に支払いが可能であり当船に積み込まれている。 ナンバー14から17までのコンテナを開く」


 会談予定場所の真横のコンテナ、自動でロックが外され扉が開けられる。

 元よりスエズ運河で大英帝国は財政に重くのしかかっている点、この時期を交渉に使用し遠回しなどなく現物をはっきりと見せ即金で支払う力があると示す。


「大英帝国であるならば、偽物かどうか鑑定を行うと判断している。 そちらの管理する倉庫への輸送は問題はなく、ポンド換金する手数料も支払う事を伝える」


 アラン伯爵はコンテナ内に差し込む太陽光を反射する金塊の山を見て考えがまとまりつつあった。

 確かにこの取引に関して相手側に偽りがない可能性が高く、そして我が大英帝国ならば保証できると信頼もしているのだろう。幾らか隠している裏はあるだろうが、英国の財政に寄与する事は確かである。

 しかも500万ポンド相当となればスエズの権利購入による支出を考えても黒字、新領島は新航路の利益は未知数であり利益が出たとしても結果が出るのは数年先となる、そのことを即座に判断するのは難しく話を切り上げ一旦持ち帰るのが良いだろうと判断した。


「では、本日の会談はこれで終わり、まずはポンドに換金させて頂き話の続きはそれからにさせて頂きましょう。 英国内で使用するなら換金代などとりませんよ」


「確かに、世界通貨であるポンドならばどのような形になろうとも必要になる事は違いない。 心遣いに感謝させて頂く」


 本来の駆け引きであれば他国にもこの話を持ち掛ける予定だというのも手ではあるが、時代背景と近似歴史を考えればそれは悪手、相手の気分を害し交渉は難しくなる。

 大英帝国だからこそ条約締結に意味と価値があると理解し、化け物を名乗ると言う未知数であろうと損益で判断し契約を行うと判断できる。





 大英帝国 王国議会

 纏められた情報が議会へと報告され、実際に500万ポンド相当の金のインゴットは現在軍港の倉庫に運び計算中であった。


「中間報告となります。 500万ポンド相当という話は間違いがなく、現在380万ポンドまで確認が終了しております」


 他国に手放してしまうのは余りにも惜しい、交渉次第によってはもっと多く支払わせられる可能性、資源なども何かしら保有している可能性もある。

 問題は自国の貴族で無い存在が領有島を持つ事、そして人ではないと主張している事であった。


「うむ。 貴族として序せるのならどれだけ利があるか。 貿易船の新たな航路の利益算出はまだ掛かるが」


 貴族として序し毎年の税金の支払いと義務を負わせ、そして領有を許可した島を交易船ルートの補給地とする、人間であったならこの方法が大英帝国としても都合がよい。

 問題は人間ではなく、レヴィアタンという化け物であると主張し姿が見えぬという事。


「人として見えぬなら見えぬとして良いではないか。 長らく病で議会に出れぬ貴族も居る」

「人ではないというのなら打ち倒せばよかろうに。 古来の伝承ではいくらでも倒しているだろう」


 伝承を元にあきれ返る主張をする者もいるが、議会に出れないとしても貴族にしてしまえば良いという者もいる。しかし述べた通り長い間病を理由に議会には出ず、議決権を議長に託す形で過ごしている者も少数ながらいた。


「以前通す事のなかった一代貴族の法案を通し、序したその後法案に問題があったとして廃案もしくは100年から200年凍結すればよいではないか」


 男爵や子爵などは自らの商才をもって貴族になったモノが多くいる、大英帝国の繁栄は自らの繁栄につながる事から、新興の貴族と歴史ある貴族の間でも利用するという点だけは一致している。問題はその程度と手法なのだが。


 三日間の会議の最終案として新興国家として承認し英国所属国家として利用することを最終目的とする。現段階では女王陛下に最終承認を受けることで一代貴族法を一時通した上で領地を持つ子爵として序し、一月後には審議不足であり問題がある法案であったとして一代貴族法を凍結とする。


・領有島および領海を認める上で、一代貴族として子爵に序す。

・叙勲式については病気を名目として公的には行わず書面とする。

・領有島と領海を認め毎年税金として10万ポンドを納める。それは同額に相当する金でも良い。

・交易路の中間補給地として水食糧の売買を行う。

・当年から30年は戦時に置いての徴兵を免除とする。


 詳細にはさらに細かく詰められているものの大筋については纏め過ぎずにおくことで、何か事が起きた場合についても大英帝国側は知らぬ存ぜぬを押し通せるようにする予定であった。


「以上を大英帝国として承認したことを伝える」


 寄港してから二週間後、決議を記載及び女王陛下の承認が為された書面をアラン伯爵によって口頭で読み上げられた。


 子爵、一代限りではあるが島を攻撃する者は大英帝国の気分を害する事になり、大義がなければ国家と言うのは動きにくい、例え相手が化け物とはいえどだ。

 現在の立場は所領を納める外様であり一代限りの貴族、大英帝国としても一代貴族であれば非常時の切り捨ても出来るとの考えの事だろう。

 大英帝国に関わる旗を掲げつつ、交易路について重要となるのは安全と本隊と合流する為の資源、それ以外についてはこの星の民に関して用件はない。


「それでは、次は交易品として食料の売却について進めましょう」


・合成肉

 虫・動物性プランクトンから3D合成によって構成した肉。味は本物の7割から9割と栄養バランスは本物よりも優れる。本来は宇宙空間の遭難者などへの供給品となる。

・海産物

 虫・動物性プランクトンから3D合成によって構成した海産物。味は本物の7割から9割と栄養バランスは本物よりも優れる。本来は宇宙空間の遭難者などへの供給品となる。

・野菜

 植物性プランクトンから3D合成によって構成した野菜。味は本物の6割から8割と栄養バランスは本物より優れる。本来は宇宙空間の遭難者などへの供給品となる。

・果物

 植物性プランクトンから3D合成によって構成した果物。味は本物の4割から8割と栄養バランスは本物より優れる。本来は宇宙空間の遭難者などへの供給品となる。


 動物性及び植物性プランクトンは自然生物ではなく、特殊溶液内でのみ生存が出来るよう改造されたプランクトン類、専用培養液と太陽光さえあれば生産が可能、元より遭難者を対象とした栄養素を優先した食品、味や見た目などの優先度は低い。

 ただし、品種改良がさほど進んでいない1900年程度であるならば、味は遥かに良い。


 全ては植物性プラスチックによって密閉され、2年から3年で風化し微生物に食われ土へと変わる。態々原油からプラスチックを作るよりも、細かな危険性や廃棄物処理について伝える必要もなくただの布や紙の代替品として終わりとなる。

 知る必要もなく、量産する必要もなく、のちに大地を荒らす事のない方法、実に動きにくいことではあるがそれが宇宙法であり順守する事、それを非常時だからと捻じ曲げ特別解釈するなど出来るはずもない。

 裁定する宇宙連邦司法局にとって、そのような判断はないのだから。


「調理済みが必要であるならば、そちらも用意はする。 料理レシピについては提供は出来ない」


 すでに臨検隊が検疫を兼ねて十数食分を持っていき、味等に問題ないということは確認されている。

 開封しなければ1年は持つブロック状に調理済みの肉と野菜、料理に使ってみれば相応に味も良く航海用として使えば食生活は良くなり、果物も四角や丸形などブロックであるものの、壊血病対策でライムを積み込むよりも保存できそれなりに種類がある。


「ある分は全て買わせて頂き、取引は当家が取り行い売買及び支払いも同じくさせて頂くで宜しいですな」


 外交官として対応したアラン伯爵 ゴア家、この家を取引相手として選ぶことに理由もなく、特に誰かを指定する必要もなく、滞りなく真面な取引が行われるなら何ら問題はない。


「売却先はそちらのみという形にさせて頂きたい。 また売り上げの20%は貧民支援への取り計らいには感謝する」


 決して安いものはないが、貴族としての務めを果たさなければ外聞も悪く、また税金の支払いをするには売買が必要となる。その為輸出規模は決して小さい数ではない。


「代替として輸出した食料の1.5倍に値する農作物の購入を行う。 種目については常温保存が長期に効くものを優先としたい」


 英国は不況と共に食料価格の下落に伴う市勢の乱れは確認され、食糧の輸入など当然英国としても許容できるわけもなく、それ故にこちらは航海向け保存食を提供し、提供した以上の量の通常作物を購入する事、それは来年度の納税額を含めたその他諸経費等を全て払えるよう計算された量であるため儲けなどほぼない。


「では、航海の補給地としての詳細についてですが」


「人身売買・薬物売買・武器売買、この三点においては補給協力は断る。 人として実に恥ずかしい行為と認識しているがゆえに」


 これだけは断固として譲らず、水及び食糧の補給地点としては認めるとした。例え水食糧枯渇、船舶損傷であろうとも、犯罪と判断する船舶の補給救助は行わない。

 妥協として遭難船及び遭難者の救助及び保護、そして現船舶による外交移動時の協力、つまり船の搭載量及びサイズを利用した外交的威圧をせよという意味なのだろう。

 現世界の技術レベルでは太平洋の中心近くを航行するのは自殺行為、4か月に一度交易予定のみが接触方法になることから外交的威圧行為への協力をする機会はほぼないだろう。何よりも船をチャーターする行為に関して無料などと言うことはなく、英国とて相応に使用料の支払いについては正当に認めている。


「う……む。 ではチャーターする場合は4か月前に依頼を出せば客船も用意すると」


「高速客船となる。 我が身の一部の為船員は不要ではあるが、身の回りの使用人はそちらで用意しなければならないが」


 装甲艦1隻分にも当たるチャーター費には唸りはするものの、必要とあれば利用する判断を下していた。


 あくまで戦争には直接的な加担せず、戦時においては避難民以外に輸送するつもりはなく、この星の諸問題はこの星の者達が解決すればよい。外様と英国が見ているように、この星にとってHITAKAMIは異物であることに違いはないのだ。

 ゲート建造及び通信機の建造資源採取の為に居る以上、宇宙法にある範囲内でのみ活動する事になるが、探査機を飛ばす中で異様な物体を確認している。直径20mを超える巨大な円柱が佇む深さ不明な巨大な人造湖の存在。

 それがただの惑星による相違点なのか、それともこの星はすでに他の惑星文明の手によって弄り回され管理されているのか、慎重に情報を収集し判断しなければならない。

 単艦とはいえ、星一つを消し去る事は難しくはないのだから。

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