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#5

「花ノ宮さん、この後俺達と一緒に遊びに行かない?」

「え?」



そう放課後の廊下で声をかけられ振り返ると、いかにも一軍な男女5人組が私を呼んでいた。その内の1人の女子生徒は、クラスで見覚えのある顔だったが、他4人は知らない人達である。


こんな面々で遊んでも絶対楽しくないだろう。それに、生徒会長直々の勉強会をサボったら、怒られてしまう。



「ごめんなさい」

「えー、ノリ悪ぅ」

「いいじゃん行こうよ!ほら!」

「ちょ、ちょっと」



男子に腕を強く引っ張られ、私は逃げることも出来ずに彼らに連れて行かれた。


勉強より遊ぶ方が好きな私。彼らと少し遊び、途中で抜けて帰れば良いかと思い、会長を見捨てた。








「ここで遊ぶんですか?」

「そー! そー! 案外楽しいんだぜ」



彼らに連れてこられたのは、何に使われているかよく分からない大きな倉庫だった。ここで思いつきそうな遊びと言えば、鬼ごっこやだるまさんがころんだ等だろうか。



「ここで何をして遊ぶんですか?」

「小林、要、抑えろ」

『了解』

「何をして遊ぶんですか?」



再びそう聞いたが、5人はくすくすと笑うだけ。内2人は背後に周り、私を座らせると腕を掴んで、手が動かせないように力強く固定された。


すると、クラスメイトを含む女子2人がスマホを取り出し、ポコンと音を鳴らして録画を開始する。



「やっぱり、カルト信者は騙されやすいんだな! 餓鬼みたいな嘘をついても疑わないんだぜ?」

「言った通りでしょ? コイツなら、助けに来る友達もいないし、簡単に動画撮れるって」

「だからって、あまりにも簡単すぎっしょ! 今どきの小学生でもこんなのに引っかからないぞ!」



キャイキャイとはしゃぐ5人の話を聞き、やっと理解した。私は騙されたのだと。


昔からそうだった。私は鈍感過ぎると沢山揶揄われていた。落とし穴にも、永遠と終わらないかくれんぼも、何回も引っかかっては、こうして笑われている。


ある日、こう思った。これは直せない私の呪いなのだと。だから、信者になった。神に祈り続けて、この呪いを解くしかないのだと。



「メェーリェ、メェーリェ」

「うわ、気持ち悪っ」



私が祈りを捧げると、それぞれドン引きしたり、悪口を吐いたり、揶揄ったり、色々な反応を彼らが見せた。



「気味悪ぃから、さっさと撮って終わろうぜ」

「女子2人も、ちゃんと商品になるように、撮ってくれよな」

「分かってるっつーの!」

「!」



すると、制服のスカートに手を伸ばされ脱がされそうになる。それに気づくと足をジタバタさせて、全力で脱がされないよう抵抗した。しかし、簡単に足を抑えられ、再び脱がしにかかられ、スカートを剥ぎ取られた。



「止めてください!」

「あんまり反抗しない方が吉だぜ、お前だって痛いのは嫌だろ?」

「メェーリェ、メェーリェ」



私は祈りを口にして抵抗する。自然と涙が目から零れ、嗚咽を漏らしながら、必死に祈った。その様に笑えてくるのか、5人は再び大きく笑う。


すると、彼らの笑い声が6つに増えた。それに気づいた5人が振り向くと、同じ学校の制服を着た、見知らぬ男子生徒が立っていた。



「ここ、僕の倉庫なのに……女子犯すために不法侵入してるの面白ーい!」

「あ、明明星(あけのみょうじ)メオ……」

「おい、この倉庫は誰も使ってないんじゃなかったのか!」

「し、知らないわよ!こんな小汚い倉庫、使ってるとは思わないじゃない!」



メオさんが5人に、再びお面のようににっこり笑いかける。それだけで、5人が先程よりも焦り出し、ついには叫び声を出し、私を置いて逃げ出した。


小さくなる彼らを見届けると、メオさんは私に向き直る。メオさんは、雑に脱がされていたスカートに気づき、拾い上げ、手渡してくれた。



「大丈夫?とりあえず、先にスカート履きなよ」

「ふぁい」

「まったく酷い子達だよね。僕ん家の債務者みたい」

「……。」



スカートを履き、服装を整える。そして今気づきたくない事実に気づいた。


私は明明星家、つまり彼の家に借金をしている。



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