#83:元勇者シロウ=カリベの森林調査①
とある場所にて――――
「村長!おはようございます!」
「おぉ~、おはようございます。シロウ殿」
転生者、シロウ=カリベは森林調査などをする為に一人こうして村長や領主の依頼を受けてキャンプ地なる大自然の村に寝泊まりをしていた。
「それでは暫く周囲を見回って来ます。また何かあれば呼んでください」
「分かりました。調査お願いします」
魔物の危険度、魔物の生態をその場で調べておけばこの村の対策をしやすくはなる。
彼はそう考えてこの村に残っていたのだった。
「ふむ、成程・・・あの魔物は比較的に刺激しない限りは集団で襲撃しないタイプだな・・・」
彼は早速調査を始めた。村からそれ程離れていない場所では比較的に弱い獣型の魔物が多くみられる。
「どれどれ・・・友好の証として・・・ほら、木の実を上げるよ」
「クゥ~?」
その魔物は彼の掌にある木の実を取って食べ、気にったのか全部頬張る。
「ホグホグホグ・・・・・」
「こらこら、そんなに急いで食べたらのどに詰まるよ・・・そうだ」
彼は苦笑いして手拭い用のタオルを持って残りの木の実を置いて包む。
「さっ、これをもって家族の元へお行き」
「クーン!」
その魔物は嬉しそうに木の実が包まれている手拭いを首にぶら下げてそのまま森の奥へと姿を消した。
「さて、調査を再開するか」
村近くの森林を調査した後、少し離れてそこからまた調査を始める。
「鳥の魔物に・・・植物の魔物と・・・ふむ」
大抵の調査を終えて元の来た道に行こうとした瞬間―――
「~~♪~~♪」
「(ん?セイレーンか?・・・いや、セイレーンとはまた違うな・・・もしかして)」
何処からともなく聞こえた歌声の方へ彼は足を踏み入れる。
「~~~♪~~~♪」
「(・・・!あれは触手植物の魔物・・・アルラウネ!!)」
彼は一瞬にして脳裏にその魔物の容姿を焼き付け、そのままバレない様にその場から去る。
「~~~・・・?」
その女性の姿を模した魔物は微かな足音に気付いた。
「・・・なんと、アルラウネが」
「えぇ、姿的に中型、の白髪で下半身がパンプルキンで根が張っているので我々が敵対しなければ多分襲って来ないかと」
アルラウネには二種類存在する。
積極的で優しい方と戦闘狂っぽくて敵対して来る方の二種類。
進化の過程も違うとされている。
「ふむ、おい誰か!森には不要に近づくなと子供等や若いのに伝えておいてくれ!」
「分かった!」
そして彼は村長と一緒にアルラウネの発見の報告をしに行ったのであった。
他三作品もございます。
良ければぜひご愛読くださいませ。
・「オメガ~追放者の絶対支配~」
・「シヴァ~精霊達に愛された精霊魔導皇~」
・「ジョーカー~長生きな転生者、実は最恐の大賢者~」




