#08:甘えてくれ。
「さて・・・と今日の分の仕事は終わり・・・ん?」
今日はいつも通り仕事をしていたがある一人の男が入って来た―――その人は
「久しぶりだな、セヴン殿ここでの仕事は頑張っているか?」
「あ~お久しぶりです。アスラさん」
そうその男こそ今現在【革命】の現ギルドマスターのアスラさん。エヴァンさんの実父で全てのギルドを管轄しているがエヴァンさんの件でキレたらしく娘のエヴァンさんを権力で引退させてギルドマスターの座に戻って来たのだ。今はと言うと―
「それで・・・どうだ?ウチの娘はガーディ殿の為に頑張っているか?」
「同棲したらしくて兄に随分と甘えてくるようになりましたね・・・後俺にも」
俺がそう言うとアスラさんはそうかと安心したような顔つきで
「態々邪魔して悪かったな。残りの仕事頑張れよ」
「はい。アスラさんもお体にお気をつけて下さいね」
アスラさんが頷き【火の鳥】を出た。
それと同時に俺も今手を付けている仕事が丁度終わりギルマスに提出する。
「おっ、もう終わりか。お疲れさん」
「お疲れ様でした。それと来週の休み明けなんですか・・・兄に調査員として推薦されまして」
ギルマスのラインズさんが豪快に笑い
「そうかそうか!ガーディ様に推薦されたか!良いぞ!調査員になっても・・・あーでも食料とか色々必要か」
「そこら辺は心配ないかと、結構鍛えてるんで食料はそんなに多くない程度で済みそうです」
「そうか・・・お前も随分と変わったな」
俺はそうですねと言いラインズさんに一礼してギルドを出る。
そのまま俺はシアンが居る家に帰る。
「お帰りなさい。丁度御飯作っていた所よ」
「助かる。ご飯食べた後に一緒に風呂に入るか」
シアンは微笑んで頷き出来上がった料理をそのまま食卓のテーブルの上に置く。
「「いただきます。」」
数時間後、食事を終えて片付け終えて二人で風呂に入る。
「貴方に会えて本当に良かったわ、そうじゃ無ければ私はどうなって居たか・・・」
彼女の言う通り、俺と出会っていなければ・・・俺以外の男をクビにしていれば・・・それ相応・・・いや、それ以上の悲劇を生み出してしまうだろう。
だからこそ俺も賢い選択をしたのだ。
俺はそんな彼女の肩に身を寄せて片腕を彼女の背中に組むように回す。
「俺もだ、自分が正しいと思った行動をしたからこそアスラさんが正しい判断をしたんだ。それに―――」
俺は彼女の顔を見て祖っとキスをする。
彼女も抗ったりせず、そのままその身で受け止める。
そして―――彼女との関係を初めて持った。
寧ろ責任を持っておこうと自分から進んで彼女をリードした。
その方が聞こえはいいだろう・・・・
暫くしてベッドに戻り寝る準備をする。
「そうだ・・・これからは首輪は外しておこう。何より奴隷紋だけで十分だ」
「・・・分かったわ」
俺のお願いに彼女は頷き奴隷の証とされる首輪を外した。これで彼女は少しだけ自由になれた。
一度ついた奴隷紋は奴隷商に白金貨100枚渡さなければ消す事は出来ない。
だがその必要は無い。
何故なら――――
「これからもずっと・・・俺に甘えてくれ。俺の傍にずっといて欲しい」
「・・・分かったわ」
お互いに既に許し、愛し合う事を決めた――――
次の日、いつも通り朝食を済ませている。
「え?ダンジョン調査?」
「あぁ、良ければ一緒にどうだ?俺のツテで装備一式揃えれるけど」
「調査員になるならばって事よね・・・私も良いの?」
俺は頷き、兄に同伴者も大丈夫と許可を既に貰っている事を話す。
「それなら・・・良いわよ。一緒に行きましょ」
※この作品以外にも2作品(曜日毎に)投稿しています。良ければぜひご愛読くださいませ。
・「オメガ~追放者の絶対支配~」
・「シヴァ~精霊達に愛された精霊魔導皇~」