#36:砂浜での戦い
セヴン達3人が洞窟である海底神殿へ探索中の間の岸の方では―――
「野郎共!まだ持ち応えろ!|支援魔法職はポーションを気にせずに大楯部隊に強化支援を掛けろ!長槍部隊にも忘れずに強化と強度上昇を忘れるな!生産職は交代しながらMP回復の制作を忘れるな!完全に出来上がった奴だけ支援魔法職に届けろ!!」
ガズの指示通りにそれぞれの部隊が半魚族やその亜種や上位種を押し返したり攻撃したりの攻守を繰り返している。
「【魔力回復陣】ッ!!!」
「助かる!お前等!まだまだ耐えろ!」
ヴィーナの支援魔法の一つである【魔力回復陣】は魔力を半永久的に回復してくれる特殊な陣である。
セヴンが元々居た昔の元冒険者パーティーの時代でセヴンの指示の下長きに渉って時と場所によって使い分けていた支援魔法の一つだ。
だが一つ弱点があり、持続時間は使用者の魔力の限界。
つまりヴィーナの魔力が枯渇してしまえば魔力回復している間に消えてしまうのだ。
「デメリットを逆に利用する方法―――貴方達知っているかしら?」
「デメリットを逆に利用する方法?」
リィアの部下達がそう聞き返すとヴィーナは頷き、先程放った回復陣をもう二,三回放ち、計三つ回復陣が三か所重なり合い、大きな陣へと変わった。
そう、デメリットを逆利用する方法とは―――同じ魔法をもう幾つか放ち、頑丈にすると言う事。
「つまり、|永久的に俺等やアンタらは回復し続けるって事か」
「そういう事です。私やニャイ、他の元メンバー達がセヴンさんの指示の下で出来た簡単で簡素で誰にでも出来る“重ね魔法”です。二重や三重だったりとその人自身に出来るやり方、それがデメリット逆利用法です」
「成程、―――よし、お前等も即興で試してみろ!散解!」
浜で次々と洞窟の魔物達が予想より多く減った事でかなり自分達側に有利となった。
そうなれば当然敵側も焦り始め―――こうして“彼女達”の活躍の場が増えた。
「ウォラッ!」
「スマン助かった!」
「良いって事よ!」
一人の野盗、フレアが冒険者の男の背後に襲撃しようとした海底龍を見事に切り伏せて冒険者の男が気付いて追撃をした。
「ていやぁーっ!」
「ヨッシャ追撃ィー!!!」
もう一人の野盗であるアクラは魔導師の男と一緒に息を併せて半魚族を倒した。
そして――――
「おりゃりゃりゃりゃりゃああああッ!」
「ナイスだ!お嬢ちゃん!」
「さんきゅー旦那★」
最後の一人の野盗であるボルカは自身の足の速さを利用し、目にも留まらぬ速さで
騎龍隊の隊員である海底騎士を倒した。
「やっと終わったァ~!」
「おい!まだ魔力に余裕のある魔導師は探知して敵がまだ潜んで無いか探せ!」
「言われる前にやっている!異常無しだ!」
やっと終わり、冒険者達が魔物達を処理している時に―――
「キシャアッ!!」
「しまっ――――――」
「危ないッ!!!」
砂浜の岩陰に隠れていた海底弓兵がヴィーナ目掛けて毒矢を放つが―――
運よくガズが身を挺して庇って毒矢を受けた。
「ガズさん!」
「くっ・・・だ、大丈夫かいお嬢ちゃん」
「わっ私よりもガズさん貴方の身体が―――」
そう言ってガズに刺さっている毒矢を抜き、治療を施す。
だがガズの体内に入ってしまった毒はその場に留まるように粘り続けている為、ガズの身体を蝕んでいる。
「(どうすれば・・・・・っ!)」
陰から襲撃した海底弓兵は別の冒険者に討伐されてその場から魔石だけが残った。
魔導師や錬金魔導師が話し合って調べていたらしく――
「ガズさんが受けた毒矢が特殊で普通の状態異常回復の魔法ですら効かねぇらしいぞ!多分重ね掛けしても効果無い!」
「そ、そんなっ・・・!」
ガズが特殊な毒で苦しむ中でヴィーナの手を取り
「し、仕方ねぇよ・・・っ。俺が毒受けちまった時点でお嬢ちゃんが助かったんだ、これぐらい何とも・・・・っ」
「だ、駄目よ!治療中に喋っちゃ!安静にして!」
だが、中々彼女の期待には答えれず、毒はガズの体内に侵攻し循環していくのである。
※この作品以外にも2作品(曜日毎に)投稿しています。良ければぜひご愛読くださいませ。
・「オメガ~追放者の絶対支配~」
・「シヴァ~精霊達に愛された精霊魔導皇~」




