#11:お前が行き着く先は・・・
今、俺とシアンの目の前に居る階層主はダンジョンの名の通り暴食の大罪で魔神ベルゼス。
豚種の頭だ。相手の力を奪い自分のものにするらしいが――まるで覇気のないそこらの普通の豚と同じだ。
『吾輩は今、戦う気力は無い、通りたければ通れ。冒険者よ』
「・・・」
おいおい、戦う意思はないようだな本当に・・・・
俺は溜息をして手持ちの武器を収める。
「聞いていた話とは違くないか・・・?トリニティア」
『!!!小僧、貴様トリニティア殿を知っているのか?!』
大罪の女神トリニティアの名前を口にした途端、ベルゼスが何か必死に藻掻くように立ち上がり俺にそう問いかける。
「あぁ、アンタの爺さんはトリニティアにとってどうでも良い存在だったらしいからな」
『そうか・・・なら・・・吾輩の力を受け取れ』
俺は少し考えた。
なにせ階層主の力を手にすると言う事はダンジョンのボスの死を意味する。
それを踏まえて悩んでいたが・・・
ベルゼスがとあることを言い出した。
『うむ、・・・力を欲する事は無いと言った顔か・・・それならこれを受け取ってくれ』
「・・・なんだ?この指輪」
ベルゼスが懐から差し出したのは大罪者の証でもある動物が彫られた指輪で
『こやつは暴食の指輪。暴食の力を完全にコントロールでき、尚且つこの先の宝でもある宝玉の力を取り込む事でデメリットである空腹状態を無効化出来る。だがしかし指輪を嵌めた者が死ぬまでその指輪は一度装備すると外せない仕組みになっている。』
「・・・俺が受け取って良いんだな?」
ベルゼスは頷き
『あの御方が認めたんだ。だったらソレを託す以外在るまい。それに―――』
ベルゼスは一度目を閉じ、また眼を見開き
『小僧、お前が行き着く先は・・・・・無限にある』
「俺が行き着く先は・・・無限?」
ベルゼスはその場を離れる。
すると閉じていた奥の扉が開いた。
階層主が認めた相手は通す仕組みになっているらしい。
早速宝箱を開けに行く。
すると―――
『――――?!』
『――――!!!―――?!―――――!!!―――!』
その宝玉に触れた瞬間、頭の中の記憶がどっと流れていく。これはベルゼス自身の記憶か?
俺は何か言っている男と何故か取っ組み合いになり―――その男を突き放す。
目の前のテーブルにあった食べ物を意地汚く食い散らかす。
ベルゼスの記憶とは違うのか・・・?
そう思っていると―――元の場所に戻った。
「だ・・・大丈夫?」
「あぁ大丈夫。なぁベルゼス、一つ良いか?」
俺が見た記憶の事をベルゼスに話すが―――ベルゼスは全く以て否定する。
『小僧の見た記憶と吾輩の行いは殆ど違うし場所も似ていないし父と祖父も同様だ。吾輩はそう言うのははっきりしているからな』
「そうなのか」
俺は宝箱の後ろに在る魔法陣にシアンと一緒に乗り―――
『さらばだ選ばれし者よ、また会おう』
「あぁ、じゃあな―――ベルゼス=ディゼブルス」
俺はベルゼスの真名を言うとベルゼスは笑顔になり頷く。そして―――
「入り口前に戻って来たか」
洞窟の入り口前に戻って来た。
そこで俺とシアンは夕方になっている事に気付き急いで久しぶりのわが家へ戻る。
※この作品以外にも2作品(曜日毎に)投稿しています。良ければぜひご愛読くださいませ。
・「オメガ~追放者の絶対支配~」
・「シヴァ~精霊達に愛された精霊魔導皇~」




