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異世界で壊す異界のロジック  作者: 夢暮 求
【第14章 前編 -国外し-】
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踏み間違えないように


「研究成果を兵器転用する際には念入りな実験と試行が行われますのでぇ、白騎士の最初の実験相手としてアレウリスさんを選んだのならば、そのまますぐに戦場へ向かわせることはないと思われます」

「ですが、言えば最終実験であったなら、そのまますぐに皇帝陛下は戦地へと送り込むことでしょう」

「うぁたしはその線はとても薄いと考えています。急遽、すぐに、今すぐに白騎士を戦場に送り込むには不安定さが見えていますからぁ。あの魔物の群れに統制はなく、白騎士は魔物を引き連れていたというよりも引き寄せていただけに過ぎず、そして白騎士自身も単騎で動いていませんでした」

「つまり、個ではなく群れ――軍となったときに皇帝陛下は戦場へと送り出すと?」

「はっきりと断言することは避けますが、うぁたしはそう思っています。なのでぇ、期限はあっても余裕はあるかと。むしろマズいのは魔物化の事実が白騎士投入前に各国にバレてしまう可能性と、あとはオーディストラ皇女殿下が行方不明になっていることを全国民が知ることになった場合です」

「最優先で捜索しなければなりません。しかも、大々的に動けば帝国軍に気取られてしまいます。それこそ連合へと入国したときのように最善の注意を払わなければならないでしょう」

 ニンファンとリスティの会話には無駄が一切なく、情報も纏められている。

「うぁたしたちはオーディストラ皇女殿下を保護した上で、オルコス王女様と『奏者』様が仰ったことが事実か確かめなければなりません」

「行方不明時、傍にはエルヴァがいたのなら野垂れ死んだり重傷を負ってそのまま息絶えていることはないでしょう。どこかに匿われているか、もしくは現状では危険と安全が入れ替わっている異界に留まっているか」

 そこで二人の視線がアレウスに向く。

「アレウスさん、そういった状況で罠を張る異界獣をご存知ありませんか? あなたの知恵があれば、エルヴァたちがどの異界獣の異界にいるかも分かるのでは」

 期待の眼差しには悪いもののアレウスは首を横に振る。

「僕が知っている罠はリオンの落とし穴、ピスケスの水中渦からの釣り、ヴァルゴの死体擬態、リブラの片割れのみ堕とす。この四匹までです。そしてヴァルゴとピスケス以外は既に討伐が済んでいます」

「ニンファン? 現状、異界獣は何匹が討伐され何匹が残っているんでしょう?」

「各国の事情に精通していたわけではありませんがぁ、一応は異界獣は全国の冒険者が必ず立ち向かわなければならない脅威ですのでぇ、相応の共有は行っています。残っているのはカプリコン、ヴァルゴ、ピスケスのみ」

「三匹だけ? 少なすぎる気が……」

 アベリアがそう訊ねるとニンファンは軽く首を横に振る。

「リブラがジェミニを喰ったように、異界獣たちは互いに喰らい合っていますのでぇ。ヴァルゴがスコルピオを、ピスケスがキャンサーを喰っています。そして、アリエスを喰ったタウロスを喰い、最も力を付けているのがカプリコンとなります」

「なら討伐報告がされているのではなく、喰らい合うことでの力の収束を捉えているだけ、と?」

「はいぃ。アレウスさんたちが討伐したリオンとリブラ、再誕したもののハゥフルたちが再度討伐したアクエリアス、クリュプトン・ロゼの手で葬られたサジタリウスのみです」

「だからリオン討伐は偉業であり、特にそのトドメを刺したアレウスさんたちの名が轟くことになったんです。それ以前にシンギングリンではリブラ討伐に貢献したことで有名となっていましたが」

 自分たちへ向けられる視線や扱いが一気に変化した。その理由を改めて知ることで決意は更に強まる。

「まだ討伐できていない異界獣の中でヴァルゴはパザルネモレの一件により未だ健在、そして力を強めていることが分かりました。ピスケスがキャンサーを喰ったことが分かったのはアレウスさんが甦ってすぐにことです。ですが、カプリコンについては全く分かりません。アリエスを喰らったタウロスの情報が出たのは十年前、その四年後にタウロスはカプリコンに喰われています。そして現在に至るまで異界に堕ちた、或いはカプリコンの異界の穴を発見したという報告が全くないのです」

 そこまで言われればアレウスとアベリアにも彼女やリスティがなにを言いたいのか分かる。


 最も力を付けていたであろうカプリコンが既に討伐されているのではないか。もしくはヴァルゴやピスケスが喰っているのではないか。そしてそれらがもし事実であった場合、どこかの国、どこかの種族はカプリコン討伐の事実やカプリコンが喰らわれた事実を秘匿している。


「カプリコンは悪魔の象徴。カプリコンを討伐したならば世界中から『悪魔』が消えていくという話があります。異界獣を討伐すればこの世界に現れる魔物の総数は減少する。これは紛れもない事実であり、同時に尖兵になりやすい魔物が減りやすいのでぇ」

「そして私たちが用いる言語も討伐によって解放されます。封じられている理由は不明で、また封じが解けたとしても私たちがそれを理解することはできませんが、自然と用い、自然と今まで当たり前に使っていたように意味が分かった上で使うようになります」

 その辺りは以前にも話されているのでアレウスたちも肯くことで会話を流れが切れないようにする。

「でも、未だこの世には赤い月の夜があり、人々を誑かす『悪魔』が現れます。未だカプリコンが討伐されていないと考えるべきなのでしょう。それでも、秘匿されている方面での思考を捨て去るわけにはまいりませんのでぇ」

 引き続き、討伐されていないことを視野に入れなければならない。


「残っているのがヴァルゴ、ピスケス、カプリコン…………人の争いと死体のあるところにヴァルゴは罠を貼り、ピスケスは水のあるところ……だったら、カプリコンの異界? そもそも異界に身を隠しているという考え方は安直すぎるんでしょうか」

「可能性がある程度でしょう。私がエルヴァだったとしても異界に堕ちる選択を取るのはあり得ないことです。よっぽど追い詰められていなければ、よほどに状況が切羽詰まっており、それしか方法がないと彼が思うかどうか。あのエルヴァが、苦肉の策を取らなければならないなんて個人的には無いと思いますけど」

「そこにオーディストラ皇女殿下が関わると、どれほどに卓越しどれほどに実力があって決断力を有していても、そうするしかないという思い込みに囚われてしまいます。うぁたしのように」

 ニンファンは自虐的にリスティへと言う。

「正直、ヴァルゴの線は薄いです。パザルネモレであれほど大掛かりに世界を、人間を攻めたあとです。それも赤騎士という尖兵を送り込んだ上で僕たちの手で全て殲滅しました。尖兵を多く喪ったヴァルゴが急いで新たな尖兵を求めて人間を異界に堕としたいと思っても、それは帝都に罠を仕掛けるのではなく泥沼化しつつある帝国と王国、そして連合の戦場のど真ん中が最高効率だと……非常に腹立たしいのですが、僕は思います」

 死体に擬態した異界の穴など思い出すだけでもおぞましい。しかしヴァルゴは死体が多く転がる場所でしか罠を張れない。死体が当たり前のように転がっていなければ大勢を堕とすことはできないからだ。パザルネモレに罠を張ったのは喪った戦力の回復を図るためだったのだろうが、それをアレウスたちにほぼ阻止されている。そうなるとヴァルゴが次に罠を張るのは戦場となる。それはアレウスでなくとも、異界獣の特性とその罠を知る者ならば誰でも行き着く答えだが、言葉にしておくことでこの場にいる四人の間で認識の共有を行っておく。

「シンギングリンはぁ、動かなければなりません」

 しばしの沈黙があったのち、ニンファンが切り出す。

「知ってしまっても大抵のことはぁ無視してしまえばいいことですがぁ、そうして全てを無視してしまえば大切なことも、大切な者も失ってしまいます。無視してはいけないこともあります。だから、このことは無視していいことではないとうぁたしは勝手に思っています。シンギングリンのギルド独自で動く判断を取ります。うぁたしが信頼を置く冒険者たちだけにオーディストラ皇女殿下の捜索を行わせます。アレウリスさんたちは、協力してくれますか?」

「はい」

「ではまず、パーティ構成を決定してください。申し訳ないですがぁ、シンギングリンに居付いていない方を入れることはできませんのでぇ」

 カプリースやカーネリアン、エレスィやイェネオスといった者たちの協力は得られないということだ。

「こちらの紙に書いて、リスティを通して申請してください。一歩間違えれば大罪人です。踏み抜いてしまっても後悔しない方々のみとしてください」

 その言葉の意味を重く捉えつつ、アレウスとアベリアはギルドマスターの執務室を出る。


「悩ましいな」

「私は行くよ?」

「いや、それはきっとそう言うだろうと思っていたんだけど」

「……ヴェインやガラハのこと?」

「クラリエは最初にオルコスから事実を明かされているからもう覚悟が決まっているはずだ。ガラハはドワーフの里でなにを言われるか分からないだろうし、ヴェインはエイミーがいるから……大罪人という言葉は、あまりにも重い」

 その重さはクラリエたちのエルフの森での審判を見ているからこそ分かる。

「ジュリアンもまだまだ子供だと僕は思っている。エイラのこともあるし、連れて行けない」


 理由を探している。

 仲間を極力、最小限にするための理由を探している。自分らしくない思考にアレウスは自虐するように息を吐きつつ小さく笑う。

 人と人との繋がりを拒んでいたはずが、気付けば人と人との繋がりを気にするようになってしまった。全てはヴェラルドとナルシェに救われてからだ。だがアレウスは憎しみを覚えず、むしろ感謝している。


 やっと人間らしい感情に振り回されるようになっている自分自身を好ましく思う。特にこうやって仲間の名前を出せることがなによりも嬉しい。支えてくれる人がいるのだと思えるのだから。


「お帰りーアレウス君。どうだった?」

 家に着くと庭で花を見ていたクラリエに出迎えられる。

「内容は複雑ではあるけどやることは単純って感じだったな」

「皇女様探し」

「難しいことを省くとアベリアが言っていることでほぼ決定だ」

 事前に話を聞いていたクラリエは「やっぱりかー」と呟きつつも、どこかやる気に満ちている。

「皇女様はリオン討伐後にアレウスを冒険者に留まらせてくれた(かた)だから、絶対に助けたい」

「私も」

 アベリアが強めに同調する。


「やぁ、外が騒がしくなったと思ったらやっと帰ってきた」

「悪かったな、ヴェイン。帰ってきて話もしないまま出てしまって」

 アレウスたちが家を出たのとヴェインたちが帰ってきたのはほぼ同時だった。だから「お帰り」と言葉を交わすことはできたが家で(ねぎら)うことができなかった。

「いやいや、俺たちがいない間に色々とあったようだから」

 お互い様だよ、と言ってヴェインはいつものように笑ってアレウスたちを迎え入れる。

「それで? 一体なんのためにミスリルを掘りに行っていたんだ?」

 自分たちの話よりもまずヴェインたちの話を聞く。それは出迎えることができなかった自身が今からできる最初の労いだろう。


「ふふん、どうですかこれ」

「加工したのは職人だ。自慢するように見せるものではない」

「えーでも僕たちが頑張って掘り当てたミスリルで作ってもらったじゃないですか」

 ジュリアンがテーブルに置かれた物を見せ、ガラハがやや(たしな)める。


「ハーフアーマー?」

 胸部装甲――ミスリルの胸当てがテーブルに置かれていた。

「そういやヴェインたちがいなくなる前夜にサイズを調べられた」

「なにか凄く誤解を招く言い方をされたけど古いハーフアーマーを幾つか持ち込んで、それを無理なく着られるサイズがどれかで測っていて、体に直接触れたわけじゃないよ。アレウスのサイズは君がよく着ている鎖帷子から推測させてもらった」

 ヴェインがアベリアの言葉に補足し、ジュリアンが深く肯いている。

「ともかくまずはアレウスとアベリアさんとガラハとノックスさんとクラリエさんの五人分。残りの分は順次出来上がり次第、荷馬車で送ってくるってさ」

「悪いが、オレのそれはまだ間に合っているからヴェインを優先してもらった」

 そこでガラハは頭を掻きながらヴェインに謝りがちに言う。

「体格もオレは大きいからな。職人も作るのに手間を掛けてしまう。それならば少しでも早くに多く用意できる方がいいと思った」


 言葉のままに受け取ればガラハのワガママだが、しかしちゃんと深くまで汲み取ればガラハなりのヴェインへの気遣いだ。自身の肉体よりも脆いヴェインのことを思い、彼の身を守るための防具を優先してもらったのだ。


「ありがとう、ガラハ。ははっ、ちょっとだけ予定が崩れてしまったけど、とにかく全員分はいつかは揃うから」

「でも、ミスリルのハーフアーマーなんてどうして?」

「ミスリルはエルフの魔力にも相応に耐えられるし頑丈で軽いんだ。それでいてほら……こんな感じで、前に屈み込んでもお腹周りが苦しくならない。ハーフアーマーというよりは腹部装甲を取り除いた胸当てって感じかな。勿論、白騎士の矢の前では歯が立たないかもしれない。だけど、心臓を貫く多くの攻撃からは身を守ってくれると思う」

 ヴェインは実際にハーフアーマー着て、前に屈み込んだり体を捩じったりしてみせる。

「白騎士との戦いで思ったのは自分たちの無力さもそうだけど、防具をしっかりと見ていなかった点もあった。俺たちはこれまで自分の身を守れる防具を好き好きに選んでいたけれど、恐らくもうその段階にいちゃいけないんだと思う。それを加えて、更に防御力を高める。特に首や心臓を守ることはなによりも大切だ。でも首を守ろうとしたら当たり前だけど首が回らない。だったら心臓を守る負担を下げて、首を守ることを意識できるようにする。このハーフアーマーなら、それがちょっとは出来るようになるんじゃないかなって。軽いし、クラリエさんやノックスさんみたいな俊敏さもほとんど損なわないと思う」

 そう言っているヴェインの横でノックスがハーフアーマーを着込む。

「慣らしていけば問題ない重さだな」

 クラリエも同じように着込む。

「うん……あたしはちょっと重たいかもだけど、ちゃんと筋肉を付けていけばいつも通り変わらない動きが取れるよ」


「アレウス? 俺たちは君に頼り過ぎていた。だから、君の負担を軽減させることを色々と話し合って考えている。この防具はその内の一つなんだ」

「……ありがとう、ヴェイン。喜んで使わせてもらうよ」

 そう答えるとヴェインの表情から緊張が抜ける。アレウスに使ってもらえるかどうか不安だったのだろう。

「それにしてもミスリル掘りがあんなに大変だなんて思いませんでした。正直、僕がいなかったら坑道から出られていなかったですよね? 僕が入り口から魔力の糸を垂らしていたから帰り道が分かったんですよ」

 褒めてくれと言わんばかりにジュリアンが言うのでアレウスは彼の頭をこれでもかと撫でておく。

「おかげで魔力の放出を維持する鍛錬になりましたけどね」

 そう言って自身の喜びをジュリアンは誤魔化した。

「ヴェイン、ガラハ? 僕は君たちの今後について話さなきゃならない」

 アレウスは二人に椅子に座るように促し、自身は対面の椅子に座る。


 ギルドで話した内容、アルテンヒシェルやオルコスが話していた内容を一つも零さず話す。合間にアベリアやクラリエの補足も入って間違った内容が彼らに伝わることはなかった。


「――それで、なんだけど。この重たいことを二人は受けることができるか? 出来ないなら出来ないでいいんだ。失敗したときのリスクが大きすぎる」

「今更だな。オレはいつもリスクの大きいことに付き合わされてきたが? 帝国の皇女を守る大命を、オレは怖れない」

 ガラハの答えはある程度は予想が付いていた。彼に対してはある意味での確認作業だ。問題はヴェインの方にある。

「任せてよ…………と俺は快く引き受けることはできないな。エイミーと話をさせてほしい。次にエイミーに『駄目』と言われたら俺はそういった依頼はアレウスのパーティではあっても受けないと決めているから」

「それでいい」

「でも、嬉しいよ。魔王の件はアベリアさんとの間でだけ話して、俺たちには決して明かさないようにしていたのに今回はちゃんと全てを話してくれている。君の特異体質である合力についても、君がどうして『異端審問会』に狙われたのかも。ラタトスクで起きたことも」

「ラタトスクはまだどこかに『異端審問会』が潜んでいるかなにかしらの魔道具があると思っている。でなきゃロジックの書き換えを何年も維持できるわけがない。クルタニカと二人で探したかったけど、罠が張られていたら大事になってしまうから」

 なによりクルタニカを抱えて走っている際に彼女は『愛の逃避行でしてよー!』なんて叫んでいたので当面、ラタトスクに足を向ける気が起きないのだ。

「ヴェインとエイミーにとって一番の選択をしてほしい。ここにいる誰も君を責めない。勿論、僕だって」

「うん、そんなことはずっと前から知っているよ。ありがとう」


「僕は蚊帳の外ですか?」

「その歳で大罪人になるかもしれないことをさせられない」

 ジュリアンの呟くような問い掛けにアレウスは返事をする。

「それこそ今更じゃないですか?」

「……ジュリアン」

「エイラによく言われるんですよ。『待つだけは辛い』って。でも、それって僕も同じなんです。アレウスさんたちが帰ってくるのをいつも僕は待っている。それが辛いことだと思い始めたのはエイラに言われてからなんですけど、まぁ、なんと言うか…………ちょっとは僕に出来ることがあったら、それをやらせてくれるだけでいいんです。皇女様捜索に加わりたいとかそういうんじゃなくて、並行して僕に任せられることがあるのなら」

「だったら、ラタトスクに行ってみるか? あそこは僕の生まれ故郷なんだけど『異端審問会』のせいで村人全員のロジックが書き換えられている。さっきも言ったけど、それを維持している方法を突き止められないか調べてほしい」

 ジュリアンの表情が明るくなる。

「はい!」

「当たり前だけど」

「原因が分かっても突入せず、魔道具であっても触れない。そうですよね?」

 言おうとしたことを先に言われる。

「村の地図も渡すけど、ある老人のところに僕がこのあとで書く手紙を持って行って、身を寄せてくれ。その人ならジュリアンに協力してくれる。なんならエイラも一緒だと不審がられないかもな」

「分かりました」

 自身にも出来ることがあるのだとジュリアンは躍起になっている。ただの子供なら空回りして危ないが、彼は同年代の子供よりずっとずっと賢しい。シンギングリンが異界に呑まれたあと、その異界の穴の周辺を拠点としてリブラの異界を探っていたくらいだ。本当に危険なことには一人では飛び込まない。


「ヴェインからの贈り物を着た上での鍛錬。その上でアベリアとクラリエとノックスは連携が取れるように三人で鍛錬、ってところか。今日のところは」

 明日どうなるか、そして明後日がどうなっているかは見えない。


 あとは捜索方法だろう。帝国軍にバレないように消息不明となった付近を見て回る。その上で、帝国軍すらも見つけられなかった痕跡を見つけなければならないのだから。

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