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異世界で壊す異界のロジック  作者: 夢暮 求
【第14章 前編 -国外し-】
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魔物化

 ニンファンのことはアルフレッドに任せ、アレウスとアベリアはギルドを出る。ヘイロンの告解についてはいずれ二人の口から聞く機会があるだろう。今すぐに聞きたい情報はその中にはない。

 アベリアはそのまま家へと帰ったが、アレウスは修道院へと足を運ぶ。徽章をクルタニカに返却できていない。気軽に配布していいものではないはずで、そして返す機会がなかったからと甘えてこの徽章を見せびらかして修道院を出入りするのは一種の罪悪感がある。なので門番をしている僧兵に事情を説明して徽章を手渡し、帰路に着く。書庫の本は未だに調査し切れていないのだが、正直なところ現状では調べるのに途方もない時間を要する。ギルドマスターの重圧と戦っている最中で悪いが、折を見てニンファンに本の整理を頼みたい。

「クラリエ」

 街中で見慣れた姿を見つけ、声を掛ける。クラリエはこちらに気付いて手に取り眺めていた耳飾りを露店に戻して駆け寄ってくる。

「なになに? どうかした?」

「いや、あんな風に装飾品を見ているのが珍しいなと思って」

「綺麗な耳飾りがあったから」

「……それは僕に買ってほしいってことか?」

「デリカシーないなぁ。言わずに買うのが男ってものじゃない? ここまで言って買われるとありがたみがないから別にいらないんだけどねぇ」

 どっちなんだとアレウスは心の中で呟く。

「それに耳はもうお母さんのピアスを付けているから」

「ダークエルフがみんな付けているやつだよな」

「呪いのピアスね。外せはするんだけど、外し続けていると体がどんどんと不調になっていくの。というか外せないと耳のお手入れができないし、汚れたピアスを付けて耳を怪我でもしたら敗血症になるし。まぁ呪いを浴びたのはピアスのせいだけど、これのおかげで呪いから守られてもいるのがダークエルフってやつなんだよねぇ」

「でもそれじゃ、お洒落の一つを封じられているみたいなものだな」

「ううん、それは違うよ。あたしたちエルフは耳が長いから、他のところに穴を空ければ済む話」

「じゃぁ」

「買わなくていいって言ったじゃん。呪いを浴びてピアスを身に着けたときの記憶はなくってね。気付いたら空いていたからいいんだけど」

「耳に穴を空けるのが怖いと」

「その通り。オルコスとレジーナは三つ四つぐらい空いていたけど、あれ意識があるときに空けたのかなぁ」

「どうだろうな……」

 エルフにピアス穴を空ける技術があるのは確かなことだが、その際に意識があるかないかは分からない。

「人間の医学で麻酔ってあるでしょ? 麻酔中にお腹を切って、なんかこう色々とするみたいな」

「手術か?」

「それそれ。それと同じで麻酔をして、穴を空けているのかな」

「でもまだまだ実用的じゃないぞ。あるってだけでほとんど手術は人体実験だ。この前だって赤子は助かったけどその母親は亡くなったって話があっただろ。なんか手術じゃなきゃ母子ともに危険っていう極限の状況だったらしい。街医者は手術を嫌がってる。そういうのに精通しているのは軍医の方って言われているくらいだ」

「あー軍医さんの方が更に極限の状況にいるもんねぇ」

 それこそ切った張ったの世界だ。そこでは損傷した部位を摘出したり、縫合しなければ助からない世界がある。街でも時折、そういったことは起きるのだがそのときも頼るのは街医者ではなくギルドと連携を取っている病院で働いている医者になる。

「ちょっとした裂傷を縫うのも腕を切断後に切り口を縫合するのだって簡単そうに見えて難しいからな。それをやるのだって街医者は本当は嫌だろうけど、日常的に起こり得ることからは逃げられない。

「将来的には増えていくのかなぁ」

「まだその辺りは黎明(れいめい)期だ。みんな、学びの最中だよ。もしかしたらギルドの方が知識は深いかもしれない」

「冒険者の死体を解剖して魔物の新種の毒とか研究するんだもんねぇ」

「……で、話が逸れたんだけど僕は耳飾りを買った方がいいのか?」

「だからそれを聞くのがもうデリカシーないんだって。まぁでも、もういいや。アレウス君にそういったところは期待してないから直接言うけど、買ってくれる? いつかは空けるつもりではあるんだけど、装飾品との出会いは一期一会だからさ。空けたあとじゃ手に入らないかもしれないからしばらくは部屋に飾っておくよ」

 あまりにもな呆れられ方をされ、そして頼まれる。今後もこういった買い物の場面は出て来るだろう。そのときに聞かずに買うという気の利いたことが自身にできる自信はない。ともかくも彼女に言われるがままにアレウスは露店で耳飾りを買い、贈る。なんだかんだで満足はしてれたようで機嫌は一応ながら損ないかけたが持ち直したらしく、胸を撫で下ろす。

「今日、ヴェインたちから手紙が届いたの知ってる?」

「知らない」

 郵便受けを見ずに家を出てしまっている。そもそも郵便受けに手紙等が入っていること自体が稀なので、日常的に確かめなくなってしまった。

「これから帰るって書いてあったよ。ミスリル採掘ってそんなに大変なの?」

「大変っていうか鉱山がここからだと遠い。バートハミドからだと往路で三日ぐらいか……?」

「なら往復で六日かぁ。疲れているからバートハミドで休養を取ってから帰りたいだろうしこれぐらいの期間にはなっちゃうんだねぇ」

「バートハミドに帰ってはいるんじゃないか? 鉱山からだと定期便だからすぐには出せないだろうし」

 鉱石採掘は危険と隣り合わせなので鉱夫は大抵が毎日の日記を綴る。もし死ぬような事故が起こったとしても遺族に自分自身の日々の生き様を知る術を残す。手紙も出せないことはないが毎日のように送れるわけではない。

「リスティさんも特にヴェインたちのことでなにか言ってはこなかったし」

 付け足して、更にクラリエを安心させる。彼女たちの居場所が分からなくなった途端にリスティはアレウスへと調査してほしいと頼んできた。なのでヴェインたちになにかがあっても同じ対処を求めると信じている。その彼女がなにも言わないのなら万事上手く行っているはずだ。

「アベリアちゃんとの連携を取る練習も続けなきゃ」

「百合園でやる予定だったんだろ?」

「そうなんだよ。だから今はみんなで集まれる時間を作って一緒に練習している感じ。魔物相手じゃないからそれはそれで大変なんだけど、魔物はいないに越したことはないから複雑な気分」

「クルタニカは?」

「あー……まだちょっと落ち込んでいる? っぽい? アレウス君、都合が合ったら見に行ってあげてよ」

「そうだな」

 クラリエが言うのだからアレウスが思っている以上にクルタニカは落ち込んでいる。

「反省するところなんてないのにな」

「だよねぇ。あれは誰も予測できないことなんだから反省することなんて全くないのに。でも、目立ちたがり屋である分、責任感は人一倍強いんだよねぇ」

「目立ちたがり屋で責任感なかったら駄目だけどな」

 なのでクルタニカはアレウスが思う駄目な性格には該当しない、博徒ではあるが。

「冒険者の面ではクルタニカはしっかり者だし、ちゃんと責任を背負ってる。そこの辺りをちゃんと伝えないとか」

 最初に助けられた頃から彼女の信念はブレていない。『蝋冠』の一件でも他人に迷惑は掛けられないからと一切合切を責任として自分自身を犠牲にしようとしたくらいだ。


 だからこそ、百合園での想定外に対処できなかったことが苦しいのだろう。コカトリスまでは想定外ではあってもその後の対処で想定内へと収めた。しかし、そこに付随していたテッド・ミラーに気付けなかったことがただただ悔しいのだ。そして、テッド・ミラーを出し抜くことができなかったことにも悔しさを募らせているのだ。アレウスに助けてもらったことを逆に負い目としている。

 だが、アレウスはあのときの判断は正しかったと思っている。あの状況ではもはや突入するしかなく、内部にいたクルタニカたちでは決してテッド・ミラーをどうこうできる状況になかった。


「乙女心というよりは冒険者のプライドみたいなところかなぁ。まぁどっちもある気がする。面倒臭いだろうけどよろしくねぇ?」

「面倒臭い? 僕は僕を信じてくれている人と話すことを面倒臭いと思ったことなんてないよ」

 かなり無茶なことを言ってしまう。思ったことがない、は嘘である。

「今のは無し。ちょっとは面倒だと思うこともある。いや、その頻度は多いかも。でも、なんかこう日常とは違う部分での話? みたいなときには思わないってだけだな」

「かなぁり日和(ひよ)ったねぇ?」

 クラリエは身をやや屈ませて、アレウスの顔を覗き込んでくる。

「そういうところは好きなんだけどなぁ、アレウス君。いつもそういうところばっかりになってくれないかなぁ」

 覗き込むのをやめて、クラリエは気分良く歩く。さっきまでの歩調とは明らかに違う。一種の喜びや興奮が混じっている。


「クラリェット様が楽しそうでなによりです」

 不意に聞こえた声の主を探し、切り株に座っているオルコスを見つける。

「なんでここにいるんだ――じゃなくて、なんでここにいらっしゃるんですか?」

 いつのも調子で話してしまいそうだったのでアレウスは慌てて口調を整える。そしてこんなところに切り株なんてあっただろうかとも思う。

「ああ、これですか? ちょっと休みたいと思って魔法で用意しただけですので、あたしが立ち去れば自ずと形も残さず枯れます」

「気になっただけで心配はしていません」

 自分自身の記憶は間違っていなかったことには安心してしまったが。

「あたしの監視をしに来たの?」

「違いますよ、そんなことでここには来ません」

「だったら新王国に帰って仕事をしていたら?」

「そうしたいのは山々なんですけど、新王国に戻る前にあなた方にお伝えしなければならないことがございます。内密にしたいのであなた方の家の前で話したいのですが」

 相当に重い話をする気だ。アレウスはオルコスの口調と、フードを被っていながらも垣間見える美しい顔から見える表情から察する。軽やかだったクラリエの歩調が元に戻り、坂道を登って家の前に着く。

「それで、どんな話?」

「エルヴァージュ・セルストーがオーディストラ皇女殿下と共に消息不明となりました」

「……は?」

「あの方のことですからどこかでは生きているのでしょうが、あなた方に危害が及びかねないのできっと顔を出しには来ないでしょう」

「いや、待ってください……待ってください」

 アレウスは聞かされている事実を受け入れられない。

「どうしてオルコス様が帝国の内情を?」

「あなたとお話をしたあと、森にそのまま帰らずに帝都を見ておりました」

 にこやかに密偵を行ったことをオルコスは白状する。

「軽く様子を窺う程度にするつもりだったのですが、そうは出来なくなってしまいました。レストアール・カルヒェッテをご存知ですか? エルヴァージュと共に皇女の護衛に入っていた軍人なのですが」

「はい」

 新王国に潜入した際に協力者として顔を合わせている。その後、帝国にエルヴァと戻って皇女を護衛する任に戻ったはずだ。

「レストアール・カルヒェッテは弓矢の名手。そうですね?」

「いや、そこまでは分かりません」

 アレウスはレストアールの戦いを見たことがない。戦場に名の轟くカルヒェッテ姉弟などという話も聞きはしたが、それ以上を調べていない。なぜなら冒険者にとって戦場とは縁のない場所だからだ。わざわざ軍人や騎士の名前を知り、その戦い方への対策を練る必要がない。


「あなたを殺した白騎士の正体がレストアール・カルヒェッテであるとあたしが仰った場合、あなたはそれを信じますか?」


「なに……を、言って、いるんだ?」

 白騎士はケンタウロスの魔物だった。感知の技能は働かずとも、あの戦いにおいて一つも白騎士からは人間臭さなどなかった。むしろ魔物の性質がよく出ていて、人間らしい部分など一つもない。

 黒騎士や赤騎士よりもずっと魔物に近い。アレウスはそのように思えて仕方がない。

「あれが、レストアールのわけないだろ」

「皇帝のイニアストラが決して触れてはならない禁忌の研究を完成させて、戦場に投入しようとしていると仰っても?」

「分からない……分からない」

 さっきからオルコスの言っているがアレウスには分からない。理解を脳が拒む。学びを拒否している。

「具体的に説明して。結果だけを話されてもあたしたちは簡単にはそれをそのまま受け取れないよ」

 クラリエが言うとオルコスは一礼し、息を整える。

「連合は兵器を研究し、王国はクローンを研究した。では、帝国はなにを研究していたのか。あたしは以前にあなたへとお伝えしたはずです。帝国だけが正義ではないと」

 帝国にとっての武器は冒険者、王国にとってはクローン、連合にとっては兵器。


 連合が兵器を用いて侵略し、民間人を虐殺したことで帝国が冒険者を、王国がクローンを投入する禁忌戦役が起こった。犯してはならないあやまちだからこそ、戦争において二度とそれらが行使されないようにと国々が心に刻んだ。


 だがそれも踏みにじられている。連合は兵器を再び持ち出し、王国はクローンの投入を躊躇しなくなった。帝国だけが正しく在り続けることがもはやバカバカしい事態になっている。


「冒険者を戦地に送ることをオーディストラ皇女殿下に拒まれ、イニアストラ皇帝は考えを改めた。(はた)から見ればそのように受け取れたことも、実はイニアストラ皇帝にとってはどうでもいいことだった。皇帝は既に冒険者に代わる禁忌に触れていたのだから」

「禁忌禁忌って、さっきからなにを言っているの?」


「『魔物研究』だよ」

「誰だ!?」

 感情が昂ぶり、思わずアレウスは攻撃的な意思を言葉として示してしまう。

「すまない、気を荒立たせるつもりはなかった」

「ジュリアンのお師匠さんでしたか……すみません……」

「いや、謝らなければならないのは僕の方なんだ。『奏者』として、そしてアルテンヒシェル・フロイスとして正式に君たちに――いいや、国民に謝らなければならない」

 『奏者』はオルコスに視線を向ける。

「王女――いいえ、今は新王国の親衛隊のオルコス・ワナギルカン様とお呼びした方がよろしいでしょうか?」

「王女であることも親衛隊であることもハーフエルフであることもあたしの誇りです。どれも無かったことになど致しません」

「では、オルコス・ワナギルカン様。あなた様に帝国の悪しき一面と無謀にして無様な内情を見せてしまい、申し訳ございません。それもこれも、全ては僕の祖先たるノア・フロイスがもたらした狂気なのです」

「『勇者』に連なる“大いなる『至高』の冒険者”があたしに頭など下げないでください」

 オルコスは『奏者』の仰々しい謝罪に首を横に振る。

「祖先に罪があろうと、その子孫に罪はない。それがエルフの決定ですから、あたしがあなたを裁くことありはしません」

「ありがたきお言葉……しかし、世間がそれを許すかどうか。ええ、だからこそアレウリスたちにもこの僕の口からお伝えします」

 『奏者』――アルテンヒシェルはアレウスたちに向き直る。

「僕の祖先であるノア・フロイスが始めた『魔物研究』はその完成途中に本人の意思によって全て封じられた。イニアストラは封じを破り、『魔物研究』を完成させてしまった。それも『異端審問会』の助力を受けて」

「その『魔物研究』ってなに? いわゆる復讐鬼(ギガース)のような魔物のことを言っているの?」

「ギガースは屍霊術師なら魂を用いて誰もが行える人造の魔物だ。でも、イニアストラが手にした『魔物研究』の果てはそんなものじゃない。人間と魔物の融合。魂ではなく、肉体ごと魔物と組み合わせることで新たな魔物を生み出す。それらには人の意思に従う知性が備わり、さながら『異界獣』のように魔物を連れることさえできてしまう」

「そんな……そんなことが、出来る……んです、か?」

「出来ない……はずだった。ノア・フロイスは最後の最後でそれが不可能だと判断して封じたんだ。つまりは人間と魔物を融合させることで起こる精神の錯乱や人間性の喪失。これらを克服、或いは欠落させずに行うことは決して出来ないと……悲しいことに、恐怖の時代を経たことでそれが可能になってしまった。君たちならもう、僕の言っていることが分かるだろう?」


 白騎士はなにを握っていたか。

 弓矢だ。

 その弓矢は――


「十二に分かたれた魔王の欠片」

「それこそが人間と魔物を組み合わせる合力(ごうりき)を可能とさせてしまった。レストアール・カルヒェッテはなにも知らないままにあの弓を握らされ、そして魔物化してしまったんだ。本来ならそこでイニアストラは好奇心を止めるはずだった。だが、止まらなかった」

「イニアストラ皇帝は秤の意匠が彫られた剣を持つオーディストラ皇女すらも、その手で魔物化させてしまおうとしたんだ。エルヴァージュはそれを阻止し、共に城より飛び出して落下。その後の消息が不明だ。これはまだ世間一般には公表されていない。公表されるわけがない。『勇者』の死が未だ一部の人間にしか知られていないようにね」

「待ってよ……じゃぁ、アレウス君を狙ったのは皇帝陛下自身だったってこと……? “周期”だったと思ったあれはやっぱり白騎士が魔物を引き連れての襲撃だったってこと……? だったら、シンギングリンを狙ったのも、」

「この街に『リオンの爪』があるからです」

 オルコスはクラリエの言っていることを断定する。

「許されるわけが……ない」

 アレウスは静かに怒りを起こす。

「そんなこと、許されるわけがない!」

「そうだ、まったくその通りだ。けれど、アレウリス……僕たちはなにも出来ないんだ。なにせ皇帝が起こしてしまったことだ。帝国にいる以上、皇帝の行うことを否定することは僕のような存在でない限り絶対に出来ない。そして今回、皇帝は僕の言葉すら聞く耳を持たなかった。戦場に魔物化した者たちが解き放たれればどうなると思う? 兵器やクローンを投入していた連合や王国に対し、帝国は毅然として戦場の規律に従い続けていた。その絶対的正義が崩れ去る。しかも兵器やクローン以上に魔物化など脅威でしかない。あんなものが戦場を駆け巡った瞬間、ありとあらゆる国々が手を組んで帝国を潰しに掛かる。どんな手を使ってでも、だ。王国と新王国が手を組むことさえあるだろう。それほどまでに帝国の行いは認められない。なぜならその研究は、魔物を媒介としているから。人間の脅威であり、人間の恐怖である魔物を使ってくる国なんて極悪でしかないからだ」

 全ての国々が帝国を滅ぼすために動く。


 王国を『異端審問会』が手にしたのは帝国が『魔物研究』を完成させる寸前であったから。そもそも『魔物研究』自体が『異端審問会』の協力によって完成されたものなのだから、その進捗状況を彼らが知ることなど造作もない。


「国外しが始まる。帝国憎しではなく、帝国という国を全ての国が国として認めず、外しに掛かる。このままだと帝国が滅んでしまう」

 アルテンヒシェルはただ事実をアレウスたちへと突き付ける。

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