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異世界で壊す異界のロジック  作者: 夢暮 求
【第14章 前編 -国外し-】
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難あり

 昨日のクラリエとの入浴という凄まじいまでの欲望との戦いがあったが、その割に悶々とすることはなくすんなりと寝入ることができた。幸いにも彼女がアレウスの部屋に忍び込んでくることもなく、アベリアが同衾(どうきん)に来ることもなく、爽やかな朝だった。しかしながら、クラリエの自身に対する好意の示し方が積極的になったことで、その事実にこそ妄想が捗って興奮や高揚はあれど、現実としてはあまり喜べない。あの家は住んでいる比率で言えば女性の方が多いが、決してアレウスが女性を囲うためのものではないのだ。つまり、節度がなければならないし弁える倫理観が必須となる。今後もクラリエがアレウスに肉体的接触を求めてくるようならば、その結果として自身が違う借家や部屋を借りることで解決しなければならないだろう。

 朝食を摂ってから各々が仕事や復興作業へと向かい、アレウスも『異端審問会』について調べるためにシンギングリンの修道院を訪れた。

「修道者や子供のために寄贈してくださる方は沢山いらっしゃいますが、いかんせん人手が足りないんでしてよ」

 そう言ってクルタニカがテーブルに本の山を置く。

「分類分けが全くできていないんでしてよ。それらしい本を探そうにも、どこに積まれているかサッパリですわ」

「持ってきてくれるだけありがたいよ。クルタニカは教会の業務があるだろう? 本を保管しているところを教えてくれたらあとは僕が自分で運ぶよ。なんなら分類分けも大雑把にしておくから」

「そうしてくれると助かるんでしてよ。では、アレウスはこちらを付けておいてください」

 クルタニカがアレウスの胸元に徽章(きしょう)を付ける。

「それを付けていれば不審人物に思わずに済みましてよ」

 修道院は規律を守る者たちによって成り立つ独特の空間である。そこに規律と全く異なる格好をした人物が本と向き合っているのは外部の人間であっても信用ならない。だからこそクルタニカが付けてくれた徽章は彼女――神官長が修道院での活動に許可を出した証拠となる。これはアレウスが不当な理由で拘束されないようにするのと同時に、修道院で暮らす者たちの不安を取り除く意味を持つ。

「蔵書は全てこの区画から出て左に曲がって、突き当たりを更に左に曲がったところにある蔵書物保管庫というプレートがかけられた部屋にありましてよ。聞こえは長ったらしいですが、いわゆる書庫ですわ」

「分かった、色々とありがとう」

 クルタニカがアレウスに微笑みかけてから自身の職務へと向かった。


 幻想譚、冒険譚、絵本。大体は子供に向けての本が多く、修道院だからか恋愛を取り扱ったものは一冊もない。道徳に欠ける内容の物はほとんど見られない。中にはアレウスが読んだことのある本もあり、それらはどれも苦しみや絶望を乗り越えて勝利するような明るい終わり方をする。寄贈された本をクルタニカを含めた神官や僧侶たちが検閲しているのかもしれない。それでも寄贈してくれた気持ちを否定するような焚書(ふんしょ)はできない。だから探せばきっと歴史書や『異端審問会』について書かれている書物だって見つけられるはずだ。しかし、それらはクルタニカが運んでくれた本の山には見当たらず、きっと書庫の奥の奥へと追いやられていることだろう。

「最初の数ページを開いて、勝手に中身を推測して分類分けしちゃっているけど……これ、間違っていたらそれはそれで問題だよな」

 とはいえ、全てを読む時間はない。クルタニカにも大雑把に分けるだけだとは伝えてあるが、これでもし子供たちが怖い思いをするような内容の本が混ざるようなことがあったら少しばかり心が痛む。

 自分のことよりも身寄りのない子供たちのことを心配するのは正しいことだが、切らなければ自身の求める調査はできない。心を鬼にして、まずは自分自身の調査を優先することにした。

 クルタニカが運んできた本の山を五つほどに分けたのち、アレウスは席を立って彼女に言われた通りの道順を通って蔵書物保管庫の扉を開く。

 独特の本の臭い、そして僅かなカビ臭さ。古書独特のそれらの香りに気分が高まるか、それともげんなりとするかは人それぞれだがアレウスは前者だ。アベリアが魔法研究のために本読みを常としているが、アレウスもまた読書好きである。それは異界から脱出したあとに世界の知識を取り入れるために必須だったからだが、意外と本から得られる情報は大きいため日課となった。特に世界を記した歴史書や魔物探究の書物は学びが多い。古臭い情報ではあるが、それはかつて実際にあったことを記している。そういうものは幾年の歳月を経ても意外と世界の根幹や魔物の本能を誘うのに通用する。

 蔵書物は保管庫という言葉の通り、沢山の本棚に収納されているが、さすがに入り切らないものは平積みされている。部屋自体は広くあるが、本棚と本の山によって圧迫感があり、狭いとすら思えてくる。

「古そうなのを探すにはまず前の方に積まれている本をどうにかするのが先か」

 家でも整理整頓や清掃をしているが、調べものついでにしなければならないとは。アレウスは憂鬱になりながらも積み上げられた本を抱えられるだけ抱え、移動させる。

「虫干しもしたいけど、寒冷期じゃなぁ……」

 しかし、修道院も寄贈された本をカビや紙魚(しみ)の温床とさせないために緑栄期には虫干しをしているはずだ。さほどに心配するのは逆にここに身を寄せ、勤めている者たちに失礼かもしれない。部屋も湿気ている様子はなく、書物の保管には適している。考えすぎであり、気を遣いすぎている。


 ゴソッと本の山の方で動きがあった。先客がいたとは思わず、身構える。しかし本の山から顔を出した人物は続いて積み上げられた本を崩してしまい、再び本の山の中に埋もれてしまった。


 助けるべきなのだろうか。知らないフリをするわけにはいかないだろうか。可能なら無視したい。そんな葛藤にアレウスは苛まれる。

 読書や調べものというのは複数人でない限りは静かに行いたい。誰かにペースを乱されたくはないし、邪魔をされて感性を破壊されたくない。


「あのぉ~、部外者の方はこちらの利用は厳禁となっておりますのでぇ~」

 本の山から手を出し、女性が這い出してくる。さながら土葬された屍が地面から這い出てくるかのごとくであったため、さすがのアレウスも小さな悲鳴を上げてしまう。

「調べものを行う際は正式な手続きを踏んでからでぇ~お願いします」

 ギョロッとした目を上下左右に動かし、アレウスという人間を視覚で出来る限り情報を得ようとしている。両手はか細く、レジーナほどではないが肉体に青白さが目立つ。

 そんなことよりも、本の山から這い出してきてから一向に彼女は起き上がる素振りが見えない。ズルズルと這ってこちらに移動して、伴う衣服の乱れすらも無視して、本当に生ける屍のように首だけでこちらを見上げてくるのだ。

 魔物と相対したときに感じる死への恐怖には慣れているが、これは感性に訴えかけてくる恐怖だ。命を取られることにではなく、同じ空間にいることに強い拒否感と嫌悪感を抱かざるを得ず、そしてそれを排除できない己の無力感への苛立ちが引き起こす。それは死を間際に感じ取った背筋が凍るほどの冷たさすらもアレウスへと与えてくる。

 年甲斐もなく取り乱す。すると向こうも這ったまま取り乱すかのように絶叫を上げる。

「どうかしまして?!」

 保管庫からの叫びを聞いてクルタニカが駆け付け、アレウスと女性を見て小さく「またですの」と呟いた。

「両者とも落ち着いてください。良いですか、アレウス? この方は生ける屍でも亡霊でもなんでもありませんわ。修道院出身のギルド関係者でしてよ」

 アレウスはクルタニカに頭を撫でられて、ようやく平静を取り戻す。

「ですが、あなたも年相応に怖がることがあるんですね」

 見られてはいけない姿を見せ、聞かせてはいけない声を聞かせてしまった。今後しばらくはクルタニカに頭が上がらなくなってしまうだろう。しかし、恐怖から救われたのだからそれぐらいは仕方がないとすら思える。


「クルタニカ、様……すぉの方は、お知り合いでぇ~? お知り合いだとしても、許可を出していない方を保管庫にお通しするのはぁ~」

 そこまで言ったのち、女性はクルタニカがアレウスの胸元を指差していることに気付き、ギョロ目を激しく動かして徽章を捉える。

「あぁ~もう既に許可を出していらっしゃったのですねぇ~、うぁたしは悪漢や盗人が入ってきたのかとぉ~思いましてぇ~、たまらず絶叫してしまいましたぁ」

「これで何度目ですか、ニンファン?」

「そうは言われましてもぉ~、もはや数え切れない回数でしてぇ~」

 関節や重力など無視したような起き上がり方をして、項垂れた体勢から顔だけを上げ、ギョロ目を動かす。髪の乱れも衣服に付いた汚れすらも気にせず、一歩一歩は重く、そして次の一歩を出すまでに物凄く時間が掛かっている。

「いい加減に保管庫の番人のごとく、本を読み耽るのはおやめになってはいかかでして?」

「ですがぁ、手が足りていない修道院のためにもぉ、誰かが本を守ってあげなければぁ~本は特に燃えやすいのでぇ、火事になると一大事ですからぁ~」

「はぁ……ニンファン? この方には保管庫の利用と本読みの許可を出していましてよ。警戒を解いて、彼が調べものをするのを邪魔しないでください」

「承りましたぁ、それでは定時まではご自由に保管庫をお使いくださいませぇ」

 ニンファンは保管庫を物凄く遅い足取りで立ち去る。

「あの人は修道院出身にしては、格好がシスターっぽくもなんともないような」

「ええ、品性に問題があって修道院から出ることを余儀なくされたんでしてよ。ですが、修道院が定めた規則にそぐわなかったからと追放処分したとなると、受け皿としての品位を損ないます。なので住まわせることはできなくとも、仕事は与えるということで妥協したんでしてよ。本人もそれを受け入れ、ギルドと保管庫管理者の仕事を掛け持ちでしてよ」

「品性に問題があるとは?」

「それは……彼女のプライバシーに関わることですから、わたくしの口からは言えませんでしてよ」

 クルタニカですら言うことを躊躇うような品性の無いことを修道院でやったらしい。それだけでアレウスは引き気味に「そう」と呟くしかできない。

「才能はあるんでしてよ? あれでもヘイロンの後進ですから。ああ、ヘイロンと言ってもシンギングリンで真っ当に生きていた方のヘイロンでしてよ」

「ヘイロンの?」

「ニンファンベラ・ファラベル……本人はカスピアーナ姓を名乗りたかったようですが、ヘイロンがそれは駄目だと言い続けたので、仕方なくファラベル姓を使っているんでしてよ」

 シンギングリンのヘイロンはクローンから生じた真っ当な個体。ヘイロン・パラサイトから姓を変えたものの、串刺しにされて殺されてしまった。その犯人は未だ不明だが、ひょっとするとカスピアーナ姓を名乗ることによってニンファンの身にも危険が及ぶ可能性があったのかもしれない。だからこその配慮だったが、本人は納得していないらしい。

「ヘイロンが殺されてから、あんな風に?」

「いいえ、以前からあんな風でしてよ」

「あれが普通なのか」

「でも、シンギングリンが異界から解放されてからはずっと修道院の保管庫でしか働いていませんわ。寄り付きたくないのかもしれません。人前にもあまり出ることがなかったので、アレウスが知らなくても無理はありませんでしてよ」

「と言うか、僕自身がリスティさん以外とあんまり関わらないようにしていたからだろ」

 顔を合わせることはあっても顔を覚えようとまでは思ったことはない。ヘイロンやシエラはリスティに関わる人物だったから印象深く記憶に刻まれているが、それ以外は全く記憶していない。ニンファンが人前に出ることを避けていたのなら、もし過去にアレウスが彼女と顔を合わせていても、思い出すことは不可能だ。

「ヘイロンが唯一認めた後進でしてよ。優秀なのは確かなんです」

 クルタニカはしかし残念そうに溜め息をつく。

「自身の優秀さに気付いていないんです。だから、彼女は誰かに支えられないと立つことができないんでしてよ。才能を埋もれさせるのは勿体無い。かと言って、わたくしたちは彼女にヘイロンの後を継げなどと軽く言うこともできません。ただただ見守ることしかできないことが、虚しい」

 もしかするとリスティが考えていた後進とは、ニンファンのことだろうか。しかし、それをすぐに確認しに行ける状況にはない。

「もう一人で調べものはできまして?」

「ああ」

「怖くなって大声を上げてもいいんでしてよ? わたくしはすぐに駆け付けますから」

「茶化すな」

 笑いながらクルタニカは保管庫を出て行った。彼女の仕事を妨げてしまったことは申し訳ないと思うが、あの状況なら大抵の人間は悲鳴を上げる。上げない理由がない。思い出すだけで心臓が跳ねるのだ。飛び切りの恐怖体験だった。

「ここ……片付けなかったら僕はあとでなんか言われそうだな」

 本の山を崩したのはニンファンだが、彼女は定時になるまでここには帰ってこない。そうなると片付けておかないと定時以降に修道院でどんな噂を流されるか分からない。

「いや、修道院では生活していないから……でも噂ぐらいは立てられるもんな」

 次の日になってアレウスの保管庫利用が禁じられたら困る。恐らくだがシンギングリンで書物が一番収められているのはこの修道院だ。古書店や古本屋は珍品を見つけるのに適しているが、やはりこうして蔵書物を前にすると数で圧倒的に劣っている。その最大の情報源を利用できなくなるのは大問題だ。だから、調べながら片付ける。一手間加わってしまった。そうなると今日は本だけに時間を潰せなくなってしまった。

 溜め息をつく。だが、利用できなくなるよりはマシだと自身に言い聞かせて崩れている本を積み重ねていく。可能な限り、表題で大雑把に分類分けも行う。歴史書や教会の成り立ちについて書かれていそうな数冊は抜き取り、片付ける合間に目を通す。『異端審問会』は必ず教会や修道院から始まっているはずだ。そこから過激派へと分裂していると考えれば、神を崇めすぎているその信仰心の高さも窺い知れる。

 では、いつから。一体どういった流れで、その過激派は生じたのか。同志が集い、『異端審問会』を名乗るまでのその過程を知れば、彼らが掲げる目標の理由も見出せる。

「『産まれ直し』を拒み、冒険者を排除する」

 クリュプトンのロジックはざっくらばんに声に出して読んでいたが、黙読で済ました部分もある。その中にあった一文をアレウスは今、口に出す。

「『異端審問会』の掲げる目標の一つ……だよな」

 だが、そこまで冒険者を目の敵にする必要性を感じない。神が与えた祝福を、どうして狂信者たる彼らが拒むのか。


 教会の成り立ちや信仰の成り立ちといった本はそれそのものが信者を育成するための教科書だ。なので読めば読むほど頭がクラクラする。こういった本は神々を信愛する者たちにとっては甘味なのだろうが、アレウスにとっては苦味でしかない。息抜きにすらならないし、感情の拠り所が変わることもない。

「偶像を信じたり、実像を信じ仰ぐというのはこうも大変なことなのか」

 毎日のように祈りを捧げればいいだけ。そのように軽くアレウスは思っていたが、本を読めば読むほど彼らの生き方は神への強い強い願いで満ち溢れている。そのための清貧であったり、そのための奉仕なのだ。信仰する対象のためならば、自身がどれほどに厳しい状況に陥っても耐えることができる。なぜならばそれは神が与えた試練だから。

 クルタニカやヴェインの心の強さも肯ける。信仰のために彼らは色々な物を犠牲にしている。しかしそれを彼らは犠牲とは思っておらず、なによりアレウスたちに信仰への疑いや愚痴を零すことはない。

 もはや脱帽である。少なくとも自分自身には戦闘における我慢強さはあるが、生活を縛るような忍耐力はない。

「あー……僕ってちっぽけな存在だったんだなぁ」

 若干、信仰にやられ始める。信仰の教科書に綴られている言葉がとても沁みる。とはいえ、これ以上を真面目に捉える気はない。クルタニカやヴェインへ敬意を抱くことこそすれ、彼らと同じ境地に立ちたいという気持ちは微塵も湧かない。恐らくはこの部分が神を信仰する者になるか否かの分岐点なのだろう。


「あのぉ~」

 真後ろから声がして、怯えながらも振り返る。

「ニンファンベラさん……あれ? もう定時ですか?」

「そうではないんですがぁ~」

 猫背でギョロ目、それでいて健康とは掛け離れた青白い肌。一歩近付かれればアレウスは一歩下がる。

「うぁたしのお願いを、聞いてもらえますかぁ?」

「お願い……お願い?」

 ニンファンはアレウスに丸められた数枚の紙を手渡してくる。受け取って、紐を解いて紙を開く。

「依頼書、ですか?」

「これはぁ~ヘイロン様がぁ、やり残してしまった依頼でぇ~……うぁたしがずっと持っていた物ですぅ」

「僕に、この依頼を受けろと?」

「お受けになれないのならぁ~」

 衣服を唐突に脱ぎ始める。

「待って、待って! なにをしているんですか!?」

「体で支払いますのでぇ」

「そんなの求めていないんで!」

 それにしたって腰から下にかけては肉付きがいいな、などという感想が頭の中を駆け巡ったが修道院では決して晒してはならない姿を晒している。

「そうですかぁ~?」

 言いながらニンファンは脱いだ衣服を着直す。

「それではぁ、依頼をお受けしてもらえるということでよろしいですかぁ~?」

「受けないと言ったら?」

「体で支払いますのでぇ」

「分かりました、受ける受けます! 受けさせてください!」

「では受理とさせていださきますのでぇ」

 アレウスから依頼書を受け取り、指先を噛んで自身の血でサインを記し、返される。

「受けてくださったお礼は必要ですかぁ~?」

「いりません!」

 再びニンファンは服を脱ごうとするのでアレウスは強く拒絶する。


 クルタニカの酔っ払ったときの脱衣癖に近しいものがある。まさかとは思うがニンファンが追い出された理由はこういった修道院にそぐわない言動にあるのではないか。いや、そうに違いない。アレウスは彼女のギョロ目に捉えられ、そして口元から垂れる涎と、さながら獲物を見つけたとでも言わんばかりの表情の高揚を見て、このままここにいては貞節の危機であると感じて蔵書物保管庫から逃げ出す。あと数秒遅かったらニンファンに扉を塞がれていたのでは。そのような被害妄想を抱いたまま本読みを行っていた区画に戻り、クルタニカが出してくれていた本を丁寧に整理整頓する。ニンファンが追ってこないか内心ビクついていたが、その気配はなかった。

 その後、午後を過ぎてからアレウスは修道者に本の整理をしたことと、帰宅する旨を告げて修道院をあとにした。

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