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異世界で壊す異界のロジック  作者: 夢暮 求
【第13章 -只、人で在れ-】
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追討開始


「しかし、この俺が埋葬のためにアンジェラに死体を届けなきゃならんとはな」

 空から地上を眺めながらジョージは新王国を目指す。地上と違って空に国境はない。ガルダが空を支配している限り、そこに翼を持たない者たちの介入する余地はないのだ。ジョージの飛行が許されているのも翼を持っているからに他ならない。

「空は空で支配権を奪い合っているらしいが……俺にはどうだっていいことか」

 さっさと安全に降りられるところに降り、そこからは岩石の狼を呼び出して死体を背中に乗せ、見送る。会わずとも、これでアンジェラに届けることができる。問題はジョージの魔力を感じて、反射的に攻撃してこないかどうかだけだが。

「さっさと土いじりに戻りたい」

 呟き、羽ばたく速度を上げたとき、自身が抱えている死体からとてつもないほどの魔力が放出されていることに気付く。


 手放す。そう決めて手を放す。だが一足早く、天使の死体の腕がジョージの腹部を貫いていた。


「死んだフリ……? いや、死んだはずだ。死んだのに、生き返った……? こいつ……!」

「肉体は死を享受しても、精神が死を享受しない限りは戻る余地がある。違うか?」

 天使の死体が声を発し、魔力で赤い鎧を纏って背中に純白の翼を携える。

「少なくとも一部の人間はそう信じていた。死者はいつか必ず甦る。そのときに器がなければ困る。だから魂の器として肉体を保存しようと試みた過去があるだろう?」

「魔力の器を壊さなかったから復活しただけだろうが!」


 通常の魔物は死んだとき、魔力の器も一緒に破壊されて再生できなくなる。だが、この魔物は肉体が生命活動を終えようとも魔力の器が再生を促し、魔力が底を尽かない限り甦る。

 しかし、そんなことは甦ったから分かることであって抱えて飛んでいる間は予想すらしていない。虚を突いた赤い鎧はジョージの腹部から腕を引き抜くと大量の血液が付着した手甲を掲げる。血液は鎧の隙間に流れ込み、赤い鎧の魔力は更に増す。

 恍惚、或いは新鮮な魔力を得たことによる高揚。それらを味わっている赤い鎧をジョージは引き剥がし、蹴り飛ばす。

「お前は人間の体に穴を空ければ大体は死ぬと思っているんだろうが、例外がいることを学ぶんだな」

「強がりを」

「ああ、強がりだ」

 ジョージは全身を魔力で生成した岩石で覆い尽くす。

「だから俺はお前との空中戦を拒ませてもらう」

 空はジョージにとって不利な環境だ。粘着質な翼は滞空能力に乏しく、自身の持っているアーティファクトは空中には不向きな土属性である。更に腹に穴まで空けられていて、わざわざ赤い鎧にとって得意な環境となりつつある空中を戦いの場には選ばない。

「殺したいんなら地上まで落ちてこい」

 赤い鎧は戯れとばかりに細剣から生み出した炎をジョージを覆う岩へと浴びせるが内部に炎も熱も届かないことを理解し、放出をやめる。

「『初人の土塊』を持つ者と戦うなど私もしたくはない」

「そうか、なら二度目はしっかりと仕留めさせてもらう」

 赤い鎧は滞空を維持し、地上へと落下していくジョージを見逃す。


「存外、人間は頑丈にできているようだ。しかし、肉体が頑強であってもその精神は果たして同じように頑強か?」

 後方へ仰向けに倒れ込むように身を委ね、そのまま天を仰ぎながらゆっくりとゆっくりと降りていく。

「戦争に犠牲は付き物だ。だと言うのに、あまりにも死体が足りなすぎる。冒険者を狩ったところでいずれは甦るのだから、致し方ないか?」

 赤い鎧の全ての修復を終えて、身を翻して地上に対してうつぶせの姿勢となって翼を用いて滞空する。

「いいや、致し方ないなどあり得ない。戦争に妥協などあり得ない。徹底的に、暴力的に支配する。そのために、私がヴァルゴ様の尖兵をしっかりと勤め上げてみせよう」

 遠くに見えるパザルネモレに赤い鎧は舞い戻るべく飛翔する。

「まずは難儀であった観測手の巣を破壊しようではないか」



 城内にはパザルネモレの人々の多くが避難しており、犠牲者の数は蔓延っていた亜人の数に比べると奇跡的なまでに最少人数だった。それでも人々の肉体と精神はズタボロに痛めつけられ、誰もがその苦痛に喘いでいた。冒険者たちが救出を終えても尚、誰一人として気を緩ませることはなく、ふとした僅かな物音で身を震え上がらせて、神への祈りを捧げるばかりだ。


 そもそも城内に最初に入った冒険者によれば、人々は身を寄り添い合いながら国歌と讃美歌を絶えず唄い続けており、助けに来たことを伝えても見向きもされなかったという。恐らくだが亜人と人間の区別が付かなかったがために救出の手も言葉も魔物の甘言に違いないと固く拒絶していたのだ。


「ここの復興はシンギングリンよりも大変かもしれない」

「建物はほとんど壊されていないけど?」

「人の心が壊されている。目に見えないからこそ、それを治すのはとても難しい。十年や二十年経っても、ここは元のパザルネモレのようにはならないよ」

 ヴェインは悔しそうに言う。

「本来なら俺みたいな僧侶がそういった人々を導かなきゃならないのに、この言葉すら彼らには届かない」

「昔の僕みたいだな」

 一切を信じず、一切を求めない。ヴェラルドとナルシェに出会わなければ死ぬまでずっとそのままだった。

「亜人の死骸の処理も厄介だ。放っておけば腐食もせずに魔力の残滓となって消え去るが、放置はまずできないよ」

「焼くのも、感じが悪いか」

「火葬はありだと思う。でもさ、あれだけの死骸を纏めて焼くのは……素直に不快だ。戦場で死体処理をしているみたいな気分になる。死骸は全て魔物なのに」

 割り切れないでいるヴェインにアレウスは掛けるべき言葉が見当たらない。それでも感情を吐露し続ければ彼もどこかで感情に折り合いを付けてくれるだろう。そう思って、空気も読まずにヴェインの傍から離れない。

「赤い鎧は倒したんだろ?」

「倒した……はずだ。倒した手応えがあった」

 しかし、その死骸はジョージが回収してしまった。本当に死んだかどうかまでは確かめ切れていない。そこだけがアレウスの後悔だ。いつもそうやって倒し切れずに最小限に抑えたはずの被害が最大限まで拡大する。今回もその傾向があるような気がしてならない。だからアレウスは周囲が亜人討伐を果たした勝利の余韻に浸っていても感知の技能を解かないでいる。

「僕がこんな曖昧なことを言うんだから覚悟しておいてほしい」

「だろうね。君は失敗から学んでから倒したあとも完全な死が訪れるまでは見届けるようになった。でも、今回はそうじゃなかったんなら……でも、落ち度は君じゃなくジョージさんだと思うけどね」

「あそこでもっと徹底するべきだった」

「徹底できるほどの状態でもなかったじゃないか」

 橋の下――掘られた崖下でアレウスは倒れた状態で仲間たちに発見され、そのまま城内へと運び込まれた。意識はあったものの、回復魔法を掛けられても体を全く動かすことができず、夕方になってようやく動けるようになったばかりだ。

「やり切れていれば……こんな不安も抱かないのに」

「そのときはそのときだろ。お前だけに責任があると思うな」

 ノックスがやってくるとアレウスにパンを押し付けるようにして渡す。

「あのとき、お前が囮になってくれなきゃ城内で大暴れされていたかもしれない。ワタシたちはなんとかなったかもしれねぇけど、他の連中がどうだったか定かじゃねぇんだから」

 城内へ向かった冒険者を追い掛けて、赤い鎧が人々すらも巻き込んで大暴れする。そんな最悪な展開も起こり得た。それをアレウスは阻止したと言えば聞こえはいい。現に多くの冒険者がそのように褒めちぎってきた。


 それでも、記憶が不安にさせるのだ。

 終末個体のピジョンを討ち損じたがゆえのパーティの崩壊を。

 アレウスが抱えるトラウマを、現状が刺激してくる。


「気は、」

「抜かないよ。ずっと、いつでも動けるようにしておくから」

 アベリアはアレウスの言葉を先取りして答える。

「スティンガーが魔力を感知すればすぐにでもオレに伝えてくる。そう不安になるな。仲間で乗り切るべきことだ」

 普段は素っ気ないガラハの言葉が身に染みる。

「ありがとう」

「それより、もう動けるようにはなった?」

「心配いらないよ」

 全身の感覚は戻ってきている。技能も働いていることも調べた。回復中はアベリアと手を繋いだことで貸し与えられた力も充填することができた。万全ではないかもしれないが、即座に動ける状態にはある。

「にしても、あの赤い鎧はとんでもねぇことやっていたみてぇだな」

「なんだ? なにか聞いたのか?」

 ノックスの何気ない呟きにアレウスは過敏に反応する。

「城内の人間を襲わないようにしていたのはあの赤い鎧だったんだ。亜人を完全に統率していて人間を襲わせないようにもしていた。冒険者を呼び寄せるための餌だったってことだ。で、更にワケ分かんねぇのが何度か男女をどこかへと連れ出していたらしい。しかもその男と女はどっちも帰ってきてねぇし死体もねぇ。だから亜人に喰われたか、そいつが喰ったか」

「男女……なんでわざわざ男女なんだ?」

「連れて行かれた先は臭いで辿れた。まだワタシしか見つけてねぇけど、教える気にもなんねぇよ」

「なんで?」

 耳を貸せという態度が見えたため、アレウスはノックスに近付く。


「交尾させた上で亜人に喰わせている」

 耳元で囁かれたが、にわかには信じがたいためにアレウスは目をパチクリとさせ、もう一度とばかりに彼女に耳を傾ける。

「だから人間が交尾した臭いと血の臭いが混じっていたんだよ」

 どうやら聞き間違えたわけではないらしく、「もう十分だ」と呟いて彼女から離れる。


「……それは、どういうワケだ?」

 自分なりに答えを探したが、答えが出なかったためノックスに問い掛けるが「ワタシが知るかよ」とすぐに返されてしまう。

「人間の観察……か? いや、それだけじゃない気がする」

 だが明確な答えが出せない。なんともモヤモヤしてしまうが答えの出せる話を先に済ませてしまおう。そう思ってアレウスは道端で剣を拾い上げてみんなに見せる。

「どう思う?」

「ただの剣だけど、それがどうかしたのかい?」

「武器を持っていた亜人は、どいつもこいつも鉄製の武器を使っていた」

「それは亜人が人間の戦い方を真似したからじゃないのかい?」

「そうとも言い切れる。でも、僕の予想では、」

「魔物が鉄を知った……?」

 遮るように答えたアベリアにアレウスは肯く。

「木材や石材ではなく、鉄製の武器を魔物が知ったんだ。人間が使う武器は命を奪ってくる物だと忌避していたのに、奴らは全員が鉄の剣や鉄の槍、鉄の矢を使っていた。奴らは忌避していた人間の武器が自分たちの作る武器よりも強力で頑丈であることを知った。誰かが、学ばせたんだ」

 鉄――金属を知れば魔物は更に厄介になる。だからその傾向が見られたなら注意深く観察しなければならない。リスティのような担当者からはそう教わっている。


 傾向と呼べる流れは感じなかった。それもこれも普段からゴブリンたちを相手にしていなかったせいもあるが、リオン戦で現れたコボルトでさえ金属の武器を握り締めていなかった。

 それがこのパザルネモレでは唐突に亜人だけが金属の武器を握り締めて襲いかかってきた。本当に人間を真似るためだけに金属の武器を用いただけならば杞憂に過ぎないが、どうにもそんな風に楽観視することはできない。


「リスティに伝えなければならないか」

 口元の髭に触れながらガラハは呟く。

「オレも亜人だけが金属の武器を振るうとは考えられない。ここから帰ったらゴブリンやコボルトの討伐依頼を受けて、すぐにでも生態を調べるべきだ」

「すぐにでもとは言うけれど、しっかりと休息を取ってからだよ。急ぎではあるけれど、それで身を滅ぼしては元も子もない」

 やや気持ちが先に行きすぎているガラハを(しず)めるようにヴェインが言う。

「俺たちが気持ちを先走らせても、魔物がそのように変わってしまっているんなら急いだってどうしようもならないんだ。むしろ俺たちはその事実を受け入れつつ、魔物たちとどう渡り合うかを検討した方がいい」

 まだ阻止できる段階にあるのなら急ぐべきだが、阻止できないところまで来ているならどんなに急いでも手の施しようはない。いわゆる手遅れだ。

 だが、本当に傾向があったなら他の冒険者がゴブリン退治をしているときに報告があるはずだ。それをリスティからは窺っていないし、伝えられてもいない。


 取り越し苦労か、それとも紛れもない事実か。未だ想像の余地は出ない。


「パザルネモレに数日滞在して、倒し損ねている亜人がいないか調べるのとあとは魔物が寄ってこないかを警戒しよう」

「だな。ここのパンは美味(うま)いし」

 だからアレウスにパンを寄越してきたのかと、ようやくノックスの真意を知る。見舞いのために食べ物を用意したという面もあるのだろうが美味しさを共有しようという意思があったようだ。

「パザルネモレのパンではない。オレがシンギングリンから持ち込んだものだ。ここにあるパンはここの人々のものだ。食べさせるわけがないだろう」

「え、マジ? どこのパン屋だ? ワタシはまだ喰ったことないぞ」

 くだらないことに驚いているノックスにアレウスは溜め息をつく。

「滞在中にノックスの立ち回りについても話を進めたいな」

「それは勘弁」

「座学を拒むな」

「戦いに座学なんてねぇよ」

「ある」

「ねぇよ」

 互いの主張が平行線になってしまう。

「ならリスティさんに聞いてみる?」

「……それは、ワタシの負けになるんじゃ」

「そう思うってことは座学は必要だと気付いているんじゃないかい?」

 痛いところを突かれたのかノックスは黙って、自分用に持っていたパンを齧った。


 取り敢えず、パザルネモレから亜人は追い払った。あとは外側で待機していたパーティが亜人をどれだけ討伐できているかだ。


「リスティさん?」

 現状についての情報共有のため、リスティとの『接続』を求める。彼女はこの場こそ見えないが、地図上でアレウスたちの位置を掴み、こちらが求めれば念話が可能なはずだ。他の担当者の報告も受けてパザルネモレが無事に亜人から奪還できていることはもう知っているはずで、必要なのは滞在の旨を伝えることだ。その際に金属の武器を使っていたことも伝えられれば、あとはギルドとして調査してくれる。

「……リスティさん?」

 しかし、応じてこない。これが深夜であれば仮眠を取っているのかとも思うのだが、まだ夕方だ。それにリスティのマメな性格からして仮眠を取ることは伝えてくるはずだ。


『アレ……ウ、ス、さん……っ!』

 念話が乱れている。脳内に直接届くはずの言葉に雑音が混じっていて聞こえ辛い。この雑音は周囲の音がリスティが意図せずしてアレウスに送り込んでいるからだ。


 悲鳴、爆発、風切り音。


「なにかあったんですか!?」

『赤……よろ…………逃げ……っ!』


「おい、あれを見ろ!」

 冒険者の一人が指差した方を見る。パザルネモレからは丘陵地帯が見下ろせる。その内の一角――担当者たちが陣を敷いた場所から煙が上がり、激しい炎が吹き荒れている。

「アレウス君!」

 不意にオラセオの声が聞こえた。坂を登り切り、ゼェゼェと荒い呼吸を行うオラセオは必死に言葉を紡ごうとするが、咳き込んでそれどころではなくなる。アベリアが背中を叩き、ガラハが水を飲ませて落ち着かせる。

「担当者がいたところに……襲撃が……!」

「助けに行かないと」

 アベリアが置いていた杖を手にする。

『聞こえますか!』

「聞こえています、リスティさん!」

『私たちの場所はそちらから見えていらっしゃるはず』

「ええ、ですから今からそちらに」

『救助は継戦が難しい冒険者のみとします! これは私の独断と偏見となりますがアレウスさんたちにはまだ余裕があるはず!』

「どうしてそんなことを言うんですか?!」

 リスティは元冒険者であるため『教会の祝福』で甦ることができるが、全ての担当者がそれに該当するわけではない。


――私たちの生死は世界に影響を及ぼすことはありませんが、あの魔物に生き続けられてしまえば間違いなく世界に影響が出ます。だから、私はギルドマスターとして外で待機していた冒険者と、中でまだ戦える余地を残す全ての冒険者に告げます。


 アレウスの脳内だけに届いていた声はパザルネモレにいる全ての冒険者へと響く。


――謎の魔物、もしくは亜人の終末個体であるあの赤い鎧の魔物を追討せよ! 追って追って、地の果てまで追い立てて必ず討伐してください!


「裏を掻く亜人がいただろ? あれが索敵できる亜人による統率ではなくて、あの赤い鎧の入れ知恵だったとしたら」

 オラセオが息も絶え絶えに伝えてくる。

「冒険者たちの後衛の更に後ろ――担当者というアライアンスやキャラバンにおける観測手であり司令塔を襲おうと考えるのは、自然のことだったんだ……俺たちは、前を向きすぎた。後ろを、最も後ろを見ていなかったんだ……!」

 激しい激しい後悔を見せられて、逆にアレウスの怒りで沸騰しそうだった思考が鎮まっていく。

「担当者たちをお願いします」

 ここに急いで報告してくれたオラセオだが、彼のパーティにはもう継続して戦える力は残っていない。そう判断したから彼らはパザルネモレから撤退したのだ。だから、ここで言葉を交わして頼めるのは彼しかいない。

「他の冒険者たちとほとんど話したことのない僕には、あなたにしか頼むことしかできません。どうか、救える命を一つでも救ってください」

「あ……ああ! 仲間たちは外の冒険者たちを束ねて、もう救助に向かっている!」


「行こう、アレウス!」

 ヴェインが拳を固く握り締める。

「俺はリスティさんの言った通り、地の果てまで追ってやろうと思っている!」

「落ち着いてくれ。回復の要になるヴェインが怒りに囚われたら僕たちは不安しかない」

 肩を叩き、ともかくも彼の思考が落ち着くのを待つ。

「座学は後回しだな。実戦で学んでやるよ」

「お前が倒れてくれたおかげでパーティ単位で休ませてもらえた。いつだって走れる」

「私たちなら倒せるよ。ううん、絶対に倒す。“軽やか、五つ分(エアリィ)”」

 全員の意思は固まっている。他の冒険者たちも我先にと坂を駆け下りている。


「喪わせた分は、その命で払ってもらうぞ」

 黒い感情をその一言で吐き出し切って、アレウスが駆け出すとそれに全員が続いた。

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