処遇
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帝国へと帰国してシンギングリンに戻ってきたアレウスたちはまずニィナとアイシャをリスティの元へと預け、各々が旅の疲れを癒やすための休息に入った。先に帰国の途についていたジュリアンたちとはシンギングリンで再会を果たし、ドナとエイラも無事であることを伝えられた。その後、ドナの屋敷にフェルマータを帰し、イェネオスが連合で起こったことをエルフたちと共有するため街を出た。
ヴェインには土産話をせがまれたが、これと言った面白い話はなく、むしろ酷い話ばかりであったために多くを語ることはできなかった。特に宗教上の違いから起こっている神官や僧侶の迫害の事情などは決して話すことはしなかった。その辺りをヴェインも雰囲気で感じ取ったらしく、帰ってきた日の翌日にはあまり多くを聞きにこなくなった。
それでも聖女や563番目のテッド・ミラーによって連合がどのような状態であるかだけは共有した。そうでなければ今後のパーティ間での情報量の差異が今後の大事な場面で勘違いの原因になりかねないからだ。幸い、ヴェインは話し上手である上に聞き上手であったためにアレウスは微塵も言い淀むことはなかった。
連合から戻ってきて五日後、リスティに呼び出されてアレウスとアベリアは仮設されているギルドへと向かった。
「犯罪者を匿うことをギルドは良しとはしないのですが」
非常に悩ましいことが彼女の表情で分かる。
「ニィナさんの命を守るためには長期の軟禁という手段を取る以外ないでしょう」
「軟禁ですか……」
「帝都へ報告すれば間違いなく死罪です。皇女の暗殺を企てたなど極刑以外にあり得ません。ですが、シンギングリンのギルド預かりの状態を維持することができれば、一応は命を繋ぎ止めることができます」
問題は、とリスティは続ける。
「このことを帝都の役人に知られてしまえば私たちは極刑です。それだけでなくシンギングリンのギルドに関わった全ての者が罪人となります」
「じゃぁギルドは匿うことを決めたの?」
「国へ忠誠を誓うのであればニィナさんは役人に突き出すのが正解です。しかしながらニィナさんが皇女暗殺及び様々な帝国の重要人物の暗殺に関わっていたという事実は、その証拠はリオン討伐の際にカプリースさんが回収した矢しかありません。これを分析、解析した結果を知っているのは私とエルヴァに関わる人物のみ。私たちが口外しなければニィナさんを捕縛するだけの証拠は存在しないことになります」
「嘘をつく、ということですか?」
「無謀な上に国に楯突くことになります」
ニィナの処遇について激しく悩んでいる。恐らくここ数日、あまり眠れていないのだろう。それでもシンギングリンの仮のギルド長の仕事も任されているリスティが下さなければならない。
「正直、こんな重い決断なんてしたくないから担当者からも逃げて事務方の仕事ばかりしていたのですが……」
判断の難しさはアレウスにも分かる。むしろ判断できなかったからこそリスティに投げてしまった。彼女なら正しい判断をしてくれるだろうと。どんなに非情な決断も下してくれるだろうと。そんな風に期待した。
その期待が彼女に疲労を与えてしまっている。アレウスは今更ながらに申し訳なさに心を痛ませる。
「この問題はエルヴァとその周りが黙っているかどうかに掛かっています。私が黙殺すると決めたならギルドの皆さんはそれに従ってくださいます。恐らくエルヴァも私が手紙を送れば、納得してくれるでしょう。しかし、エルヴァが黙っていても矢の解析を行ったエルヴァの周りの人物が黙らなかったなら……いえ、私の周りの誰かも黙っていないかもしれません。そんな爆弾を私の判断によってこのギルドは抱えることになります。文字通り一蓮托生の、シンギングリンのギルドを灰にしてしまうほどの爆弾を」
「……それでも帝都の役人に引き渡さないと決めた要因はどこにあるんですか?」
アレウスは恐る恐るリスティに訊ねる。
「不幸中の幸いなのか……いえ、どのように表現したらいいのかも分からないのですが、アイシャさんがいることが大きいのです。彼女は『聖痕』を持つ聖女見習い。見習いとはいえ、その威光はあります。聖女見習いがいずれ聖女となるのであれば、彼女が庇うニィナさんが大罪人であるはずがない。そのように民衆は解釈することができます。しかしながら、これはアイシャさんを人柱に変えてしまいます。アイシャさんの存在が帝都にまで知れ渡ることがあれば、聖女を引き渡すように通知されます」
「断言するの?」
「断言できます。一度、帝都はアイシャさんを連れてくるように私たちへの通達しているのですから」
ルーファスたちが極秘の任務で帝都に向かったのはアイシャを連れていくためだった。その点からも帝都は今も尚、彼女を欲しているということになる。
「聖女であるからですか?」
「神の使徒たる聖女。その存在が帝都にある。これだけで帝国軍の士気は上がります。聖女がいるということは即ち、神の尖兵として戦うことができるにも等しいことだからです。連合が無謀な戦いに身を投じたのも聖女が聖都にいるため」
「神の使徒と神の使徒が戦うという構図がそこまで必要なことなの?」
アベリアは何度もリスティに質問を投げかける。
「戦争なんて、やりたくてやるものじゃありませんよ……普通は。勝てる戦争であれば、そりゃ何度だってやりたいことです。しかし敗北と数えない戦争はあろうとも敗北のない戦争なんてありません。常勝無敗を謳えるのは王国のマクシミリアン第一王子だけでしょう」
ですが、とリスティが続ける。
「聖女がいるとなれば話は別となります。自国に神の使徒がいてくれる。自分たちは正しい戦争を起こしているんだ。これはまさに聖戦であるのだと部隊長は兵士たちを鼓舞することができるのです。ゆえに負け戦であろうとこれは神が起こした必然の敗北と捉え、悲壮感なく死ぬことができるでしょう……それが果たして、正しいかはさておき」
「聖女を据えることで連合とも戦いやすくなるでしょうね」
「それこそ先ほどアレウスさんが仰ったような神の使徒と神の使徒が戦うという構図なのです。現状、連合にあと一手届いていないのは聖女の存在が大きいのです。神の使徒に立ち向かう不届き者という思考は、どうしても戦場において身を削る者たちには辛いものがあります。彼らは人間と戦うことで人間不信に陥るからこそ、人間以外に縋らなければならないのですから」
救済があること。それが戦場において大切なことなのは禁忌戦役を体験しているリスティには痛いほど分かるのだろう。
「ですから、ニィナさんのことを不問にするからアイシャさんを渡せ。そのような交渉も必ず起こります。そして、聖女を据えるべく帝国がアイシャさんに非人道的な行いをしないとも限りません。戦場に送り込まれることさえあるでしょう。そんなこと、あの繊細なアイシャさんが耐えられるわけがありません」
「だから人柱……か」
アイシャかニィナか。どちらかを犠牲にすればどちらかが助かる。
「どっちも助けられる方法を模索するのは強欲なんでしょうか?」
「いいえ、私もどちらも助かるのならそれが一番良い。ただ、現状では存在しないという答えにしか行き着かない。だから二人纏めて軟禁する。要は問題の先送りです。二人と口裏を合わせる必要はありますけどね。『シンギングリンに来たのはつい先日のことだ』。この一言だけでシンギングリンのギルドは罪に問われることはほぼなくなります。数日前に見つけて軟禁していた人物がニィナだとは知らなかった。そしてアイシャとも知らなかった。その後に役人に聞かれてもそのようにシラを切り通せばいいだけですから」
「罪を犯した人間を匿うことは、正しいことじゃないけれど」
アベリアの一言でアレウスとリスティが唸る。この話はアイシャともしている。第三者でない限り、私情が挟まれる。そのせいで罪人の扱いが変わるのは本来は望ましくない。
異界で人間の死体を喰ったことのあるアレウスが言える立場ではなく、新王国の姫君を救うために密かに戦場に赴いたリスティも言える立場ではない。罪から目を背け、自身は無実であるかのように振る舞っているだけなのだ。なのにニィナの罪はつつこうというのだ。あまりにも都合が良すぎる話だ。
「軟禁は言い換えれば裁きを受けていない禁固刑。ただし、見ず知らずの人間をさらって軟禁してしまえば、それはただの犯罪へと変わる非常に危うい扱いとなります。ニィナさんにもアイシャさんにも伝えてはいますし、本人たちもそれでいいと納得してはいますが……これもまたギルドが主体でやったとなれば……大事になります」
「どう足掻いても、どう解釈しても爆弾のままか」
「心苦しいですが今はこれで帝都の様子を見ましょう。役人の動きが早ければ、私たちは手の尽くしようもありません」
「また一緒に魔物退治に行けると思ったのに」
アレウスの横でアベリアが残念がる。
「可能な限り軟禁とはしますが、体力が落ちるのはよろしくないので外の出歩きも監視付きで許可する予定です。ただ、少しでも反抗の意思があれば私たちは彼女たちを裁かなければならなくなります。ずっと危ういままです。それこそ皇女が『不問だ』と言わない限りは」
「それは……絶対にないでしょうね」
溜め息しか出ない。自身の命を狙った暗殺者を許す者などこの世には誰一人としていない。アレウスですら命を狙われれば、その相手の命を取りに行くために反撃する。ましてや国を統治するやもしれない未来を持つ皇女である。ニィナを許せば、ありとあらゆる暗殺者が皇女を殺すべく押し掛ける。命を狙っても不問にしてくれる皇女などと吹聴される。たった一つの前例が後々に響くのだ。だから、アレウスたちが具申しても聞き入れない。聞き入れられない。自分の命が更に危うくなってしまうから。
「私に言ってくれれば、手続きをしてたまには顔を見に行くぐらいは許します」
「だったら今日中にニィナと話すことはできますか?」
「通常なら無理ですとお答えしますが、彼女を連れ帰ってくれたのはとにもかくにもアレウスさんたちですから、たった一度の前例は許しましょう。ただし、それを公に大声で話すようなことをなさらないように。困るのはあなた方ではなく、ニィナさんたちですから」
「はい」
肯き、アレウスは肝に銘じる。
「上手く状況を見据え、彼女たちが自由に動けるようになればいいのですが……などと言ってしまうのは、犯罪者を世に解き放たんとする悪人の思考なのでしょうか」
「僕も同じように思っています」
「私も」
「いずれにしても、世間がそれを認めてくれない限りはどうしようもなさそうです」
心を入れ替えたと言う前科持ちの言葉を世間はそう簡単には認めない。ましてや殺人を犯した相手などと親交を深めることさえ怖ろしいと思うだろう。教会関係者が受け皿になることが多いがそれですらリスクが伴う。
やるせない気持ちが沈黙を呼び、三人揃ってしばらく仮設ギルドの喧騒に耳を傾けていた。
「それじゃ、『金』属性のアーティファクトの話に移る?」
やがていつまでもこうしてはいられないとばかりにアベリアが切り出す。ニィナとアイシャの処遇については話の本筋から外れている。実際の本題はアベリアが切り出した内容だ。
「『初々しき白金』はアイシャのロジックにあるよ」
「そのように報告してもらいましたから分かっています。アベリアさんから見て、アイシャさんは『継承者』として問題ないでしょうか?」
「問題?」
「なにか、アーティファクトが暴走するような予兆は見られませんか? 『原初の劫火』を持っているアベリアさんならその辺りは分かるのではないかと思いまして」
「最初は荒れていたけど、今はしっかりと落ち着いていると思う。でも、アイシャが力を求めたときにちゃんと機能してくれるのかまでは分からない。ニィナに貸し与えた力もアイシャに戻っちゃったみたいだし、まだ思うようには使いこなせないのかも」
「まぁ突然、とんでもないアーティファクトを収納することになったのですからそこは仕方がありません。暴走はない、と考えてよろしいですか?」
「アイシャの心が乱れない限り」
「……怖い話ですね。ニィナさんにもしものことがあれば、彼女は平気で自身のロジックに眠るアーティファクトを解放しかねません」
「そう? 私だってアレウスになにかあったら、それぐらいのことはするよ」
しれっととんでもないことを言い出したが、リスティは喉の調子を整える程度で動揺を誤魔化す。
「それより気掛かりなのは『雷鳴轟く金槌』をリゾラが持っていたこと。あっちの方が多分だけど危ない」
「『鬼哭』が持っていたはずのアーティファクトをなぜかリゾラさんが持っていた……ひょっとしたら彼女はアニマートさんだけでなく、『鬼哭』ですらも……?」
「あり得ない話ではないです。でも、」
「オーネスト様の元に身を寄せていらっしゃるのなら、危険性はあってもさほど心配しなくてもいいと思います。彼女自身、後ろめたい気持ちがあるからこそオーネスト様を頼ったのだと思いますから」
庇おうとしたアレウスにリスティは優しく語り掛ける。
「罪を償う意思があるのなら、私たちはそれを黙って見守りましょう。『初々しき白金』と『雷鳴轟く金槌』。そのどちらも危うくはあれど、持っている本人たちにはこちらに対する悪意も敵意も害意もない。これが分かっただけでもありがたい話です」
そう言って彼女はテーブルに五大属性を記した紙を広げる。
「火属性は『原初の劫火』。土属性は『初人の土塊』。金属性は『初々しき白金』。水属性は『清められし水圏』。木属性は『神樹』。これで五つに大きく分類されるアーティファクトの持ち主は判明しました。そしてこれら五つから外れつつも存在する光と闇。光属性は『二輪の梵天』から質が落ちて『二輪の日天』。闇属性は『不退の月輪』。水属性から派生した『冷獄の氷』や木属性から派生した『雷鳴轟く金槌』など、まだあるかもしれませんが、とにかく五大属性は判明しました。そして、それを悪意ある者が保有しているかいないかも」
「イプロシア・ナーツェ……」
クラリエの母親ではあるが、この世界に見切りをつけて異世界へと渡ろうとしている。エルフの暴動で森の奥深くを陣取っていると聞く。書庫を支配しているため、古より伝わる大事なエルフの歴史にすら今は触れられないらしい。
「廃エルフでもなく、エルフでもない人類最古にしてたった一人のハイエルフ。神代より生き続けている寿命知らず……と、言ってみましたが実際のところはどうか知りません。私は本人に聞いたわけではありませんので」
「なにか弱点でもないんでしょうか」
「アーティファクトの『逝きて還りて』がある以上、イプロシアは無敵でしょう。どんな致命傷を負っても、『神樹』で自己再生も可能としていますし、倒したとしても倒していなかったルートへと私たちは導かれてしまう」
リスティが『逝きて還りて』を知っているのはアレウスがそのように報告したからだ。イプロシアのアーティファクトは彼女自身のみならず世界に干渉する。死んだ瞬間から彼女自身が設置した『門』を復帰地点とするだけでなく設置した年代に甦る。そうして彼女は死なない未来へとルートを変えて戻ってくる。これに気付けているのはアレウスとクラリエのみ。ひょっとすると『勇者』も気付けるのかもしれないが確証はない。そもそも見たこともない『勇者』に想いを馳せたところでどうにもならない。
「書庫を奪い取られてもイプロシアは怖れない。その果てで死ぬことになっても、困らない。書庫を奪い取られないようにして死なないように戻ってくることさえできちゃう。私にも、そんなアーティファクトの突破方法は見つけられない」
唯一の方法は生かすこともなく殺すこともしないこと。死なせなければ、殺さなければイプロシアは『逝きて還りて』を使用できない。だが、そんな死に掛けまで追い詰めても『神樹』で自己再生する彼女はすぐに復活してしまう。そうなってしまえば元も子もない。
「エルフの書庫にはどうしても辿り着きたいところですが、私たちにはどうしようもできない上位存在と考えるしかないでしょう」
人間よりも一つ、或いは二つも三つも上の存在。それがイプロシア・ナーツェであるとするなら、その更に上にいるのが天使、そしてその上が神といったところだろうか。
「しかし、どうして『賢者』と謳われる方があのような暴挙に出てしまったのか……アレウスさんはどう思いますか?」
「どう思うと言われても」
「いつもながらの推測を聞きたいのです。そこから考察が進むかもしれません」
異界獣の討伐がそのまま世界を更なる脅威へと導くことを知られているのではないか。リスティの視線は刺さるものがあり、耐えられずに喋ってしまいそうなところをアレウスは必死にこらえた。
「『勇者』との冒険の果てで、この世界に見切りをつけた。でもその原因までは想像のしようがありません」
「そう……ですよね。あの方たちの生き様を間近で見ていない私たちには想像ができないことばかりです」
話してしまえば楽になれるのに。そう思いつつもアレウスは黙っておくことを選んだ。到底、理解してもらえないことをやっている。アベリア以外に知られれば、それこそ極刑ものでニィナの心配をしている場合ではなくなる。
「いずれにせよ、森に潜んでいるとはいえイプロシアは魔法で従えたエルフに暴動を起こさせた上に女子供をさらわせています。森に引きこもってからは一切こちらに干渉していないとはいえ、とてもではありませんが無害と考えるわけにはいきません。向こうから仕掛けられた際の対策は考えていかなければなりません」
「リスティさん! 緊急事態です!」
仮設ギルドに冒険者と思われる出で立ちの男が飛び込んでくる。
「ここから南東にある街が魔物の――亜人の襲撃を受けて陥落したそうです!」
「亜人……!」
立ち上がり、リスティがアレウスたちを見る。
「支度さえ済ませれば今日の夜にでも僕たちは出られます」
「お願いします。それと、シンギングリンの冒険者たちに集合するように連絡を」
男とギルド関係者にリスティが指示を出す。
獣人やハゥフル、ガルダは人間の種族として分類されているが、亜人は人の姿をした魔物である。人語を介さず、取り込んだ人間の技能や思念を利用する。アレウスも異界でエウカリスと共に戦った。
「集める冒険者には事前に情報を伝えた方がいいと思います」
「情報?」
「戦う相手は亜人で、見た目は人そのもの。迷った瞬間に魔物として牙を剥く。人を殺す気で倒せる者でなければ、返り討ちに遭ってしまいます」
「分かりました、そのように冒険者たちには伝えましょう」
「ねぇ、亜人ってことは」
「そういうこと、だろうな」
亜人を尖兵として持っているのは異界獣のヴァルゴだ。エウカリスの力を借りることで追い詰め、異界を捨てさせたが新たな巣を作り上げて戻ってきたのだ。
「異界から出てくる?」
「それは考えにくい。自分自身の異界から出てまで狩りをするような異界獣じゃないからな。それに亜人の襲撃とヴァルゴが必ずしも関係しているとは限らない」
だが、亜人はヴァルゴの異界以外ではほぼ見ない魔物であることもまた事実だ。
「急がないと」
「行こう。みんなに伝えて、討伐に参加できるかどうか聞かないと」
そう言ってアレウスは仮設ギルドを出て、アベリアもそれに続く。
「出来れば今日中にニィナと話をしたかったのに、これじゃ先送りになりそうだな」
愚痴を吐き、『異端審問会』に繋がる手掛かりを掴めないことに苛立った。




