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異世界で壊す異界のロジック  作者: 夢暮 求
【第12章 -君が君である限り-】
556/705

一射

「テッド・ミラーは死んだのに魔力で練られた星が散らないのはなぜだ?」

「魔力の星を作り上げていたのはテッドだったけど、その詠唱を行ったのは聖女になってからだった」

「ならば聖女に詠唱を解いてもらえばいいのか?」

「いいえ、聖女はテッドの魔法を知らない。知らない魔法は解くことができない」

 ガラハの疑問にリゾラが答えつつ、倒れている聖女を揺さぶる。

「それでもこの聖女にはとにかく起きてもらわないと」

「俺様たちが起こしてやる」

「我らではあの星はどうしようもない」

「信用できるようにも思えないけど」

 クレセールとプレシオンの申し出をリゾラは怪しむ。

「アレウスはどう思う?」

「『不死人』は聖女に乗り移ったテッドに協力していたんじゃなく、聖女の肉体を持っていたから協力していたんだ。だから、元に戻ったのなら僕たちの間で行われた交渉は成立しているはず」

「……まぁ、テッドもヘイロンも差し出してはくれなかったけど結果的に私の要求は通ったみたいなものだけど」

「聖女とは争わない」

「分かった」

 渋々ではあるがリゾラが従う。


「大変だよ、アレウス」

「ボルガネムの信徒たちが外に出ています。星が降ってくる異様な光景に耐え切れなかったのかもしれません」

 クラリエとイェネオスが花園の端――大聖堂の屋上からボルガネムを眺めてから帰ってきて街の現状を語る。

「もし星を打ち砕けても、その破片が降り注いじゃう」

「家屋に身を潜めても、破片が落ちてしまえば助かる命も助からないのではないでしょうか」


 聖都の仕組み、信仰が狂っていてもボルガネムの人々は守らなければならない。テッドの魔法の前では全ての人々が被害者であるのだから。助けたくない命がそこにあろうとも、巻き込んでしまったのならば救う義務が発生する。


「私の魔力じゃ大詠唱で覆えるのはこの大聖堂までです。聖都全体まで覆えません」

「だったらみんなを大聖堂に避難するように言えば、」

「いや、全員が大聖堂に避難する前に星が落ちる」

 アベリアの提案をオーネストが切る。

「そして、なにもしないままでは間に合わなくもなるぞ?」

「テッドは『落星』の性質について、地上に近付けば近付くほど低速になっていくと言っていた。だから、見た目以上に僕たちにはまだ猶予があると思っている」

 オーネストは言葉で焦らせてくるが、アレウスは冷静さを失わない。

「ニィナ、もう起き上がれるだろう?」

「……私は」

「ニィナじゃない。そんな話をしたいんじゃない。なにもかもは全てが終わってからだ」

 リゾラとの話、ニィナの話。どれもこれも後回しにできることだ。後回しにできないのは、この状況しかない。

「金属製の像に変えていたけれど、あれは君の矢の力か?」

「……そう、だよ。私が、みんなを殺した。一杯、沢山、殺した」

「だったら私だって沢山の人を殺してる」

 怯えるように罪を告白するニィナにリゾラが諭すように言う。

「アレウスは謝罪や後悔を聞きたいんじゃない。あなたが持っている力について詳細に聞きたいんじゃない?」

「私、の力じゃない。あれは『初々しき白金』の力で……あれ?」

 ニィナは自身の腕を見る。金属に侵食されていたはずの腕が綺麗な肌を取り戻していることに驚いている。


「『初々しき白金』は私が持っています」

 アイシャが進言する。

「でも、私にはこのアーティファクトの使い方が分かっていません」

「どうして」

「だってニィナさんを助けるにはそれしか方法がなかったですから。それに、私の中にアーティファクトは納まりましたが、この通り死んでもいませんし金属に侵食されてもいません」

 袖を捲って、両腕をニィナに見せる。

「だからもうニィナさんは怯えなくていいんです。苦しまなくていいんです」

「でも、私は……」

「だから、謝罪や後悔は今じゃないの」

 二度目となればさすがにリゾラも語気を強める。苛立ちが手に取るように分かるが、変にニィナの肩を持てば機嫌を損ねる。こういった雰囲気は何度だって経験している。だからアレウスは静観する。

「罪を告白することで楽になれるんなら私だって今、この場所でやっている。だけど、そんなもので星が落ちるのを防ぐことはできない。あなたに求められているのは、矢に力を込められるか否か。そうでしょ、アレウス?」

「そうだけど、もうちょっと優しくはできないか?」

「私が? 無理。だって私はあなたみたいに優しくないから」

 つっけんどんに言ってからリゾラはガルムたちを魔力へと変えて体内へと回収する。

「『初々しき白金』が私の中にないのなら、矢に力を込められない」

「さっきも言いましたけど私はアーティファクトの使い方を知りません」


「これは人助けだと思って訊ねるんですけど」

「急に敬語になられても困るな」

 アレウスがオーネストに質問を投げかけるが、態度が悪い。こういった対応をする女性のことがアレウスは基本的に苦手であり、大嫌いである。

「私に助けてくれと懇願したって助けてやらねぇよ」

「助言を求めます」

「言ってみろ?」

「『不死人』を『超越者』にすることは可能ですか?」

「……できねぇな、普通は。そいつらは『教会の祝福』の定義から外れたところで復活している。死が死として機能していない」

「普通は、できないんですね?」

「ああ、普通はできねぇよ」

 アレウスは改めてニィナを見る。

「……アイシャ、ニィナに『初々しき白金』の力を貸し与えるんだ」

「どうやって?」

「肉体的接触のあとに、相手に力を貸したいと願えばいい……と思う。少なくとも私は、そうだったから」

「肉体的接触?!」

「手を繋ぐこととかだよ?」

「それならそう言ってください!」

 アベリアの説明で一体どのような想像をしたのかは分からないが、アイシャが激しく動揺していた。

「でも、ニィナさんは『不死人』なのでしょう? 『不死人』に力は貸し与えられないとオーネスト様が」

 聞いていたイェネオスが横から呟くように言う。

「ただでさえ『初々しき白金』はニィナさんを拒んでいました。貸し与えれば、再び同じ苦しみを与えるのでは」


「……いい」

 ニィナが小さく声を発する。

「もう一度、苦しむことになったっていい。あの星を、この都市に落とさずに済むのなら」

「私はよくありません。ニィナさんを犠牲にしてまで都市を守るなんて」

「犠牲にはならないはずだ」

 悲壮感に包まれている二人にアレウスが言う。

「ニィナがニィナでなく、テュシアであるのなら」

「どういうことですか?」


「テュシアちゃんがニィナちゃんのロジックをテッドみたいに乗っ取っている。でも、テッドのロジックがリゾラちゃんの死の魔法で溶けたとき、聖女のロジックは無傷だった。アレウス君は多分だけど、テュシアちゃんとニィナちゃんのロジックの両方が、そのニィナちゃんの体にある状態だと考えているんだよ」

「ふははっ、そういうことか」

 事態を把握してオーネストが笑う。

「ニィナは死んでいるがロジックが残ったままでテュシアのロジックがそこに覆い被さっている。テュシアのロジックに貸し与えられた力が入れば拒絶されるが、ニィナのロジックに貸し与えられた力を刻めば拒絶されねぇ。『超越者』になる条件は一度死んでいることだ。ニィナは死んでいてテュシアは生きている。疑似的に一度死んでいるという条件を満たせているわけだ」

「だが、死んでいる者のロジックは開けないはずだ。死ねば人間は物体と同義に…………」

 ガラハが話しながら気付き、目を見開く。

「『竜眼』、か……」

 そう言って、彼は少女を見る。

「連れてきたのは間違ってなかったみてぇだな」

 彼女の手をオーネストが掴み、アイシャとニィナの傍まで連れていく。


「フェルマータ?」

 アレウスがしゃがみ、彼女と同じ視線で訊ねる。

「アイシャが力を貸すときに、その力をテュシアのロジックじゃなく、ニィナのロジックに移せるかい?」

「分からないです」

 即答されてアレウスは俯く。頼りにしていたが、やはり思い通りにはならないようだ。

「やってみないと、分からないです」

 しかし彼女の即答は拒否や強い否定が込められたものではなく前向きなものだった。顔を上げ、彼女の頭を撫でようとするがそこで手を止める。さほど仲良くもなっていないアレウスという男の手で頭を撫でられるのは怖いだろう。

「あとでエイラがドナが褒めてくれるよ」

「本当ですか? 頑張ります」

 アレウスは曲げていた足を伸ばして立ち上がる。


 アイシャとニィナが手を繋ぐ。それをフェルマータがジッと見つめ、タイミングを見計らっている。


「逃がすな」

 その隙にガルムが変容して束縛されていたヘイロンがそれらを解いて逃げようとしたために、アレウスがガラハに向かって言い放つが事前に階段前に接地されていた『妖精の悪戯罠』を踏んだらしく、再び拘束されていた。

「山を荒らす連中と同じだな。逃げられると思って最短を行く。オレじゃ追い付けなかったが、スティンガーは許してはくれていないようだな」

 妖精はヘイロンの前で明らかな怒りに満ちた飛行を行っている。

「ちっ……どいつもこいつも、あたし一人に……みんな死んじまうってのに、お気楽なことだな」

「死にませんよ」

 また逃げるかもしれない。そう思ったのかイェネオスが階段を塞ぐように立つ。

「アレウスさんなら、なんとかする。そのように私は思えるからです」

「はっ、無理無理。テッドの置き土産をどうやって壊すってんだ」

「エルフさん? そいつは私が厳重に監視しておくから、アレウスを手伝ってあげて」

「いえ、恐らくですが私にできることはもうなにも。ですので、私たちはこっちに専念しましょう」

 ヘイロンをイェネオスとリゾラだけでなくガラハ、更にはオーネストまでもが睨みを利かす。


「この力を、こっちに移す」

 フェルマータが呟きながら指先がニィナを指して、ほんの僅かに動いた。

「できました……と、思います」


「こっちも聖女様が目覚めたぜ?」

 クレセールの報告と合わせ、プレシオンが肩を貸して聖女を起こす。

「よし」

 アレウスはアベリアと手を繋いで貸し与えられた力を充填する。

「聖女様、状況は把握できていますか?」

 そう訊ねると生気のない表情ではあるものの、首をコクリと縦に振った。

「『接続して(チャネリング)』」

 すぐにアベリアが『接続』の魔法を唱える。


《ボルガネムに住まう全ての信徒、そして全ての人々よ》

 聖女が声を聖都へと発信する。

《悪しき者の手により、この聖地に危機が迫っています。しかしながら、怯える必要はありません。神の使徒たる私が、あなたたちの抱える全ての不安を取り払いましょう。今は穏やかに建物の中へと身を隠しなさい。これに地位は関係ありません。私が愛するのは聖都、果てには連合の全ての人々。奴隷であろうとなかろうと、貴族であろうとなかろうと、神が等しく手を差し伸べるように私もまた等しくその命を守りましょう》

 アベリアが『接続』の魔法を解く。

「これで、本当にボルガネムをお救いいただけるのでしょうか?」

「断言はできません。僕は神や聖女様のように奇跡は起こせませんので」

「……そう、ですか」

 聖女は顔を伏せ、次にニィナを見る。

「テュシア」

「……はい」

「ごめんなさい、テュシア。私は――いいえ、私に辿り着くまでに連なる全ての聖女は、あなたに酷い仕打ちをしました。こんな謝罪の一言で済むものではないでしょうから、理由も添えましょう」

「理由……私が、こんなにも苦しいのには理由が、あるんですか?」

「私は、あなたの力を怖れたのです。あなたの、人のロジックを乗っ取ることのできるその力を……だって、テッドにこの肉体とロジックを奪われたときのようなことが、過去に起こらないとも限らなかった……あなたの手で。あなたが産まれたときに、怖れてしまった。遠ざけたいと、思ってしまった。私は、私を奪われることが……怖ろしかった。『養眼』で産まれたその命を、信じ切ることができなかったのです」

「……聖女様も、怖れることがあるんですね」

 でも、とニィナは続ける。

「怖いから、遠ざけられた。たった一つの理由だけでこの私の苦しみ続けた生き様が、その言葉で満たされることはこれからも永遠にありません」

「そうでしょう……ね」

「だから、聖女様はこれからも聖女様で居続けてください。私への罪を抱きながら、永遠に聖女様であり続けてください」

「永遠かどうかは分かりませんが、尽力しましょう」

 上っ面だけの言葉だとアレウスは思う。しかし、ニィナの顔はとても満足げであった。

「私はどうしたらいいの?」

 液体金属がニィナの手から溢れ出し、鉄製の弓と矢を作り出す。

「物質に魔力が干渉できるように、魔力は魔力で干渉ができる。そうだったよな?」

「細かいことは分からないけど、多分そう」

「君の、アイシャから貸し与えられた力で、あの魔力の星を金属に変えてくれ」

「金属に?」

「そして炎で簡単に溶けるように……低融点にしてくれ」

 無茶なことをアレウスは言う。

「そんな、どこにあるかも分からない金属に、存在するのかも分からない金属に……変えられるか?」

「あなたの無茶は今日に始まったことじゃないわ。ほんっと、言うことやること全部滅茶苦茶よ」

 呆れるように言う。その姿は、アレウスが過去に知るニィナそのものだった。

「滅茶苦茶だけど、やってやろうじゃない。私にしか、できないんならね」

「星を魔力に変えて、どうするの? 全部金属に変えてからじゃ、間に合わないし危ないんじゃ」

「だから並行して溶かす。ニィナの矢の後ろから“火天の牙”を追随させる。ニィナの矢で金属に変えながら、少しずつ溶かしていく」

「バランスが崩れたら分裂しちゃうよ?」


「アレウス君、あれを見て!」

 クラリエに呼ばれたので走り、花園の端に立つ。

「なにあれ?」


 ボルガネムの外――都市の外にあった金属の塊が動いている。それらは意思を持っているかのように開かれた門を潜り、都市内部を走り回る。


「戦車だ」

「戦車? 馬車を戦争用にしたやつ? でもあたし、あんなの見たことないよ」

「だろうな、僕だって本物は初めて見る」

 しかし、産まれ直す前の記憶があれによく似た兵器を記憶している。


『君の後輩にして僕の弟子たるジュリアンがやってくれたよ』

「ジュリアンの師匠か」

『あの子はボルガネムから出たあとに、この兵器たちに糸を繋いでくれた。そして君にも抜け目なく糸を繋いでいる。おかげで観測手を持たずして僕は君たちの状況が読めている。零れ落ちた星の破片をその兵器たちで冷え固まる前に更に細かく砕いてあげよう』

 楽器の音色が頭の中で響く。

『安心してほしい。僕が得意とするのはむしろこういった操作系、そして楽器を奏でることでの一時的な能力強化。そして僕の音色は無生物にすらその強化を施すことができる』

 外郭――円周上に戦車が移動し終え、その砲身の全てが大聖堂上空へと向く。

「あれは『奏者』が操っている。僕たちを補助してくれるらしい」

「なら壊さなくていいんだね?」

「一応、幾つかは見張っておいてくれ」

「分かった」

 アレウスはニィナたちの元へと戻る。


「漂うは命、響くは心」

 アイシャの詠唱が始まる。

「ニィナ、見える?」

「ちゃんと見えてるよ。アベリアが空けてくれた穴が」

 不安そうなアベリアにニィナがそう返事をして、弓に矢をつがえる。


「されど無辜なる命は奪われ、悲しくも眠る」


「……はぁ、かなり、うん、マズいな」

 無意識の内にアレウスの体は震えていた。

「カーネリアンやクルタニカみたいにできるか……?」

 シンギングリンに氷塊が落ちるとき、それを救ってくれたのはその二人だった。そして街を覆った魔法はアニマートが張ってくれた大詠唱だった。


「歳月は巡り、衰えるは世の常。されど一瞬、世界を救う真なる輝きとならん」


 あのときのなにもかもに劣っているとは思わない。だが、重責に気持ちが折れそうになっている。


「ワラワをその炎で殺しておいて、なにを弱気になっておる?」

 『養眼』から零れ落ちた涙からリリスが復活する。

「二度、このワラワを焼いたんじゃぞ? このワラワが、二度も負けた! 弱気になられては困る」

 肩の力が抜けていく。


「故に築け、故に固まれ、故に命じる。害なす悉くを拒め」

 アイシャの背後、その中空に複数の魔法陣が出現し、五芒星を描く。その中でも五芒星の中心よりやや外れた位置にある光属性を表す一点の星が一際強く煌めく。


「その弱気にワラワが負けたなど、認めん。ワラワはお主の強さに焼かれたのじゃ」


「私の矢は、星を射抜く!」

 両腕から矢の先に液体金属が収束し、ニィナが矢を放つ。

「獣剣技、“火天の牙”!!」

 その矢を追ってアレウスの炎刃が飛んでいく。

「「合技(ごうぎ)、“金変(きんぺん)万火(ばんか)”!」」

 技には名を与え、声に出した方がいい。そうすることで放たれた技は世界に認識され、完全な力を引き出す。先に名を決めていたわけでも話し合ったわけでもないが、アーティファクトの共鳴によって二人の声は技を紡ぎ出した。


「大詠唱、“光よ(リヒト)守護の神となれ(トゥテラリィ)”!!」


 アベリアが空けた穴を矢が抜け、炎刃が抜け、星へと接触する。矢が星を金属へと変えながら、炎刃が続いてその金属を溶かす。溶けた金属は飛沫のように散り、冷え固まって降り注ぐがアイシャの大詠唱の障壁が大聖堂を守る。


 矢が星に打ち砕かれそうになり、それを支えるように炎刃が支える。やがて二つの力は重なって、星を変質させながら溶かすことを並行して行う。

 中心を抜け、星が三日月状に歪んだところで矢が貫通を終える。魔力の星はその全てを金属となり、左右に割れる。その割れた星も熱を持っている間に『奏者』の操る兵器が放つ砲弾の雨によって砕け散った。


「見ろ、アレグリア」

 オーネストは聖女に興奮を隠し切れない様子で呟く。

「新たな世代、新たな時代はこんなにも強い」

「……そう、ですね。私たちのような古来より生き続ける者には、眩しすぎますが」

「一緒にするな。私はそこまで年寄りじゃねぇ。まぁ、だとしても」

「私たちは感謝される側ではなくなり、この新たな世代に感謝する側となったわけですか」


「やった……やったよ、アレウス!」

 振り返ったニィナは倒れているアレウスを見て、顔を青褪めさせる。

「大丈夫?! 死んでない!?」

「死んでない」

「ほぅれ、ワラワに二度も技を放つからじゃ! 一発はしっかりと温存しておくんじゃったな!」

 動けないアレウスをリリスが大いに煽る。


 この日、金属片はボルガネムを覆い尽くした。家屋の倒壊も多く報告されたが、その死者数は事の重大さに比べれば極めて最小限と呼べた。


 オークション会場での殺戮に比べれば――

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