絶対に無い
≠
「さいっあく! 最悪も最悪! 信じらんない!」
悪態をつきながらリゾラは眩暈に苦しみ、襲ってくる吐き気からその場に吐瀉する。
「……っぁー、クソ。一体、どんな奴がこんなことを……」
身に起きたことを頭の中で整理しつつ、リゾラは近場の木陰に腰を下ろす。
ワイルドキャットを回収し、ヴォーパルバニーを代わりに置いた。悪魔さえ従えているリゾラにとって、あんな魔物を従えることは苦ではないし、それを捨て駒にすることも勿体無いと思うことはなかった。
冒険者のテストと呼ばれる物を自分の手でグチャグチャにすることは気持ちが良かった。ヴォーパルバニーが冒険者にもなっていない見習いの首を刎ねたときには心が躍った。アレウスたちの手によって討伐されることも加味した上での悦楽の時間だった。
そう、そこまでは良かった。
問題は、ヴォーパルバニーがアレウスに屠られた瞬間だった。
「私の魔力の残滓を追いかけてきた」
ヴォーパルバニーはリゾラが従えた以上は、その肉体を構成する大半の魔力はリゾラの物だ。使役する以上は、討伐されたとしても繋がりは保っておかなければならない。しかし、その繋がりは討伐の瞬間にまさに“糸”のように千切れる魔力の繋がりで、これは魔物の死体に残る魔力とは別物である。だからこれまで、自身の魔物が冒険者に討伐されるようなことがあっても、その魔物の死体からリゾラの痕跡が見つかったり、残滓を追いかけられることもなかった。
だが、討伐されたヴォーパルバニーから綻んでいったはずのその魔力を“糸”として魔力で結び直して、無理やり自身と繋げ直された。それは別に存在を感知されるわけでも、魔物の死体から痕跡を発見されるわけではない。なにせ繋がった瞬間にリゾラは即座に切ったのだから。
それでも、繋がったということは一瞬、リゾラとは異なる魔力が自身の体内を巡ったということになる。
「アニマート・ハルモニア……だっけ? 『蜜眼』で魔力を吸い取るとかいう、冒険者。これを経験したら……他人の魔力を自分の魔力にできるなんて……馬鹿げた力としか思えないわね」
自身の魔力と何者かの魔力が体内で混じってしまい、乱れた。その結果がこの眩暈と吐き気である。
「私の綻んだ魔力を自分の魔力で繋ぎ直した冒険者……誰だか分かんないけど、そんなのとは絶対に戦いたくはないわね」
この眩暈も吐き気も、一時的な物に過ぎない。乱れた魔力を整え直せばいずれ落ち着く。
体内を巡った魔力の色も味も記憶した。だから、どこかでこの魔力の持ち主の気配を感じ取ったときは、可能な限り姿を見せないようにしなければならない。
「殺せるんだったら殺してもいいけど……復讐相手じゃないし……そういう無駄な殺生は、したくないかな。あはははっ、もう幾つか村を消しているっていうのに、なに変なこと言ってんだか」
発言している途中で矛盾に気付き、思わず笑ってしまった。
今更、罪が消えるわけでもない。重ねた罪を償う気もない。
「……シンギングリンに戻って、この魔力の持ち主と会うわけにもいかないし、あの街でのヘイロンについての調査はここまでかな。連合国寄りのエルフの森を探りに行こう」
脂汗を拭い、リゾラは立ち上がる。
「それにしても、あの街の真っ当なヘイロンを殺した犯人……私の中では結論付けることができたけど……耳にした評判とは裏腹だなんて、やっぱり冒険者って輩は信用できないわ」
*
「――以上、『異端』のパーティの活躍によってヴォーパルバニーの討伐は完了。その後、多少の混乱はあったもののテスト自体は続行しました。概ね、資料には目を通していただけたと思いますが、テストの結果も踏まえると、そちらの添付している紙に書かれている六名を合格とすべきかと」
クルタニカがギルド長への進言を終えて席に着く。
「……ふ、ヴォーパルバニーまで狩ってしまうか」
「今の『異端』であれば可能です」
「可能だからこそ、挑戦したとも言えます」
アイリーンとジェーンがギルド長の呟きに応じる。
「今回のテストに参加してくれた中級以上の冒険者たちにはギルドから報酬を出す。ヴォーパルバニーを討伐した『異端』のパーティには上乗せ……と言いたいところだが、他のパーティから不満も出てくるだろう」
「それは当然のこと」
「たまたま『異端』のパーティが遭遇しただけで、ヴォーパルバニー単体であれば他の中級以上の冒険者でも対処し切れていたかもしれません」
「ならば、参加した全ての冒険者に報酬の上乗せをする」
「「分かりました」」
アイリーンとジェーンが同時に答え、手元の紙に素早く文字を書き記していく。
「しかし、この六名に件のジュリアン・カインドを入れていないのはどうしてだ?」
「それは……」
クルタニカが言い淀む。
「当人を見た『異端』に聞くのが手っ取り早いか」
彼女の隣に座っていたアレウスが指名され、立ち上がる。
「ジュリアン・カインドは魔力の糸と、それに伴う『束縛』の魔法を用いて、ヴォーパルバニーの討伐に多大な貢献があったと言えます。彼がいなければ、僕の首が飛んでいても不思議ではない場面もありました。他の見習い冒険者に比べ、魔物への知識もあり、魔法にも精通、なによりも魔物の気配に対して常に鋭く、常に後衛としての務めを果たすために距離を置く冷静さも兼ね備えていました」
「では、どうして不合格なんだ?」
「彼は年齢を詐称しています」
「詐称? 初耳ですわ……え、じゃぁ、わたくしが最初に彼を見たときに、か弱そうで不安げだったのは緊張からではなかったんですの?」
「年齢を詐称していることがバレるのではないかと怯えていたんだと思います。冒険者のテストを受けられる年齢は十五歳。ギルド長からの特例が出ればそれ以下でも受けることは可能ですが、彼は申請をしておりません。正確な年齢は彼に問い質したところ、十二歳であることが判明しました」
「十二歳は……特例でも、受けさせるわけにはいかんな。もし申請していたとしても突っぱねていた」
「まだ子供」
「未来ある子供」
「「この道に入れるには、純粋過ぎる」」
「ジュリアン・カインドには揺るぎないほどの冒険者としての素質があります。それは今回のテストで協力してもらったのでそれは確実です。ですが、それはあくまでテストの最中の話です。彼は年齢の詐称程度で、と思うかもしれませんが、その一つの嘘を誤魔化すために更なる嘘を重ねることになるかもしれません。そしてそれは年齢に留まらず、ギルドに対して様々な嘘をつく最初の入り口になるでしょう。魔物との戦闘の外――冒険者の素質ではなく、人間性の面で彼は未熟と判断しました」
「通りで、ただ一つの進言のために同席させてくれとわたくしに申したわけですわ。十二歳の子供を合格させたとなれば、街の人々からの非難は逃れられませんわ。嘘そのものにさほどの重みはありませんわ。けれど、十五歳と偽られたまま、ギルド側で様々な都合や資料を作ったあとにバレていたならば、修正作業に追われましてよ」
「ありのままを見せる冒険者も少なく隠し事は逆に多い連中ばかりだが、嘘ばかりを重ねる冒険者はそうはいない。子供のついた嘘で済ませられるものならまだしも、ギルドへの報告に嘘が混じるようなことがあっては困るか」
「『審判女神の眷族』としても、ジュリアン・カインドを認めるわけにはいきません」
「この場に呼ぶようなことがあった際に、我々が彼の嘘を暴くことになります」
「最低でも、アイリーンとジェーンを従えている私の前では嘘をつかない者でなければならない。これがまだ十四歳が十五歳と偽った程度なら大目に見てやれそうだが、十二歳か……仕方無い。『異端』を同席させたのは正解だったな。私たちだけならば彼を通してしまっていた。他に言いたいことはあるか?」
「いえ、合格者の中に僕と遭遇した見習いが含まれていないのであれば、特になにを言うこともありません。彼らは少しばかり、冒険者の仕事を軽く見過ぎていたようですから、不合格ということは他の中級以上の冒険者の方々にも同様の所感があったということ。僕の感覚にズレがなくて、ホッとしているところです。伝えたいことは伝えましたので、退室させていただきます」
「ああ、わざわざすまなかった」
「……一つ、ワガママを言うことができるのならば、ですが」
退室しようとしたところでアレウスは足を止め、ギルド長と目を合わせる。
「言ってみろ」
「来年のテストでジュリアン・カインドが年齢を詐称せずに、特例で受けられるようにしてはやれないでしょうか?」
「今から唾を付けておこうということか」
「彼には命を救われています。ただ不合格という事実を突き付けるだけでなく、まだ目指せるという可能性を与えられないかと思いまして」
「そう思うのなら……そうだな、善処しよう。ただし、『異端』にも少しばかりは負担を強いるぞ?」
「構いません。ワガママに付き合ってくださり、ありがとうございました」
頭を下げてから、アレウスは会議室を出た。
「報告は済ませられたかい?」
廊下で待っていたヴェインが飲み物の入ったコップをアレウスに手渡す。
「テストの時には随分と頼りないところを見せてしまった。申し訳ない」
随分と的外れなことを言われる。
「僧侶や神官に特効の魔物なんだから、謝らなくていい。そういうときは残った仲間で埋め合わせるものだ」
「そう言ってもらえると、罪悪感が少しだけ薄れるよ」
「ガラハと違って休暇明けの肩慣らしにはならなかっただろう? パーティとして活動を再開する前にそんなに難しくない依頼をこなそう」
「そうしてくれるとありがたい。あまり迷惑は掛けたくはないから、二、三人程度でこなせる依頼を探してもらえるかい?」
「リスティさんにそう伝えておく」
アレウスは飲み物を飲み、ヴェインと足並みを揃えて廊下を歩き、ギルドのロビーまで戻った。
「……その様子ですと、審問ではなかったようですね」
ロビーで待っていたリスティが胸を撫でおろす。
「また問題視されていると思いましたか?」
「まぁ、アレウスさんのことですから起こり得るかと」
そのように冗談混じりに言っているが、顔を見れば本気で心配されていたのだとさすがのアレウスでも気付く。
「テストでの報告を挙げ切れていなかったので、伝えに行っただけですよ」
「頭を下げてまで伝えなければならないものがあるというのも、不思議な話だけど」
ヴェインはアレウスの肩を叩きつつ、仲間たちが囲んでいるテーブルの空いている席に着いた。
「選考としては最終段階なので、この会議の中で絞り込まれた見習いから合格者が出ます。この最終段階に至る前に問題外とされた見習いにはもう不合格の通達が行っていることでしょう」
「テストは四日前だったと思うけど、どの段階で行くものなの?」
「不振に終われば、その日の内に手紙での通達という形で次の日には届きます。手紙より速く結果を知りたがる方もいらっしゃいますが、基本的には手紙が来てから不平不満を言いに来るのが通例ですね」
アベリアが水割りの果汁飲料の入ったコップを手にしつつリスティに訊ね、それに彼女が真摯に答える。
「来たところでなんにも変わりませんけどね。むしろ自分の未熟さを思い知ることになるので、来ない方が良いまであります」
「そうは言いますけど、自分の中で手応えがあって不合格になったら、なにか一言でも言いたくなるのは当然では?」
「結局、自分の中で手応えがあるというのは、主観的な物に過ぎません。第三者に、その手応えが伝えることができていないなら、それまでです。知っていると思いますが、私も冒険者のテストを受け、一線を退きはしましたが次に担当者のテストを受けた身です」
挑戦することの難しさと厳しさを知っているからこそ、経験からの言葉である。そう彼女はアレウスに言いたいらしい。
「では、三人で受けられる依頼を探しましょうか」
「まだなにも言っていないんですけど」
なにも言っていないのにリスティはどうしてアレウスが言おうとしたことを先出しできるのかと不思議に思う。
「わざわざアベリアさんとヴェインさんを連れて来たのなら、それぐらいは分かります。特にヴェインさんは肩慣らしが上手く行かなかっただけでなく、自身の活動再開までに掛かる負担をパーティ全体にまで及ぼしたくないと思っておられるのではないかと」
「さすが、リスティさんにはなにもかもお見通しみたいだ」
ヴェインはリスティの推察能力の高さに観念したように天井を仰ぎ見た。
「異界化を阻止できたとはいえ、その影響でシンギングリン周辺でゴブリンやコボルトを見かけるようになったと聞いています。数や平均的な能力が分かり次第、ギルドから依頼を出しますが、どうでしょうか? 近くの村への荷馬車を魔物から守る護衛の依頼なども出ていますが」
「護衛になると行きに一日、帰りに一日で二日掛かってしまいます。それに、俺の肩慣らしに人の命が関わるのはちょっと」
「でしたら、やはりゴブリンやコボルト退治辺りでしょうか。似たような依頼も恐らくは次々と挙がってくるとは思いますけど、アレウスさんたちのレベルやランクに比べれば見劣りする依頼ばかりとなってしまいますね」
「あくまで肩慣らしです。出費を報酬で賄おうとは思っていません。それに、赤字でもそういう小さな不安を取り除くのは大切じゃないですか?」
「……一つ、二つと壁を乗り越えていくたびにアレウスさんが人間として成長していくのを実感しています」
「はははっ、俺と会った頃のアレウスとアベリアさんは野良犬ぐらいに周囲を敵視していましたし、とにかく異界に行きたくて行きたくて仕方がないって感じでしたからね。でも、あのときのギラギラした感じは潜んではいますけど、魔物と戦っているときとか物凄く自分の道理にそぐわない相手と話すときとかに出てくるんで、牙は抜けていないはずですよ」
「アレウスさんの人徳と、理解してくれる人に恵まれた運の良さもそうですが、ヴェインさんの人柄の良さも根底にはありますよ」
謙遜していそうなヴェインを褒めつつ、リスティは手元の書類を束ね、整えるためにトントンッとテーブルを叩いた。
「俺たちが不合格って一体どういうことですか?!」
「噂をすればなんとやら、ですね」
ギルドの受付に複数人の見習いが押し寄せている。
「気にすることはありませんよ。あなただけの評価で合格不合格が決まったわけではないのですから」
リスティは見向きもせず、紅茶を飲んで一息入れる。
「もう決まったことですので」
「私たちはあれだけの魔物と倒したんですよ?」
「おかしいでしょ! なんで不合格なんですか!」
「不合格理由については申し上げることができかねます」
「それって、人には言えない理由で落としているってことですか?」
「誰かを贔屓したから、俺たちは落ちたんですか?!」
どこまでも自分たちを中心に物事が回っていると思っている連中だ。アレウスでなくとも、あんな大口を叩く見習いを合格にしたくはないだろう。なにより実力が伴っていれば、大口を叩こうとも合格することはアレウスとアベリアが一年前に自分たちで証明している。
「ねぇ、あの人」
「あっ!」
アレウスに見習いの視線が集まる。
「あんた、あのときに俺たちのところにいたよな?!」
もう会うこともないと思っていた見習いと、どうしてこんなところで再会するような羽目になるのか。アレウスは心底、面倒臭いと思う。
「もしかしてあんたが俺たちを落としたのか?!」
「私たちの実力に嫉妬して、故意に悪い評価を出したんでしょ!?」
「そんなの職権濫用だ!」
「僕に複数人の見習いを落とせるだけの発言力はないし、評価だって他の人が10あるなら僕は2くらいだ」
これは大げさに言っているわけではなく、アレウスに与えられている評価の値は本当に2か、良くて3を出せるかどうかである。それでも3という評価を出せば、『どうして与えられた評価以上の数値を出したのか』を問われることになる。
「俺たちはこんなところで躓くわけがない」
「あんたが悪いんだ!」
「あなたに出来ないことなんて、私たちは簡単に出来るんだから!!」
ギルドの中でどよめきが起こり、微かに笑い声が混じる。
「言うじゃないか、見習い。是非ともご高説を賜りたい。『異端』に出来なくて、お前たちに出来ることがなんなのかを」
「俺にはとてもじゃないが『異端』を前にして、そんな大口は叩けないな」
「『異端』を認めるわけじゃないが、その発言はいただけない」
「彼がこれからやることがどんなものかまでは分からないが、これまでやって来たことを私もやれと言われたら、正直なところ絶対にやりたくないって言えるわね」
「ま、そいつのことを悪く言えるのはそいつよりもランクの高い俺たちだけだ。不合格の見習いがとやかく言ってんじゃねぇよ」
あちこちからアレウスを擁護する声が上がる。
「不合格理由について申し上げることができないのは、あなたたちのプライドを折らないためです。こんな多くの冒険者がいる場で理由を語れば、今のように笑われてしまいますから」
シエラが受付の担当者と交代しながら告げる。
「彼は一年間、ギルドに尽くしてくれた冒険者です。活躍の仕方などから否定的な冒険者も多くいますが、だからといって見習い以下の冒険者と思っている者はこの場に誰一人としていません」
「俺たちはガルムを相手に、ほぼ無傷だったんだぞ」
「出来て当たり前のことを誇らしげに語るのはおやめください。それで? ヴォーパルバニーはどうされましたか?」
「それはあの人が下がれって言ったから!」
「そう、“助けに入ったじゃないですか”。彼の仲間が下がれと言っても下がらず、笑い飛ばしたあなた方の危機に急いで駆け付け、魔物の前にあなた方を守るために立ち塞がった。違いますか?」
「だってあの魔物はテストの対象じゃなかった!」
「笑わせないでください」
シエラの語気が強まり、見習いたちが息を飲む。
「仮にその言い訳がまかり通るとしても、それはテストであったからです。あなた方は手に負えない魔物を前にして、すぐに助けを呼ぶこともなく、相談や報告をすることもなく接触の仕方を間違えた。だから一人の命が奪われてしまった。その事実から目を逸らし、自己保身に走り、助けてもらったことに感謝すらしないどころか文句を言う。問題外です」
それに、とシエラは付け加える。
「彼は常々に想定外のことに抗い続けています。それこそ見習いの頃から、今の今まで。私だけでなくギルドに所属する者たちはそれを見ています。彼は多くを語りません。初対面の相手に対し、気に障ることを言ってしまわないかと思い、控えているからです。だから、私たちが言うのです。あなた方には『異端』のアレウリス・ノールードを見下すほどの実力は無い、と」
見習いたちが肩を落とし、項垂れた。
「……居心地が悪いので、出直してきていいですか?」
「これだけ擁護してもらって居心地が悪い? 気分が良いのではなく?」
「いや、問題の種になっているのに、この場に居続けるのは耐えられないです」
「アレウスさんの意見を尊重しましょう。夕方に出直してください」
リスティとの囁き声でのやり取りを終え、アレウスはアベリアとヴェインに目配せをして、ギルドから退散した。
「褒められることと認められること、そのどっちにも君は慣れた方が良さそうだよ」
的確過ぎるヴェインの言葉を胸に刻みつつ、しかしどうやってその手の方向の耐性を付ければいいのか、アレウスは答えを見つけ出すことができなかった。




