戦線形成
*
「状況を完結に纏めてもらいたい」
暴走を止めた王女を庇いながらカプリースが訊ねてくる。
「それよりも先に僕に言うことがありませんか?」
「君に恩を売るつもりはない」
「だと思いました」
別に謝罪も感謝も求めていないが、ここは聞いておくのが筋だろうと思っただけだ。アレウスはカプリースの変わっていない性格に逆に安心する。
「命の恩人じゃぞ? もうちょっと素直になったらどうじゃ」
「ここで頭を下げたら帝国に恩を売ることになります。外交では頭を下げた方が負けです」
「人間と人間のやり取りを考えよ」
「……それは後回しにしてもよいことです。今は、あれをどうするかの話をする方が先決であり得策だと思いますが」
カプリースが正気に戻ってからすぐに、アレウスが海中に弾き飛ばした『水瓶』を核として巨大な不定形の生命体が現れた。クラゲ化したハゥフルたちを束ねた水の塊――スライムの王様にも見えるが、形状が自在に変わるために現在はクラゲの王様に見える。
「アクエリアスが不完全ながら復活。さっき王女様が仰っていた通りです」
「…………ああ、そういえばそんなことを言っていた気もする。僕はそんなことよりも王女様が女王になることを決意したことに感銘を受けて、他のことは頭に入っていなかった」
そう、クニア・コロルは王女から女王になることを国民に宣言した。戴冠式はまだ行っていないが、彼女は仮であっても今は女王だ。
「僕の体に入っていた力。それを蓄えていた『器』。それがあの『水瓶』――アクエリアスだと言うのなら、全てを終わらせるのは王族と、そこから力を受けてしまった僕の役目か」
「相違ない。わらわたちがあれを今度こそ破壊するぞ」
「それが終われば僕に嘘をついていたことをクニア様も謝ってくださる」
「んんっ? それは……どうじゃろうなぁ?」
「僕は“ろ過装置”だった。国王は元から僕のことをお側付きにしようと考えてはいなかった」
「……えと」
「なのにあなたは僕の力はあなたから受け取った悪い部分の力だと嘘をついた」
「……すまぬ」
「事が終わる前に簡易的に謝ってもらわれても困るんですよ」
カプリースはクニアの手を握る。
「さっきも言ったように、謝るのは全てが終わってからです。そして、あなた様が僕にしでかした全てについての償いについても、僕は終わってから要求するつもりです」
「……………………分かった」
重く、女王が了承する。
「今の言葉に嘘はありませんね?」
「このような場面で嘘などつかぬ。わらわは、お主についた嘘の償いに誠実に向き合う」
それを聞いてカプリースはなにやら嬉しげな表情を浮かべていたが、アレウスに向いたときにはその表情は消えていた。
「じゃれ合うのはやめてもらえませんか?」
「今のがじゃれ合っていたように見えたのかな?」
「ええ、そうにしか見えませんでした」
心を許し合えている相手とのやり取りにしか思えない。そしてカプリースは女王に対して、それほど強い要求を突き付けることはきっとないだろうとも思えてしまう。
「女王陛下」
上空からクルタニカが降り立って、クニアにひざまずく。
「陛下の宣言によって、ハゥフルたちは揃って海中へと向かいました。恐らくは救える命を救い、クラゲ化した者たちに死による救済を与えているものと思います。しかしながら、アクエリアスに戦いを挑ませてはなりません。まだ無事なハゥフルもあのアクエリアスに取り込まれてしまう可能性があります」
「畏まらんでよい。礼儀など戦場においては不要じゃ」
「では、仰せのままに」
立ち上がってクルタニカはいつもの調子を取り戻すように自身の乱れている髪を手で払う。
「アクエリアスは見た限りではスライムに近しい性質を持っているように見えますわ。となれば、核を砕きさえすれば仕留めることはできましてよ」
「核……『水瓶』か」
「あの大きさだと、見つけるのは難しい……かも?」
「いや、クラゲ化したハゥフルを取り込んで巨大化したんなら魔力も増大しているはずだから、それに合わせて核も大きくなるはずだ。だから、問題は取り込んだハゥフルの死体が漂う中から大きくなった『水瓶』を探すところにある」
魔物としてのスライムは核を意識して移動させたり、取り込んだ骨などを甲殻の代わりとして核の防衛に回す。アクエリアスは死体で核を守らせ、核自身も自在に動き回っていると考えるのが自然となる。
「生きているハゥフルもいるんじゃ?」
「考えたくはないけど、有り得る話だ」
アベリアと手を繋いで、話している内に疲労感が取れていく。ひとまずの死闘を乗り越えたことでの安堵感となにより、アベリアが傍にいることで気持ちが安らいでいる。そんなアレウスを労うようにアベリアも手を離そうとはしない。
「アベリアちゃん、奴隷商人なんだけどあたしたちがこっちに向かいながら迎撃してたじゃない? アレウス君が『水瓶』を弾き飛ばした辺りから向こうが退いていったから、そのまま気配を消されて見失っちゃった」
「致命傷ではないけど、魔法は当てたし魔力も削ったから遠くに行けないはず。この島のどこかにいるなら、あとでも捕まえられる」
クラリエがアレウスたちと合流する。
「奴隷商人については僕からハゥフルに伝えておこう。逃がさず、必ず裁きを受けさせる」
そう言ってカプリースが鎗を回すと、彼自身を写し込んだ水の分身が生じる。そこに彼特有の魔力が込められて、水に溶けて消えた。今のが分身によって行える伝達方法だと言うのなら手軽にもほどがある。伝書鳩や手紙を利用しているアレウスが遅れているのではと感じてしまうほどだ。
「『海底街』ごと避難させることはできないのか?」
「『ファスティトカロン』を動かせるのはお父様だけじゃった。眠りから目覚めて間もない大亀に、わらわが次代の女王だと伝えてもすぐに従ってはくれんじゃろう。ここで動かないままでおるだけでもありがたいと思わねばなるまいて」
カプリースに向けて訊ねたつもりだったが、女王が代わりに答えた。
「わらわが答えると都合が悪そうにするが、さっきも言ったように畏まらんでよい。戦っているときぐらいは平気でわらわを呼び捨てにするくらいの気概を見せよ」
カプリースがしていないのだから、アレウスたちが先に呼び捨てにするのは、後々で嫌がらせを受けそうなのでできない。彼と同様に『様』を付けて呼ぶ程度に留めるべきだろう。
「ワタシと会うたびにお前は面倒事に巻き込まれているな」
「ノックスか?」
「まぁ、ワタシは厄介事に関わることには慣れている。さっき出会った妙な男についても話しておきたいが、力を貸すのが先決だな?」
「そのためにここまで来たんだろ?」
「ああ、セレナの『闇』を渡って円状に展開していた結界を迂回してきた」
少し遅れてセレナがアレウスたちの前に黒い煙のような『闇』を払って、姿を現す。
「随分とお手間を取らせてしまったようで申し訳ありません」
「セレナ……!」
「声だけは聞こえていましたが、ようやく顔を合わせることができましたね。一度目は命を、二度目は誇りを守ってくださり、感謝の念に堪えません」
「ううん、最初に私を助けてくれたのはあなただから」
「姉上と共にお力添えいたします。ですが、この関係はこれきりと言いたい……ところですが、僅かばかりは今後も繋がりを保っておきたいと思っているジブンもいます。色々、語ることも溜まっていますが、なによりもまずはアレを討ち滅ぼすことといたしましょう」
「なぁ、カプリ? あの者は一体何者じゃ?」
「ミディアムガルーダのクルタニカと双子の獣人の姫君です」
「そうではない。あのアレウリス・ノールードというヒューマンじゃ。あの者の周りにはヒューマンに限らずダークエルフ、獣人、ミディアムガルーダ……様々な者たちがおるではないか」
「確かパーティにはドワーフもいたかと」
「ふっ…………種に固執し、他の人種を受け入れるのはごく一部。わらわたちハゥフルが馬鹿みたいではないか」
「ああいった者を新しき風、というのです。今までの常識を覆す。認めたくはありませんが、僕ですら不可能です。彼は力ではなく人と成りを見るのです。そして、未熟であっても格を伴うのであれば決して見捨てはしない」
「そして、此度に至ってはハゥフルとの共同戦線というわけか。面白い……が、わらわにはカプリがおるからな」
「なんです? そのよく分からない張り合いの仕方は」
「カプリの方が優秀じゃと言っておるのじゃ」
「やっぱりじゃれ合っていませんか?」
「じゃれ合っていない。人員は揃っただろう? 始めよう」
「始めようと言われても」
「一塊で挑んでは、返り討ちに遭う。触手に捕まれないように分散し、各々が立ち回りつつ機会を窺う。まずはその方向でどうだい?」
「ええ、でも」
「捨てないさ。今回ばかりは……いや、これからは、か」
人を駒のように動かすのが得意なのはカプリースだが、捨て駒戦法を取るのもカプリースだ。対案は常に用意しておきたい。まだ作戦段階とも呼べないタイミングで文句を言っても混乱を招くだけだ。
誰がなにを合図するわけでもなく、アクエリアスの触手が迫った瞬間に各々が回避に移り、地面を打ったときには別々に行動を始める。
「バラバラじゃないだけマシだな」
「うん」
触手から逃れた先でアベリアと会話を交わす。分断はされても、バラバラにはならない。ノックスとセレナ、カプリースとクニア、そしてクルタニカとクラリエ。自然と二人一組となったが、必ずしも二人で一緒に行動しなければならないわけじゃない。場合によって組み合わせは変動し、状況に応じて補助に回るのか攻撃に回るのかを決めていかなければならない。
「なんとかしてクラリエたちとは合流したい」
「それはそうだけど、合流を意識しすぎたらアクエリアスにやられちゃう」
「“観測”の魔法は?」
「まだ使ってない。でも、使ったからって弱点が分かるわけじゃない」
「優先すべきことは?」
「死なないことと、アクエリアスに接近する方法と有効な攻撃を見つけ出すこと」
アベリアとのいつもの質問形式での情報整理を行い、思考力を高めに高めたところで次は戦闘における集中力を高めていく。
「“観測して”!」
火球が飛んでいき、不定形の巨大なクラゲの頭上で弾けることで火の粉を降りかけて観測結果がアベリアの脳内に送り込まれる。その間も 次から次へとうねるようにしてアクエリアスの触手が振られ、地面を打つ。
「“接続”」
アレウスが彼女の手を引いて避けつつ、アベリアは次の魔法を詠唱する。ここから先の情報は全体で共有しなければならない。“観測”の魔法をそう何度も意味もなく唱えるのは魔力と時間の無駄だからだ。
「名称はアクエリアス。別名は『注ぎ殺す者』。体の九割以上が水分、物理攻撃はほぼ通らない。触手による打撃、形状変化、場合によって分裂を繰り返す」
「注ぎ殺すってことは、触手が体に刺さるとマズいのか?」
この質問はあとから誰もが抱く疑問となる。ここで解消させておいた方がいい。
「触手から更に触手が伸びる。毒手持ち。刺されれば神経系の麻痺毒。注がれる量によっては致死量に至る」
そうなると、なにも考えずに受け止めるのは愚策となってしまう。“解毒”の魔法も必須になる。まず、その触手自体が太すぎるため、受け止めようにも受け止められる段階にはないのだが、そこから毒手を刺してくるのであれば、人体に刺せる程度には細くなるはずだ。問題は、どの程度の細さになるかだ。目で見える程度なのか、それとも目視すら危ういほどの細さにまでなるのか。もし目に見えない細さになれば、毒手は防ぐこともかわすこともできなくなる。
「出し惜しみはなしだ」
「私が出せる限りの全力で」
手を離し、アベリアは『原初の劫火』を顕現させ、アレウスは貸し与えられた力を発動する。互いの炎を絡ませることで熱量を上げて、アクエリアスが振るう触手を蒸発させることで妨げる。ただし、妨げられる部分などごく一部で、蒸発した触手はすぐに再生してしまう。
「やっぱり物理は効きそうにないな」
炎の飛刃を一度、二度と放ってみるが水の触手を切断することも蒸発させることもできない。ただただ水の質量に圧倒されて、逆に避けることへ専念できないために危険になってしまう。ギリギリのところで凌いだが、次は凌げるか分からない。そうなると、頼れるのはアベリアやカプリース、クルタニカの魔法となる。アレウスやノックス、セレナの攻撃は核を狙うときに限られてくる。魔法を体内に蓄えた死体で防いでくるのなら、魔力消費を抑えるために防御に使われる死体を処理することになるかもしれない。
それを嫌な役目を押し付けられそうになっている、とは思わない。むしろ、死体をそのように愚弄するようなアクエリアスから解放しなければならない。
これがこの国でやる最後の一仕事になるはずだ。魔物――異界獣から都市と人々を守る。奇しくも、最も冒険者らしい仕事という皮肉さにアレウスは鼻で小さく笑った。
♭
「ふ、ふふふふ……ワシを見逃すとは、奴らも甘い。どれだけの包囲網があろうと、ワシは逃げ切れる。それも分からんのか?」
深手を負いながらも奴隷商人は『海底街』からの脱出を目論みながら歩く。
「今回ばかりは、子供みたいな夢を叶えようとして無理をしたか……? いいや、想定外が多すぎた。やはり神など信用してはならんな。とことんまで思い通りにならん人生だ」
愚痴りながら進む。
と、頭上からなにかが落ちてくる。
「なんじゃ?」
気になり顔を近付けてみると、焼け焦げた肉の臭いが一気に漂う。
「こっちの世界でも通じるかしら?」
そして、聞きたくもない女の声に奴隷商人は冷や汗を流す。
「Hello! 563番目のテッド・ミラー」
返事がないことに女は気付き、ほくそ笑みながら地面に降り立つ。
「やっぱり通じないのかしら……? それとも、知らないフリをしているだけなのかしら。どちらにしても……やっと会えたわね」
「リゾラベート・シンストウ……!」
「憶えてくれていて光栄だわ」
「貴様は『鬼哭』が――いや、『天雷』が仕留めたはず」
「なに言ってんの? 私があんな冒険者に殺されるとでも思っていたの?」
あんな、と女は言う。冒険者の中でも最も高いランクに位置付けられていた『至高』の冒険者。それがグリィ・ガリィなのだ。更には『悪魔』との契約も果たしていた。帝国では『掃除屋』を担い、悪魔狩りを中心とした活躍をしていた。その冒険者を、“あんな”と言ってのけたのだ。
「奴め、裏切ったか」
「違う違う。ほら、そこで黒焦げになっているでしょ? それが、えーっと……誰だっけ? まぁいいや。とにかく、あんたが私に仕向けてきた冒険者。あと、えーっと…………あー思い出せないな。ああ、そうそう。『千雨』だっけ? あっちは瓦礫の下敷きになって死んでいるけど、他にも誰かいる? いるわよね? たとえば、あなたのフリをしていた偽者役とか。あれもどうせ別の番号のテッド・ミラーなんでしょうけど……そっちは、あとでいくらでも殺せるからいいとして」
女は頬に付いている血を手で拭う。
「ヘイロン・カスピアーナは今、どこにいるのかしら? もしかして逃げた? 正直、あんた以上にヘイロン・カスピアーナには恨み辛みが大きくてね……まぁどっちも殺すんだけど」
「ヘイロンなら帝国で死んだだろう」
「あれは、ヘイロン・カスピアーナが作った別のヘイロン・カスピアーナでしょ? あんたと同じ。ゴキブリみたいに一匹みたら百匹いる。その内の一匹。つまりは偽者……まぁその偽者は、ビックリするくらいの善良だったみたいだから、私としてはあれが本物ってことで帝国では処理してもらいたいから、本物を知っているのは私とあんただけって感じかしら。もしかしたらあと何人かは知っているかもだけど」
饒舌なのは勝ちを確信しているからだ。奴隷商人も、自身の絶対的な勝利を確信してあらゆることを喋るほどに饒舌になった。その足元をすくわれて、このように死にかけているのだが、女に関してはそんな一切の足元をすくわれる要素がない。
『至高』の冒険者を殺した女を、一体誰が止められると言うのか。
「グリィ・ガリィは確かに殺したかもしれないが、奴は冒険者だ。甦るぞ」
「それは無理。なんで無理か、って言うと」
女は手を振って、自身の力で生成した紙を両手で握る。
「私は死ぬ間際のあいつのロジックに干渉して、こんな感じに」
大きな音を立て、女は紙を引き千切る。
「破り捨てたから」
「馬鹿……な」
「できるんだよ? 知らないの? 知らないかぁ……呪いしか刻めないあんたじゃ、知らないのも無理ないかぁ。だって、あんたはロジックを書き写したことで初代国王を一時的に大量に生み出した。あんたもきっとその応用で、ロジックが複製され続けることで生じている。ロジックをよく本に喩えるじゃない? 本は書き写すことも、書き込むことも、消すことも、栞を挟むこともできる。表紙をノックすれば、中に振動が伝わる。それと同じで、本を丸ごと破ることだってできなくもない。私は少なくともできた。だからそこに転がっている死体は、もうロジックを持っていないの。死ぬ直前にロジックを失った、ただの人間に成り下がった冒険者の成れの果て。あんたの言うグリィ・ガリィはもう甦らない。でさぁ、そいつの持っていた力が物凄く欲しくてね」
稲妻が奔る。
「私が『悪魔』と契約するんじゃなくて、『悪魔』が私と契約してくれたわ。今は私の魔力の中で大人しくしてくれている……まぁ、大人しくしかできないんだけど。あんたがくれた『服従の紋章』が反転していて、屈服させているから」
女は奴隷商人に近付き、鼻で笑う。
「どうやって殺してほしい?」
「……ふ、ふふふ……これが、ワシの散り様、か」
稲光を手元に宿し、いつでも奴隷商人の体を電撃で貫く準備を整えている女に対し、諦観した言葉を口にする。
「……なに殺してほしそうな顔してんの? ああ、そっか。あんた、もしかして“自分で自分を殺せない”呪いにかかっているのね?」
女は手元の電撃を消す。
「だったら予定変更。あんたにとっては生きていることが耐えがたいほどの苦痛。死にたいけど死ぬことのできない自分自身に絶望して、更には私がいつでも殺せるという事実に怯えながら生きるといいわ」
翻り、女が奴隷商人の前から去ろうとする。危機が去ったと思い、息を吐く。
刹那、奴隷商人の体を電撃が貫く。
「でも、それとこれは別。死ななきゃいいんでしょ? 要するに半分くらい死んでいたっていいってことじゃない? 腕と足、どっちから行く? 指からでもいいんだけど、気付かれたら困るのよね。まぁ、まだ気付かれなさそうだから、指から始めよっか。大丈夫、死なないように気を付けるから。拷問は一回やってコツを掴んだの。それに、絶対に死なせない程度には回復魔法も唱えてあげるから、この一時を楽しんで? 楽しみなさいよ? だって、痛みこそが生を最も実感できる瞬間なんだから」




