表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で壊す異界のロジック  作者: 夢暮 求
【第0章 -Prologue-】
1/705

プロローグ

――死は平等に訪れるが、その時期は不平等である。ならば、真の平等は誰も知ることの出来ない、死の先の『輪廻転生』に有るのかも知れない。

 誰にだって終わりがある。誰にだって死は訪れる。平等か不平等かの違いはあれど、それは確実に待っている終わりである。

 早いか遅いかの違いであり、そこに含まれるのは環境、産まれ持った体質、そして運。

 特にこの運――ツキがあるかないかは死の瞬間に顕著に現れる。家を出た時間、バスに乗った時間、或いは道路を歩いている時の歩幅、そして“そこ”をいつ、どのくらいの秒数で通り抜けることになるか。

 そればかりは誰にも分からない。こればかりは誰にだって、起こり得ることであり、しかし誰だって予想することの出来ないことである。

 運命と呼ぶには残酷で、間が悪かったと言い切れるほどに、少年に非があったわけでもない。


 だが、少年は死んだ。望まずして死んだ。誰に言われるでもなく、危険な行動を取っていたわけでもなく、ただ平凡に、いつもと変わらず歩いていただけなのだ。


 それでも死が取り消されるわけではない。キャンセルされるわけでもない。命とは尊い物だが、同時に容易く消え去るほどに儚い代物でもある。


 死んだ少年を前にすれば誰でも死に震え上がり、しかし生きていることに安堵する。そこでようやく人は生死を実感するのかも知れない。


 だが、死んだ少年にそれを感じる余地は無い。何故ならば、生きていないのだから。死んでいるのだから。


 では、意識はどこに飛ぶのだろうか。輪廻転生がこの世にあるのであれば、少なくとも再び命の巡りはやって来るのだろう。


 ただし、“同一の世界”とは限らない。“異なる世界”であるかも知れない。


 こればかりは、誰にも分からない。運命でもなんでもない。世界の輪廻に混ざれるか、それとも外れるかの違いでしかない。

 そこに少年の意思は介在しない。


 だからこそ、時折、起こるのだ。


 前世の記憶を持ったままに産まれ落ちる、新たな命というものが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ