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1-2 予定通りにいかないとなんかもやっとするよね

 天を仰いだものの妙案が浮かぶわけでもなし。とりあえず、実験がてら強行突破する事にしよーっと。


「レーゲンは連れてけないよ?」


「リヒトヴァイス王子!!」


 いやいや、きっちりフルネームで呼ばないでー。むずがゆいわー。


「一人の方が楽だし、回復は全く考えなくて良いし?・・・じゃ、行ってくるよ、レーゲン」


 そう言ってボクは実験の準備を完了させた。元勇者のレーゲンに効果があるのなら、魔王にだって効くだろうから、これが成功したなら、ますます魔王との戦いが楽になるなー。うん。


「待ってくれ!王子っぅがっ!?」


 あ、成功したっぽい。ビタンって感じで、レーゲンが顔をぶつけてらー。


「うんうん、防御だけじゃなくて、攻撃にも使えそうだね、その結界」


「結界!?」


 そうそう。結界。


 自分の身を守る術はいくつあっても良いもんだ、と身につけた神聖魔法の一つなんだー。教えてくれた先生はまさかボクが使えるとは思ってもいなかったらしい。


 っていうか、本当にこの時代の誰もが修得できなかったものなんだけど。ノリで教えてくれたんだよね。つか、ノリって、先生・・・。悪くはないし、便利だから良いんだけど。


 任意の場所に結界をまるっと作れることがお気に入り。しかも、作るのは一瞬で、万が一の場合にも即座に対応可。


 ボクは加護の影響なのか、防御や回復方面の術を覚えやすい質のようで、面白がった先生が色々文献をあたってくれたおかげで、なかなか異常な防御力と回復力を手に入れたわけなのだよ。ふふふ。


 面白がったのは、防御・回復系なら何でも覚えちゃうからってのと、攻撃系は一切覚えられなかったというアンバランスさだったみたいだけど、先生、なかなかキャラの立ってる人でした。さすが、サブストーリーがメインと言われたゲームなだけはあるよね。


「じゃ、ボクが一定の距離を離れたらその結界は消えるからー」


「王子!!」


 レーゲンは悲痛に叫んでるけども、ボク的には危ないとこに連れてけないよね、っていう判断なので許しておくれー。昼下がりの城下町はなかなかににぎやかだから、このまま放置されることもないだろうし、このままでオッケーかな。


 まったく、レーゲンのせいで予定より目立っちゃったじゃないかー。ちょっとした騒ぎになりつつあるから、雑踏に紛れて門の方まで行っちゃおうっと。


 こういう時は影が薄くて良かったなーと思うよ。ははは。


 ・・・ああ、やだやだ、自虐ネタなんて思いついちゃったから“俺”の記憶が変に呼び覚まされる。もちろん“エンプティ“として活動している時の記憶だ。


 門を通らずに外に行ける王族専用の脱出通路。なんで、ゲームの方では勇者が知ってるんだろうねぇ?まぁ、国の重要人物であることは確かだし、ちょっとしたルート短縮にもなるわけだ。転移のないゲームだから、ちょっとした救済措置なのかも?


 そんなら、任意の転移を使わせてくれっての。勇者が死んだ時にしか発動しないとかあり得ん。


 って“俺”が文句言ってた気がする。いつも文句ばっかり言ってたなぁ。何に対してもこんな調子だったのかねぇ。ボクとはちょっと気が合わなそうだ。


 ま、予定通りに行かないと、もやっとするのは認めるけどね。


 さて、予定を取り戻すためにも、王族専用の脱出通路を使いますかー。

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