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ドラグの家とドラゴン娘

フーカが終えたクエストは

街で出会った料理人ドラグの出したクエストだった。

ドラグは娘の薬となる肉を納品してくれたフーカをもてなすために

自分の家に泊めてくれると言ってくれた。

ガハハ!

♦ドラグの家とドラゴン娘♦ 改稿回数 2 ☆


グレートスライムの肉のお礼に家に泊めてもらえることになったので、

さっそく店を出てドラグの後について家に向かうことになった。

私たちはドアを開け店の外に出る。


このあたりの宿屋事情も詳しくないので非常に助かる。

そう思いながらドラグの後について行った。


道中、フレイに魔法を解くことを忘れないように再度伝えることにした。

こどもっぽい面があるから念を押したほうがいいだろう。


「フレイ、魔法解くのを忘れないでね?」


「うむ、わかっている。今解くから待ってくれ……」


そういうとフレイの体がぼんやり光った。

そしてパシュンという音と共に光の粒子がはじけた。


「ふむ、よしこれで解けたはずだ」


すると、本当に魔法が解けたらしく街の住人達が驚いた顔をしてこちらを見てくる。

だがすぐに、フレイが同じような種族だとわかったらしい。それ以上は何も起こらなかった。

どうやらいきなり現れて驚いただけみたい。


当然か、いきなり目の前に現れるようなものだし。

しかし、ドラグの意見を聞いてこうもあっさりと魔法を解かれると少し悔しい気もする。

だけども、これでやっとフレイと話しても白い目で見られることはなくなると思うと

少し気が楽になるというものだ。

そんなことを思っているとフレイが話しかけてくる。


「なあフーカ、今からドラグのご飯が楽しみだな!」


「えっ、まだ食べるの!?程々にしなさいよ……?

あなた大皿3枚は完食してたじゃない……」


「大丈夫だ、まだまだ入るぞ!」


「そ、そういう事じゃなくて……はぁ、もういいわ……」

やっぱり、さっき伝えておいて正解だったかも……。

私はそんな食い意地を張ったフレイを放っておくことにしてドラグに尋ねる。


「それにしても、ドラグさん本当に泊めてくれるの?」


「おうよ!なんてったって娘の命の恩人だ。このくらいどうってことねぇよ!」

その言葉をドラグから聞いて少し間が開いた後、

ドラグの顔が何か思い出したようなそんな顔になった。


「どうしたのドラグさん?」


「うん、いや嬢ちゃんが良ければなんだが……俺の娘と友達になってくれないか?」


いきなりそんなことを言われて少しだけ面喰う。

友達になってやってくれってどういう事?

私は別にかまわないけどなんで急にそんなことを聞くのかしら。

そう思ってドラグへ尋ねた。

「別にいいけどなんで急に?」


「うちの娘は友達が少なくてなぁ……

見た目年も近そうだしいい友達になれないかと思ってよ」


「なるほど……いいわよ!断る理由がないわ!」


「ありがとうよ!ガハハハ!」


私はドラグと約束する。

どんな人なのか今から楽しみだ。

私はわくわくしながらドラグについて行く。


しばらく歩くと、店とは違い木を組み合わせて作った立派なログハウスが見えてくる。

どうやらそこがドラグの家らしい。


「さあついたぞ、ここが俺の家だ。おーい!ミラ!」

とドラグが叫ぶと中から慌ただしくドタドタドタと足音が聞こえてくる。


バタン!という音と同時に扉が開く。

すると薄紫色の髪色をしたロングヘアーの少女がドラグに飛びついた。

「おかえりなさい!パパ!……あれ、お客さん!?」


少女はドラグと抱き合った後、私に気が付いたらしく

赤面しながらドラグの後ろへ隠れてしまった。


「こらっミラ!後ろに隠れるなお客さんに失礼だろ」


「だって……」


「だってじゃない、挨拶するんだ!」


「…………。」


何やらもめているようだが私はどうすればいいのだろうか……

とりあえずこちらから話しかけてみることにする。


「こんにちは!あたしフーカ、よろしく!こっちはフレイ、精霊の王様よ!」


「よろしく頼む!」


「あなた、ミラっていうのね?私と友達になりましょうよ!」

そうミラに言ったけども驚いた表情をした後すぐに家の中に入ってしまった。

なるほどこれは難しい。


「うーむ、あいつも人見知りが激しくなったもんだ。昔はこういう奴じゃなかったんだが……

すまないが気を悪くしないでくれ……さて、ここで待たせてもあれだしな、早く中に入りな。」


「それじゃあ、お邪魔しまーっす!」


私はドラグの後に続いて家に入ることにした。

家の中に入ると温かみがあって木の良い香りがしてくる。


「わあ!結構広い!かなり雰囲気もいいわね!」


するとその言葉を聞いた自慢してくる。

「驚くなよ?この家は俺が建てたんだ!ガーッハッハッハ!」


「え!?料理人じゃなかったの!?」

驚いた。ドラグはなんと大工もやっているというのだ。

確かに料理をする人は器用な人が多い気がする。

この大柄な体だ。大工をやっていてもおかしくないかも……?


「料理人兼大工だ!だが、さすがに年には勝てなくて大工は休業中だ!

小物とかはまだ作ったりするがデカい建物は辛くてな……」


「ふーん、ああ、だから店の方は大工さんに頼んだのね?」


「まあそんなところだ。とりあえず適当に座っててくれ!

今、茶を入れてやるからな!ガッハッハ!」


何でもアリだな……この男……

私はとりあえず座り心地がよさそうな木の椅子へ座る。

木の椅子はかなり強く木の良い匂いがする。おそらくドラグが最近作ったのだろう。


そう思っていると、背後から視線を感じる。

後ろの方を向くとそこにミラがおずおずと立っていた。


「……!!……こ、こんにちは

私ミラって言います、先ほどはすみません……

あまり人と話さないもので……」


ミラはそう言うと私から少し距離を置いたところに座る。

しかし座ったところでミラは何も言わずうつむいたままになってしまうのだった。

もしかして、例の病気で具合が悪いのでは?


「大丈夫?もしかして具合が悪いのかしら?」


するとミラはあわてて言い返してくる。

「いや!大丈夫……です」


「だったらなんで黙るのよ?具合が悪いのかと思ったじゃない……

でも違うならよかったわ!」

私は安心し、胸をなでおろす。


「いや、あの……その……!」

少し間を置いた後ミラは意を決したように言い出す。


「私と友達になってくれませんか!?」


私は少し驚く。

ドラグから聞く限りでは、かなり引っ込み思案になっていると聞いていたし、

玄関で避けられていたので嫌われたのではないかと思っていたけど……

それは杞憂だったみたい。


「ええ、いいわよ!これからは友達ね!よろしく!」


「……!!……ありがとう」

ミラはぽつりとつぶやくと顔を真っ赤にしながらドラグの方へ走って行ってしまう。

よほど恥ずかしかったのだろう。


「ふむ、よかったなフーカ!友達が増えて!」

フレイは喜んで私に言う。


「ええ、でもダンジョンでまさか友達ができるなんて思いもしなかったけどね!」


「私とてこうなるとは思わなかったぞ!ハハハ!」


しばらくするとノッシノッシと音が聞こえそうな歩き方でドラグがミラを引き連れて戻ってきた。


「ガハハ!お茶がはいったぞ。クルビスでもつまむか?

ここに置いておくから好きに食べるといいぞ!俺はさっそく新作料理の準備をするから、

ミラ、何かあったらすぐに来るんだぞ?」


「うん、わかったパパ!」

ミラは元気よくうなずく。


しかし、事情を知っている私としては聞き逃せなかった。

いやいや、まってドラグさんなんで?なんでこんな時に新作料理なの!?

「ド、ドラグさん!ちょっとまって!」


「ん、なんだ?お嬢ちゃん。」


私はヒソヒソ声でドラグに尋ねる。

「早くグレートスライムの肉を食べさせて病気を治したらいいじゃない!

なんで新作料理なのよ!」


するとドラグも真面目な顔で答えてくれた。

「ああ、だからだよ。その準備をしに行くんだ。ただ食べただけじゃ上手く効果が出ないんだ。

だから、今から肉を料理して素材の力を引き出してやる作業に入る。

なぁにようやくここまできたんだ上手くやるさ。

嬢ちゃんはミラと遊んでてやってくれ。」


よかった。そう思いドラグに誤った。

「な……なるほど……ごめんなさい引き留めて。頑張ってね!」


「おう、お前らの分も用意してやるぜ!」

そういってドラグはまたキッチンの方へ向かっていった。


「ミラ、今日のご飯楽しみね!」


「うん!パパのご飯はいつもすごくおいしいんだよ!

パパ料理を食べるとすごく元気が湧いてくるの!」

ミラは自慢げに自慢してくる。


「パパさんの料理すごくおいしいものね!私も食べてびっくりしちゃった!」


しかし、自慢したミラは少しの間、俯いてしまう。


「ん?どうしたのミラ?やっぱり具合でも悪いの?」

私はそんなミラが気になり話しかける。


「な、なんでもない!」


「……まあ、何でもないならいいんだけど……」


そう心配していると突然フレイが大声をだして騒ぎ始める。

「フーカ!そろそろクルビスとやらを食べないか!すごくおいしそうだ!」


「ちょっとまってよ!わかった!わかったから!」

まったく、本当に王様なのかわからなくなるわね……


「フフフ!食いしん坊さんなのね?そうね、一緒に食べましょう?」

ミラはそういうとクルビスを一つ口に運ぶ。


……思い過ごしかな?先、ミラの元気がなさそうに見えたんだけど……。

今は元気みたいだし大丈夫よね……?私はそう思いミラから目を離しフレイの方を見る。


「おお……!おおっ!これは!サックッサクでとてもおいしいぞ!」


「フ、フレイ……落ち着いて食べなさい……」

フレイはドラグのクルビスを夢中になって食べている。

あまりにも夢中になり過ぎてあちらこちらにクルビスのかけらが飛び散ってしまっている。


そんな姿を見て、ミラがフフフと笑っている。

その光景を見て先程の元気がなさそうな姿はどこかに行ってしまっていた。


ふと、クルビスを食べ散らかしていたフレイがミラに質問をする。

「そういえばこの街はたくさんの種族がいるが

ミラは一体何の種族なんだ?少し気になる事があってな、教えてくれると助かるんだが。」


するとミラは自慢げな顔をしながら説明する。

「フフ……私ね?実はドラゴンなの」


私は驚く。今ドラゴンと言ったか?ドラゴンと言えばよく昔話に出てくるあの伝説上の生き物?

でも目の前にいるのは、控えめに言ってもかわいい女の子だ。

それがあのドラゴン?全く想像もつかないのである。


「ドラゴンってウソでしょ?さすがに無いわよ」

と私は冗談めかす。


するとミラはムッとした顔をして言う。

「……本当です!ほら!」


ミラはいきなり着ていた服をめくりあげおなかを見せてきたのだ!


「わわ!?いきなり何を……!?…………ってなにこれ!?」


……お腹はふっくらしていてプニプニ……ではなく

なんとミラのお腹にはわずかながらにも鱗が生えているではないか!

私は驚愕して思わず凝視してしまう。


「フフっ!私はドラゴンなの……信じてくれました?」


ミラは自慢げな顔をする。

しかし私が物珍しそうにじっと鱗を見ていると次第に顔が赤くなっていった。


「……さすがにそんなにみられると恥ずかしいです……」


「は!?ごめんなさい!つい珍しくて……」


するとそこでフレイが納得したように唸る。


「ふむふむ!なるほど!ドラグがなぜ私の姿が見えたのかわかったぞ!」


「え?何々?何がわかったの、フレイ?」


「ふむ、かいつまんで説明するとだな。

ドラゴン種は我々精霊とかなり深い関係にあってだな、上位精霊を使役することができるのだ。

だから火を吐いたり雷を出したりできる。

あとは、ドラゴンに姿を隠す魔法は意味をなさない。ドラゴン族は魂で生物を見る。

隠れていようが生命の波動を感知して見つけ出してしまうのだ。

つまり、ドラグが私を見つけることができたのはドラゴン族だったからだな!」


「へえ!すごいじゃない!ミラもドラグさんも!」


「………!!」

ミラは顔を真っ赤にしてうつむいている。どうやら褒められるのはあまり慣れていないらしい。


ミラはしばらくうつむいたままだったが急に立ち上がり私の手を握る。

「来て、見せたいものがあるの」

ミラにいきなり手を引かれて私はミラの部屋に連れて行かれる。


「ちょっとミラ!いきなり何!?」

意外にも強い力で手を引くので少し驚いたが一体何を見せたいのだろうか?


ぐいぐいとミラに手を引かれ部屋に入ると部屋の中は工房みたいになっていた。

「これは……?工房かしら?なんだかすごいことになってるけど……」


するとミラは照れながら言う。

「私、ものづくりが趣味なんだけど、友達の印にこれ……

受け取ってもらえないでしょうか……?」


ミラから渡された物はクリスタルのペンダントだった。

「わあ!かわいいペンダントね!さっそくつけさせてもらうわね!」

私はミラからもらったペンダントを首にかける。


「おお、似合っているぞ!フーカ!」」


するとミラは私からいきなり離れて同じペンダントを取り出したのだ。

「ん?なにしてるのミラ?」


良くわからないがミラは同じペンダントを首にかけ飾り部分を持ち口に近づける。

「あーあー、聞こえますか?」

するとなんとミラの声がペンダントから聞こえてくるではないか!


「ええ!?なにこれ!?」私は驚く。


そしてフレイは興味津々にペンダントをしげしげと見つめる。

「これは……すごい物だぞ……これがあれば遠くに居ても話ができるな!」


私はペンダントに言う

「ありがとうミラ!大切にするわ!」


するとドラグの声が聞こえてくる。

「おーい!お前ら!晩飯ができたぞー!」


「ミラ!ご飯ができたって行こう」


「うん!」

私達はさっそくドラグのいるキッチンへ向かう。


「おう!冷める前に食べよう!ガハハ!」

私たちはテーブルに座りご飯を頂くことにする。


「今日はミラの大好きなバンバーグだぞ!ガーッハッハッハ!」


ドラグはバンバーグと言っていたが……どう見てもハンバーグだ。

どうやらこの世界のハンバーグはバンバーグというらしい。

バンバーグから香るスパイスの匂いが私の食欲を刺激する。

隣りにいるフレイももはや待ちきれないといった様子だ。

「さすがドラグさん!とってもおいしそう!」


「おいおい!照れちまうぜ!」

そういうと、ドラグはニコニコとしながらミラの方を向く。


「ん?どうしたのパパ?」


「ミラ、喜べ!お前の病気が治る日が来たぞ!

実はな、このお嬢ちゃんがお前の特効薬の材料

グレートスライムの肉を取ってきてくれたんだ!」


「グレート……スライム……!?

パパ、それってパパがいってた、私の病気が治るモンスター……!?見つかったの!?

私、まだ生きられるの……?」


そのミラの発言にドラグの肩がピクリと動く。

「む、ミラお前なぜそのことを…………」

一気にあたりの雰囲気が沈むような感じがした。


その雰囲気に当てられてか、ミラも少しづつ呟くように答えた。

「ごめんなさい、パパ……実はこの前の夜、パパの部屋の前を通る時に聞いちゃったの……」


「そ、そうか……すまない……」


「ううん、違うわパパ!パパは何も悪くない!」


ミラは涙を浮かべながら満面の笑みをドラグに向ける。

「……ありがとう、パパ」


ドラグはミラの笑顔に堪えられなくなり涙があふれボロボロと泣いてしまった。

「……ああ!…………あぁ!さあ!食べよう!いっぱい食べて元気になるんだぞ!」

そういうとドラグは優しい視線をミラに送るのだった。


思ったように話がすすまないです……。


追記:1 クッキーをクルビスと変更。

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