その6 マミー
いよいよ母とのご対面
『食べ終わったようだな。』
『ああ、でもなんでたべさせたのさ。』
『お前はこの家の子の中で初めて声をあげなからな。』
『それがどうした?』
『キメラ族のしきたりだ。2人以上の子が一度に生まれた場合、先に声を出した方にそれ以外を食べさせる。自分の兄弟を何人も食うことになる場合もある。』
(個人的にはもっと食べていろいろ手に入れたかったんだが、どうしようもないことを悔やんでもしょうがないか。)
『息子、行くぞ。』
『え、何処に?』
『お前の母親に会いにだ』
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家(洞窟)から出るとそこには驚きの光景が広がっていた。
直径数百メートルはありそうな洞窟の中の広場に無数のキメラが犇いていた。天井には例の青い結晶が埋まっていて、これまた幻想的な雰囲気を醸し出している。
鑑定してみると、【魔結晶】と出た。
【魔結晶】
【環境の魔力濃度が濃ゆい場所に自然に生成する】
【魔力伝導性が高い貴重な素材】
【魔力、光転換能を持つ】
つまり、【魔力、光転換能を持つ】っていうのが、魔力を込めると光を放つ、光を込めると魔力を放つ、って意味だろう。
壁には所々、少し大きめの穴が空いている。
俺と父さんが出てきた穴とそっくりだ。おそらく他の家だろう。
丁度移動中暇なので俺の体について軽く説明しておこう。キメラの赤ちゃんは人間でいうところの7歳児くらいの姿で生まれてくる。俺もまさにそんな感じの見た目だ。
また、キメラは生まれた時点である程度「型」を持つ。例えば、熊型、蟻型、魚型、など「型」は様々だ。俺が食ったあいつはいろいろ混ざった混合型だった。
因みに俺はほぼ人間と同じ姿をしているその名も人間型、キメラ族の中では1番珍しい「型」で、現在ここには俺を含めて2人しかいないらしい。
尚ここまでで喋った情報は全てデタラメです。
...冗談です。ちゃんと父さんに聞きました。
因みに人間型の特性としては...『着いたぞ』...また後ほど話すとしよう。
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『ここだ』
Wow。
俺が広場の奥の一際大きな穴を抜けた時の感想だ。
部屋の中は虹色の光で溢れていて、自然と背筋が伸びてしまうような、厳かな雰囲気に満ちている。
虹色の光の発生源は部屋の天井や壁を覆い尽くす、大量の結晶だ。外にあった魔結晶にも似ている。ただし、色が全く違うが。
こっちは結晶の中では虹色の何かが流動しているように見える。その何かが光を放っているようだ。
【魔結晶・虹励起】
【魔結晶に全属性の魔力が充填された上で強化刻印で活性化されたもの。】
【全属性に関して魔結晶を超える魔力伝導性を持ち、さらに、増幅効果を持つ】
そして、最後に。部屋の1番奥に佇んでいるのは、巨大なキメラだ。うーん、家一個分くらいの大きさがあるぞ。
ていうか体の形状が凄い。
まず、みんなも良く知ってるような一般的なスライムの体(もちろん顔はついてないよ?)がある。ただし、これがとんでも無くデカイ。さっき言った「家一個分」のほとんどを占めてる。そしてそのスライム体の中にポツポツと見えるキメラの赤ちゃんらしきもの。
最後に、そのスライム体の上に人間型のようなキメラの上半身が乗ってる。でも、下半身が魔物なんだから、人間型じゃなくて混合型だろう。
【キメラクイーン】
【キメラ族の女王】
【巣における主な働きは子孫を生むこと】
【下半身のスライム体全てで生殖が可能であり、同時に雄数十匹分の子孫を作れる】
【それ自身の戦闘能力は高くないものの、常に魔力を発しており、周囲の魔物を強化する作用を持つ】
【そのことからキメラクイーンがいる巣の危険性は通常の数倍にも昇る】
ほぉぉぉ。...あれが母さん?
マミーまじぱねぇっす...
この巣のクイーンは通常のものより強いです。
普通は直径3メートルの球くらいの大きさしかありません。




