冒頭
この物語は東方projectの二次創作作品です。オリジナル設定など多く含まれていますので苦手な方はご注意ください。
この物語は秘封倶楽部と神夜瑛士が出会う少し前の事である
宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンは夏休みを利用し蓮子の実家に帰郷していた。
去年の夏にも訪れているため蓮子の親御さんとも仲良くなっている。
二人は実家から少し離れた位置にある墓地にやってきた。
太陽が真上に指している中、二人は暑さにげんなりしながら目的地まで向かっていた。
「やっぱり暑いわね…」
普段被っている黒の帽子を外し、いつもの白シャツの蓮子が振り返りながら答える。
「暑いのは私も同じよ、もうすぐ着くんでしょ」
麦わら帽子を被り、ラフな服装のメリーが辛そうな顔をしながら答えた。
「そうね…。あ、見えてきたわよ」
宇佐見家の墓は敷地の奥にある。その墓地は小山を削った場所になっているためか地味に傾斜があって疲れるのである。
墓はすでに掃除がされている。
二人は持ってきていた花を花瓶に生け、手を合わせる。
蓮子が小さく何かを呟くのをメリーは微かに耳に聞こえた、聞き取れなかったが…
そのまま家に戻り夕食を食べ、二人で蓮子の部屋に戻ったとき、蓮子が本棚から何かを出そうとしている。二人はすでに寝間着に着替えており何時でも寝れるように準備を整えている。
「何してるの」
「いや、確かここに置いてあったはずなんだよな~…、あ、あったあった」
蓮子が手にしていたのは一冊のノートだった。昔使われていたのだろうか表紙は少し汚れている。
「これは?」
「え。あぁ、最近物置で見つけたんだよね。で、気になって持ってきたんだよね」
表紙にはこう書かれていた
秘封倶楽部活動日誌
秘封倶楽部 会長 宇佐見菫子
「これって…」
「そう、私の叔母さんが残したノートなのよ。私が赤ちゃんだった頃に亡くなったから顔は知らないんだけど…。そういえば私メリーに叔母さんの話をしたことあったっけ?」
「ないわね。」
「せっかくだから説明するね、このノートの事もあるし」
蓮子が昔父親から聞いた話だと、菫子は長い間植物状態になっていたらしく亡くなったのも急だったそうだ。昔から菫子は日常的に寝ていたらしく最終的に起きなくなり亡くなるまでずっと病院で寝たきりだったという。
それから、よく超能力を使っていたことや一時期は夜家に帰ってこないこともあったとも言っていた。
そしてその話に興味を持った蓮子は物置から菫子の私物を漁りこのノートを見つけたという。
「本当なら大学で見せたかったけどせっかくだからここで一緒に見ようと思ってね」
「でも大丈夫かしら。」
「問題ないわよ。早く見たくてずっと我慢していたんだから」
蓮子の熱意にメリーは根負けした。
「分かったから。じゃあ早速見てみましょう」
二人はノートを中心に集まった。
ノートの字はきれいで所々図形のようなものも描かれている。
そしてとある一文に気になるワードがあった。
幻想郷
隣で誰かがくしゃみをした。
「どうしたんだ」
「急に寒気がして…、誰かが噂してるのかしら」
ここは幻想郷
季節は夏
そう、あのオカルトボールが引き起こした異変から数週間が経った
人里の甘味処でお茶を飲んでいる三人
神夜瑛士、東風谷早苗、そして先の異変を起こした宇佐見菫子
瑛士と早苗が人里で散策している最中で偶然菫子と遭遇した。あの異変には早苗は参加していないためか異変の事を教えてほしいということで今の状況にある。
瑛士もあの異変には参加していたが最近は菫子の様子を知らないので気にはなっていた。
「で、早苗。聞きたいことって何だ?」
「全部です」
「……え?」
「幻想郷を知ったきっかけとか異変時の心境とか色々知りたいんですよ」
「そういえば輝針城での異変の時も聞いていたな、お前…」
瑛士は呆れながら言ったが、菫子は淡々と答えた。
「まぁ過ぎたことだしね、別にいいわよ」
「いいんですか」
「終わったことだしね」
そういうと菫子は淡々と話し始めた。